【書評】『小さな習慣』(キャロライン・L・アーノルド)

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 お薦めの本の紹介です。
 キャロライン・L・アーノルドさんの『世界のトップエリートが絶対に妥協しない 小さな習慣』です。

 キャロライン・L・アーノルド(Caroline L. Arnold)さんは、米国の大手投資銀行役員です。
「生活改善のエキスパート」として、多くの企業で講演活動をされるなど、多方面でご活躍されています。

100%成功できる「マイクロ目標」


 ダイエット、整理整頓、時間厳守、健康のための運動・・・・。

 多くの人が、さまざまな目標を立てては失敗します。
 それだけ「習慣」の力は強力だということですね。

 アーノルドさんは、目標が達成されないのは、「目標の立て方」に問題があるからだと指摘します。
 曖昧な個人目標を「マイクロ目標(microresolutions)」に変えることが、目標を達成するための秘訣とのこと。

 マイクロ目標とは、達成しやすく、達成度も測りやすく、維持もしやすい目標のこと。
 小さな目標を確実にクリアしながらステップアップし、最終的なゴールを目指すというやり方です。
 
 本書は、マイクロ目標を用いた「絶対に成功する目標の作り方」について解説した一冊です。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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目標は「行動」に絞る!


 アーノルドさんは、目標は、「達成可能で、具体的な行動」にすべきだと述べています。
 達成可能な改善目標は、あらゆる行動をリスト化できるからです。

 整理整頓を例にとります。最初の段階として「散らかさない」を自分なりに定義してみましょう。喫緊の課題は、服をハンガーに掛けて洗濯物をきちんとしまえることかもしれません。タンスの引き出しが服でいっぱいであったり、ベッドが乱れたままだということかもしれませんし、汚れた食器を一晩放置したままの状態に頭を抱えていることかもしれません。
 だからと言って、見るとうんざりするようなリストをわざわざ作らないでください。やるべき行動を1つか2つに絞り込むだけで効果があるのです。「散らかし」の問題をいっぺんに解決しようとしているのではないことをお忘れなく。あくまで、正しく整理整頓へ向くように、どの行動を変化させればいいのかを特定しようとしているだけです。
 散らかることだけを何とかしたいのであれば、最初の目標は、使ったものを決まった場所に置くだけでいいはずです。使いたいものと関係ないものがごちゃまぜになっていれば、片づけることは困難です。たとえば、机に硬貨や櫛(くし)や鍵が載っかっていたり、タンスの上に雑誌やお札が置きっぱなしだったり、キッチンの調理スペースに手紙が重ねてあったり。物を置くべきではない場所が物置きになっているとしたら、そこに物を置きっぱなしにしないことが最初の目標になるかもしれません(置かないことにする場所を1つに絞ることから始めてもいいでしょう)。また、どんな種類の物を置きっぱなしにするかをいちど精査しておくと、置きっぱなしを避ける方法がもっと簡単に見つけられます。
 たとえば、自分のデスクに未開封や未分類の郵便物が積んであるなら、デスクに置く前にとりあえず分類したり処分することを目標にすれば、郵便物を4分の3に減らし(=整理)、実際にどれを処理すればいいのかが一目瞭然になるでしょう(=効率の向上)。服が一日中ベッドルームのイスに重ねてあって、週末に(いまやしわだらけの)服を時間をかけてハンガーに掛けるのが恐ろしく面倒になってくれば、服を脱いだらすぐにハンガーに掛けることを目標に設定したり、服をイスに放置できるのは24時間までにすることを目標にするといいかもしれません。

 『小さな習慣』 1マイクロ目標はわかりやすい より  キャロライン・L・アーノルド:著 白川司:訳 大和書房:刊

「千里の道も一歩から」

 どんなに長い道のりでも、目的地にたどり着くには、小さな一歩を積み重ねるしかありません。

 足元を確認しながら、できることから着実に。
 新しい習慣づくりの基本ですね。

「一点集中」で一生ものになる!


 アーノルドさんは、変化を永続させたかったら、マイクロ目標は少ないほどよいとして、『マイクロ目標を立てるのは一度に2つまで』というルールを定めています。

 目標を絞り込むと、新しい行動パターンを遵守するための集中力と忍耐力を確実に持てて、最後はオートパイロットが発揮されるようになります。習慣づけるには、ある決まった状況で何度もその行動を繰り返すことです。習慣研究が専門のデビッド・ニールとウェンディ・ウッドは「(習慣は)同じ状況下で何度も繰り返して反応することで徐々に定着する」と述べています。
 新習慣が脳に刻み込まれてオートパイロットが発揮されるには時間をかけてそのためのやり方を続けることが必要です。マイクロ目標を実行して違和感がなくなるには4週間くらいかかり、自然なことに感じられるようになるには6週間から8週間が必要です。私の経験では平均4週間から6週間くらいかかりましたが、マイクロ目標にはそれぞれの苦労がありますし、絶対的なルールはありません。毎日実行するようなマイクロ目標であれば、3週間で定着したと感じはじめるかもしれませんが、頻度が少ないと8週間たってもなかなか定着した感じにならないかもしれません。2つのマイクロ目標を立てたとしても、必ずしも両者が同じ進度である必要はありません。
 そして、どちらかの目標が定着し苦もなく続けられれば、新しい目標に取りかかるのもいいでしょう。新しいマイクロ目標を始めれば、数カ月後にはそれまでの目標は自然と続くようになって真の意味でのオートパイロット化します。
 今までと違った行動をとることと、実際に習慣を変えるのに成功したことを混同しないでください。何かをやろうとけっしんすることはそれを実行できることと同じではありません。習慣は訓練の賜物であって、定義からは生まれません。毎朝ベッドを整えると決めたからといって、すでにその習慣がついていることにはならないからです。「だから言ったのに」と言わないと心に決めることは、あなたが正しいと証明されたときにそういったことを言いたくなる衝動を抑えられることと同じではありません。習慣と洞察は経験の賜物です。
 目標をおざなりに片づけて「済」の欄に印をつけても、自分の成長の妨げになるだけです。新習慣から強固な土台が奪われるだけのことです。マイクロ目標が効果を発揮するのは、1つには失敗という選択肢すら存在しないほどに、成功の定義が限定されているからです。自分の取り組んでいることか1つか2つの行動の変化であれば、自分の責任を問うことができます。自分に負担をかけすぎたときには、その意義から解放してあげようとするものです。

 『小さな習慣』 8マイクロ目標は一点集中で一生ものになる より  キャロライン・L・アーノルド:著 白川司:訳 大和書房:刊

 習慣の力というのは、私たちが想像しているより、ずっと強いものです。
 ちょっとした日々の行動を変えるだけでも、4〜6週間程度の期間がかかります。
 欲張り過ぎは禁物だということですね。

最初のマイクロ目標は「睡眠」で!


 アーノルドさんは、マイクロ目標を生活改善に応用する具体的な例をいくつも示しています。
 たとえば、「睡眠」について。

 アーノルドさんは、マイクロ目標を睡眠に応用することで、睡眠不足を解消しようとします。
 まず取り組んだのは、『就寝前の習慣を観察すること』でした。

 就寝前の典型的な行動を調べると、寝室に行く前に1時間以上リビングのソファでうたた寝することかいかに多いかに驚きました。明らかに頭が働かなくなっていたのに、寝室に行かなかったのはなぜでしょうか。数日間、就寝前の行動を集中して観察すると、うとうとし出しても寝る準備を使用としていないことがわかりました。歯を磨き、デンタルフロスをかけ、コンタクトレンズを外して、洗顔して化粧水をつけて保湿をし、パジャマに着替えて、携帯電話に充電して、といったことをやろうとすらしなかったのです。さらに悪いことに、やっとソファから立ちあがって階段を登り寝る準備をしても、「うたた寝」したせいで突如として目が冴えてしまったのです。やっと寝られる態勢になったのに、もはや眠気を感じていませんでした。こういった一連の行動を考えて、私は次のような目標を立てました。

「娘を寝かしつけたら、すぐに寝る準備をする」

 娘を寝かしたとたん抗しきれない睡魔に襲われるくらいならと、ソファに倒れこむ前に寝る準備をしておくことにしました。寝室に行く前にやるべきことは、娘を寝かしつけて階段を降りる前にすべてやってしまいました。そのため、うとうとしかけるとゾンビのように階段を昇ってベッドにもぐりこむだけでよくなりました。すでに寝る準備は万端で、ベッドにもぐる前にやるべきことは1つもなかったので、あっという間に眠りに落ちました。
 数カ月後、目標を一部変えて、娘の寝る準備と同じ時間に自分の準備をすることにしました。そのおかげで、娘が寝たあとに夫とくつろぐ時間が増えました。この「寝る準備」目標を、「仕事以外で夜10時以降にパソコンを使わない」というゼロ目標とともに守るようにしました。それは、調べものをしはじめると、その結果、スプレー洗剤を注文する羽目に陥ってしまい、結局は1時間半もネットを見つづけてしまうことが多かったからです(また、ローラ・ベルの著書によると、コンピュータ画面の明るさ自体にも覚醒効果がるそうです)。
 この2つの目標のおかげで、週に10時間以上も睡眠時間が増えて、生活が一変しました。かつては何年も早寝しろと自分を叱責するだけでしたが、マイクロ目標によっていったん目指すべき習慣が確立しはじめると、進化が止まりませんでした。
 就寝時間までの自分の行動を注意深く調べると、継続して睡眠の質が着実に向上するめたのマイクロ目標を構築し、行動が改められるようになります。また、最新の研究によれば、良い睡眠は目標達成においても必須の要素と言えるようです。

 『小さな習慣』 10睡眠 より  キャロライン・L・アーノルド:著 白川司:訳 大和書房:刊

「良質の睡眠」は、あらゆる自己改善の基本となるものです。
 アーノルドさんは、睡眠量が増えると、セルフコントロール力が維持できるのみならず、ダイエットなどの自己改善の分野でもプラスに働くと指摘しています。

 アーノルドさんの例を参考にして、生活改善の手始めとして、睡眠についての「マイクロ目標」を立ててみましょう。

悪い習慣も「マイクロ目標」で退治!


 マイクロ目標は、悪い習慣を断ち切る場合にも有効です。
 アーノルドさんは、自身の体験をもとに以下のような例を挙げています。

 私にとって最もうまくいったお金に関するマイクロ目標は「夜9時半以降はネットショッピングをしない」というものでした。夜遅くなるととくにインターネットを見てしまいがちで、金銭も睡眠も奪われる高くつく娯楽でした。1日の終わりごろに私の意志力と理性は弱まってしまい、ネットをしていると何か買わずにいられませんでした。何を買ったか思い出すのはいつも包装箱が届いたときでした。深夜のネットショッピングの習慣の核心にくさびを打ちこむことで、かなりの金額を節約してきました。私はいまだにネットショッピングをやっていますが(やめることは考えられません)、深夜のネットショッピングはやっていません。
 衝動買いに幾度となく後悔しているようなら、まず無駄遣いのきっかけとなっている状況を特定しましょう。たとえば、「割引を受けるためにお金を使わない」というマイクロ目標を立てると、その場で余計に買い、あとで使うことになる割引クーポンを受けるといったいかなる状況も避けられるでしょう。そうやっていけば、今日の無駄遣いと、その(高くつく)割引クーポンを使って得すべきだと思いこみ、あとで無駄な買い物をするのを避けられるでしょう。レジに置いてある商品が目に留まったら、「いったんレジに並んでしまったら買い物かごには商品を入れないというゼロ目標を持つ」というマイクロ目標を立てておくと、最後の最後にチョコレートや雑誌やおもちゃや小物や面白い本をかごに放りこむのが避けられます。
 マイクロ目標を作る際、冷静な見方ができなくなる状況の回避を目指しましょう。たとえば、決まった友達と買い物に行き、決まった店に入り、ワゴンに競争してでも手に入れるべき商品があると思えて、押すな押すなの見切り特価セールの喧噪(けんそう)に参加することである可能性もあります。お金を使う習慣は人それぞれで、一部の人たちにとっては中毒に近いものです。無駄遣いのパターンを阻止することに取り組むには、そのきっかけを慎重に特定して、きっかけに伴って生じる習慣的な行動を変えることです。

 『小さな習慣』 15やりくり より  キャロライン・L・アーノルド:著 白川司:訳 大和書房:刊

 マイクロ目標は、ネットショッピングのように、少しの油断から大きなムダを生む習慣に対して、とても有効です。

 止めたい習慣のトリガー(引き金)となる行動に焦点を当てて、その一点を抑えこむ。
 そのことに専念すればいいということですね。

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☆    ★    ☆    ★    ☆    ★    ☆

 習慣は、ほとんど無意識に行われているものが多く、「第二の性格」とも言われます。
 無意識だからこそ、それを変えようとするときの抵抗の大きさを過小評価してしまいがちです。

 今は慣れないことでも、続けていけばそれが普通になり、いずれ「好き」になります。
 それをせずにはいられなくなれば、新しい習慣が完全に自分のものになったということです。

 習慣を変えることで、人はいつでも変わることができます。
 すべての目標は、どんなときでも「小さな一歩」を踏み出すことから。

「マイクロ目標」という“魔法の杖”で、「なりたい自分を目指す旅」を始めてみましょう。

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