【書評】『脳が冴える最高の習慣術』(マイク・ダウ)

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 お薦めの本の紹介です。
 マイク・ダウさんの『脳が冴える最高の習慣術~3週間で集中力と記憶力を取り戻す』です。

 マイク・ダウ(Mike Dow)さんは、心理療法のセラピスト、作家です。

脳に悪影響を与えるライフスタイルとは?


 うつ、不安、不眠、もの忘れ、頭の混乱、認知症。

 私たちは、しばしば様々な形で、頭の調子や気分を低下させます。

 それは、私たちが自分の脳をサポートしていないからです。

 ダウさんは、そのせいで活力や落ち着き、集中、やる気を保つのに欠かせない「脳内化学物質」を、脳が十分に作れないと指摘します。

 私たちがドーナツやアイスクリーム、ベーコン、フライドチキンをいつもたらふく食べていたら、確実に太ることになる。
 同様に、私たちが不適切な食べものを口にし、十分な睡眠をとらず、十分な運動もせず、ソーシャルメディアやテレビに過度の時間を費やし、ストレスがたまっているのに休暇はほとんど取らず、孤独に耐え、人づき合い目的意識にかけていたら、私たちの脳内化学物質のバランスは確実に悪くなる。脳内化学物質のバランスが悪いという単純な原因が、つらい結果に繋がるのだ。
 脳内化学物質のバランスが慢性的に悪くなると、必ず「認知」と「気分」の問題が起こる。つまり、頭がうまく働かなくなり、気分が落ち込むということだ。
 そうした問題が起きているときには、生活のほとんどの面が、脳にダメージを与えていると考えていい。脳が大事にされていないせいで、気分をよくする脳内化学物質「セロトニン」と「ドーパミン」を高濃度に保ち、ストレスホルモンの「コルチゾール」を低濃度に抑えることができないのだ。
 私たちは脳を大事にするどころか、「カフェイン」「砂糖」「でんぷん」「電子機器」「雑念」「不要なストレス」で脳にダメージを与え、脳内化学物質のバランスを悪くしている。さらに、抗うつ剤や睡眠補助薬を服用したり、大量のコーヒーを飲んだり、人づき合いを絶つといった一時しのぎの対策に頼っている。結局そうした行動が、問題を悪化させている。
 幸いながら、そうした行動を変え、脳の健康状態を改善することは、それほど難しくはない。この本を通じて、その方法をお伝えしよう。

『脳が冴える最高の習慣術』 第1部 第1章 より マイク・ダウ:著 坂東智子:訳 大和書房:刊

 頭に霧がかかったようになって、思考力が働かなくなる。
 ダウさんは、その状態を「ブレイン・フォグ」と呼びます。

 本書は、ブレイン・フォグを解消し、さまざまな脳の不調を改善するための方法を科学的見地からまとめた一冊です。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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「グリセミック指数」に注意せよ!


「血糖(血液中のブドウ糖)」は、脳内化学物質に大きな影響を及ぼします。

 血糖値の急上昇と急降下を繰り返すと、頭がぼんやりしたり、だるくなったり、不安やうつに見舞われるおそれが高くなります。

 血糖値を適正に保つうえで参考になるのが、「グリセミック指数(GI値)」です。

「グリセミック指数(GI値)とは、食品中の炭水化物(糖質)が血糖値をどのくらい上昇させるかを測定し、その値を食品ごとに相対的に示した数値のこと。グリセミック指数の高い食品(高GI食品)は、血糖値を大幅に上昇させ、低GI食品はそれほどでもない。
 GIが55以下の食品は「低GI食品」に分類され、その中には、豆類、種子類(クルミ、ピスタチオ、ピーナツなど)、イチゴなどが含まれる。GIが56〜69の食品は「中GI食品」に分類され、その中にはバスマティ米(インド原産の高級米)やバナナなどが含まれる。
 しかし、私たちがよく口にしているのが、GI70以上の「高GI食品」だ。精白パン、白米、パスタ、クッキー、キャンディー、ケーキなどが含まれる。全粒の小麦粉で作られたパンも、ほとんどのものが「高GI食品」に入っている。
 私たちが食べる「精製した炭水化物」が増えるにつれ、私たちの体は次々に分泌されるインスリンに反応しなくなり、細胞が血液中のブドウ糖を取り込まなくなる。こうした状態は「インスリン・レジスタンス(インスリン抵抗性)」と呼ばれている。この状態になると、血糖値が下がらなくなり、2型糖尿病を発症するおそれがある。
 2型糖尿病を発症するのは、1型糖尿病(膵臓(すいぞう)がインスリンを作れなくなったために高血糖になる)と違って、生活習慣が原因だ。今のアメリカ人がファストフードや、でき合いの軽食を多用していることを思えば、過去40年で2型糖尿病患者が3倍に増えたのも無理はない。
 さらに、高血糖は、私たちの脳の働きにも影響する。ここ10年ほどのあいだに「インスリン・レジスタンス」が、脳に悪影響を及ぼした事例を研究者たちが次々に発表している。だからこそ、アルツハイマー病が「3型糖尿病」と呼ばれるようになったのだ。
 研究者たちのあいだでは、「インスリン・レジスタンス」と「脳機能の低下」に関連性があることは、かなり前から知られていた。日本の研究者が長期的な調査をおこなったところ、糖尿病患者グループは、血糖値が正常な人のグループに比べて、15年以内のアルツハイマー病発症率が75%高く、認知症の発症率も75%高くなったという。
 また、糖尿病予備群と言える「耐糖能異常(糖尿病と診断されるほどではないが、血糖値が正常より高い状態)」の人々のグループも、血糖値が正常な人のグループに比べて、認知症の発症率が35%高かったという。
 別の研究者が、70〜78歳の2300人の女性を対象にして、記憶力と知的機能のテストを実施した。その結果、糖尿病のない女性グループの得点率は、糖尿病の女性グループの2倍を超えたそうだ。また、糖尿病を抱えた期間が長い女性ほど、得点が低かったという。

『脳が冴える最高の習慣術』 第2部 第3章 より マイク・ダウ:著 坂東智子:訳 大和書房:刊

 脳を快適なコンディションに保つ。
 そのためには、

  • 炭水化物(糖質)の摂取を抑えること。
  • 同じ糖質でも、極力、精製されていないもの、低GI食品を選ぶこと。
 糖尿病を未然に防ぐ意味でも、習慣にしたいですね。

「オメガ3脂肪酸」の割合を高める簡単な方法


 ダウさんは、脳に一番いい脂肪は、間違いなく「オメガ3脂肪酸」だと述べています。

 オメガ3脂肪酸には、いくつかの種類があります。
 その中で、健康にとくに大事なのは「DHA」「EPA」です。

 DHAは主に「認知」に関与し、EPAは主に「気分」に関与します。

 オメガ3脂肪酸の摂取量を増やすためには、「魚を食べること」です。

 ダウさんは、適切な種類のシーフードを食べること以上に、脳にいいことは、たぶんないと述べています。

 数百人の男性を10年間追跡調査したところ、魚を食べなかった男性グループは、定期的に食べていた男性グループに比べて、認知機能が低下した人の割合が4倍にのぼったという。同じ調査で、魚に含まれるDHAが、アルツハイマー病の特徴である脳のプラークを減少させることもわかった。
 あるいは、オメガ3脂肪酸をサプリメントで補給してもいいだろう。だが、それだけでは済まない。健康への最大の効果を得るには、実際の魚も定期的に食べたほうがいい。
 魚には「セレン」「亜鉛」「鉄」といった、オメガ3脂肪酸の効果を最大に高めるのに役立つコアファイターが含まれているからだ。
 また、そうした栄養素自体にも、脳を守る作用がある。たとえば、セレンは「認知」と「気分」の両方を改善し、「産後うつ」を防ぐのに役立つことがわかっている。セレンが欠乏した場合も、認知機能の低下に繋がるという。
(中略)
 しかし、魚なら何でもいいわけではない。なかにはオメガ6脂肪酸がうそみたいに多い魚もある。たとえば養殖の魚は、オメガ6脂肪酸の多いエサを与えられているため、私たちの脳が切に必要としているオメガ3の供給源にはならないこともある。
 どれほど水銀に汚染されているかということも、魚を選ぶときの判断材料になる。水銀の毒性が、記憶喪失やうつに繋がるおそれがあるからだ。成長中の脳は、水銀の影響をとくに受けやすい。母親の体内の水銀備蓄量が多いほど、生まれた子どもの認知力テストの点数が低いという調査結果もある。
 私たちは、主に魚を通じて水銀を備蓄する。それでも、魚を回避すべきではない。魚は脳に最高にいい食べものの1つなのだ。実際、母親の魚の摂取量が多く、かつ水銀備蓄量が少ないほど、生まれた子どもの認知能力が高いという調査結果もある。
 大事なのは、オメガ3脂肪酸を最も多く含み、毒素の含有量が最も少ない魚を選ぶことだ。一般的な目安を言えば、養殖ものより天然ものを選んだほうがいい。
 また、エビやホタテ貝は、サケやイワシほど大量のオメガ3脂肪酸を含むわけではないが、まずまずのオメガ3供給源になり、毒素の含有量もかなり少ない。ニジマス、カキ、ムール貝もお勧めできる。
 反対に避けたほうがいい魚は、コイ、サバ、アマダイ、そしてライトツナの缶詰やマグロのステーキなどだ。

『脳が冴える最高の習慣術』 第2部 第4章 より マイク・ダウ:著 坂東智子:訳 大和書房:刊

 魚介類、それも天然ものの油が、脳にとっては、最高のごちそうだということですね。

 ダウさんは、「脳にいい油」として挙げているのは、「オリーブオイル」です。

 食品の中で「一価不飽和脂肪酸」の最高の供給源となるとのことです。

 つい、不健康な種類のものばかり摂取してしまいがちな「油」。
 気をつけたいですね。

脳の健康と気分の安定に欠かせない「ビタミン」とは?


 ダウさんは、果物や野菜をたっぷり食べたほうがいいと述べています。

 果物や野菜には、強力な「抗炎症作用」や「抗酸化作用」があり、そうした作用が脳のダメージを抑えるからです。

 ダウさんは、脳の健康と気分の安定にとくに欠かせないビタミンとして、以下の3つを挙げています。

■葉酸
 ビタミンB群は「気分」の改善にとても役立つので、今では、うつの治療のために処方されているほどだ。だが「7日間『気分』革命」に取り組めば、処方の錠剤を飲まなくても、「葉酸」を十分に摂取できることになる。栄養強化シリアルや強化穀物にも、葉酸の合成物が含まれているが、すでに私たちの多くが炭水化物をとり過ぎている。炭水化物のとり過ぎは、ブレイン・フォグや体重増加に繋がるおそれがある。
 葉酸の摂取を増やすもっといい方法は、野菜をもっと食べること。それなら、ほとんどの人に金銭的余裕があるのではないだろうか。葉酸が血中の「DHA」の濃度を高めたという実験結果もある。葉酸には、ニューロンの新生を促し、炎症を抑える働きもあるため、うつやブレイン・フォグ、認知症、アルツハイマー病の予防にもなる。

【何を食べたらいい?】
 ホウレンソウ、芽キャベツ、ロメインレタス、アスパラガス、ブロッコリーには、大量の葉酸が含まれている。レンズ豆、インゲン豆、ササゲといったマメ科の作物も葉酸が豊富だ。

■ビタミンB12
 26歳から83歳の人々の40%は、ビタミンB12が不足していると報告されている。また、うつ病の入院患者の20%が、ビタミンB12不足に陥っているという調査結果もあり、ビタミンB12は「気分」「認知機能」「エネルギー」の維持に欠かせないと考えられている。

【何を食べたらいい?】
 オーガニック卵と魚が、ビタミンB12のすばらしい供給源になる。

■ビタミンD
 1日中屋内で過ごしている方や、工場で飼育された家畜の肉をたっぷり食べ、魚を十分に食べていない方は、たぶんビタミンD不足だ。実際、近年の調査で、アメリカの青少年と成人の75%が、頭の調子も気分も改善させる「ビタミンD」を、十分に摂取していないことがわかった。また、研究者が14もの調査データを分析したところ、血中のビタミンD濃度が低い人ほど、落ち込みの度合いが大きかったという。ビタミンDは、カルシウムの十分な吸収に欠かせないが、カルシウムの欠乏は、不安やうつを引き起こすおそれがある。

【何を食べたらいい?】
 ビタミンDを最も多く含む食品はサケで、汚染された養殖ものより、天然もののほうが、はるかに含有量が多い。ビタミンDは、果物や野菜にも含まれている。そこで「3週間プログラム」では、第1週に野菜と果物の摂取量を増やしていただくことになる。「1日7品」は、幸せを呼ぶ黄金のルールだ。これからは、これをあなたの決まりごとにしよう。また「太陽光を15〜20分ほど浴びる」ことでも、体内のビタミンDを増やすことができる。

『脳が冴える最高の習慣術』 第2部 第5章 より マイク・ダウ:著 坂東智子:訳 大和書房:刊

 野菜を中心に、自然の食材をバランスよく摂取すること。
 やはり、それが脳の健康にも一番だということですね。

 なにかと忙しい私たち現代人にはハードルが高いですが、できる限り近づける努力はしたいですね。

運動は「ハードさ」より「継続性」が大事


 ダウさんは、運動は、気分を高めるための最善の手段である可能性があり、エネルギーレベルを高めたり、不安やうつと闘ったりするのに、非常に効果があると述べています。

 実際、数多くの調査で、抗うつ剤より定期的な運動のほうが、気分や認知機能の改善に効果があったという結果が出ている。運動することで、「エンドルフィン」などの気分を高める脳内化学物質や、「脳由来神経栄養因子(BDNF)」と呼ばれる、脳内で細胞の成長を助けている物質を増やすことができるのだ。
 運動のうつ病への効果を調べるために、次のような実験がおこなわれた。うつ病患者を3つのグループに分け、1つ目のグループには、一般的な抗うつ剤「ゾロフト」を投与した。2つ目のグループには「ゾロフト」は投与せず、毎日45分の運動をしてもらった。3つ目のグループには「ゾロフト」を投与し、運動もしてもらった。4ヶ月後には、どのグループにも同じような改善が見られた。では、10ヶ月後はどうなっただろうか?
「ゾロフト」を服用していたグループでは、38%の患者にうつ病の一部の症状の再発が見られ、服用も運動もしていたグループでも、31%の患者に再発が見られたのに対し、運動をしていただけのグループでは、8%の患者にしか再発が見られなかったそうだ。
 患者たちが運動を毎日続けたというのが、この実験のミソだ。毎日続けていなかったら、これほどの効果は出なかったはずだ。とはいえ、患者たちはハードな運動は何もしていない。ジョギングをしたり、サイクリングマシンをこいだりした程度だ。この実験結果は「継続すること」が「ハードであること」に勝ることを物語っている。
 運動の効果は、気分や頭の調子の改善だけにとどまらない。運動することで、BDNFが刺激される。するとBDNFがニューロンの新生を促し、アルツハイマー病を引き起こすプラークを減らすことになるのだ。
 また、運動の効果を得るのに、たくさん動く必要もない。実験では、毎日1マイル(約1600メートル)――歩数にして、たったの2000歩––―歩いただけで、認知機能障害や認知症などの記憶障害の発症率が50%低下したという。この実験では脳画像検査もおこなわれ、1日1マイルのウォーキングを続けていた人たちは、海馬(学習の中枢)や前頭前皮質(最も高度な機能に関与する部位)などの重要な部位が、しだいに大きくなったという。
 2000人以上の男性を対象にした調査では、1日に4分の1マイルしか歩いていなかった男性グループは、認知症の発生率が、最もたくさん歩いていたグループの1.8倍にものぼったという。動くことにこれほど大きな効果があるのだから、あなたの日々の生活に基本的な「動き」をもっと組み込んでみてはどうだろう?
 それは、驚くほど簡単に実行できる。そうすれば、たちどころにあなたの見た目がさらによくなり、気分もよくなり、頭の調子も回転もさらによくなる。

『脳が冴える最高の習慣術』 第4部 第9章 より マイク・ダウ:著 坂東智子:訳 大和書房:刊

 脳内のコンディションを整える。
 そのためだけなら、ハードな運動は、まったく必要がありません。

 それよりも、「毎日続ける」ことが大切です。

 薬は、対処療法に過ぎないです。
 根本的な改善には、「運動」は欠かせません。

 最近、なんだか気分がすぐれない。

 そう感じている人は、軽い散歩やジョギングを日課にしてみるのもいいですね。

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 脳のコンディション、気分、思考力。
 それと、私たちの生活習慣。

 両者には、密接な関係がある。
 よく考えれば、当たり前のことですが、見落とされがちな事実です。

「どうにもならない」

 そうあきらめる前に、普段の生活を見直してみる。
 すると、隠れていた真の原因が見えてくるかもしれません。

 できることから、少しずつ。

 本書を片手に、脳のコンディションを整え、「最高に冴えた自分」を目指したいですね。

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