本一冊丸かじり! おいしい書評ブログ

本を読むことは、心と体に栄養を与えること。読むと元気が出る、そして役に立つ、ビタミンたっぷりの“おいしい”本をご紹介していきます。

【書評】『一生太らない体をつくる腸健康法』(藤田紘一郎)

 お薦めの本の紹介です。
 藤田紘一郎先生の『一生太らない体をつくる腸健康法』です。

 藤田紘一郎(ふじた・こういちろう)先生は、ご専門が寄生虫学、感染免疫学の医学博士です。

見た目が老けている人は、寿命も短い

 人の見た目を決定づける要素の第1位は、「体型」です。
 とくに年配の人は、太っている人ほど、年齢以上に老けて見えるようになります。

 藤田先生は、肥満は、悪しき生活習慣の結果が体に現れている状態だと指摘しています。

 肥満の体の中には、老化に導く活性酸素や糖化物質が充満しています。
 そして、腸の中では腐敗菌である「悪玉菌」が優勢になっています。

 肥満が、悪しき生活習慣の結果が現れたもの。
 だとしたら、生活習慣を改めれば、肥満が解消されるということです。

 藤田先生は、ただ腸内細菌を元気にする方法を知り、悪しき習慣を改めるだけで、あなたの健康状態は劇的に変わると強調します。

 本書は、腸内細菌を活性化し、体の内側からきれいになる、「腸健康法」を解説した一冊です。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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太っている人は食事量を減らしても太る

 最近の研究により、肥満の人とそうでない人では、腸に棲んでいる細菌の種類が違っていることがわかってきました。

 J・ゴードン教授は、「太りやすさの実験」をマウスで行なっています。まず、腸内細菌を持たない無菌マウスを二つのグループにわけて、一つのグループには太ったマウスからとった腸内細菌を植えつけ、もう一つのグループには通常の体型のマウスからとった腸内細菌を植えつけました。その後、双方に同じエサを食べさせて観察した結果、太ったマウスから腸内細菌をもらったグループは、同じエサを食べていても肥満になりやすいことが明らかにされたのです。つまり、太りやすさは、腸内細菌が決めていたということです。
 このことは、私も身をもって確認しています。かつては、私も太っていました。今より10キロも体重が多かったのです。「このままではいけない!」と一念発起し、肥満を治す方法を研究し、わずか2ヶ月で10キロの減量に成功しました。そのとき、減量前後の腸内細菌をとり出し、分析していたのです。結果、太っているときには悪玉菌が多くなりがちだったのに、痩せてからは善玉菌が安定して優勢になっていることがわかりました。
 その後も定期的に腸内細菌の検査をしていますが、10年以上過ぎた今も、悪玉菌が優勢になることはありません。少々食べ過ぎても、体重が増えることはなくなりました。
 免疫力が強くなり、大した病気もなく、髪も肌も十年前よりツヤツヤです。
 このときわかったのが、肥満を健康的に改善するには、「腸内細菌の勢力図を変えなければいけない」ということです。腸内細菌は、善玉菌・日和見菌・悪玉菌の三つに大別できます。善玉菌が優勢ならば人は痩せ、悪玉菌が優勢ならば人は太るのです。肥満対策は、腸内細菌の改善から始めるべきだったのです。

 『一生太らない体をつくる腸健康法』 第1章 より 藤田紘一郎:著 大和書房:刊

 どんなダイエットをしても痩せない。
 そういう人でも、自分の体質だと諦める必要はないです。
 無理な食事制限などで、必要な成分まで足りなくなり、腸内環境が悪化しているのかもしれません。

「食べる量を減らす」から「腸のためになるものをたくさん食べる」。
 痩せる体質になるには、このように、意識を変えるとスムーズにいきます。

「食物繊維」を意識して摂る

 腸のためによい食べ物といえば、「食物繊維」です。
 日本人は、18歳以上の場合、1日あたり男性は19グラム以上、女性は17グラム以上の食物繊維をとるのがよいとされています。

 藤田先生も、腸内細菌を元気にし、太りにくい体をつくるためには、私たちはもっと意識して食物繊維を積極的にとる必要があると指摘しています。

 食物繊維には、水に溶ける水溶性のものと、水に溶けない不溶性のものがあります。
 腸内細菌は、水溶性の食物繊維をより好みます。腸内で発酵しやすいからです。発酵とは、細菌たちの働きによって物質が変化し、人間にとって有益に作用することを意味します。腸内に食物繊維が入っていくることによって、それをエサにする腸内細菌が元気に活動を始め、発酵が起こり、細菌がますます増えて腸内がよい環境に整っていくのです。
 水溶性の食物繊維は、昆布やワカメなどの海藻類のほか、コンニャクにも含まれます。いんげん豆や小豆、大豆、ひよこ豆、えんどう豆などの豆類のほか、エシャロット、ニンニク、ゴボウ、キャベツ、アボカド、梅干し、などに多く入っています。また、納豆やオクラ、モロヘイヤ、サトイモ、などネバネバした食品にも豊富です。
 水溶性の食物繊維は、粘着性があるため胃腸内の移動がゆっくりとなり、おなかがすきにくくなるというメリットもあります。食事で多めに食べておくと、「小腹が空いたから」と間食に走るのを防いでくれるでしょう。
 また、食事に含まれる糖質の吸収をゆるやかにする作用もあるので、食後、血糖値(血液に含まれるブドウ糖の濃度)の急上昇を防ぎます。血糖値の急激な上昇は、肥満や糖尿病につながっていきます。水溶性の食物繊維は太りにくく病気になりにくい体づくりにまさに最高の栄養素なのです。しかも、余分なコレステロールを吸着して大便と一緒に外に出してくれる働きまであります。太りにくい体を手に入れるためには、水溶性の食物繊維を毎日の食事の中に積極的に取り入れることが第一です。

 『一生太らない体をつくる腸健康法』 第1章 より 藤田紘一郎:著 大和書房:刊

 食べ物が一日中、どこでも簡単に手に入る現代社会。
 どうしても、野菜などの食物繊維を摂取する量が少なくなりがちです。

 しかし、腸の健康を維持するためには、食物繊維はどうしても欠かせないもの。
 外食する場合でも、サラダや納豆をついでに注文するなど、ちょっとした工夫が必要ですね。

老化は「腸」から始まる

 生活習慣には、遺伝子を変えてしまう作用があります。
 その作用を「エピゲノム」と呼ばれています。

「エピ」とは「後天的な」という意味。
 つまり、エピゲノムとは、「後天的な遺伝情報」という意味です。

 生活習慣によって、体質を変化させられることが科学的に証明されたということ。

 人間は60兆個もの細胞でつくられた、さまざまな器官で構成されています。
 そして、まっさきに老化の兆候が現れる部位が「腸」と「腎臓」です。

 生命を維持するために腸と腎臓へかかる負荷は、臓器に配分される血液量を見れば一目瞭然です。心臓は1分間に約5リットルの血液を送り出しています。その行き先の第1位は胃腸の30%、第2位は腎臓の20%、第3位は脳と骨格筋のそれぞれ15%です。
 みなさんは、自分の体は脳を中心に動いていると感じているかもしれません。しかし、私たちの生命のために、日々過酷な労働を強いられているのは、腸なのです。
 老いやすい腸をそのまま放置していては、腸の老化はどんどん進むばかりです。エピゲノムは自分次第で書き換えられます。太りにくく、元気に長生きする体を築くには、若々しい腸が必要なのですから、腸のエピゲノムを若返らせなければいけません。加齢とともに老いを実感している人は、腸が加速度的に老化しているのでしょう。
 腸の若返りに必要なのは、第一に善玉菌が優勢になるような腸内環境です。
 腸には1000種類、1000兆個もの多種多様な腸内細菌が、集合体をつくって生息しています。その集合体が重なりあって広がる様は、まるでお花畑のように美しいのです。その美しさから、腸内細菌の集合体は「腸内フローラ」と呼ばれています。腸内フローラは、善玉菌が優勢になり、最大勢力の日和見菌がよい働きをし、悪玉菌が増殖も悪さもできない環境にあるとき、もっとも美しい状態が創出されます。このときこそ、腸のエピゲノムは若さの方向にベクトルが向くのです。

 『一生太らない体をつくる腸健康法』 第2章 より 藤田紘一郎:著 大和書房:刊

 腸は、外から見えず、普通に生活していても意識することはあまりありません。
 しかし、24時間いっときも休まずに活動している、替えのきかない重要な臓器です。

 腸の負担を少なくし働きやすい環境を整えてあげることが、健康な生活への近道です。

「ミネラルウォーター」はラベルを確認する

 私たちの体を構成する細胞は、1万年前の祖先と変わりません。

 最も健康を維持しやすい環境は、「1万年前のような自然とともに生きること」です。
 とはいっても、現代社会でそれを実現することは不可能に近いです。

 次善の策は、一万年前の祖先が口にしてきた「細胞が喜ぶ水を体に送り込むこと」です。

 細胞が喜ぶ水の最低条件は、人の手を加えていない生水であることです。殺菌や有害物質を取り除くために、塩素などの薬品を入れたり、加熱したり、蒸留したり、ミネラルなどいっさいの不純物をろ過して純粋にしたり、そうした不自然なことを行なうと、細胞を元気にする生理活性が失われてしまいます。
 生理活性のある生水とは、殺菌や有害物質の除去などをせずとも、安心して飲めるほどクリーンな自然のままの水のことです。一般名でいえばミネラルウォーターです。
 ただし、この名称にも注意が必要です。日本では、加熱殺菌、ろ過、沈殿、原水の混合、ミネラル分の調整、ばっ気(空気を溶けこますこと)などの処理をした水も、ミネラルウォーターと名乗ってよいことになっています。しかも、ミネラルの含有量に規定がないため、ミネラル成分がほとんど入っていない水も、ミネラルウォーターの名で売りだされています。飲んではいけないとはいいませんが、人の手を不自然に加えた水に、細胞レベルから元気になる生理活性は、残念ながらありません。
 日本の水の中から生理活性のあるものを探すには、ラベルに「ボトルウォーター」と書いていないこと、「非加熱」と書いてあることは、最低限チェックしてください。

 『一生太らない体をつくる腸健康法』 第3章 より 藤田紘一郎:著 大和書房:刊

 同じミネラルウォーターといっても、見た目は同じでも、中身の成分や製造過程によって、まったく違う飲み物になってしまうということですね。

 人間の体の70%は水でできています。
 もちろん、生きていくためには欠かせない成分です。

 毎日、口にするものですから、できる限り体にいいものを使いたいですね。

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 本書を読むと、肥満は、遺伝的より、むしろ日々の生活習慣による部分が大きいことがわかります。
 悪しき食生活の習慣が「痩せにくい体質」をつくり、肥満と老化を呼びこみます。

 口から入れたものすべてを吸収する腸は、健康的な生活の土台となります。
 その土台がしっかり働かない限り、何をしてもムダという意味ですね。

 健康に近道はありません。
 一歩一歩地道に、腸内環境を整えていきたいですね。

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