【書評】『トップ1%の人だけが実践している思考の法則』(永田豊志)

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 お薦めの本の紹介です。
 永田豊志さんの『トップ1%の人だけが実践している思考の法則』です。

 永田豊志(ながた・とよし)さんは、知的生産研究家・新規事業プロデューサーです。
 大手出版社に在籍中、新規事業開発を担当し、多くのコンテンツビジネスを立ち上げるなど実績を重ねられてきました。
 2005年より共同して会社を設立し、新しいウェブサービス開発に携わるかたわら、ビジネスパーソンの知的生産性研究に取り組まれています。

最強のビジネスウェポン「5Aサイクル」とは?


 永田さんは、いろいろな成功した企業や起業家たちのケーススタディを追い求め、ビジネスのプロデュース能力を磨くための行動様式を探りました。

 その結果、「成功者はみな、あるビジネスプロセスを何度も、高速回転で循環させていた」ことに気づきます。

 それは次の5つからなるプロセスです。

  • 顧客の抱える問題の「認知」(Awareness)
  • 問題解決のための従来と異なる「アプローチ」(Approach)
  • アイデアのスピーディな「実行」(Action)
  • 仮説と実行結果の差異に対する「分析」(Analysis)
  • マーケットニーズに合わせた柔軟な「適応」(Adjustment)
 まとめると、チャンスを見つけ、構想を練り、実行した結果を見ながら自らを修正するということです。

 成功者は、これを何度も何度も繰り返します。
 このサイクルは、キーワードとなった5つの英単語の頭文字をとって「5Aサイクル」と呼びます。
 
 本書は、「5Aサイクル」を駆使し、ビジネスのプロデュース能力を磨くためのノウハウを、具体例を交えながらまとめた一冊です。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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理念とは「顧客価値の創造と利益の追求」


 ハンマー投げで、重い鉄球を遠くまで飛ばす。
 そのためには、高速回転の中心となる投てき者の軸がブレないことが重要です。

 それと同様に「5Aサイクル」を高速回転させるには、ブレない軸が必要です。
 永田さんは、ブレない軸となるものが「理念(Ideal)」だと指摘しています。

 理念とは、判断に迷ったとき、必ず参照にすべきビジネスの原点のことです。

 理念は、常にあらゆる行動の指針であり、憲法のようなものです。
 では、ビジネスマンが、「5Aサイクル」を回すにあたって、中心に据える「理念」とは何でしょうか? もちろん、個々人でやりたい分野、強みを発揮できる領域は違うでしょうが、全員に共通する理念は「顧客の幸せを実現することによって利益を得る」ということです。
 当然、ビジネスであるからには利益を生まなければいけません。利益はビジネスを続けるための「血液」であり、多ければ多いほどよいのは当然です。だから、より大きなビジネスを続けるための「血液」であり、多ければ多いほうがよいのは当然です。だから、より大きな利益をあげることを、決して不道徳のように考えてはいけません。
 利益を得るから、「雇用」を生み出すことができ、「税金」を支払うことができ、「顧客」に価値を提供し続けることができるのです。それが経済人としての正しい方向性であり、最大の社会的貢献だと思うのです。
 しかし、一方で利益だけを生み出すことはできません。利益は必ず、顧客価値(カスタマー・バリュー)との交換によって生み出されなければなりません。顧客価値がないのに利益を得ているとすれば、それは詐欺か、反社会活動ということになってしまいます。

 顧客価値とは顧客にとってのベネフィット(便益)から必要コストを除いたもの。製品やサービスを購入することによって、顧客が得られる「付加価値」です。
 ですから、顧客に、どのような価値を提供するのか? これが「5Aサイクル」の中心軸で一番大事な命題です。これさえブレなければ、サイクルは安定して周ります。

 『トップ1%の人だけが実践している思考の法則』 Part 1 より 永田豊志:著 かんき出版:刊

 いくら強力な飛び道具でも、放つ方向が定まらないのでは、使いものになりませんね。
 つねに同じ方向、同じ角度で放てるようになってこそ、計算できる武器になります。

「顧客に、どのような価値を提供するのか?」

 しっかりとした中心軸をつくることが大事ということです。

顧客価値の総量は、「感謝の言葉の数」でわかる


 顧客価値というものは、目に見えません。
 顧客価値をもっとわかりやすい形に変えて、従業員の指標にしている会社もあります。

 その指標とは、「感謝」の言葉です。

 たとえば、外食・介護大手のワタミでは「地球上で一番たくさんの“ありがとう”を集めるグループになろう」というわかりやすいスローガンをかかげています。聖人君子のキレイ事ではありません。
「ありがとう」の言葉の数は、顧客満足度を示す重要なKPI(重要業績評価指標)です。それは、感謝が集まるところに大きな利益も集まるからです。
 そして、もう一つ大切なこと。それは、本当の感謝の言葉は、顧客の期待を上回る価値が提供されたときに出るということです。
 だから、どうすれば顧客から「ありがとう」をもらえるか、顧客の期待をきちんと理解し、自分はどうすればそれを超えることができるのかという視点に立って、自分の提供するビジネスの価値を見直すことが大事だと思います。
 
 当たり前すぎるビジネスの基本が、いろんなしがらみや慣習によって、時折、視界不良になることがあります。そんな時こそ、基本に立ち戻るべきです。誰かを幸せにする対価が売上の源泉となるべきです。
 だからこそ、事あるごとに、自分に問い直してみましょう。
 ――自分のビジネスは、誰をどのように幸せにしているのだろうか、と。

 『トップ1%の人だけが実践している思考の法則』 Part 2 より 永田豊志:著 かんき出版:刊

 企業でも人でも、堕落していくのは、自分本位になって周りの状況が見えなくなったときです。
 調子のいいときほど、「周囲の助けがあってこそ、今の自分があること」を忘れてしまいます。
 足元をすくわれるのは、だいたいそういう場合です。

 ビジネスは、つねに相手目線で。
 顧客からの「感謝」の言葉には、いつも敏感でいたいですね。

あなたのビジネスに「逆転のアプローチ」を加えてみよう


 永田さんは、物事の抜本的な解決を行うときに逆転のアプローチ、業界慣習の逆を行くというアプローチは非常に効果的だと述べています。

 まずは、現在の業界慣習や仕事の流れを思い起こしてください。そして、ビジネスモデルを描いて、その逆が成立しないかを考えてみてください。
 たとえば、営業の手間が大変なら、顧客にこちらから出向くのではなく、来てもらうことはできないでしょうか(アクションの逆転)? 多くのオンラインビジネスでは、営業店や営業マンを持たずに、サイトを検索エンジンに最適化することで、顧客のほうから「問い合わせ」をもらってビジネスを行っています。
 また、営業時間を昼夜逆転してみるというのはどうでしょうか(時間軸の逆転)? シンガポールのナイトサファリは、営業時間が夜7時から深夜0時までとなっています。このナイトサファリ、世界初の夜行性動物のための動物園として、1994年に設立されました。園内には約130種類、1000頭を超える夜行性の動物たちがいます。昼間の動物園では、猛獣もぼーっとしているものですが、ここでは夜行性ならではの生き生きとした生態が見られるとあって大人気です。
 店舗販売であれば、品揃えを増やすのではなく、最小限の品目数に絞れないでしょうか(量の逆転)? 一般的には品揃えは多いほうが顧客満足度は高いと信じられていますが、人間は選択肢が多すぎると逆に何も購入しないという傾向があるといいます。そのため、一部の百貨店やディスカウントストアでは、あえて「オススメ商品ですよ」ということをアピールして、一品を大量展示して販売に結びつけているところもあります。
 IT業界では、複製コスト、提供コストが安く済むために、成果に応じて成功報酬が課金されるモデルが普及しています。これも、「納品時に支払う」という常識に対する逆転発想の一つです。

 『トップ1%の人だけが実践している思考の法則』 Part 2 より 永田豊志:著 かんき出版:刊

 その業界に長くいる人ほど、業界独自の慣習に慣れ、固定観念にとらわれてしまいがちです。

 何か問題が起きたとき、それを逆手に取るような「逆転のアプローチ」をする。
 そのような発想をつねに頭の中に用意しておきたいですね。

「機会費用」とは、最善の選択をしなかったために失った利益


 ヤマト運輸の元社長、小倉昌男氏は、「顧客の配達時間指定」を導入します。

 一見無駄なコストが増えるように思えるこのシステム。
 周囲の雑音を押し切って導入した狙いは、「見えないコスト」の削減です。

「見えないコスト」とは、配達員が呼び鈴を押しても留守で誰も出てこないことによって生まれる時間的なロスのこと。
 これを、「機会費用(Opportunity Cost)」と呼びます。

「機会費用」とは、その名のとおりコストの概念です。ある行動を選択した場合に、最善の決定をしなかったために、逃してしまった利益のことです。そのため費用ではなく「機会損失」とも言い換えられます。「機会費用/機会損失」は請求書で支払うような普通の経費とは違い、直接、目に見えて現金が出ていくわけではないので「見えないコスト」と呼ばれるわけです。
 しかし、こうしたコストは意識しなければ、なかなか頭に浮かんでこないもの。世の中には、こうした見えないコストが山ほど眠っています。モノやサービスを取引するときのコストは実感できても、いったん現金を払ってしまうと、「その中身がどうであれ支出は同じ」という先入観が生まれてしまうからです。
 実際、ヤマト運輸でも一見コスト高に思える時間指定サービスを提供することでトータルでは、配達の生産性を高めることになりました。
(中略)
 ある問題を議論するときに、その直接的な利益やコストだけを見るのではなく、全体のパフォーマンスに視野を広げることが重要です。そしてどこまでの範囲で成果を見るか、というのはその人のビジネス視野の広さを示すバロメーターになるでしょう。
 『トップ1%の人だけが実践している思考の法則』 Part 2 より 永田豊志:著 かんき出版:刊

 非効率な部分や無駄な部分というのは、数字として表れないので、気づきにくいものです。

 普段の仕事でも、「この作業は無駄だな。他に何かいいアイデアがないかな?」という視点を持つことは大事です。
 そのためには自分の業務だけではなく、組織全体を見渡せる広い視野が必要になります。

 機会損失を減らすには、「全体として、利益を上げるにはどうしたらいいか」という視点から問題をとらえることがポイントですね。

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 止まるところを知らないグローバリゼーションやテクノロジーの目覚ましい発展。
 世の中が変化していくスピードは、日増しに速くなっています。
 ビジネスの世界など、その最たるものでしょう。

 そのような過酷な環境では、絶えまない小さな実験を繰りかえし、他を圧倒するスピードで軌道修正することが生き残る技術です。
 企業としてはもちろん、一個人としても、それは当てはまります。

 生き残るために最も必要なのは、「自らイノベーションを生み出す力」を身につけること。
 どこでもどんな状況でも通用するビジネスパーソンを目指したいですね。


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