【書評】『ハイパフォーマー思考』(上野啓樹)
お薦めの本の紹介です。
上野啓樹さんの『ハイパフォーマー思考』です。
上野啓樹(うえの・けいじゅ)さんは、ライフスタイル・コンサルタントです。
試行錯誤の末、「運動なし、カロリー計算なし、リバウンドなし」の独自のダイエット・プログラムを確立されています。
「ハイパフォーマー」になって生涯現役!
「ハイパフォーマー」とは、いつもベストコンディションで効率よく卓越した結果を出す人
のことです。
そんな中で、色々な分野のハイパフォーマーを見て来て思うことは、「活躍している人はいつもコンディションがよい!」ということです。コンディションが高いレベルで安定しているので、いつもハイパフォーマンスを発揮できるのです。ところが同じように活躍したいはずのビジネスパーソンは、毎朝を最悪のコンディションで迎えています。ベストコンディションといえる状態は月に1回あるかどうかで、それすら年々減ってきている。そして自分のカラダのマネジメント不足を棚に上げて年齢のせいにしている。
ビジネスシーンで継続して、効率よくハイパフォーマーで居続けたいのであれば、カラダと習慣を見直し、コンディションを上げることが急務です。どんなに優秀な能力や技術があっても、コンディションが悪ければ実力が発揮できないままリストラ候補へ。ビジネスの組織力を上げるためにも個のレベルアップは必須であり、そのためにもいつチャンスが来ても実力を発揮できるように準備しておく必要があります。
本書に目を通して、まずは現時点での考え方を変えて、それから行動に移して、職場やプライベートで最高のパフォーマンスを披露していただけたらと思います。生涯現役とは「生涯現役で仕事をし続ける」ということではありません。ただヤル気があるだけの年寄りは現場で足を引っ張ります。ハイパフォーマーの定義は、「生涯を通じて年々パフォーマンスが向上し続けていくこと」なのです。『ハイパフォーマー思考』 まえがき より 上野啓樹:著 KKベストセラーズ:刊
コンディションとは、「体調」のことで、大きく「フィジカルコンディション(カラダ)」と「メンタルコンディション(心)」の2つに分けられます。
上野さんは、このふたつがバランスよく、高い基準を維持するときにベストコンディションになり、ベストコンディションになることでハイパフォーマンスが発揮でき
ると指摘します。
本書は、「ハイパフォーマー」へと変身するための“正しいやり方”を解説し、その実践方法をまとめた一冊です。
その中からいくつかピックアップしてご紹介します。
[ad#kiji-naka-1]
コンディションを崩す原因は「昼食」にあり!
上野さんは、ランチタイム以降もパフォーマンスの低下を避けたいのであれば、「食べない」という選択も考えられ
ると述べています。
ランチタイムだから食べないといけない決まりはないはずですし、食べなければランチ後の眠気と戦わなくてすみます。値段で決めるのではなく「今の自分には本当にこの食事が必要か?」と考えて食べる(食べない)ようにしてみるといいです。
次に、好みだけで決めてしまう問題点は、食べたいものを食べることしか考えていないことです。以前の僕は食べた後のコンディションやパフォーマンスを考えずに、その場の感情だけで食べていました。
特にお肉と炭水化物だ大好きだったので、毎日のように好きなものをいかに安く食べるか? という選択をしていたのです。
これでは太ったり体調不良になっても仕方がないですよね。どうやたら食後もコンディションが低下せずに済むか?
それに気付いてからは考えた食事の選択をするようになりました。
考えた食事をするためには、消化のよい食べ物を選ぶこと。
フルーツやサラダ、お蕎麦や納豆、豆腐、根菜類などもよいのですが、食べないことが1番よい選択です。逆にお肉、揚げ物、丼もの、うどんは非常に消化が悪くコンディションが低下しやすいです。
消化に悪いとそれだけエネルギーを使うので、無駄に疲れます。
ちなみに私たちのカラダは何かを食べたとき、消化に70%ものエネルギーを費やしています。それは、フルマラソンで消費するエネルギー量と同じくらい(1600キロカロリー)ともいわれています。だから食後に眠くなるのですが、それは「消化のためにエネルギーを使うので他の活動は休んでね」というカラダからのサインなのです。
ですから、ランチタイムに消化の悪い食事をしている無駄にエネルギーを使い、お昼以降に疲れ、眠くなりパフォーマンスが低下してしまいます。
ランチ後も仕事があるはずですから、フルーツやサラダ、お蕎麦など消化によい食べ物を選びましょう! 自分が食べたいものは仕事が終わってから食べるといいですね。
何より「食べない」という選択肢を持つことがハイパフォーマンスへの第一歩です。1日1食食べなかったからといって倒れることはありません。むしろ消化にエネルギーを使わなくてすむのでコンディションも低下しなくてすみます。決して優秀な人がよい仕事をするとは限りません。
たとえ優秀でもコンディションが悪かったらパフォーマンスも低下します。
逆に優秀でなくても、いつもベストコンディションであれば、その人にとって最大の成果を出せます。『ハイパフォーマー思考』 第4章 より 上野啓樹:著 KKベストセラーズ:刊
食べることは、私たちの想像以上に体に負担のかかる行為です。
「1日3食食べなければならない」は、単なる思い込みに過ぎません。
何を食べるかの前に、「食べない」という選択肢。
自分の体の声に耳をすまし、ベストコンディションを保てるようにしたいですね。
食べ過ぎは、仕事にマイナスを与える
上野さんは、食べ過ぎる原因として、「無意識の時間」と「食品添加物」の2つを挙げています。
まず無意識の時間についてですが、食事以外の何かに気を取られていて本当は満腹なのに気付かずに食べ続けてしまう。カラダに悪いもので本来なら口にした瞬間に分かるくらい粗悪なものでも、無意識に口にしているから気が付かない。この最も多いケースは、TVや携帯を観ながら食べる行為と、時間がないからと急いで食べる行為です。TVや携帯に意識が集中しているので自分がどれだけ食べたかを認識できませんし、急いで食べることで味わってもいません。これでは、カラダからしたら、マイナスにしかなりませんよね。
次に食品添加物についてですが、その最たる例がファーストフードやお菓子類です。特に、ファーストフードは高脂肪食品ですし、ポテトチップスなどは高塩分です。甘い物も同じように砂糖と油の塊です。
この脂肪、塩、砂糖がそろうともう止まらなくなります。ファーストフードは脂肪と化学調味料、チョコレートは脂肪と砂糖、ポテトチップスは脂肪と塩分・・・・・と挙げていったらきりがありませんが、食品メーカーはなんとかして消費者が何度も食べたくなるようにと、この3つの味のバランスを綿密に計算しているので、一度手を出すと止まらなくなる仕組みになっているのです。
では、これら以外の食品だったらよいかと言うとそうではありません。
食べるということは消化しなければなりませんが、消化するということはエネルギーを大量に使います。そのエネルギーは、個人差や食べたものの種類や量にもよりますが、普通にトンカツ定食を消化しようと思えば、クロールで1キロ泳いだのと同じくらい体力を消費します。食後に眠くなるのは、それだけ消化にエネルギーを消費しているからですし、子どもが食べながら眠ってしまうのは、元々体力が少ないうえに消費にエネルギーを大量に消費するので起きていられないからです。
そう考えると食べ過ぎが、いかに体力を消費しているかが分かると思います。
ですから、食事の仕方を変えていく必要があるのですが、いきなり派手なことをしないようにして下さい。最初から「頑張ろう」と高過ぎる目標を立てずに、少しずつ変えていくことです。僕もサプリメントから入り、次にプロテイン、カロリー制限に炭水化物抜きと意気込んでやったことがありますが、そんなに続くものではありませんでした。
(中略)
大切なことは小さな達成感を積み重ねることです。たとえば「今日は腹八分目を守ったぞ!」、「今日は無駄に食べなかったぞ!」と実感すること。この僅かだけど確かな結果を出すことが習慣化させるコツです。傍目からは分かりにくい結果かもしれませんが、その小さな積み重ねが大きな結果となり、あなたをヤル気にさせてくれます。
高い目標を立てて挫折するくらいなら、小さい目標を達成し続けていったほうが効率がよいです。「自分はやっているんだ!」という実感が大切なのです。まずはこれまで通りの食事内容でよいので、腹八分目にチャレンジしてみてください。最初は物足りなさを感じますが、1週間もすれば慣れてきます。
食べるという字は人を良くすると書きますが、その人の食歴を聞けばある程度の人格、信頼性、将来性が分かります。
いつも食べ過ぎていて、自分の食欲をコントロールできていない人は時間にルーズだったり、できもしない約束をする人が多いです。
ちょっと考えたら食べ過ぎがよくないことぐらい分かるけど、今がよければそれでよいと惰性で生きているので将来も危ういです。
必要最小限の食事で、最大限のパフォーマンスをする。コンディショニングにおいて、たくさん食べても得るものは少ないですが、少なく食べておけば大きな成果を得られます。派手な食事ではなく地味だけど確実に成果につながる食事をする。決して食べてはいけないと言っているのてはありません。
食べるにしても無駄に腹いっぱい食べないことが大切なのです。食べる時間を今以上に大切にする。
自分へのご褒美で何かを食べるしても、しっかり噛んでゆっくり味わいながら優雅に食べて、腹八分目以下にする。それが心とカラダへ本当のご褒美となります。『ハイパフォーマー思考』 第2章 より 上野啓樹:著 KKベストセラーズ:刊
食べ物は、いうまでもなく自分の体をつくる“材料”となるもの。
体の健康を第一にすると、「これは体にとっていいものか、悪いものか」を判断して食べることになります。
体にいいものを、ゆっくり味わって食べ、腹八分目以下で抑える。
毎日の習慣にしたいですね。
朝の「5分散歩」が疲れを取る
ハイパフォーマーと呼ばれる人は、早起きの人が多いです。
上野さんは、朝を優雅に過ごしていると心もカラダも豊かに
なると述べています。
慌ただしい一日を送る原因は、生活サイクルの乱れにあります。
夜寝る時間が遅いため、朝起きる時間が遅くなる。
それを改善するには、「悪循環をリセットする」必要があります。
やり方は簡単です。
明日から仕事という前日である休みの最終日に思い切って、いつもより1時間早く寝ることです。「休日くらいゆっくりさせてよ」と思うほうが多いと思います。確かに休みだから夜遅くまで遊んでいたり、趣味の時間を過ごしたい気持ちはよく分かります。
しかし、どこかでリセットしないといつまでたっても疲れて寝ての繰り返しで、負のスパイラルにはまったままなので、リセットする勇気をもってやってみてください。そして、朝5分でよいので散歩をすることです。自宅の周りを一周するだけでもよいです。
パジャマのままでもよいのですが、それはモテない人がすることなので、あなたは少し差をつけるためにもおしゃれなスポーツウエアに着替えて普通に歩いてみて下さい。音楽を聴きながらでもよいですし、考えごとをしながらでもよいです。時間がある人は軽いジョギングでもよいですが、疲れない程度にすることです。ここでのポイントは運動を目的とするのではなく、あくまでも脳と体中の細胞を目覚めさせるために散歩することです。朝散歩することで、滞っている疲労物質を流して排泄できます。アスリートが試合の翌日に軽いジョギングをしているのですが、あれも同じように疲れを取るためです。私たちビジネスパーソンは散歩でよいので、朝カラダを動かす習慣をもちましょう!
たった5分ですが確実に朝から充実した1日をスタートできます。
ちなみに慌てるのは心、急ぐのは行動です。時間がないときや寝坊をしたときでも急ぐことはよいのですが、慌てると何もよいことはありません。『ハイパフォーマー思考』 第3章 より 上野啓樹:著 KKベストセラーズ:刊
今までの生活習慣を変えるのは、思っている以上に大変なこと。
負荷の少ない、簡単なことから始めるのがコツです。
着替えて、家の周りを5分散歩する。
ハイパフォーマーへの第一歩として、毎朝続けたい習慣ですね。
帰ったらすぐにする「3つの習慣」
ハイパフォーマーの机の周りは、いつも整然と片付いています。
上野さんは、整理整頓を意識づけるため、「帰ったらすぐにする3つの習慣」を勧めています。
まず家に帰って靴を脱いだら、脱ぎっぱなしにせずにサッと軽く磨きます。同じ磨くという行為でも、できれば「今日もありがとう」と感謝して磨いてみてください。1日あなたの足を痛めずに歩いてくれたのですから、磨いて感謝してあげないとかわいそうです。感謝されている靴は、あなたをきっとよい場所に連れて行ってくれますよ。
次に、テーブルの上にカバンの中身を全部出します。「何もすべて出さなくても」と思うかもしれませんが、道でもらったチラシや書き損じの書類、飲みかけのペットボトルなど、意外といらないものが入っているものです。それに、同じハンカチが3日目だったということも避けられるでしょうし、いざというときのティッシュも使い切っているかもしれません。
この目的はカラダと同じように、カバン内のデトックスになります。基本的にいらないものはカバンから出しましょう。このときも靴と同じように、カバンに「今日もありがとう」と感謝の言葉をかけてあげてください。感謝されているカバンは、あなたの大事な物を守ってくれますよ。
最後に財布です。いらないレシートを捨て、お札を数えます。
明日、出先で「お金がない!」という事態にならないためにも、いくらあるかしっかり確認しておきます。繰り返しますが、「今日もありがとう」と感謝の言葉を忘れずに。感謝されている財布は、たくさんのお金を運んできてくれるはずです。
ここで、メジャーリーガーのイチロー選手の例をご紹介いたします。今更、彼の凄さを説明するまでもありませんが、何よりも凄いのはバットやグローブをとても大切にしていることです。メジャーリーグでは道具の手入れをしてくれる専属スタッフがいるのですが、イチロー選手は自分で毎日手入れをするそうです。三振しても絶対にバットを地面に叩きつけないし、打って走るときもそっと地面にバットを置きます。
バットを大切に扱うのは、世界のホームラン王、王貞治選手もそうだったのですが、やはりハイパフォーマーは道具を大切に扱うという点は共通しています。
プロゴルファーの中には思うようなプレーができないときにクラブを叩きつける選手を多く見かけますが、そんな選手は一時的に活躍しても長くは持たないでしょうし、子どもからしたらうまい選手であっても、よい選手ではありません。
ちなみに、イチロー選手は泊まったホテルのシーツなどもちゃんときれいにしてチェックアウトするそうですが、僕が知っているハイパフォーマーはみんなチェックアウトした後はきれいにするそうです。ハイパフォーマーだからきれいにするのではなく、きれいにするからハイパフォーマーになるのでしょうね。道具を大切にするからイチロー選手はハイパフォーマーだとしたら、これはビジネスパーソンも真似したほうが得だと思います。
当たり前のことですが、毎日使っている物へ感謝することは大切です。
物に感謝できない人は、人にも感謝できません。靴、カバン、財布があるから、今、あなたの仕事や生活ができているはずです。感謝できない人の行く末はいわずとも分かりますよね? 感謝することで失うものは何もないので、ぜひお試し下さい。『ハイパフォーマー思考』 第4章 より 上野啓樹:著 KKベストセラーズ:刊
身の回りの整理整頓は、使った道具への感謝の気持ちが大切です。
道具を大切にする人は、自分の体や心、周囲の人も大切にします。
道具に感謝できる人は、自分の心や体、周囲の人にも感謝できます。
「帰ったらすぐにする3つの習慣」、ぜひ試してみたいですね。
[ad#kiji-shita-1]
☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆
自分の一番大切なものは何か?
そう問われたとき、「健康」と答える人はそんなに多くはないのではないでしょうか。
健康という土台を害すると、人生を楽しむということ自体ができなくなってしまいます。
どんなにビジネスで成功しても、お金持ちになっても、それでは意味がありませんね。
「成功するには、長時間、コンディションを犠牲にしてまで仕事に打ち込む必要がある」
そのような考え方は、もう時代遅れです。
今の時代、問われるのは、「量」より「質」。
限られた時間のなかでどれだけのアウトプットを出せるか、です。
つねにベストコンディションで、最高のパフォーマンスを発揮する。
私たちも、そんな「ハイパフォーマー」を目指したいものです。
【書評】『「自分軸」のつくり方』(井内由佳) 【書評】『沖正弘がのこしてくれた治すヨガ!』(船瀬俊介)