【書評】『「3か月」の使い方で人生は変わる』(佐々木大輔)

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 お薦めの本の紹介です。
 佐々木大輔さんの『「3か月」の使い方で人生は変わる Googleで学び、シェア№1クラウド会計ソフトfreeeを生み出した「3か月ルール」』です。

 佐々木大輔(ささき・だいすけ)さんは、株式会社freee(フリー)の創業者・代表取締役CEOです。

「非効率なこと」に時間や情熱を注ぐために


「やりたいことがあるけれど、なかなか時間がない」
「いつも、やらなければならないことに追われている」

 多くの人が抱えるそんな悩みに対する、佐々木さんの答え。
 それは、「本当にやりたいこと」があるのなら、「やらなければならないこと」に追われる毎日から抜け出して、まずは時間をつくってやってみるしかないということ。

 そんな考えに至った背景には、グーグルで働いた経験、そしてグーグルで働きながら仕事前と仕事後の時間を使って「クラウド会計ソフト freee」を開発し、その後、freeeという会社を起業したことがあります。

 佐々木さんは、グーグルだけでなく、世の中の流れも、ただ単にたくさん働けばよいというわけでなく、どうやってみんなで時間をうまく使って、ビジネスを成長させていくのか、という方向にシフトしていると指摘します。

「時間の使い方」は、カテゴリーでいえば、「時間術」や「タイムマネジメント」に入る。「時間術」や「タイムマネジメント」というと、できるだけ短い時間で仕事を処理するための効率化のテクニックを紹介する本をイメージするかもしれない。
 しかし、僕は「時間術」や「タイムマネジメント」は、効率化して生み出した時間で、非効率なことに時間や情熱を注ぐことがゴールだと考えている。
 本格的なAI時代に突入するこれからは、効率化できる部分はAIにどんどん置き換わっていくだろう。だからこそ、一見すると「非効率なこと」が、将来的には人間が時間を注ぐ重要な領域になっていく。
 たとえば、「企業文化」というのも、会社を立ち上げてすぐにできるようなものではない。「うちの会社って、こういう価値観を大事にするよね」というのは、会社にいるみんなが同じ時間を過ごし、考え方はもちろん、失敗や成功体験を共有しながら、時間をかけて育まれていくものだ。
 もっと身近なことで、人と人との「信頼関係」というのも、時間をかけて築いていくものである。また、本を読んだり、家族と一緒に過ごしたり、何かに感動したり、心からリラックスしたりする時間も効率化できるものではない。

 効率化して生まれた時間を「非効率なこと」に注ぐという、「時間」に対するとらえ方の変化は、実際に僕の人生にイノベーションをもたらした。僕は仕事や生活でも、時間の「長さ」よりも、その「質」や「満足度」を大事にするようになったのがそうだ。
 その結果、人から「忙しそうなのに、意外と時間があるよね」「意外と、勉強していて、余力があるよね」「どうして、そんなに時間があるんですか?」なんて言われることが多くなったのは、身近に誇れる実績かもしれない。

 僕が「クラウド会計ソフト freee」の開発にチャレンジしようと決めるにあたっては、あるエピソードに背中を押された。
 それは、かつてグーグルで働いていたインスタグラムの創業者、ケビン・シストロムの「自分はエンジニアではないけれど、プログラムをつくって創業した」という話で、「僕にもできるんじゃないか」と一歩を踏み出すきっかけになった。
 僕もそうやって一歩を踏み出したように、この本に書いた僕の1つの事例が、読んだ方の「最初の一歩」に貢献できるのなら、これほどうれしいことはない。

『「3か月」の使い方で人生は変わる』 はじめに より 佐々木大輔:著 日本実業出版社:刊

 本書は、佐々木さんがグーグルで学んだ「3か月」という期間軸にした時間術をまとめた一冊です。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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「3か月」、1つのテーマに取り組む


「何かをつかめる」
「何かが変わる」

 そういう感触を得られるのが、「3か月」という時間の単位です。

 佐々木さんは、考え方や成功体験など、人生の転機という発想で見れば、「3か月」という時間の単位で何か手ごたえを得ることは可能だと述べています。

 実際に僕自身、勉強にしろ仕事にしろ、起業の準備も、転機となるテーマに取り組んだときは、いつも「3か月」という期間がポイントになっていた。
 その原体験は小学生のときにさかのぼる。僕は最寄りの公立小学校に通っていたが、偶然その小学校は東京の台東区の中でも、とくに教育の取り組みが面白いとされていた小学校であった。
 そのため、遠くからも教育熱心な家庭の子たちが集まる学校であったから、小学5年生になったころ、放課後に遊んでくれる友達がいなくなってしまった。みな中学の受験勉強をするためだ。
 そこで、僕はお願いをして、学習塾に行かせてもらうことにした。友達と遊ぶことが目的であったから、とくに休み時間に塾のほかの生徒とトランプをすることを楽しむようになった。
 その学習塾は能力別のクラス編成であったのだが、そこで困ったことが起きた。一緒にトランプで遊んでいた仲間たちがどんどん上のクラスに上がっていってしまったのだ。
 これだと塾に行く目的が失われてしまうので、僕は非常に困った。上のクラスに上がりたいと思うものの、それまで算数も漢字も大の苦手であったし、仲間たちに追いつかなくてはいけないことは膨大にあると思え、どうしたらよいかわからなかった。そんなとき、たまたま小学校の友達から、「ある問題集がいいよ」と薦められたので、ワラにもすがる思いでとりあえずやってみることにした。
 そして、偶然にも僕はこんな目標を立てた。「3か月で、この1冊の問題集をすべて解けるようにしよう。理解できなくても、最悪、丸暗記すればいい」。
 その結果、最初のトランプ仲間に追いつくどころか、より強いトランプ仲間を求めて一番上のクラスにまで上がることができた。そして結局、難関進学校である開成中学校に合格し、入学したのだが、周りには「まさか、あの佐々木が?」とびっくりされたことは今でも覚えている。これは大きな成功体験となった。
 その後、学生時代も社会人になってからも、何度か「3か月」の集中によって自分の人生を変えたかもしれない転機が訪れ、気づけばこの「3か月」という期間を積極的に活用するようになった。

『「3か月」の使い方で人生は変わる』 第1章 より 佐々木大輔:著 日本実業出版社:刊

 3か月というのは、「じゃ、やろう」と高い関心を保ちながら楽しく取り組める期間として、長すぎず短すぎずちょうどいいです。

 1年や半年続けようと思うと、かなり大きな心理的障害を乗り越える必要があります。
 その点、3か月だと、「とりあえず、やってみよう」という気になれますね。

 短い距離を、繰り返し、全力で走る。
 そんなインターバル走を繰り返すイメージでしょうか。

「やりたい」と「できる」の重なりを見つける


 3ヶ月間で取り組むテーマは、「みんなが注目していないこと」の中から選んだほうがいいです。

 佐々木さんは、そのうえで「やりたいこと」と「自分にもできること」をセットで考えるのが大切になると述べています。

「クラウド会計ソフト freee」は、「あまりみんながやりたがらない」分野で、僕の「やりたい」と「できる」がマッチングしたからこそ、短期間で日本一のシェアを誇るものへと成長することができていると思う。
 まず、「やりたい」は、グーグルで働いた経験を通して生まれた。具体的には、中小企業のマーケティングに携わるなかで、日本の開業率の低さと、中小企業におけるテクノロジーの導入やインターネットの活用が進んでいないことを目の当たりにしたことがきっかけという話はした。この状況をどうにかしたい、という危機感と欲求が自分の中に生まれたのだ。
 それに当時、クラウドサービスは、日本ではほとんど使われていない状況だった。ただ、時代の流れとして、いずれクラウドサービスが世の中を席巻するという思いが僕にはあった。2008年にグーグルに入社したころ、すでに社内のツールのすべてがクラウドであり、その便利さを実感していたからだ。
 そういった経験が積み重なり、インターネットを活用することで、誰でも簡単に経理ができるような転換点を必ずつくれるはずだという考えが、どんどん強くなっていった。そして、社会にとっても大きな意義があるだから、それなら僕自身がそういうサービスをつくりたいとおもうようになったのだ。

 一方、「クラウド会計ソフト freee」を開発するうえでの「できる」という面は、インターン時代にプログラミングに取り組んでシステムを開発した経験や、ALBERTで非効率な経理業務の状況をたくさん目の当たりにしてきた経験がベースになっている。
 従来の経理は、領収書などの数字を手で入力して台帳へ貼り付け、人力での確認作業を繰り返し、場合によってはすでにデジタルデータになっているものをプリントアウトして、それを見ながら手で画面にもう一度入力するというものだった。エンジニアとしては一度入力したものをどう参照するか、二度繰り返していることをどう簡素化するかを考える。
 だから、この両者をテクノロジーでつなげば、僕の「やりたい」が実現すると考えるようになった。僕の中でふとした瞬間に、経験に基づいた「できる」が「やりたい」とつながったのだ。それに、わざわざリスクをとって、中小企業に向けて使い勝手のいいサービスを提供しようとする他社も不在だった。そういうニッチな状況にもチャンスを感じた。
 そうして、競争相手の少ない分野で、自分の「やりたい」と「できる」が重なり合った瞬間、「スモールビジネスの根幹を変えるサービスが必ずつくれる!」という確信が生まれた。「会計ソフト」というと地味に思うかもしれないが、それ以上にすごくセクシーなものになるという確信だった。

『「3か月」の使い方で人生は変わる』 第2章 より 佐々木大輔:著 日本実業出版社:刊

「言われたとおり、他の人と同じことをしていればいい」

 一昔前までは、そんな姿勢が普通であり、社会から一般的に求められていました。

 でも、今は違います。

 いかに、人と違うことができるか。
 個性を発揮し、自分だけの価値を提供できるか。

 それが問われている時代です。

「やりたいこと」と「自分にもできること」をセットで考える。

 つねに意識したいですね。

どんな条件より、人を動かすのは「ストーリー」


 佐々木さんの、これまでの経験から言える真実。
 それは、「資金集め」や「人集め」のうまい人は、みんな例外なくストーリーテラーだということです。

 彼らは、テーマやゴールをぽんと明快に示し、「これに取り組むと、世の中がこんなに面白く変わる」というストーリーをもっています。

 そのため、多くの人を惹きつけることができました。

 グーグルには、ビジネスとは関係なく、世の中の問題解決に特化した、社内NPOのようなチームがあった。そのチームの人たちと一緒に仕事をしたときに実感したのが、説得力の強さだ。
「これが問題だ」と彼らが主張するとき、ぐいぐいと自分の中に話が入ってきたことが今でも忘れられない。災害予測や情報の周知をよりよくするために、こんな課題があり、それはこのようにすると解決するという話であったが、その説得力のすごさに、どんどん腹に落ちてきた。僕も日本の役所との橋渡しなどをして協力したのだが、「問題解決のために、自分も何かアクションを起こす必要がある」と、聞いている人を思わずその気にさせるのだ。
 ストーリーを語るうえで、課題設定も表現も、どちらもいいからだと思う。つまり、人を惹きつける面白くて強いコンテンツをうまくつくっているわけだ。だから、そういうところにはお金を人も自然と集まった。
 今の時代は、とくに説得力のあるストーリーがないと、ビジネスはうまく回らないことが多いように思う。というのも、世界全体で見たとき、世の中はお金よりも人材のほうが貴重になっているからだ。言ってみれば、お金は余っているけれど、人が足りないのだ。たとえお金を集めることができたとしても、そこに人が集まらないとなると、そのテーマは世の中にインパクトを与えるほど大きなプロジェクトには育たない。
 それに、世の中の価値観自体も「お金より、何をするかのほうが大事」というふうに変わってきている。「このアイデアを実行すれば儲かるから、一緒にやろう」とビジネスに誘っても、それだけでは響かない人は多くなっている。
 そういう時代背景もあって、雄弁なストーリーはこれまで以上に重視される。みんなが「これに賭けてみたい」と心を動かされるのは、結局数字ではないのだ。freeeがゼロからの創業で5年で300人を超える従業員が集まる会社として成長してきたのも、会社として「スモールビジネスに携わるすべての人が創造的な活動にフォーカスできるようにする」というミッションを大切にしてきたことによる部分が大きい。

 ストーリーには、大きな世の中の流れを意識しながら、「ここに水を流せば、必ずこっちに流れていく」というように、誰もが納得できる「腹落ち感」が欠かせない。取り組むテーマが見つかって、それで誰かを巻き込んだり、誰かの力を借りる必要があるならば、次の3つのテーマをしっかり考えてみてほしい。

  • 誰に対して、何がしたいのか?
  • それを実現できたら何が起こるのか?
  • それにはどんな意味があるのか?
 「自分のやっていることは、明らかに意味がある」という強力なストーリーに、人は共感し、突き動かされる。もし、あなたが世の中にインパクトのある成果を出したいと思うなら、「これに賭けてみたい」とみんなに思わせるどんなストーリーが自分にはあるのか、一度ぜひ考えてみてほしい。

『「3か月」の使い方で人生は変わる』 第3章 より 佐々木大輔:著 日本実業出版社:刊

 フェイスブックなどのSNSが普及した現代。
 自分の考えを広めて、支持者を集めるのには、都合のいい世の中といえます。

 いかに“刺さる”言葉で語りかけることができるか。
 これからのリーダーに必要なスキルとなりますね。

見栄を張らない、遠慮しない


「3か月」という限られた期間を有効的に利用する。
 そのためには、“時間泥棒”を見つけ、それに対処する必要があります。

 佐々木さんは、「他人の目を気にすると時間が奪われる」という事実も、しっかりと認識しておく必要があると指摘します。

「他人からよく見られたい、よく思われたい」という気持ちが強すぎると、見栄を張ったり遠慮したりすることにつながっていく。それで時間や労力を余計に奪われるのは、生産的ではないし、すごくもったいないことだと思う。
(中略)
 見栄ということで言うと、その原体験は小学校の授業参観にある。そもそも形式的なことが大嫌いという性格もあるけれど、そのためだけにふだんはやらないようなところまで掃除をしたり、大人はすごく着飾ったり、授業参観という本来の目的を通り越して取り繕(つくろ)っている感じがとても嫌だった。「ふだんの授業の風景を親に見てもらうのが目的なのに、ふだんの様子を見せていないじゃん」とすごく違和感があったからだ。

 遠慮しすぎるのも、見栄を張るのと同じくらいもったいないことだと思う。たとえば、会社員時代、僕は年の離れた偉い人が得意だった。そういう人たちに、僕はいつもなんとなくかわいがられていた記憶がある。それはおそらく、あまり遠慮をしないからだ。褒めたりするわけでもなく、「もっと、こういうことをしたほうがいいんじゃないですか」というように、生意気にズケズケとものを言っていた。
 大きな会社では、年が離れていたり、大きな肩書を持っていたりする人になるほど、周りが率直な意見をなかなか言わなくなるし、若い人たちもあまり話しかけてこないので、そういう僕の態度が珍しかったのかもしれない。
 ただ、僕からすれば、本質的によかれと思っているから言っているわけで、偉い人たちにどう思われるかというのはあまり重要ではなかった。だから遠慮なく発言していたけれど、多くの人は立場を気にして何も言わない(言いにくい)かもしれない。
「何も言わない」のは「考えていないから何も言わない」のではなく、きっと「すごく考えた結果、言わない」というケースも多いのだと思う。でも、それは「(時間をかけて)すごく考えた結果、(遠慮して)結局言わない」ということだから生産的ではないし、すごくもったいないことに思える。
 それに、僕の経験上、実力のある人ほど「率直にものを言ってくれて、この人は付き合いやすい」と好感をもってくれることのほうが多い。「遠慮しない」は、むしろプラスの面が大いにあるのだ。

『「3か月」の使い方で人生は変わる』 第4章 より 佐々木大輔:著 日本実業出版社:刊

 佐々木さんは、他人の目を気にする自分を排除することで、そのために使っていた時間が減るわけだから、新たな時間が捻出できると述べています。

 思ったことをはっきり言っても、気に入られることもあります。
 逆に、いくら気をつかっても嫌われることもあります。

 それならば、自分のやりたいようにやり、言いたいように言った方が、ムダな時間が減ります。
 それに精神衛生上も好ましいですね。

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 3か月という期間を使うのに、何をテーマにすべきか。
 悩む人は、多いかもしれませんね。

 佐々木さんは、テーマを決めるとき、失敗してもいいから、自分のチャレンジが世の中に対して、何かインパクトを与える一歩にしたいと強く思うそうです。

 前例のないことを始めると、必ず失敗するリスクがついて回ります。

 失敗する恐怖を乗り越え、一歩を踏み出す。
 その勇気を出すために「世の中に与えるインパクト」は、大きな原動力となります。

 たとえ失敗しても、またチャレンジすればいい。
 自分はうまくいかなかったけど、誰かが後を継いで成し遂げてくれる。

 そう考えれば、失敗する怖さも、半減しますね。

 短期間で何かを成し遂げ、大きな自信を手にする。
 本書には、そのためのノウハウが盛りだくさんです。

 皆さんも、ぜひ、お手にとって、その効果を試してみてください。

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