【書評】『やってはいけない筋トレ』(坂詰真二)

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 お薦めの本の紹介です。
 坂詰真二先生の『やってはいけない筋トレ』です。

 坂詰真二(さかづめ・しんじ)先生(@ShinjiSakazume)は、NACA公認ストレングス&コンディショニング・スペシャリストです。
 各種アスリートへの指導、スポーツ・医療系専門学校講師を務められるなどご活躍されています。

「筋トレ」には、正しいやり方がある!


 日本でも体型維持や健康のために筋トレを習慣にする人が増えていますが、その一方で、

「どんな筋トレをすればいいのかわからない」
「筋トレを続けているのに、効果がでない」

 という悩みを抱えている人も多いです。

 坂詰先生は、筋肉の特徴やカラダの正しい知識を身につければ、筋トレに何が必要で、何をすべきかが見えてくるので、少ない労力で最大の効果が得られる「効率的な筋トレ」ができるようになると述べています。

 フォームや回数、頻度など、筋トレは正しい方法で行えば、必ず結果となって現れます。

 本書は、筋トレに関する誤解や偏見を改め、効率のよく筋肉をつける方法を解説した一冊です。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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筋肉が増える仕組みについて


 筋肉を鍛えるなら、少しキツイと感じる過負荷を筋肉に与える必要があります(過負荷の法則)
 鍛えたい部位によって刺激の大きさ、つまり重さと回数も変える必要もあります(特異性の法則)

 重りを10回持ち上げても2回は持ち上げられる程度の負荷を与え、それに抵抗しながら10回前後、動作を反復するのが最も効率的な筋トレです。

 坂詰先生は、筋肉の増えるしくみについて、以下のように説明しています。

 筋肉の細胞である筋繊維(正確には筋原線維)は、水分を除くと大部分はタンパク質でできています。筋繊維では、周囲からアミノ酸を摂り込んでタンパク質に合成して筋肉をつくる「同化」という作業と、逆にタンパク質をアミノ酸に分解する「異化」という作業が同時進行しています。
「同化」が上回れば筋肉が増え、「異化」が上回れば筋肉は減るので、筋肉を増やすには、同化の促進と異化の抑性がカギとなります。
 まず同化の観点から考えてみましょう。筋トレをすると同化を促す成長ホルモンの分泌が盛んになり、このタイミングで筋繊維の周りにアミノ酸があれば筋肉に取り込まれます。筋トレを行う2〜3時間前に、食事でタンパク質を多く含む肉や魚などの食品をしっかり摂っていれば、筋トレ実施中、筋肉周囲には消化吸収されたアミノ酸が十分にあります。
 次に異化の観点から考えてみます。血糖値は食後にピークに達し、その後徐々に低下。血糖値が下がると血糖を上げるホルモンが分泌され、体内に貯蔵している炭水化物(グリコーゲン)を分解して血中に放出し、血糖値を上げます。筋肉内のタンパク質もアミノ酸に分解されて肝臓で糖に変えられ、エネルギー源として使われてしまいます。
 筋肉にはタンパク質が必要と思われがちですが、異化を防ぐために重要なのは、じつは炭水化物です。筋トレの2〜3時間前後にしっかり食事をして炭水化物を摂っていれば、筋トレ中も血糖値は適度に保たれ、筋肉の分解が進まないからです。

 『やってはいけない筋トレ』 第1章 より 坂詰真二:著 青春出版社:刊

 筋肉を増やすためには、トレーニング前に、タンパク質だけでなく炭水化物もしっかり摂る必要があります。
 バランスのとれた食事をしっかりとって、効率的に筋肉を増やしたいですね。

筋肉をつけたいなら、脂肪も摂りなさい


「筋肉をつけるには、タンパク質をたくさん摂って、脂肪はできるだけ摂らない方がいい」

 そう思っている人は多いですが、それは間違いです。
 極端な脂肪抜きをすると健康を害し、筋肉づくりもうまくいかなくなるとのこと。

 たしかに脂肪が筋肉になるわけではないので、必要ないような気がします。しかし、極端な脂肪抜きをすると健康を害し、筋肉づくりもうまくいかなくなるのです。
 脂肪は体内で体脂肪として摂りこまれやすい栄養素ですが、体脂肪自体が1. 貯蔵エネルギー、2. 内蔵や筋肉を守る緩衝材、3. 寒さから身を守る防寒具、としてそれぞれ機能していてある程度はカラダになくてはならないものです。
 また、極端な脂肪抜きは、筋肉づくりそのものにとっても直接影響します。
 脂肪は体内でいくつかのホルモンの材料になるのですが、その中には筋肉づくりを促進する男性ホルモンがあります。脂肪が不足すると、男性ホルモンの合成が不十分になり、せっかく筋トレをしてタンパク質を摂っても、筋肉がつくられにくくなってしまうでしょう。
 摂った脂肪は単に体脂肪になるだけではなく、全身を構成する細胞膜の材料などになります。そのため極端なアブラ抜きをすると、うまく新しい細胞をつくることができなくなり、特に脂肪の占める割合の多い神経細胞が打撃を受けます。
 加えて脂肪を摂る量が減れば、食べ物の脂に溶けているビタミンA、D、E、Kなどが不足します。ビタミンAの不足は夜盲症、Dの不足は骨密度の低下、Eの不足は貧血を起こす可能性があります。

 『やってはいけない筋トレ』 第2章 より 坂詰真二:著 青春出版社:刊

 現状で体脂肪がたくさんある人(目安として体脂肪率が25%以上)は、食事から摂る脂肪の量をかなり減らしても問題ないとのこと。

 そうでない人は、あまり神経質にならない方がいいのかもしれません。
 何ごとも「過ぎたるは及ばざるが如し」ですね。

ダンベルを早く動かすほどにソンしている!


 効率的な筋トレの方法についてです。
 筋トレ中の呼吸は、ダンベルなどを用いる場合、「重りをあげる時に息を吐いて、重りを下ろす時に息を吸う」のが基本になります。

 筋トレ中の筋肉の収縮の仕方には、以下の2つがあります。

  • 重りを持ち上げる時に筋肉が短くなりながら力を発揮する「コンセントリックな収縮(短縮性収縮)」
  • 重りを下ろす時に伸びながら力を発揮する「エキセントリックな収縮(伸張性収縮)」
 強い力を出せるエキセントリックな収縮の時、つまり、重りを下ろす時にゆっくり動かした方が効果が高いです。

 筋トレ中、強い力を出せるエキセントリックな収縮をする時には余裕があり、力の弱いコンセントリックな収縮をする時の方がつらいのです。
 私たちは息を止めた時に、最も強い力を出すことができます。これを「バルサルバ効果」と呼びますが、同時に急激な血圧の上昇を招いて危険なので、筋トレ中に息を止めるのは避けるべきです。
 次に強い力が出るのは息を吐く時。力を出そうとする時に思わず掛け声を出してしまうのはこのためです。そして、最も力を出しにくい状態なのが息を吸う時です。
 こういった筋肉の収縮と呼吸の関係を掛け合わせることで、筋トレ中の呼吸が決まってきます。
 主動筋がコンセントリックな収縮をしながら重りをあげる時には、力が弱いので、息を吐くことによって力を出しやすくします。
 反対に主働筋がエキセントリックな収縮をしながら重りを下ろす時には余裕があるので、息を吸うことができます。吐きながら上げ、吸いながら下ろす、これでバランスが取れるのです。
 今度は速度と重力の関係について説明します。
 同じ重さを持ち上げる場合、ゆっくり行うより、速く行う方がラクに感じます。これは高速で行うとウエイトが加速され続けるので、勢いがつくからです。逆にゆっくり重りを上げる時には、勢いがないので重く感じます。
 これを先程の呼吸と同様、筋肉の収縮と掛け合わせることで、筋トレ中の動きの速度が決まります。
 重りを持ち上げる時は比較的弱いので、やや速く行って勢いを借ります。反対に重りを下ろす時は余裕があるので、ゆっくりと動くことができます。1〜2秒かけて上げ、下ろす時は倍の2〜4秒かけて行うと、動作中ずっと筋肉に程良い負荷をかけることができます。

 『やってはいけない筋トレ』 第3章 より 坂詰真二:著 青春出版社:刊

 重りを持ち上げる時は素早く、下ろす時にはゆっくりと。
 それが効率的な筋トレの秘訣です。

 実際に筋トレをする際には、意識しておきたいですね。

全身まんべんなく「部位別トレーニング」を行う


 坂詰先生は、特定の部分だけ選んで筋トレを行わず、「全身まんべんなく部位別トレーニングを行う」ことを勧めています。

 お腹の筋肉だけを鍛えても、お腹の脂肪は減りません。
 お尻の筋肉を鍛えても、お尻は引き締まりません。

 本書には、具体的な部位別トレーニングの仕方の解説が載っています。
 その中から、お尻と腿裏(ももうら)のエクササイズである「ヒップ・リフト」をご紹介します。

ヒップリフト①P136    ヒップリフト②P137
    図.おしりと腿裏のエクササイズ「ヒップ・リフト」
   (『やってはいけない筋トレ』 P136〜137から抜粋)

 トレーニング導入期間は、張り切りすぎてオーバーワークになりがちです。
 週に1〜2回から始めて「まだまだできる」という質と量に留めること。
 まずは、トレーニングを習慣化することを第一に考えましょう。

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 筋トレは、やればやるだけ効果の出るエクササイズです。
 坂詰先生は、最初の1〜2週間では景色は変わらないかもしれませんが、1〜2ヶ月たてば確実に山頂が見えます。カラダに変化が現れますとおっしゃっています。

 何ごとも、最初の一歩を踏み出すまでが最もエネルギーがいるものです。
 決意を新たに、正しい筋トレの知識で、健康的な細マッチョなカラダを目指したいですね。


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