【書評】『アイドリング脳』(井ノ口馨)
お薦めの本の紹介です。
井ノ口馨さんの『アイドリング脳 ひらめきの謎を解き明かす』です。
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井ノ口馨(いのくち・かおる)さんは、農学博士で、ご専門は分子神経科学です。
温泉で「ひらめく」理由
へとへとになるまで悩んで、考えて、考え抜いても解決策が思いつかない。
誰でも1回は、そんな問題に直面した経験はあるのではないでしょうか。
井ノ口さんは、そんなとき「温泉に行く」のだそうです。
山の中の露天風呂で、ひとりきりで、たいてい2時間ほどつかりながら、ぼんやりと思考をめぐらせ
ていると、そんなときにパッと、それまで一生懸命考えていたときには思いつかなかった解決策が「ひらめく」
ことがあると述べています。
井ノ口さんは、これを「アイドリング脳」を働かせる
と表現しています。
アイドリングとは、自動車であれば、走行していないけれどエンジンをかけている状態
を意味します。
アイドリング脳とは、睡眠中や休息中など、何かに集中していないときの脳の状態や働き、そして、潜在意識下の脳の状態や活動ののことです。人と話しているときや、スマホを見ているときは、何かに集中しているので、アイドリング脳は働いていません。ぼーっとしているときや、リラックスしているときは、アイドリング脳が働いているといえるでしょう。
(中略)
アイドリング脳の研究は、潜在意識(心理学では深層心理といいます)を研究することでもあります。従来、潜在意識の働きを研究対象にしていたのは心理学や精神分析学でしたし、潜在意識の研究の祖といえば、フロイト(1856〜1939)です。
フロイトは、心とは氷山のようなものである、と言いました。起きているときに意識的に使っている心は、水面上に浮かぶ「氷山の一角」のようなものであり、そのほか大部分の心は潜在意識として水面下に隠れているのだと言ったのです。
これまで、水面下に隠れた巨大な潜在意識を科学的に調べることは非常に難しいことでした。しかし今、僕たちはその一旦に科学的に迫ることができています。世界でも極めて数少ない、画期的な研究だと自負していす。
潜在意識は、記憶やひらめき、創造性のほか、人格や個性の形成にも深く結びついています。もっと広く見れば、人類の発展や叡智(えいち)にも関与しているでしょう。僕が高校時代から考え続けている、「人間とは何か」という哲学的な問いにも答えを見出せるかもしれません。
潜在意識の機能をほんの少しでも向上させることができれば、ひとりひとりが幸せになる、生活の質か上がると僕は信じています。そのためにもアイドリング脳の研究を、さらに進めたいのです。『アイドリング脳』 はじめに より 井ノ口馨:著 幻冬舎:刊
本書は、アイドリング脳やひらめきについて、科学的に解説した一冊です。
その中からいくつかピックアップしてご紹介します。
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記憶はニューロンによってつくられている!
井ノ口さんは、記憶のメカニズムを以下のように解説しています。
人はどのように記憶して、思い出すのでしょうか。
たとえば、普段は全く忘れていることでも、思い出そうと頑張るとつらつらとよみがえってくる瞬間があります。一方で、思い出したくないことを、何かの拍子に思い出してしまうこともあります。極端な例がPTSD(心的外傷後ストレス障害)です。災害や事故を経験した人が、人混みや乗り物など直接は関係ない状況でトラウマの記憶がよみがえってしまうような症状です。
なぜこんなことが起きるのでしょうか?
この問いには、そもそも記憶がどのようにしてつくられるかが関係しています。記憶は、アイドリング脳にも密接に関係する事柄なので、ここから僕の研究成果とからめながら、記憶のメカニズムについて紹介していきます。
記憶は、脳の中で物理的につくられていきます。その担い手は、脳の神経細胞。ここからは「ニューロン」とよびましょう。
ニューロンの仕事は、情報を伝えることです。1つのニューロンの細胞内では、電気信号によって情報が伝わっていきます。
ニューロンとニューロンのつなぎ目では、いったん電気信号は途絶えます。つなぎ目にはわずかな隙間があり、この隙間に化学物質が放たれ、反対側でキャッチされることによって、信号が伝わります。この隙間を含むニューロンのつなぎ目を「シナプス」といいます。
人間の脳全体には約1000億個のニューロンがあります。そして、互いにシナプスでつながりあって、ネットワークをつくっています。・・・・・とひとことで片付けましたが、そのネットワークは想像するのも難しいほどの複雑さを有しています。
次ページの図では、1つのニューロンが別の1つのニューロンとつながっています(下の図1を参照)。これが実際の脳では、哺乳類の場合、1つのニューロンが、数千〜数万の別のニューロンとつながっているのです。約1000億個のニューロンがそれぞれ数千〜数万の別のニューロンとネットワークを形成しています。ネットワークの様子を思い描けますか?
パソコンで言うところの頭脳はCPUという計算装置ですが、シングルタスクで情報を順番に処理していくことしかできません。しかし、脳は膨大な情報をマルチに処理できます。あなたの脳ではこの極めて複雑なネットワークが、混乱することなく高精度で機能しているわけです。人間の脳の重さは、どれくらいか知っていますか?
個人差はありますが、成人男性だと平均して、約1300〜1400グラム、成人女性だと平均して、約1200〜1300グラムといわれています。脳の重さと知能は関係ありません。
この脳の中で、いちばん大きな部分を占めるのが大脳です。
大脳は生物が進化する過程で最も遅く現れた部位であり、高度な進化を遂げた動物ほど脳における割合が大きくなるという特質があります。大脳は記憶、認知、思考、感覚の処理など複雑な働きをしています。
そして、脳の表面に広がるしわしわの部分が大脳皮質です。厚さが2〜4センチメートルほどあり、約140億個のニューロンが集中していて、思考や判断を司(つかさど)ります。何かを記憶するとき、脳では1つの記憶に対し、1つのニューロン集団が割り当てられると考えられています。これを「セル・アセンブリ仮説」といいます。セル(cell)は細胞、アセンブリ(assembly)は特定の目的のための集まりを意味します。
仮に、A〜Iの9個のニューロンがあったとしましょう。ごくごく単純化していうと、赤色を記憶するときにはこのうちのAEGが一緒に活動します。AEGが一緒に活動すること=赤色を思い出すこと、なのです。
最初に赤色を記憶したときに活動するニューロン集団は、脳の「海馬」というところにあります。記憶の中枢は、この海馬という脳の中心部に隠されています。海馬は人間の場合なら大きさは親指の先くらいで、思考や判断といった高次な機能を司る大脳皮質と比べると、圧倒的に小さな部位です。全体の形がタツノオトシゴの尾に似ているため、タツノオトシゴの別称である海馬とよばれているという説があります。海馬は、記憶を短期的にとどめておく場所で、視覚・聴覚・嗅覚・触覚の情報が統合されています。大脳皮質の内側にある海馬は大脳皮質から独立してはいません(下の図2を参照)。
人間なら6か月〜2年、マウスなら3〜4週間の間、記憶は海馬にとどめおかれます。海馬を切除すると、それぞれ直近のこの期間の記憶が思い出せなくなります。
そして、海馬の隣に位置しているのが「扁桃体」です。直径1センチメートル程度で扁桃体という名称はアーモンドの形に似ているため、アーモンドの和名の扁桃に由来しています(下の図2を参照)。
目や耳からの情報が、感覚野などを経由し処理され、統合されたイメージとして海馬に届き、そして扁桃体に送られます。扁桃体は、その情報を過去の記憶と照らし合わせて、どう感じるべきかを評価します。喜怒哀楽や快不快といった感情的な動き(情動)と扁桃体は深くかかわっています。
海馬は記憶の形成や空間認識を担当し、扁桃体は感情の処理や反応を担当します。海馬と扁桃体は密接に連携して、感情的な出来事の記憶を強化することで、重要な経験をより鮮明に覚える手助けをします。
アルツハイマー型認知症では、昔のことは覚えているのに最近のことは覚えられないという症状が見られますが、それはアルツハイマー型認知症の患者さんでは海馬が最初に萎縮(いしゅく)してしまうためだと考えられています。記憶は「陳述記憶」と「非陳述記憶」という分け方と、最近の記憶(リーセントメモリー)と遠隔記憶(リモートメモリー)という分け方があります。
まずは、「陳述記憶」と「非陳述記憶」について説明していきましょう。
「陳述記憶」とは、言葉で人に伝えられる記憶のことです。自分が体験した出来事や、他人から聞いた話、ネットで得た情報などが含まれます。陳述記憶はさらに2つに分けられます。【陳述記憶】
◯エピソード記憶:これは、いつ、どこで、何をしたor何があったかという個人的な体験に基づいた記憶です。たとえば、友達との飲み会や海外旅行の思い出などがこれにあたります。◯意味記憶:こちらは、「富山県は北陸地方」といった知識や事実に関する記憶です。エピソード記憶が個別の体験に基づくのに対し、意味記憶は広く使われる知識に関連します。
【非陳述記憶】
非陳述記憶は言葉で伝えることが難しい記憶です。動画のほうが伝わりやすい記憶といいましょうか。たとえば、箸の使い方や車の運転といったスキルなどです。陳述記憶は最初に海馬で処理され、非陳述記憶は主に小脳(脳全体の体積の10%を占めていて、運動制御を担います)で処理されます。
次に、最近の記憶と遠隔記憶という分け方もあります。最近の記憶は、半年から2年以内の新しい記憶で、海馬を使って思い出すことが必要です。一方、遠隔記憶はそれより古い記憶で、海馬を使わずに思い出せることが多いです。
では、半年〜2年後、僕たちの記憶はどこへいってしまうのでしょうか?
それは、大脳皮質です。海馬でつくられた記憶(ニューロン集団)は、大脳皮質へとコピーされることが分かっています。大脳皮質にコピーされた記憶は、何十年経っても思い出すことができます。記憶を保持するために、海馬と大脳皮質は役割分担をしているのです。海馬から大脳皮質へ記憶がコピーされれば、海馬にあった記憶は不要になります。不要になったものは消去しないと、小さなサイズの海馬はすぐにいっぱいになってしまいます。
では記憶を消す、消しゴムのような仕組みはあるのでしょうか?
実は、あるのです。僕たちの研究によって明らかになりました。海馬では、神経新生(新しいニューロンがつくられること)が起きています。記憶するときに、この神経新生が重要な働きをしているという報告が数多くありました。
この神経新生によって、古い記憶が消去されることが分かったのです。ニューロンの新生を抑えると、いつまでも海馬に記憶が残ります。逆にニューロンの新生を促すと、記憶が海馬から早く消えるのです。いずれも僕たちがマウスを使った実験で証明したことです。
人間でも同じことが起きているでしょう。ニューロンの新生によって海馬の古い記憶は消去され、新しい記憶が刻まれていくのです。再び、A〜Iの9個のニューロンを例に記憶の話を続けます。
赤色を記憶しているニューロン集団は、AEGだといいました。一方、黄色を記憶するときには、CEIが一緒に活動するとしましょう。Eのニューロンは赤色の記憶にも黄色の記憶にも関与していますが、組み合わせが異なっているので、赤色と黄色の記憶を混同することはありません。1つのニューロンは色々な記憶に対応できるのです(下の図3を参照)。
互いに似た記憶は、対応するニューロンがオーバーラップ(重複)することも分かっています。赤色と黄色の例でいえば、Eニューロンがオーバーラップしています。
オーバーラップは、時間が経ってからできる場合もあります。この例でいえば、もともと赤色を記憶したAEGニューロン集団があり、何年ものちに黄色を記憶した際にCEIニューロン集団がつくられる、といった具合です。
このように、異なるニューロン集団がオーバーラップすることで記憶は連合します。
連合している記憶は、一方が活動した際に、一緒に思い出されることがあります。オーバーラップの度合いが大きい(共有するニューロンが多い)ほど、一緒に思い出しやすいと推測できます。これが、ある事柄を思い出したときに、同時に関連する事柄を思い出す仕組みの基本的な原理です。『アイドリング脳』 第1章 より 井ノ口馨:著 幻冬舎:刊



人間の記憶は、ニューロンが新生することによって固定されます。
それらは、ニューロン同士の関わり(ニューロン集団)によって形作られます。
私たちは、記憶をニューロン集団として、大脳皮質に保管しています。
ニューロン集団が大きいほど、その記憶を構成する要素が多いため、より鮮明にはっきりと思い出すことができます。
「ひらめき」とは何か?
記憶の連合、ニューロン集団同士のつながりは、僕たちが連想や推論をするときにも働いている仕組み
です。
井ノ口さんは、無数の記憶を連合させて連想や推論をする中で、全く新しいニューロン集団群ができることがあり、それこそ新しい「知識」
ではないかと指摘します。
ひらめきとはいったいなんでしょうか?
古代中国では、馬上・枕上・厠上だとアイデアが思いつきやすいといわれていました。これを現代に置き換えると、乗り物に乗っているとき、寝ているとき、ひとりでいるときでしょう。
皆さんはどんな環境や条件が揃うときに、ひらめきやすいでしょうか?
僕がまわりに聞いてまわったところでは、満員電車に揺られているときにひらめく、という人がいました。特に夕方のラッシュ時がよいそうです。僕自身も経験していますが、海外出張のときの飛行機もひらめくにはよい場所です。聞くところによると、作家さんの中にはストーリーをひらめくために、何の用もないのにわざわざ欧米行きの飛行機に乗って帰ってくるだけの人もいるとか。20時間ほど空の上にいるのが影響しているのでしょうか。
その他では、風呂につかる、知らない場所を散歩する、ジョギングする、家で音楽を聞くなど、ひらめきやすい状況は人によって異なると思います。カフェのような少々ざわついた場所がよいという人もいるでしょう。皆さん、それぞれにひらめきやすいリラックス方法があるようなので、色々と試してみるといいかもしれません。
共通するのは、何かに集中していない、ということです。おそらく何かに集中していると、脳はアイドリングの働きを抑えてしまうのだと思います。単純な作業や運動をしていてもいいけれど、頭はぼーっとしているのがアイドリング脳を働かせるコツです。
寝ている間に夢の中で解決策をひらめく、という人もいます。歴史的快挙の例でいえば、化学者のケクレ(1829〜1896)は、夢の中でベンゼン環の構造をひらめきました。同じく夢の中で解決策を見たのが、元素周期律表を発見したメンデレーエフ(1834〜1907)です。ケクレもメンデレーエフも、それまでの間、ひたすら考え、考え抜いたことでしょう。それでも答えが分からない。しかしあるとき、正解を夢に見るわけです。
日本の理論物理学者、湯川秀樹博士(1907〜1981)の大発見にもアイドリング脳が関係しているかもしれません。湯川博士は、原子核の中で陽子と中性子を結びつけている物質を見つけようとしていました。
ある晩、布団で寝ているときに「中間子」のアイデアがひらめいたといいます。すぐに枕元のノートに書きとめました。この成果により、日本人初のノーベル賞を受賞したのです。
突然のひらめきや独創的なアイデアは言うなれば、ゼロから生み出すというより無関係な考えの思いも寄らない組み合わせ、つまり記憶の連合の産物なのです。ぼーっとリラックスしているとき、もしくは眠っているとき、脳は何をしているのでしょうか?
次ページの図は、マウスの大脳皮質前頭前野(おでこの裏にあたるところ)のニューロンの活動を、学習中と睡眠中で見比べたものです(下の図4を参照)。実験では、マウスの脳の大脳皮質のあたり(人の爪先より小さい)に、小型顕微鏡(横幅が7〜8ミリ、高さが1.5ミリ程度)のレンズを刺して、ニューロンの活動を見ます。波打つ横線の1本1本がそれぞれ1つのニューロンを表しています。
細かく見ていただく必要はありませんが、全体を眺めてみて、どうでしょう。学習中と睡眠中では、どちらがより活動的でしょうか? そうです。マウスは学習中も睡眠中も定量的に見て神経活動に変わりはなく、どちらも活動的です。
睡眠中だからといって、ニューロンは休んでいるわけではないのです。睡眠中でもニューロンはさかんに活動している一方で、記憶の中枢である海馬は睡眠中に活動が低下します。つまり脳全体が睡眠中に活発になるわけではなく、大脳皮質の一部の領域が活発になっているのです。
海馬は睡眠中に記憶を定着させる働きをしていますが、大脳皮質が行う複雑で高度な活動に比べたら単純なことをしているに過ぎません。
では、睡眠中やリラックス中に大脳皮質のニューロンは何をしているのか?
それこそが、僕たちの掲げている大きなクエスチョン(疑問点)です。リラックスしているときには、何かに集中しているときにはみられない、特異な脳の活動があることは、1990年代後半から知られています。主にPET(陽電子放射断層撮影)やfMRI(機能的磁気共鳴画像診断)によって脳の活動を調べることで分かってきたことです。
そうした、リラックス時に特有な脳活動のことを「デフォルト・モード・ネットワーク(DMN)」といいます。デフォルト・モード・ネットワークの機能や役割については研究が進められている段階で、はっきりしたことはまだ分かっていません。しかし、生きていく上で本質的に必要な働きを担っているのだろうというのが大筋の理解だと思います。人間だけではなく、ヒト以外の霊長類やネコ、げっ歯類でもデフォルト・モード・ネットワークが見られるとのことです。
僕の見立てでは、デフォルト・モード・ネットワークとアイドリング脳はかなり重なりが大きいものだと思います。ただし、それぞれまだよく分かっていないことが多いため、共通点や相違点も解明中というのが正直なところです。
アプローチの仕方は異なっています。デフォルト・モード・ネットワークは観察ベースの研究です。被験者(人間でも人間以外でも)をリラックスもしくは学習状態に置き、そのときの脳活動をPETやfMRIで観察するというものです。
一方、僕が行いたいのは、因果関係を含めた研究です。つまり、リラックスしているときに、ある部分のニューロンが活動することを確認するだけではなく、その部分のニューロンを活動させたら、新しい情報処理が行われていると実証することです。
因果関係を含めた研究ができるのは、僕が「光遺伝子」という画期的な手法を使っているからです。記憶の研究でも、アイドリング脳の研究でも、使っています。
光遺伝子とは、特定の発光を感じるニューロンを人工的につくり、そのニューロンを操作する技術のことをいいます。そのようなニューロンをつくる際にニューロンの遺伝子を改変するため、遺伝学という名がついています。どのように改変するかというと、ニューロンの遺伝子の中に、ある種の藻類の遺伝子を入れ込みます。藻類では、細胞表面にあるタンパク質が青い光を感知すると、光合成がはじまります。タンパク質がスイッチの役目を果たすわけです。このスイッチをニューロンに取り付ける、というのが光遺伝学のアイデアです。この技術を用いることによって、マウスの記憶を強制的に連合させることもできたわけです。
たとえば偽記憶をつくるときは青い光に反応してニューロンを活発にさせるタンパク質を、記憶を切り離す実験ではオレンジ色の光に反応してニューロン活動を抑えるタンパク質をという感じで、使い分けています。
自然科学の研究には、こういった革新的な技術の開発がとても大事です。解くべき謎が見つかっても、技術がないために研究を進められないケースはよくあります。光遺伝学のような新しい技術が開発されことで、研究が進展し、新しい概念が発見されていくのです。『アイドリング脳』 第2章 より 井ノ口馨:著 幻冬舎:刊

しかし、それは間違いです。
リラックスしているとき、ぼーっとしているときも、脳は忙しく働いています。
ただ、その活性化する部位やニューロンの連動の仕方が異なるということですね。
「デフォルト・モード・ネットワーク(DMN)」が働くと、大脳皮質が活性化します。
そして、そこに保管されている過去の記憶(集団ニューロン)同士が連動し、思いがけない「知識」として、意識に上ってくることがあります。
それが「ひらめき」という現象なのでしょう。
睡眠中に、脳で何が起こっている?
私たちの脳は、睡眠中でも絶え間なく働き、情報処理を続けています。
井ノ口さんは、睡眠中に脳内では過去のいろんな記憶の組み合わせを試していて、その組み合わせの中から将来有用そうなものを選別しているのではないか。それが問題解決やひらめきに貢献する新しい知識をつくっているのではないか」
という仮説を立てています。
そして、睡眠中に脳が記憶を整理し、問題への対処能力が向上する
ことを、以下のような実験から導き出しました。
実験を進めるにあたっては、疑問点を切り分けて、できるだけシンプルにする必要があります。今回の場合、僕たちはまず次のようなクエスチョンを掲げることにしました。
それは、「睡眠は推論に必要か?」です。
推論とは、すでに分かっていることから、未経験の結論を予想することです。僕たちはその中でも、特に推移的推論、平たく言えば三段論法を扱うことにしました。
三段論法とは、前提①A>B(AはBを上回る)と前提②B>C(BはCを上回る)という2つの前提を示されたときに、A>C(AはCを上回る)という結論を導き出すことです。
簡単に説明すると、次のとおりです。
前提①:アイスクリームは甘い。
前提②:バニラアイスはアイスクリームである。
結論:だから、バニラアイスは甘い。実験では、A、B、C、D、Eの5つの部屋をつくりました。それぞれ、部屋の形と床の模様、壁の模様を変えてあります。
マウスに提示されるのは、このうち2つの部屋の組み合わせです。たとえば、AとBの部屋だけを提示します。スタート地点から歩き出し、マウスは両方の部屋を探索します。そして、Aの部屋に10秒間とどまったときにだけ、砂糖の入ったエサを与えます。マウスに「Aに行けば、報酬がもらえる」ことをインプットするわけです。AとBの関係は、A>Bです。マウスはこの関係を理解し、記憶できます。
同じようにして、BとC、CとD、DとEの組み合わせでもインプットを行います。つまり「A-B」「B-C」「C-D」「D-E」の組み合わせの部屋を示して、アルファベット順が早いほうに入れば報酬を与えるというトレーニングです。
このトレーニングを14日かけて入念に行ったあと、今度はマウスが初めて見る組み合わせをテストします。それはBとDの組み合わせです。
実験には、A>B>C>D>Eという隠れたルールが存在しています。
皆さんは上の図(下の図5を参照)を見て、案外たやすくクリアできるだろうと思うかもしれませんが、実際にイメージしてみてください。どれかの部屋に滞在すると報酬をもらえるということさえ知らずに、何も情報を与えられていない状況で、広大な部屋の前に置き去りにされたと仮定して、このトレーニングかいかに難しいか。シンプルなルールで簡単に理解できるものではなく、説明も関係性も不明な状態だとすぐには理解できないトレーニングなのです。
では、この部屋の関係性をマウスは推測できるのか? というのがこの実験で問いたいことです。そのために、BとDの組み合わせをテストするわけです。ちなみにAとEの組み合わせであれば、マウスはほぼ100%正答します。Aはつねに優位な部屋であり、Eはつねに劣位な部屋なので、その関係は簡単に理解できてしまうのです。
BとDの部屋を提示した結果はどうだったのかというと、最後のトレーニングを終えて30分後の1回目のテストでは、マウスはBとDも同じくらいの時間をかけて探索し、片方の部屋にとどまることはありませんでした。つまり、B>Dという正解にたどりつけなかったのです。
しかし、その翌日に2回目のテストをすると、はっきりと正解にたどりつきました。
1回目と2回目のテストの違いは、睡眠です。1回目と2回目のテストの間に、十分な睡眠を取ったマウスは迷いなく、Bの部屋に進んでいき、エサを獲得したのです。
何十匹ものマウスで実験を行っていますが、正答率は90%以上でした。驚くべき結果だと思います。
さらに翌日に3回目、翌々日に4回目のテストをしても、結果は同じ。マウスは、B>Dという隠れたルールを完璧に推測できました。
ここから言えることは、マウスは推論ができる。ただし、推論できるようになるためにはトレーニング直後の睡眠が必要だろう、ということです。
ここまでが第一段階です。次に、睡眠がどのように推論に影響しているかを調べました。
マウスが推論で使っている脳(前帯状皮質:大脳皮質の一部)のニューロンの活動を、トレーニング後に抑制する実験を行いました。
抑制した時間は、①起きているとき、②ノンレム睡眠中、③レム睡眠中です。マウスでも人間でも、寝ているときに脳の活動を計測すると、ノンレム睡眠とレム睡眠の大きく2パターンに分かれます。
レム睡眠中(浅い眠り)は、目はつむっていますが、眼球運動が見られます。脳波の動きは激しくなります。一方、ノンレム睡眠中(深い眠り)は、眼球運動が見られず、脳波の動きは比較的ゆっくりしています。
人間の場合、ノンレム睡眠とレム睡眠が1セットとなり約90分です。これを寝ている間に何度かくり返します。レム睡眠は、必ずノンレム睡眠のあとにやってきます。マウスの場合はもっと短時間で寝たり起きたりをくり返しますが、ノンレム睡眠のあとにレム睡眠がやってくる点は人間と同じです。
レム睡眠中は眼球運動と同時に脳が活発に活動していて、その間に夢を見ています。夢を見て脳は非常に激しく活動していますが、身体の筋肉は弛緩(しかん)した状態です。脳が夢を見ているときに体が反応して動くと、無意識の状態で歩き回ることになり大変です。
①起きているとき
②ノンレム睡眠中
③レム睡眠中
これら3つの時間にマウスのニューロンの活動を抑制すると、はっきりとした結果が見られました。
起きている間にニューロンを抑制しても、推論には何の影響もありませんでした。マウスは1回目のテストでは推論できませんでしたが、2回目以降は完璧に推論ができます。
ところが、ノンレム睡眠およびレム睡眠中にニューロンの活動を抑制すると、2回目以降も推論ができなくなりました。B>Dの正解にたどりつけなかったのです。ということは、推論をするにはノンレム睡眠もレム睡眠もどちらも必要であることが分かったのです(下の図6を参照)。
最初に掲げた問い、「睡眠は推論に必要か?」に対する答えは、イエス(必要)です。さらに睡眠中の脳(前帯状皮質)の神経活動が必要であることも分かりました。睡眠中でも脳の神経細胞は活動を続けていて、起きているときの学習とは異なる情報処理を行なっていることが分かります。
では睡眠中にどのような情報処理を行なっているのかを明らかにするために、トレーニングでインプットした「A>B」「B>C」「C>D」「D>E」の4つの記憶がそれぞれどのくらい「同期」していたかを調べます。
同期というのは、異なるニューロン集団が同時に活動することです。
全部で何千通りの同期が想定されますが、マウスが起きているときは、同期活動はほとんど見られませんでした。同期活動がどーんと増えるのは、ノンレム睡眠中でした。レム睡眠中にも同期活動が見られましたが、ノンレム睡眠中の半分以下でした。
つまり同期活動は主にノンレム睡眠中に起きていたのです。同期をすることで、過去の記憶を無意識に思い出し、関連づけることができます。これは、「照合」しているともいえます。ばらばらに記憶した「A>B」と「B>C」やその他の組み合わせを同期することで無意識に関連づけているのです。
眠っているわけですから、無意識にこのようなことを行っていることになります。脳が勝手に過去の記憶を照合しているわけです。ランダムな組み合わせで、でたらめに同期をくり返すのです。
こうしてノンレム睡眠中にA>B>C>D>Eの全体のヒエラルキーを構築していると思われます。睡眠中に脳内では過去のさまざまな記憶が脳で同期活動をしていたら、とても正常な状態ではいられないでしょう。眠っている間だから、照合するためのランダムな同期活動が可能なのです。僕たちは奇妙ででたらめな夢を見ることがありますが、それはこのランダムな同期活動に由来するものかもしれません。これまでの実験で、推論にはノンレム睡眠中におけるニューロンの同期活動が必要であることが分かりました。では、この実験結果を基にして、強制的に同期活動させれば推論成績が向上するのではないかという仮説を立てました。
ところで、ノンレム睡眠中と異なり、レム睡眠中には何が起こっているのか? 推論を行うにあたって役割にどのような違いがあるのでしょうか?
ノンレム睡眠およびレム睡眠中にニューロンの活動を抑制すると、マウスはB>Dという正解にたどりつけませんでしたが、ニューロンの活動を活性化させてみたところ、ノンレム睡眠中には効果がありませんでしたが、レム睡眠中に活性化させると、推論の成績が向上したのです! つまり,マウスが賢くなったわけです。
夢がクリエイティビティに関係しているとよくいわれますが、その実態というのは、レム睡眠中にこういった神経活動をしてクリエイティブな価値を生み出しているともいえる結果です。
レム睡眠中の操作で、推論成績を上げられることが分かりましたが、BとDの部屋を選択するテストを行ったとき、マウスは歩いて部屋に向かうものの、その途中で答えを見つけているように僕たちには見えました。そこから一目散にBへ向かっているように見えるのです。
もしかしたら、歩いている途中にひらめいているのでは?! 僕たちは新たにそう考えました。
そして、マウスが歩きはじめてからBの部屋に到着するまでのニューロンの活動を詳しく調べました。マウスの頭には、ライブ映像を撮影することのできる小型顕微鏡を取り付けてあるので、どのニューロンがいつ活動するのか、つぶさに観察することができます。
その結果、衝撃的なデータが得られました。
Bの部屋に入る前に、あるニューロン集団が一斉に活動していたのです。
それは、起きてトレーニングしているときには確認されなかったニューロン集団でした。A>Bなどを記憶しているニューロン集団とは、全く別物だったのです。新たに誕生したニューロン集団が、マウスが歩いている間の一瞬に一斉に活動していました。
僕たちはこれを「推論ニューロン群」と名付けました。推論するために生まれたニューロン集団だと考えられるからです。マウスが「B>Dだ!」と推測できたその瞬間に活動したニューロン集団です。
「B>Dだ!」と推測できたその瞬間とは、どんな瞬間でしょうか。それは「ひらめき」にほかならないと僕たちは考えています。この実験は、ひらめきをもたらすニューロン集団を科学的なデータとしてとらえることに成功しました。これは世界初の成果といえます。
おそらくわれわれの脳でも、同じことが起きていることでしょう。たとえば、バス停でバスを待っているけれど、時刻どおりにバスが来ないとしましょう。このとき脳では原因を色々と考えているはずです。渋滞か? 事故か? 自分の時計が正確でないのか? などなどです。色々と考えをめぐらすうち、「今日は祝日だ!」と思いついた瞬間、「祝日は平日とダイヤが変わる」ことを推測するニューロン集団が活動することでしょう。その瞬間には、「これまで活動していなかった」ニューロン集団が一瞬、一斉に、活動するのです。
今、僕は、ひらめきをもたらすのは「これまで活動していなかったニューロン集団」だと言いました。「これまで存在していなかった」ではないのです。
推論ニューロン群は、活動していなかっただけで、存在はしていたのでしょうか? これが研究を進める中で新たに出てきたクエスチョンです。『アイドリング脳』 第3章 より 井ノ口馨:著 幻冬舎:刊


逆に、深く眠っているときほど、活発に活動している部位もあるのです。
「ひらめき」を生むはためには、良い睡眠が必要です。
睡眠時間を削って、うんうん唸っていても、何も解決しないこともあります。
そんなときは、さっさと布団に入ってしまうのが得策だということですね。
「ひらめき」を得るためにできることは?
正解は脳の中に用意されていて、あとはそれを意識に上らせるだけ。
では、どうすればその正解を意識に上らせることができるのでしょうか。
井ノ口さんは、過去の多くの人の経験および僕自身の経験から、「アイドリング脳を働かせること」がカギになる
と指摘します。
まずはこの本でもお話ししてきたように、自分に合った、ぼーっとできる方法を見つけて、意識的に実行することが挙げられます。そうすることで脳がバックグラウンドで活動を続けて、睡眠中に用意された正解が意識に上ってきやすくなります。つねに忙しくしていたり、スマホに集中していたりすると、ひらめく体験を得るのは難しいと思います。
リラックスの時間を設けて、ぼんやりと思考をめぐらすのです。睡眠中やうつらうつらしているときに、ひらめくこともあるでしょう。特に、うつらうつらしているときは、脳が意識と無意識の間を行ったり来たりするために、アイデアが出やすいのではないでしょうか。ひらめいた内容を忘れてしまわないようにする工夫があってもよいかもしれません。
もちろんそれ以前にしっかりとインプットしておくことが不可欠です。マウスの実験でもトレーニング時間が短いと、推論の正答率は上がらなかったからです。
科学者たちのように、いくら考えても行き詰まるところまで追い込むことがベースとなります。優れたアイデアを得たいと思うなら、自分の限界まで真剣にインプットしてみてください。インプットが足りない状態では、解決策にたどりつかないでしょう。
ひらめきが浮かぶ、正解にたどりつく確率を高める方法としておすすめなのは、眠る直前に、懸案のテーマについて思いをめぐらせることです。これは僕が普段から実際に行っていることです。長く考え過ぎてしまうと逆に眠れなくなるので、1分だけでよいのです。1分間だけ、未解決のことに思いをめぐらせて、眠ります。こうすることで、翌朝目が覚めたときに良いアイデアを思いつく確率が上がるような気がします。
これは数学者でAI研究者のダヴィッド・べシス氏も著書の中で言っていて、皆さんの中にも実践している方がいるかもしれません。関心のあるテーマについて“熟考する”のではなく、そのテーマにただ“浸る”術を身につけたのだ。この2つは微妙に、しかし本質的に異なる行為だ。熟考するときはつまり解決方法を見つけようとすることだ。絶対にうまくいかないうえ、寝つけなくなる。一方で浸るとは、集中せず、本気で関心を寄せず、目的もなく思いをめぐらすことである。夢を見るのとほとんど変わらない。
間違っているかもしれないが、この入眠テクニックは翌朝目が覚めたときによいアイデアを思い付いている確率を高めると私は思っている。
(『こころを旅する数学』晶文社)また、ノンレム睡眠・レム睡眠を含む十分な睡眠時間が重要なことはもちろんなのですが、これまで多くの実験を行ってきた感触から、「寝入りばな」も重要そうだと考えています。マウスの実験結果から推測すると、人間だと最初の1〜2時間が寝入りばなにあたると思います。僕は、布団をかぶった記憶もないくらい、すとんと眠りに落ちるタイプなのですが、寝入りばなにしっかりと眠っていることは、アイドリング脳にとって良いことだろうと信じています。
何時間眠ればよいかは、人それぞれでしょう。いわゆるショートスリーパーとよばれる、短時間の睡眠でも問題ないタイプの人は、長く眠るよう努力する必要はアイドリング脳に関してはないと思います。ただし、寝不足は、アイドリング脳に限らず何においても良いことは1つもありません。自分に合った適切な睡眠時間を確保されることをおすすめします。
ポイントは、「アイドリング脳に頑張ってもらうこと」です。40億年の進化の歴史の中で選ばれた部品が使われているアイドリング脳が、十分に力を発揮できる環境をつくってあげることなのです。そうすれば、日常の些細な悩み事やちょっとした解決法、あるいはちょっとしたアイデアなんかを捻出するのにも使えますし、もしかしたら、誰も思いつかなかったような画期的な考えをも、アイドリング脳は思いついてくれるかもしれません。もう1つ、アイドリング脳の活用法を紹介しましょう。取り掛かるべきタスクがあるのに、なぜか別の作業をしてしまうことはありませんか? 提出期限が迫った仕事があるのにデスクの整理をしてみたり、試験勉強をしなくちゃいけないのにスマホを見続けたり・・・・・。
無駄なことで時間を使ったと後悔するかもしれませんが、もしかしたら、無意識にアイドリング脳を働かせているのかもしれません。
実は、僕も無意識に同じようなことをしていました。でも、これが有効なことに気づき、今は、あえて1日の中に取り入れています。実行するのは、難しい仕事に取り組むときです。一筋縄ではいかない仕事だと分かったら、朝少しだけインプットしたり、少しだけ取り掛かったりして、放ったらかしにしておくのです。インプットの時間は10分か20分か、その程度です。そして別の簡単な仕事に取り掛かります。この間に潜在意識下で脳に難しい仕事を考えてもらうわけです。
午後なり夕方なりになって、いざその難しい仕事に取り組むと、道筋がパッと見えて案外すんなりと片付いてしまうことがよくあります。もし仮に朝からずっと取り組んでいたら、時間ばかり過ぎていって途方に暮れたでしょう。潜在意識下でアイドリング脳を働かせれば、非常に効率よく難しい仕事を片付けられるのです。難しい課題は朝イチでやれ、最優先で取り組めと言う向きもあるようですが、必ずしもそれが是でもないと経験的に感じています。
やるべきことは、簡単なインプットと、割り切って放置することだけです。眠る前に1分間思考をめぐらせるやり方と似たアイデアですが、多くの人の役に立つのではないかと思います。くり返しになりますが、僕たちの研究から、「脳は正解を知っている」ことが明らかになってきました。潜在意識下にあるため自覚はできませんが、脳の中には、これまでの経験に裏打ちされた正解があるのです。
そして、その潜在意識下の正解は、「直観」に関係していると僕は考えています。情緒や気持ち、と言ってもよいと思います。
たとえば、進路や仕事などで迷いがあるとき。どっちにしようかな、と悩んでいるとき。論理的に考えて選ぶ選択肢と、直観や気持ちで選ぶ選択肢が異なっているなら、直観に従ったほうが良いと思います。直観は、あなたが生まれてから今日まで培ってきた脳というスーパーコンピューターがはじきだした最適解なのですから。論理的に考えたことに従うと、かえっておかしなことになりかねません。下手の考え休むに似たり、です。脳を信じてよいのです。
アイドリング脳を働かせたり、直観を信じたりできるようになれば、人々は創造性豊かに、幸せになれると僕は信じています。1%でも5%でも脳の潜在能力を今より上げることができれば、色々な悩み事が解決するのではないでしょうか。悩みが減れば、幸福につながります。
僕たちの研究には、多くの税金が使われています。その研究で得た成果は、人々に還元したいと思っています。できればそれは特定の一部の人だけではなく、すべての人の幸せにつながるような還元をしたいと強く思います。そのためにもアイドリング脳の研究をさらに進めていきたいのです。『アイドリング脳』 第4章 より 井ノ口馨:著 幻冬舎:刊
考えても考えても答えが出ないとき。
それは、意識が働き過ぎて、潜在意識、つまりアイドリング脳が機能していない状態だということ。
切羽詰まっているとき、煮詰まってしまったとき。
そんなときこそ、その問題から意識をそらすことが大切です。
“熟考する”のではなく、そのテーマにただ“浸る”こと。
直観を信じ、アイドリング脳にすべてを委ねましょう。
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睡眠も含めて、休憩やリラックスする時間は、あくまで作業効率を回復するための手段。
その行為自体に、生産的な効果はない。
ちょっと前までは、そんな考え方が一般的でした。
しかし、そんな考え方は最新の脳科学では、すでに覆っています。
問題を「考えない」。
つまり、意識から問題を遠ざけること。
それが逆に、問題解決の最良の手段になります。
私たちの意識が届かない部分の意識、つまり潜在意識は、意識全体の95%とも99%を占めるともいわれます。
「アイドリング脳」は、この強力な“願望実現装置”を働かせるための鍵です。
私たちも、ぜひ、本書を片手に「ひらめき上手」を目指しましょう。
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【書評】「気持ちがふさぎこんでいるあなたへ」(並木良和) 【書評】「量子力学的に現実創造する方法」(ヴァジム・ゼランド)


