【書評】『腸をダメにする習慣、鍛える習慣』(藤田紘一郎)

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 お薦めの本の紹介です。
 藤田紘一郎先生の『腸をダメにする習慣、鍛える習慣 ~腸内細菌を育てて免疫力を上げる30の方法~』です。

 藤田紘一郎(ふじた・こういちろう)先生は、寄生虫学、感染免疫学などがご専門の医学博士です。

健康の鍵は「腸内細菌」にあり!


 私たちが健康のために最も気を使うべき相手は、「腸内細菌」である。
 そのことが、近年の研究により、明らかになってきています。
 
 腸内細菌には、病原菌を排除し、食物を消化し、ビタミンを合成する働きがあります。
 また、人が幸福感を覚えるとき、脳内は、ドーパミンやセロトニンなどの「幸せ物質」が分泌されますが、腸内細菌には、それらの前駆物質を合成し、脳に送る働きもあります。

 藤田先生は、病気になる、ならないの分かれ道は、腸内細菌の数と腸内バランスがいかに整っているかにあると指摘します。

 本書は、健康の鍵を握る「腸内細菌」を喜ばせ、腸を元気にする具体的な方法をまとめた一冊です。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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「よく噛んで食べること」が腸内細菌を助ける


 腸内細菌の活動を阻害する、大きな要因のひとつは、「活性酸素」です。
 活性酸素の毒性は非常に強いもので、腸内細菌の数を減らして、免疫力が落ち、命にかかわる病気を起こしやすくなります。

 病気を避け、老化のスピードを遅らせる。
 そのための一番の方法は、「よく噛んで食べること」です。

 唾液には、活性酸素の害を抑え、消去する抗酸化作用のある酵素が含まれています。具体的には、カタラーゼ(CAT)やスーパーオキシダーゼ(SOD)、ペルオキシダーゼ(POD)などの酵素が、消化や酵素とともに含まれていて、発ガン物質の毒出し作用があるものもあります。
 これらの酵素は、唾液の中にたくさん含まれています。唾液は、噛めば噛むほど分泌量が増えるので、体の抗酸化力を高めるには、唾液をたくさん出しながら食べることが重要です。噛むことで活性酸素を消去するには約30秒間かかりますから、1回1秒、ゆっくりと計30回噛むことが必要です。この食べ方が病気を防ぎ、老化を遅らせるのです。

 『腸をダメにする習慣、鍛える習慣』 第1章 より 藤田紘一郎:著 ワニブックス:刊

「よく噛んで食べること」は、健康に様々なメリットがあると言われていますが、腸内細菌の活性化にも効果は大なんですね。

 意識すれば誰でもお金をかけずにできる健康法です。
 ぜひ、実践したいですね。

腸内細菌を喜ばせるためには死んだ善玉菌でもよい


 食事から生きた善玉菌をたくさん摂り入れても、すべての菌が腸に届くわけではありません。
 胃で死んでしまった善玉菌たちは無駄死にかといえば、そうではなく、腸の働きに貢献してくれます。

 生きた善玉菌を摂り入れる食べものを、「プロバイオティクス」と呼びます。
 また、善玉菌の餌となり、その働きを助ける食べものを、「プレバイオティクス」と呼びます。

 そして、これらを同時に行うことを、「シンバイオティクス」と呼びます。

 シンバイオティクスは、近年、医学界でもさかんに注目を浴びています。

 シンバイオティクスを実践すると、腸内で善玉菌が増えます。善玉菌が腸内で増えると良いことがたくさんあります。善玉菌の代表は、ビフィズス菌をはじめとする乳酸菌群です。乳酸菌群には、腸内を酸性に保つ働きがあります。多くの病原菌は、酸性の場所では生きていられません。乳酸菌群は、腸内を酸性に保つことで、外から入っていくる悪い菌の攻撃を防いでくれているのです。
 また、腸は人体で最大の免疫組織です。腸には、約70パーセントの免疫細胞が集まり、体全体の免疫システムを支えています。この免疫システムを活性化させているのが腸内細菌です。とくに善玉菌の乳酸菌群が腸内で増えると、免疫力が増強されます。乳酸菌群の細胞壁には強力な免疫増強因子があって、腸管にいる免疫細胞を刺激し、働きを活性化させることがわかっています。
 シンバイオティクスが注目されるのは、善玉菌が増えると免疫力が高まり、病気をしにくくなる効果が高いからです。また、免疫力が強化されれば、近年、患者数を伸ばしているアレルギーの改善にも高い効果が期待できます。

 『腸をダメにする習慣、鍛える習慣』 第2章 より 藤田紘一郎:著 ワニブックス:刊

 藤田先生は、毎日の食卓でシンバイオティクスを実践することを勧めています。
 ポイントは、「善玉菌と腸内細菌の餌を一緒に摂ること」です。

 藤田先生は、プロバイオティクスの食品として味噌や納豆を、プレバイオティクスに良い食品としてヨーグルトなどを挙げています。
 普段の食事に上手に取り入れていきたいですね。

石鹸で手洗いすると、風邪をひきやすくなる


 藤田先生は、風邪予防に効果的な方法は「手洗い・うがいを熱心にしないこと」だと述べています。

 日常的に、石鹸を使って手洗いをしたり、うがい薬を入れてうがいをしたりすると、かえって風邪をひきやすくなるとのこと。

 腸内に腸内細菌がいるように、皮膚には、「皮膚常在菌」と呼ばれる菌が存在します。

 これらの菌は、私たちの免疫力を高め、体を守ってくれる大事な“同志”です。
 石鹸を使って手を洗うことは、皮膚常在菌のほとんどを洗い流す効果があります。

 皮膚常在菌たちは、皮膚の脂肪を食べて生きています。菌が脂肪を食べると、皮膚に脂肪酸の膜がつくられ、皮膚が弱酸性に保たれます。この弱酸性のバリアが、病原菌が皮膚で繁殖するのを守ってくれているのです。
 ですが、石鹸で皮膚を1回洗うと、皮膚常在菌の90パーセントが洗い流されてしまいます。ただ、菌が10パーセント残っていれば、その菌たちががんばって増殖します。しかしものと状態に戻るまで12時間かかります。ですから、1日2回は石鹸を使ってもよいのですが、それ以上はいけないのです。
 薬用石鹸はおすすめできません。まさにテレビコマーシャルでやっているように、皮膚常在菌を皆殺しにしてしまうからです。こうなっては、12時間ではもとに戻りません。
 石鹸の使い過ぎで、手から皮膚常在菌が極端に減ってしまうとどうなるでしょうか。皮膚常在菌が脂肪酸の皮膚膜をつくらなくなって、角質層にすき間ができ、皮膚がカサカサになります。角質層とは、皮膚の最も外側にあって外敵の侵入を防ぐ硬い層で、皮膚のカサカサは、外敵を防ぐための角質層のブロックが崩れていることを表しているのです。

 『腸をダメにする習慣、鍛える習慣』 第3章 より 藤田紘一郎:著 ワニブックス:刊

 カサカサの皮膚は、皮膚常在菌も、皮脂膜のバリアも弱まっている状態。

 風邪予防のために石鹸で手を洗うことが、逆に、風邪の原因となるウィルスを呼び込む。
 なんとも皮肉なことです。

自分を殺した生き方は、腸内細菌を弱めてしまう


 腸内細菌にとっての最大の敵は、「ストレス」です。
 藤田先生は、ストレスに左右されやすい腸内環境を守り、免疫力を高める「心」の在り方の重要性を指摘します。

 集団行動を好み、みんながみんな同じ方向を向いて進む日本人。
 藤田先生は、それを「鰯(いわし)の群れ」に例えます。

 日本人は「群れなければ損する」と脳で思ったまま行動してしまいます。腹の中でそれが「間違っている」とうすうす感じたとしても、大きな流れに抗うことをしません。しかし、大きな流れに自分を合わせるのはストレスの溜まることです。自分の「あるがまま」を押し殺す生き方だからです。それは結局のところ、腸内細菌や免疫細胞の力を弱め、病気になりやすい体をつくることになります。もうそろそろ、日本人はイワシ化した生き方は身のためにならないと脳の回路を切り替えるべきでしょう。
(中略)
 タブーにばかり挑戦する研究姿勢により、私は医学関係者からバッシングばかりされています。医学部での倫理委員会の査問委員会では、被告席に何度座ったかわかりません。それでも私は、これからもタブーに挑み続けるでしょう。それが私の「あるがまま」だからです。「あるがまま」に生きていると、人生が輝き、自分に宿るいろいろな可能性が見えてきます。その心が、免疫力を高め、腸内細菌を元気にしてくれるのです。
 人生はあるがままに生きているからこそ楽しいのです。

 『腸をダメにする習慣、鍛える習慣』 第3章 より 藤田紘一郎:著 ワニブックス:刊

 過度の「ストレス」は、精神衛生上よくありません。
 また、腸内環境にもダメージを与えます。

 まさに、「百害あって一利なし」ですね。

 最もストレスを感じない生き方とは、結局のところ、「あるがままに生きる」ことです。

 医療調査で訪れるインドネシアのカリマンタン(ボルネオ)島。
 藤田先生は、そこで長期に渡って現地の人の野性的な生活に触れます。

 そして、「あるがままに生きる」ことは、他人の「あるがまま」を受け入れることであることに気づきました。

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☆    ★    ☆    ★    ☆    ★    ☆

 人は、口からものを取り入れ、腸で消化吸収します。
 そして、大腸で便をつくり、排泄することで生命を維持しています。

 それは太古の昔から変わらない、人間の基本的な営み。
 実際、免疫機能など体のしくみは、1万年前から何も変わっていません。

 当時は肉や魚介、木の実や草の根っこなどを、まともに洗っていなかったでしょう。
 生もしくは、多少火に掛けただけで食べていたはずです。

 食品添加物にまみれ、無菌の加工食品や抗生物質、抗菌グッズが大量にあふれている現代の生活。
 はたして、それは、本当に恵まれていることなのか、と考えさせられます。

 健康に欠かせない腸内細菌を増やし、腸内環境を整えるためには、何を変えるべきか。
 ひとりひとりが、真剣に考えなければいけませんね。


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