【書評】『奉仕するリーダーになりなさい』(和田裕美)

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 お薦めの本の紹介です。
 和田裕美さんの『奉仕するリーダーになりなさい 世界ナンバー2セールスウーマンの奮闘』です。

 和田裕美(わだ・ひろみ)さん(@wadahiromi)は、現在、コミュニケーションやモチベーションアップのためのセミナーや講演等を中心に国内外で活躍されている方です。

これからは「サーバント・リーダー」の時代


 和田さんは、外資系の英語教材販売会社に在籍していたとき、百名の組織を抱えるマネージャーとなりました。

 自身のことを「おとなしく、力で人を引っ張ることが苦手」という和田さん。
 どうして自分がリーダーとして組織をまとめ上げることができたのかをうまく説明できる理由を探していたそうです。

 そんな中、ある本を読んで「サーバント・リーダー」という言葉に巡り会いました。

 このサーバント・リーダーという言葉。最初は「奴隷的リーダー」と直訳して、「奴隷にはなれないなあ、奴隷みたいなリーダーで、どうやって成功したんだろう?」という思い込みで読み進めていましたが、いつのまにか「まさにこれだ!」という出会いになっていたのです。
 この本でいうところの「サーバント」は「奴隷」ではありませんでした。そんな極端な意味ではなくて、
“部下を支えるためにリーダーは存在する”
 という考えのもとで成立するという言葉だったのです。
 支えるといっても、裏方とか縁の下ではないんです。見守りながら一緒に楽しむ存在になるということです。
 これで人が育ちます。そして、どんな人でもリーダーになれるのです。
 私は、これからのリーダーはまさにこれだと確信しました。

 『奉仕するリーダーになりなさい』 はじめに より 和田裕美:著 角川書店:刊

「サーバント・リーダーシップ」は米国で生まれた考え方で、「リーダーである人は、『まず相手に奉仕し、その後相手を導くものである』という実践哲学が土台にあります。

 本書は、新しい時代のリーダーの形である「サーバント・リーダー」とは何かを解説した一冊です。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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部下に慕われることの重要性

 

「なぜ組織が必要なのか」

 それを突き詰めると、「もっと大きな結果を出せるから」という答えに集約されます。

 和田さんは、「さらにもっと大きな結果を出す」ためには「一人ひとりが日々成長すること」が絶対必要になると強調します。

 人数だけ集めて強制的に労働させても、永遠に1+1=2の結果しか出ません。そこには意欲とやる気が皆無なので、各人の能力は伸びません。体力が落ちてくれば1+0=1になることだってあるでしょう。そうなれば新しい人を絶えず補充していき、結果を保っていくしかありません。でも、一人ひとりにやる気があって、それぞれが成長すれば、確実に生産性があがります。
「(1+P)+(1+P)=結果」となります。PはPotential(ポテンシャル)の頭文字です。
 このポテンシャルは自発的な感情があってこそ生まれるもので、この可能性を引き出すのが本物のリーダーの仕事です。
 駆け出しの営業マネージャーだった頃の私は思いました。
「組織はもっと大きな結果を生み出すためにある。もっと大きな結果を生み出すのに必要なのは、一人ひとりが自分から頑張りたくなる環境をつくることなんだ」と。
 文字にしてみれば、そんなの当たり前じゃないかと言われそうです。では、聞きます。
 日本中の会社で “一人ひとりが自分から頑張りたいと思える組織”が、どれくらいあるというのでしょう?
 いつも腕組みして「もっと頑張りなさい」とか「今どきの若い者は」なんて威張ってふんぞり返っているおじさんがいる会社って、とても多いと思うのです。頑張りたいと自発的に思えない環境で働く人もたくさんいるはずです。
 そういうふうに考えていったことで「組織がなぜ必要なのか? どうしたら生産性があがるのか?」という言葉がようやくわかるようになったのです。

 『奉仕するリーダーになりなさい』 第1章 より 和田裕美:著 角川書店:刊

 いつも威張って人をあごで使うような上司の下では、誰もやる気は出ません。

 前から強引に引っ張るのではなく、後ろからやさしく背中を押してあげる。
 そうすることで、一人ひとりが「前に進もう」という気持ちになれます。

 自分から頑張りたいと思える環境づくりから始める。
 成長する組織をつくる上で重要ですね。

結果を出す人は、褒めて、褒めて、持ち上げる


 人はみんな褒められたいと思っています。
 どんなにベテランになっても、褒められると嬉しいし、自信を持てるようになるものです。

 和田さんも、人間がやる気を出して、自信を持って、未来を信じられるようになるためには、しつこいほどいつも、「あなたはすごいよ」と言ってくれる人が傍(かたわ)らにいたほうがいいと述べています。

 私が営業で結果を出せたのは、いつも部下を嬉しい気持ちにしてくれる、褒め上手な上司がいたからです。
 私が結果を出すと、「おお、和田、お前は素晴らしいなぁ、俺の誇りだ」って、目に涙をためながら握手を求めてきたりするのです。それも毎回、何度もです。私は単純なので、そうやって乗せてもらえると、浮かれてしまって、いくらでも頑張れます。自分がすごいんだと思えてくると、嬉しくて舞い上がり、やる気がドバドバ〜と出まくります。
 私の上司にしても、お世辞で褒めていたわけではないのです。皆さんに対しても、嘘をついて、おべっかを使えと言いたいわけではありません。本当に素晴らしいと思ったら、そのときにはすぐに褒めてあげるべきだということです。そうしていれば、心を込めた言葉になるはずです。
「オレは照れ屋で、褒めるのが苦手だから・・・・」とか、そんなことを言ってる場合じゃありません。相手がやる気を出し、相手が幸せな気分になり、相手が成長するために、これはもう、絶対に必要なことなのです。
 褒めるのが苦手なリーダーなんて、最初からいりません。

 『奉仕するリーダーになりなさい』 第2章 より 和田裕美:著 角川書店:刊

 部下をやる気にさせるには、とにかく「褒めること」。
 褒めようと思うと、自然に「その人の長所は何か」を意識するようになります。

 自発的に人に動いてもらう必要のある「サーバント・リーダー」には、不可欠なスキルですね。

聞き上手になるための「空気の取り扱い」


 コミュニケーションを円滑にとれる「聞き上手」になるには、「“空気の取り扱い”にうまくなること」です。

 そのためには、「自分の出す空気」を相手にとって居心地の良いものにする。
 そして、「相手の出す空気」がマイナスの場合にもそれに影響されないことが重要です。

 人の空気は「外見(髪型、服装、持ち物)」「態度(座り方、歩き方など)」「匂い(たばこ、香水、体臭)」「表情(笑顔)」、そして「気配」からできています。
 とくに最後の2つ、表情と気配にはその人の心があらわれます。心が明るく、前を向いていてこそ、表情も明るく、気配も元気なものになるのです。
 だから、ノウハウだけでなく、「心」がどうあるかということも、“空気を作る素(もと)”として重要です。虚栄心が心にあれば、人を見下したような気配が出ます。悲しみが心にあれば、どんよりした曇空のような気配が漂っているはずです。
 まずは自分の空気を変えることからです。
 私は、むすっとした拒絶態勢のお客様がいると、必ず心の中で「相手は自分の敵ではない」「相手は警戒しているだけ」と言い聞かせ、とにかく笑顔でいるようにしました。
 これを言うと笑われるのですが、私は今でも、相手を見ながら心の中で「好き、好き、好き」と男女を問わずに唱えていることがあります。実際に心の中で「嫌い、嫌い、嫌い」と唱えていると、やはり空気が「嫌がっている」気配を帯びるのです。だから、本当に好きかどうかは別にして、「好き、好き、好き」と唱えていることが大切です。それで空気が明るくなって、自分の苦手意識もすうっと消えていったりしてくれます。

 『奉仕するリーダーになりなさい』 第3章 より 和田裕美:著 角川書店:刊

「空気を読む」という言葉がある通り、日本人は「空気」に敏感な人が多いです。

 いかに居心地の良い空気をつくるか。
 それも、「サーバント・リーダー」には大事なことですね。

 自分の周りの空気は、自分で変えることができるし、自分で作り出すことができます。
 どんな状況でも、誰といても、ポジティブな空気をつねに身にまとっていたいものですね。

マイナスからのスタートを気にしない


 リーダーである以上、自分がまとめる組織が結果を出せるようにしなければなりません。
 そのためには、リーダーは自分の上司に対してコミットメント(約束、誓約)する必要があります。

「結果を出しましたから◯◯してください」という受け身ではなく、「1年間、私たちは団結して◯◯を達成しますので、結果を出したあかつきには◯◯をお願いします」と積極的に掛け合っていくのです。
 そういう条件交渉をして約束を取りつけてくるのがリーダーです。そして、その約束については、「これを達成したら新社屋にうちの組織は引っ越しできるよ!」というふうに、部下を奮起させる材料にも使っていくのです。
「その意見は、私があなたの代わりに部長に言ってきてあげるね」と代弁することがリーダーの仕事であるわけではないので、そこを勘違いしてはいけません。
 国民の意見を聞いて、市民の意見を代弁して、政治家がそれを口にして、実現させるのは素晴らしいことです。実現させてこそ、評価の対象にもなるわけです。
 単に意見を伝えるだけで終わってしまってはリーダーの価値がありません。部下の意見を上司に伝わりやすいようにうまくまとめて、どうすれば意見が受け入れられるかを考えて工夫すべきなのはもちろんです。それだけではなく、その意見を通せるような組織の力を持てるようにするのがリーダーの仕事なのだと思います。
「ここをこうしたい。これが足りない。これじゃ無理、こうでないと・・・・」という要望や不満を通していって、改善できるようにするため、「会社に意見を言える組織になろう!」ということを目標にするのです。そしてチームで団結してみんなで奮起していく。そんなふうにしてリーダーは、どんな問題も材料にしてしまえばいいのです。
 リーダーは、最初は弱いチームでも気にしないでください。落ちこぼればかりでもいいのです。チームでひとつのゴールを目指すとき、実はマイナススタートのほうが感動のドラマが生まれやすいのです。そういう類(たぐ)いのドラマや映画は多いものですが、実際にそうなのです。

 『奉仕するリーダーになりなさい』 第5章 より 和田裕美:著 角川書店:刊

 チームが一丸となって取り組めるような目標を掲げること
 それも、リーダーの大切な仕事のひとつですね。

 与えられた厳しいノルマをも、組織の団結力を高めるための道具として利用する。
 そんなしたたかさも、「サーバント・リーダー」はもちあわせたいですね。

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 和田さんは、人生のテーマは「ワクワクすること」だとおっしゃっています。

 リーダーがワクワクすることで、自分にもいいことが起きて、周りにもいいことが起こる。
 その結果、生産性が上がるということ。

「ワクワク」の反対語は、「ビクビク」です。
 ビクビクしていると、失敗を恐れて、積極的に動くことができなくなってしまいます。

 リーダーシップにはいろいろあり、やり方は人それぞれです。

『どうせリーダーをやるのなら、自分も周りも「ワクワク」するようなリーダーを目指したい』

 そんな人にはぜひ、一読して頂きたい一冊です。


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