本一冊丸かじり! おいしい書評ブログ

本を読むことは、心と体に栄養を与えること。読むと元気が出る、そして役に立つ、ビタミンたっぷりの“おいしい”本をご紹介していきます。

【書評】『「ネガティブ」の手放し方 』(RYU)

お薦めの本の紹介です。
RYUさんの『人生が自然と輝きはじめる 「ネガティブ」の手放し方 心のモヤモヤを動かせば、クリアな自分が立ち上がる』です。

RYU(リュウ)さんは、心理カウンセラー、エネルギーワーカーです。

「ネガティブ感情」には、人生を変える力がある!

RYUさんは、テレビ局の報道カメラマンとして社会人の第一歩を踏み、その後、ドキュメンタリー映像作家として活動してきました。
しかし、そんな中、突然パニック症を発症し、すべての仕事を辞めざるを得なくなります。

否応なく、自分自身の心と向き合うことになったRYUさん。
「生き方を変える」方向へと導かれていきました。

生き方を変える、というのは、意識を向ける先を「外の世界」から「内の世界」へ変えていくことであり、わたしの「内なる声」を大切にする生き方へシフトするということです。

 私の経験と、多くのクライアントさんたちとのセッションにより、私は確信をしました。
それは、ネガティブ感情を抑え込み、ないものとしてコントロールするのではなく、ネガティブ感情にリスペクトを持ち、「受け入れ」「解放」することが、ネガティブ感情を手放して、心をラクにしていくための一番の近道であるということを。

私は感情の手放しに「浄化」という言葉ではなく、「解放」という言葉を使います。「浄化」は汚れたものをキレイにする意味がありますが、感情は私たちの一部でもあるので、汚れたものとは思っていないからです。
ゆえに、リスペクトを持ってかかわっています。
ポジティブであることが大事だ、と言われる現代において、ネガティブ感情に敬意を払い、大切に取り扱っていくというやり方は、おそらくあまり見たことのないアプローチ法かもしれません。
しかし、今までのポジティブ思考になるというやり方でうまくいかなかった人にとって、何かしら役に立つ本になればと思っています。

「感情解放メソッド」の一番のポイントは、「自分で解放する」ことです。
私たちは心がモヤモヤすると、つい他人に「人生の行き先」や、今の苦しさを、抜け出す「答え」を教えてほしくなりますが、フタをしてきたネガティブ感情は、他人から言葉をかけてもらうよりも、自分自身から「まなざし」「寄り添い」に癒され、ほぐされていき、その結果、「解放」につながっていくからです。

この本では、自分で感情を解放できるように、その方法を詳しく説明しているので、ぜひ実践してみてください。
自分から自分への寄り添いによって解放されたネガティブ感情は、まるでヒーローのようにあなたの味方へと変わります。
このあと詳しくお伝えしますが、ネガティブ感情は、「わたし」の人生の役に立ちたがっている存在です。
ネガティブ感情には、人生を変えていく力があります。
感情解放メソッドでは、わたしを困らせていたモヤモヤやネガティブ感情が、わたしの強力な味方になる、という真のネガティブ感情の姿に出会っていくことができます。

ここからの時代、すべてはエネルギーであることがもっと明確になっていくでしょう。
私たちは目に見える世界を生きていますが、目に見えない世界も同時に生きていることが明らかになっていく時代になると思います。
そういった意味でも、一番身近な目に見えない存在である「感情」のしくみや特徴を知って、私たちの人生に活かしていくことができたら、より私たちの可能性は拡大していくでしょう。

また、本書では心理カウンセラーとしての「わたし」を超えた、私的な体験、心の世界をたどる中で見えてきた、魂という広大なる領域、そこでのちょっと不思議な話も織り交ぜながら、お伝えしています。
「目に見える世界」「目に見えない世界」、その両方をいったりきたりしながら、人間に流れるエネルギーのしくみや、時代の流れにおける私たちの立ち位置、自分でネガティブ感情を解放していく方法、そして、「本当のわたし」を生きるためのヒントなど、今という時代の変革期を乗り越えていくポイントをお話しします。

本書とともに、あなたの今ある苦しみを解放し、あなたの心の深くへと、旅していきましょう。
まずは、深呼吸を3回して、心と体をリラックスさせてから、読み始めてみてください。
この本が、この時代を乗り越えるための、あなたの「ともだち」になることができますように。

『「ネガティブ」の手放し方』 はじめに より RYU:著 河出書房新社:刊

本書は、RYUさん自身の経験を通してえた「ネガティブ感情の取り扱い方」を具体的に解説し、心を解放して、「わたし」にとっての本当の幸せに向かっていける方法をわかりやすくまとめた一冊です。
その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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なぜ、「モヤモヤ」を溜めこむのか?

なぜ、私たちは「モヤモヤ」を溜めこむことになったのでしょうか。

RYUさんは、その主な原因のひとつに、「ポジティブ思考の肥大化」があると指摘します。

 物心がつく頃から私たちは、「泣いてはダメ」「怒ってはダメ」と、ネガティブな感情は「悪いもの」と教えられてきました。
それは自然と私たちに刷り込まれ、感情へのジャッジを生み出します。
すると、ネガティブな感情が浮上するたびに、自分への罪悪感(ざいあくかん)や嫌悪感(けんおかん)が出てきて、親に心配をかけたくない、がっかりさせたくないと、無意識にネガティブな感情にフタをしていってしまうのです。

けれど、本来の「感情」というものは、良いも悪いもなくただあふれるもの。
赤ちゃんは不快な時に泣いたり、怒ったりしますが、泣いたと思ったらすぐに笑いますよね。それは、感情にジャッジがなく、素直な反応をしているだけだからです。ネガティブな感情も、それくらい軽い存在なのです。
しかしながら、ネガティブ感情に対するイメージが良くない私たちは、ネガティブを人生からなくそうと感情を押さえ込んできました。
その結果、無意識に置いてモヤモヤを溜めこんでいったのです。

現代、ことさらモヤモヤを溜めこむことになった原因として、情報社会、特にSNSの影響は大きいでしょう。
ひと昔前までは、知り合いがどんな生活をしているのかまで、詳しくは知りませんでした。けれど今は、SNSを開けば知り合いのプライベートの様子を垣間(かいま)見られる世の中です。
そこで目にするのは、みんなの楽しそうな姿、ワクワクした投稿。
そうした投稿を見るたびに、「みんな幸せそうでいいな」「どうして私はこうなんだろう」と他人を羨(うらや)んだり、妬(ねた)んだりしてしまう自分がイヤ、というクライアントさんに数多くお会いしました。悩みがある自分を情けなく感じて、自己肯定感が下がってしまうのです。
けれど実際は、ほとんどのSNS投稿がネガティブな感情を隠してポジティブだけを見せている状況。時々「あんなに楽しそうにしていた人が、自ら命を断つなんて・・・・・」といったショッキングなニュースが流れますが、それも内面の苦しさが隠されているからなのかもしれません。
そうしたことは、じつは、今この世の中の至る所で起きている出来事。SNSでは楽しそうにしていても、本当は多くの人が悩みを抱え、ドロドロとした感情を持っています。
また、SNSにおける「いいね数」「登録者数」「不愉快な広告」「釣り」といったものでも、不快な感覚になりますよね。
不快を感じる時は、「見ない選択」をしてみましょう。
今夜寝る前、ほんの少し意識的になって、いつも習慣で見ていたSNSをあえてみないで過ごしてみるのもいいかもしれませんね。

ポジティブな感情が人生を進めてくれる、と私自身ずっと思っていました。けれど、ポジティブに偏(かたよ)ろうとすればするほど、モヤモヤが出てきました。
ちまたにある自己啓発本のほとんどが、「前向きに」「明るく」「立ち止まるな」的なメッセージを伝えてきます。
気分が乗っている時は、「そうしよう!」とワクワクする感覚をたどっていけるのですが、気分が上がらない日、調子の悪い日がくると、それはすぐにストップして、モヤモヤが立ち上がってきてしまいます。
そんな繰り返しの中、思い切って、ワクワクではなくモヤモヤに注目して、まずは「やりたくない」ことをやめていこうと、モヤモヤの声に沿っていきました。すると、人生がぐんぐんと進んでいったのです。
昔から「なぜ感情は二極なんだろう。こんなにポジティブがいいと言われる世界だったら、ポジティブしかいらないのに」と思っていたのですが、モヤモヤとした声、ネガティブな感情も、人生を導いてくれる存在だと知りほっとしました。

ネガティブ感情は私たちの人生で厄介者(やっかいもの)と思われがちですが、感情を深堀りしていくと、それはただ単に「こっちには行きたくない」「こっちはイヤ」という具合に、NOという表現でやりたくないことを伝えてくれて、人生を導こうとしてくれているのです。

私たちは思っている以上に、変化が大きく、刺激や緊張の強い「生きづらい時代」に生きていて、「どこに向かって生きたらいいのかわからない」と感じている人たちが今増えてきています。
自分からあふれる感情を時に麻痺(まひ)させ、周りの世界に合わせてきたことによって、自分が何をしたいのかわからない、好きなことがなんなのかわからない、というように、自分自身の感覚がわからなくなっているように思われます。
思ったよりも多くの人たちが、根源的な不安定さの上に生きているのかもしれません。
ハートの感覚を閉ざして生きてきた自分をついつい責めそうになりますが、私たちはそうやって自分を守って、なんとかこの時代を乗り越えてきました。
そしてここからまた、新しい領域を生きようとしています。
これからは、感情を復活させることで、わたしの心地良さ、心地悪さを知り、心の迷子状態から抜けて、より「わたしらしい」生き方にシフトしていけます。

感情は私たちの人生を導いてくれる存在とお伝えしましたが、感情はまるで「生き物」のような存在です。
感情は、感情体というエネルギーでできていて、まさに生命体そのもの。セッションにおいてクライアントさんがずっとフタをしていた感情を解放すると、感情は喜んで安心したり、時には「どうせまたすぐにわたしのこと、忘れちゃうんでしょ」と拗(す)ねてしまったりなど、子どものような姿を見せ始めます(拗ねている時は、対話を重ねることで信頼に変わっていきます)。
そんな愛くるしい感情と仲良くなるためには、感情を擬人化させて、愛称をつけることをおすすめします。
ちなみに私は、ネガティブ感情に親しみを込めて「モヤモヤくん」と呼んでいます。不思議なことに、モヤモヤくんと呼びかけると、モヤモヤくんとの距離感が縮まり、愛おしささえ感じられるようになります。

私たちは目に見える体と目に見えないエネルギーの体(エネルギーボディ)で成り立っています。
感情は、エネルギーボディで躍動(やくどう)している存在です。
エネルギーボディの健康な状態というのは、ポジティブ感情もネガティブ感情も川の流れのようによどみなく循環していることです。
しかし、昨今、私たちはネガティブな感情に対しての循環がうまくいかず、エネルギーボディにネガティブ感情のエネルギーが溜まってしまっています。
そのため、本来エネルギーボディを豊に流れている生命エネルギーの循環のさまたげになっています。
よく健康な人は血流が良いと言われますが、まさにエネルギーの流れ、エネルギー流も同じことで、よどみなく流れることがベストです。
エネルギー流のとどこおりは、心の不調や肉体そのものへの不具合、病気などにもつながり、モヤモヤの感覚が常にあるスッキリしない状態をつくってしまいます。
感情エネルギーは、体や心の健康と密接にかかわり合い、私たちの心身にも影響をもたらしています。

『「ネガティブ」の手放し方』 第1章 より RYU:著 河出書房新社:刊

図1 健康なエネルギーボディと不健康なエネルギーボディ ネガティブの手放し方 第1章
図1.健康なエネルギーボディと不健康なエネルギーボディ
(『「ネガティブ」の手放し方』 第1章 より抜粋)
 本来、感情自体には、良いも悪いもありません。
しかし、私たちは「ネガティブ感情は悪」とレッテルを貼ってしまいがちです。

ネガティブな感情を見ないふりして、心の奥底にしまいこむ。
それを繰り返すと、いつの間にか、モヤモヤを溜めこむ「モヤモヤ体質」になってしまうのですね。

感情は「ミルフィーユ」のようなもの!

私たちの中に溜まったネガティブ感情を手放す。
そのときのポイントになるのが「エネルギーを吐き出す」ことです。

 感情はエネルギーなので目に見えませんが、もし見えるとしたら、何層にも重なるミルフィーユのような感じです。
たとえば、感情を球体であらわすとすると、ネガティブな感情の場合、球体の表層部分ほど荒い振動があります。
腹の底から強い怒りを感じたり、悲しみがあふれて止まられないなど、激しい感情を抱いている時は、表層部分を通過している時です。ですので、まずはたった今あふれてくるものを感じる、これが基本となります。
怒りを出すと、次は悲しみが出てきたり、その悲しみを感じて動かすと、また怒りが出てきたりというふうに、感情を動かしていくことで、これまでフタをしてきた感情が芋(いも)づる式に出てきます。
こうして浮上する感情をひとつひとつ剥(は)がしていくと、表層部分にあった激しい感情が解放され始め、クリアな層があらわれてきます。
この層は、潜在(せんざい)意識とも、クリアな本音ともいえるもの。そこには、激しい感情の起因となった「第一次感情」があります。「たださみしかった」「ただ悲しかった」というふうに、とてもやさしい本音が出てくるのです。

恋愛するといつもふられてしまう、と悩んでいた女性クライアントさんのケースです。怒りを出すことが苦手でとまどう彼女に、「これはワークだから大丈夫」と何度も伝え、これまで溜めてきた怒りや悲しみを出し尽くすまで、腹の底からモヤモヤを出してもらいました。
そうして最後に出てきたのは、「たださみしかった」という本音。彼女は、「自分にはさみしさがある」ことに気づき、怒りが出てきた時は、相手に素直な気持ちを伝える練習をすることで、繰り返しのパターンから抜けられるようになっていきました。
セッションでは、時に激しいネガティブな感情を解放していきますが、表層部の荒い感情を抜けた先にあるのは、ごくシンプルで素直な気持ち。とても柔らかでやさしいピュアな本音なのです。

「怒り」だけは出せない。セッションをする中で、そういったクライアントさんは案外多くいます。自分を責めてしまう言葉は出てきやすいのですが、相手への「怒り」を口に出すのを躊躇(ちゅうちょ)してしまうのです。
私たちが育ってきた過程において、「怒り」は特に「いけないもの」とされてきたこともあり、怒りを出すことへの抵抗(ブロック)は強烈です。
そのため、汚い言葉を放つ自分への嫌悪感や罪悪感などから、無意識に怒りにフタをして止めてしまいます。

特に、モヤモヤ体質の人は繊細でやさしいので、相手に一瞬怒りが湧いたとしても、「やっぱり、自分が悪いのではないか」「怒ったら相手に悪い」「怒っている自分が嫌い」と、怒りを呑み込んでしまう人も多いでしょう。
このようになかなか怒りが出せない人は、まずは、怒りが湧いたら怒ってもいい、とわたしの感情を許すことです。そこにはあなたなりの「正当な理由」があるはず。怒りによって切り開く道、立ち上がる思いもあります。
とは言われても、すぐに怒りを出せるものではないかもしれませんね。
その時はまず、「苦しかったね」「なんかイヤだったよね」と自分自身に寄り添ってあげてください。
怒りでモヤモヤしたエネルギーをゆるませることから始めましょう。

一方、モヤモヤ体質でも、怒りが出て困っている人もいます。そうしたタイプの人は、わたしと怒りの感情との同一化から抜けることをおすすめします。
「わたしは怒っているんだな」とわたしの状態に気づくことで、怒りの感情とある一定の距離が生まれます。常時周りに怒りを当たり散らしたりしてしまう状況は、周りも自分も苦しいですよね。怒りを感じた時はひと呼吸置き、後からそのエネルギーをワークとして吐き出す習慣をつくってみましょう(第3章のモヤモヤ解放ワークや、124ページの方法を実践してみてください)。
また、放出後のスッキリした時に、わたしの怒りのパターン、トリガー(怒りの引き金となるもの)を知ることでも、怒りのスイッチとなりやすいパターンがわかり、怒りに無意識に翻弄される状態から抜けやすくなります。
イライラしてしまう自分につい落ち込んでしまうかもしれませんが、あまり自分を責めずに、やさしく寄り添ってあげましょう。

セッションの中でクライアントさんが怒りを出し始めると、じつは、セッションがとてもいい流れに乗って、その後現実が急速に展開していくパターンが多いのです。一番嫌っていた怒りの感情を受け入れることで、どんな自分でも大丈夫、と思えるようになり、自分との和解が起きていくからです。
自分を許せるようになることで、自分に制限をかけていた重いエネルギーが解放されて軽くなり、前向きな気持ちが湧いてきたり、人に対して許せなかったことが自然と許せるようになって家族の関係性が良くなったり、といったことが起こってきます。
怒りにまみれている時は苦しいのですが、怒りは強い「生命エネルギー」でもあります。怒りの感情を出すと波動が低くなる、と思ってしまうかもしれませんが、波動を低くしてしまうのはフタをし続けてしまう状態のほう。
表層にある強いエネルギーを解放して動かしてあげることで、情熱や智慧など、前向きな躍動感あるエネルギーとして活用できるようになります。

『「ネガティブ」の手放し方』 第2章 より RYU:著 河出書房新社:刊

図2 例 怒りの感情のしくみ ネガティブの手放し方 第2章
図2.(例)怒りの感情のしくみ
(『「ネガティブ」の手放し方』 第2章 より抜粋)
 感情は、何層にも折り重なっています。
私たちが感じることができるのは、表層部分にあるものだけです。

玉ねぎのように、表層の“皮”を剥がして、剥がして残った“芯”の部分が「第一次感情」です。

浮上してきた感情を、抑え込むのではなく、解放してあげる。
その習慣を身につけることが、モヤモヤから脱出する第一歩だということですね。

日々の「モヤモヤ」を解放する方法

RYUさんは、モヤモヤを解放するメリットは、心が軽くなること、そして「クリアな自分」に出会えることだと述べています。

日々のモヤモヤを手放す実践方法は、以下の3ステップから成り立ちます。

ステップ1・・・・・モヤモヤを吐き出す
ステップ2・・・・・本音のわたしの声を聞く
ステップ3・・・・・その声を現実に活かす

ステップ1・・・・・モヤモヤを吐き出す
ここからは、実際にモヤモヤを吐き出すワークです。

❶モヤモヤした場面を思い出す
❷その時の感情を吐き出す
❸苦しみを抱えてきた自分に寄り添う

自分でモヤモヤ解放ができるように、この手順でやり方を説明していきますので、解放する感覚を練習していきましょう。慣れてくると、モヤモヤを感じたら、道を歩きながら、トイレに入った時など、わずかな時間でも解放できるようになります。
最初は上手にできなくても大丈夫。練習をしながら、日々の心のメンテナンスとして習慣づけていきましょう。

❶モヤモヤした場面を思い出す

「なんだかモヤモヤしているな」と思ったら、その気持ちに意識を向けてみます(自分の中にあるモヤモヤがわからない人は、110ページへ、下の図3を参照)。その時浮かんできたモヤモヤを、具体的に思い出しましょう。
《例:他人から注意されたのがイヤだった、友だちから仲間外れにされているような気がする、SNSの他人の投稿になんだか気持ち悪さを感じる、あの時のあのひと言に傷ついた、など》

❷その時の感情を吐き出す

具体的なモヤモヤの原因となった場面を思い浮かべたら、あふれる感情を体に響かせ、腹の底からそのままストレートに感情を出しましょう。怒りや悲しみ、怖さなどをそのまま言葉に出したり、ノートに書きなぐったりします。
《例:「なんでわかってくれないの?」「こんな自分ヤダ!」「さみしいよ」「一人になりたくないよ」「ひどい!」など》
吐き出しを終えるタイミングは、もうこれ以上出てこなくなった時、出しすぎて疲れ切った時、休憩したくなった時。ポイントは、できるだけ出し尽くすること。出し切った感覚になることが大切です。

*「大嫌い!」「いなくなってしまえ!」といった強い言葉が出てきても、ワークなのでそのまま放出します。エネルギーを出すことが目的なので、うまく言葉にすることよりも、たとえば、「もうヤダよーー!」と、腹の底からエネルギーを乗せて、ノートを真っ黒に塗りつぶしたりするだけでも大丈夫です。

*感情を声に出したり、ノートに書いたりすることができない場合は、心の中で言葉にするだけでもエネルギーは動きます。

❸苦しみを抱えてきた自分に寄り添う

感情を出し切ったら、その傷を負って苦しみを抱えてきた自分を抱きしめ、「苦しかったね」「イヤだったね」など、寄り添う言葉がけをします。
(中略)
日々のモヤモヤを動かす習慣がついてくると、ささいなモヤモヤにも敏感になってきます。イヤだなと思うことには、わかりやすく違和感を持つようになってくるでしょう。ハートの感覚の復活です。
そうした時には、モヤモヤの声をくみとり、日常で具体的なアクションを起こして現実を動かしてみましょう。
現実創造といっても、まずは小さな「〜したくない」という思いから叶えていきましょう。私はこれを「小さな手放し」と呼んでいます。
ここからは、ステップ1(118ページ)でモヤモヤを吐き出したあと、どうやって現実創造していくのか、その方法(ステップ2、3)をお伝えします。

ステップ2・・・・・本音のわたしの声を聞く
感情を出して少しスッキリしたら、モヤモヤの声を聞き取りましょう。これがあなたの本音です。
(例:友人とランチに行く約束をしていたけど、やっぱり行きたくない)

ステップ3・・・・・その声を現実に活かす
モヤモヤの声を叶えるためのアイデアを出してみたり、直感が降りてくるのを待ってみたりします。
(例:「体調が悪いから」と言って断る)

『「ネガティブ」の手放し方』 第3章 より RYU:著 河出書房新社:刊

図3 感情の種類 ネガティブの手放し方 第3章
図3.感情の種類
(『「ネガティブ」の手放し方』 第3章 より抜粋)
 これまで感情を溜め込むことに慣れてしまっている人にとって、最初は、モヤモヤを認識すること自体が難しいかもしれません。

諦めずに、何度も繰り返して、ネガティブな感情をどんどん吐き出していきましょう。

「コアペイン」を解放してみよう!

人には、それぞれ人生を翻弄する中核となる傷があります。
RYUさんは、それを「コアペイン(核となる痛み)」と呼んでいます。

 コアペインを解放するワークは、次の手順で進めていきます。

❶過去の自分を解放する
❷過去の自分を癒す
❸インナーセルフと対話をして答えをもらう

基本は、第3章の日々のモヤモヤ解放と同じですが、大きな違いは、超本音の存在であるクリアな自分「インナーセルフ」と対話しながら、過去の自分が伝えたかったメッセージを受け取っていくところです。
この解放作業の心構えや解放する時にあるといいグッズは、112〜117ページと同じです。感情を解放したあとに、インナーセルフとの対話があるので、しっかりと記録しておきたい人は、スマートフォンなどの録音機能でこのワークを記録しておくのもいいかもしれません。

❶過去の自分を解放する

1:繰り返し起こる不快なモヤモヤに意識を向ける

ハートに手を当てて、「動かしたいモヤモヤ、ここから抜けたい感覚のあるモヤモヤってなんだろう?」と自分の深くに問いかけてみます。繰り返し起こる不快な感覚として、自分の中でひっかかっていることは何か、そこにフォーカスしてみてください。
《例:なぜかイライラする、悲しみの感覚が抜けない、何をしていても虚(むな)しさがある、嫌われたくなくて人の顔色ばかりうかがってしまう など》

2:過去の傷ついたシーンを思い出す

先ほど出てきたモヤモヤに対して、「過去に同じような感覚になったことはあるかな?」と自分に問いかけ、過去をたどっていきましょう。
場所はどこか? 誰といたのか? そこで何が起こったのか? など、その時の状況を細かくリアルに思い出します。フタをしてきた一番思い出したくない場面なので、苦しさが出て大変かもしれませんが、ワークだと思ってトライしてみましょう。
《例:小学生の時にクラスの女子に無視され、帰り道一人ぼっちだった/幼い頃から父と母の仲が悪く、いつもびくびくしながら部屋に引きこもっていた など》

3:傷ついた過去の自分になりきり、出てくる感情をひたすら吐き出す

一番イヤだった場面、触れたくなかった場面を思い出したら、その時の自分になりきって、当時、言えなかった気持ち、表現しきれなかった思い、あふれてくる言葉にエネルギーを乗せて、声に出したり、書いたりして、その感情を吐き出します。
「怖いよ」「苦しいよ」「助けて」「さみしいよ」など、大人になった自分が吐き出してあげます。今の自分を通して、パンドラの箱の中にぎゅっと溜まっていた感情を解放していきましょう。もうこれ以上感情が出てこない、出し尽くしたと感じたら、いったん終わりにします。

*コアペインはとても深い傷なので、何日かにわたって解放が起こることがあります。その間中、悶々(もんもん)としたり、怒りが湧いてきたり、悲しみがあふれてきたりしますが、フタをしてきた感情が出てきてくれているので、自分に寄り添い、そのまま出してあげましょう。

*大きなエネルギーを動かすので疲れますが、疲れた中にちょっとだけスッキリした感覚が出てきたら、いったん、出し切ったサインと受け取って、次のステップへ移ります。

*声に出して吐き出せない人は、そのイヤな場面を思い出して、自分の内側で感じるだけでも大丈夫です。

*なかなか感情が出てこない場合もあります。その時は「悲しかったね」「ここまで生きてくるの、苦しかったね」「ここにいるからね」と寄り添いの言葉をかけてハートをさすってあげましょう。

❷過去の自分を癒す

1:過去の自分にとことん寄り添う

過去の自分になりきっていたところから、今度は今の自分(ワークをしている自分)に意識を戻して、今の自分が過去の自分を抱きしめます。自分で自分をハグしてもいいですし、クッションやぬいぐるみを過去の自分だと思って抱きしめるのもいいですね。
そして、今の自分から過去の自分に、「苦しかったね」「さみしかったね」「わたしがここにいるから、大丈夫だよ」といった寄り添いの言葉をかけながら、過去の自分を光で包み、安心を与えましょう。

*過去の自分が拗ねていて、「なぜこんなに長い間、私を無視してきたの?」「どうせまた忘れちゃうんでしょ」など、心を開かないことがあります。それでもあきらめずに時間をかけて、「今まで置き去りにしてきてごめんね。そうしないと生きてこられなかったの」などと寄り添いながら、正直な対話をしていきましょう。過去の自分はあなたそのものですから、本当はあなたのことが大好きなのです。とことん寄り添いながら対話を重ねて、信頼を回復していきましょう。

2:過去の自分に当時の思いを聞く

過去の自分が解放によって癒され、過去の自分と今の自分の間に和解が起こり始めたら、過去の自分に、「あの時、本当はどうしたかった?」と、その当時表現できなかったことを言葉で伝えてもらうようにうながします。それに対して「そうできなくて本当にごめんね」など寄り添いながら、イメージの中で対話をします。

❸インナーセルフと対話をして答えをもらう

当時のことについて対話が落ち着いてきたら、過去の自分に対して、今の気持ちや今悩んでいることなど、聞いてみたいことをなんでも聞いてみましょう。
「今後、当時と同じような感情が湧いてきたら、どうしてほしい?」「今の仕事を続けていていいのかな?」「親との関係がよくなくて・・・・・。どうしたらいいのかな?」など。
表層にあった荒い感情を出したあとなので、エネルギーはクリアな状態。質問の答えを受け取っていくことで、その存在は弱さから反転し、智慧の存在、超本音の存在へと変わっていきます。これがインナーセルフです。闇と思われていたコアペインを癒すことで、過去の悲しみにくれていた自分から一転し、わたしの超本音の声を携えた智慧の存在という光の側面が出てきます。
インナーセルフは、過去の自分が表現したかったことや、今の気持ちなど超本音を伝えてくれるでしょう。自分の中にすべての答えがある。というのはこのことです。
もう質問が出てこなくなったら、「今日はありがとう」「これからも守っていてね」「またね」など言葉をかけて、さよならします。
体を少し動かしたり、さすったり、指をグーパーしながら、深い対話の世界から肉体に戻ってきてください。
深呼吸を3回して、お水を飲んで終了です(解放後の過ごし方は、122ページをご覧ください)。

*1回のワークでインナーセルフが現れることは少ないかもしれませんが、このワークを何度も繰り返し、コアペインを解放していく中で、守り人としての側面が顔を出してきます。

*スッキリした感覚があるのにインナーセルフが出てこない場合は、159ページで伝えたように、自分が心地良く感じる守り人のキャラクターをイメージしてください。

『「ネガティブ」の手放し方』 第4章 より RYU:著 河出書房新社:刊

ポジティブなものであれ、ネガティブなものであれ、すべての感情は、自分の中の自分「インナーセルフ」からのメッセージです。

とくに「コアペイン」のような、激しい感情は、気づいてもらいたくて、インナーチャイルドが大きな声を上げている状態です。

普段は心の中に閉じ込めて、見てみないふりをしても、何かの拍子に突然暴れ出します。

追い払おうとしたり、見ないふりをしてもダメです。
正面から見つめて、寄り添ってあげること。

それが「コアペイン」を解放する、唯一の方法だということです。

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RYUさんは、感情解放を「魂の出産」と呼んでいます。
その理由は、感情の解放作業、そのプロセスはまるで、生命の出産に似たようなものだからです。

ネガティブな感情など、周りを覆っていた自分以外のものを取り除く。
すると、本当の自分、つまり「インナーチャイルド」が姿を現します。
まさに、生まれ出てくる感覚に近いでしょう。

心の奥底で、気づいてほしがっている存在がいる。
すべての感情は、その存在からのメッセージです。

ネガティブな感情は、本当の自分への“扉”。
私たちも、本書を通して「ネガティブ」を手放し、魂が生まれ出てくる瞬間を体感したいですね。

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