【書評】『人は「話し方」で9割変わる 』(福田健)

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 お薦めの本の紹介です。
 福田健さんの『人は「話し方」で9割変わる 』です。



 福田健(ふくだ・たけし)さんは、コミュニケーション・スキルのコンサルタントです。
 現在は、「話し方研究所」の会長として、話し方、聞き方の指導・研究に当たられるなどご活躍中です。

 会話は、話す相手との言葉のキャッチボールです。
 続けていくうちに思いがけない方向へ動き出し、しばらくすると、突然また話題が変わります。
 福田さんは、この「思いがけなさ」が、会話の特徴であって、筋書き通りにことが運ばないところに、会話の面白さがある、と述べています。

 「接客マニュアル」は接客場面から共通要素を抽出して、「こういうケースではこのように言う」というように、応対手順を標準化したものです。
 マニュアルに忠実な応対は、どうしても機械的になり温かみの薄れたものになってしまいがちです。
 福田さんは、人々がマニュアルに依存すればするほど、コミュニケーションのやりとりは人間らしさを失う、と警鐘を鳴らしています。
 マニュアルがはびこる現代こそ、その欠陥を補う意味でも、会話の持つ特徴を把握し、会話の役割を見直す必要がある、と強調しています。

 本書は、さまざまな場面で応用できる「話し方」を高めるための気づきやヒントを、具体例も交えてまとめた一冊です。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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相手や場の状況を読みとる


 福田さんは、会話上手への第一歩として、まず最初に心掛けることのひとつに「相手や場の状況を読みとる」ということを挙げています。

 上手く読みとれればよいが、「早合点」「思い込み」「経験不足」「余裕のなさ」「好悪の感情」などに影響されて、間違えることがある。 うまく読み取れればいいのですが、「早合点」や「思い込み」などに影響されて、間違えてしまうことがあります。
 読み違えると、
 ●会話が途切れる
 ●気まずい雰囲気になる
 ●相手が怒り出す
 などのマイナス状況に陥ることもあるが、どちらかが思わず笑い出して、プラスに転ずることもある。間違いと気づいた瞬間に、とりつくろわずに、「あ、いけない」と、頭のひとつもかいてみせる明るさがあれば、気まずさも救われる。
 (中略)
 見かけで判断して、相手の気持を読めずにものを言ってしまうのは、日常よくやる例である。こんな失敗をして相手から悪く思われるのはいやとばかり、会話を避けているのでは、力は伸びない。
 何事もやらなければ上達しない。間違いは、
 ●できるだけ早く気づくこと(相手や周囲の反応を見ていればわかる)
 ●詫びる・言い直すなど、軌道修正する。
 ●次の会話に生かす
 このようにして、会話の経験を重ねる中で、相手を読む力を向上させるとよい。

 『人は「話し方」で9割変わる 』 第1章 より  福田健:著  経済界:刊

 会話の難しいところは、必ずしもこちらの意図通りに相手が受け取ってくれない場合があるということです。
 ただ、会話の場合はメールなどと違い、相手の反応をその場で直接、オンタイムで感じることができます。
 自分の発言を相手がどう感じたのか、そのサインを見逃さないようにして、「相手を読む力」を向上させていきたいですね。

アイコンタクトのポイントは「相手より1秒長く」


 日本人は相手の目を見て話すことが苦手です。
 子供の遊びに「にらめっこ」がありますが、この遊びも、元はといえば、相手の目を見るのに馴れさせる狙いがあったそうです。
 福田さんは、「見るというのは自己の意志の表明にほかならない」とその重要性を説き、以下のような「アイコンタクト」の練習方法を挙げています。

 日々接する人とは、だれもが気軽に目を合わせる。朝、出社して、
 「おはようございます」
 と、あいさつする際、相手よりほんの一秒長く、アイ・コンタクトをする。
 「なんでしょうか?」
 と言って、上司の顔を見る。そのときも、わずか一秒、長く見ること。
 得意先を訪問する。
 「いつもお世話になっています」
 そう言って、お客様と顔を合わせる。ここでも、一秒だけ長く、アイ・コンタクトする。
 もうお気づきのように、これは相手より先に目をそらさない練習なのだ。当初は意識しすぎてぎこちないかもしれないが、だんだんと、相手の目をしっかり見ることができるようになる。やがて目に力が出てくる。
 相手が目をそらさなかったら、どうするか。そのときは、あえて「にらめっこ」をする必要はない。

  『人は「話し方」で9割変わる 』 第2章 より  福田健:著  経済界:刊

 
『目は口ほどにものを言う』ということわざもあります。
 同じ内容でも、相手の目を見て話すのか、そっぽを見て話すのかで、相手の受け取り方まったく違うものになります。
 普段の何気ない会話から、相手の目を見て話す習慣を身につけたいものです。

身近な人との会話を増やすコツ


 身近な相手との会話がうまくいかなかったり、すぐに途切れてしまう場合は、自分でも気づかないうちに、ものを言いにくい状況をつくりだしてしまっている可能性があります。
 会話が弾む場をつくりだすためには、相手まかせにせず、率直にものが言える状況を自分でつくっていくことが求められます。
 誰もが時間に追われて、時間的にも心理的にも会話が難しい状況に置かれることが多い現代社会だからこそ、折りにふれ、機会を捉えて、人と会話をするチャンスをつくるように努めたいですね。
 福田さんは、そのための心得として以下の二点を挙げています。

①「忙しい」を口にしない
 実際に忙しいところへもってきて、ふた言目には「忙しい」を口にするリーダーがいた。部下は、リーダーに話したいことがあっても、
 〈忙しいのに悪い〉
 と、遠慮してしまう。やがて、部下は上司に話をしなくなり、リーダーと部下の間には会話が途絶えてしまった。
 たとえ忙しくても、超多忙といった様子を見せないことだ。なによりも、口ぐせのように、「忙しい」を連発しないこと。この言葉を発するたびに、周囲の人はあなたから遠のき、会話のチャンスが消えていく。
 ②立ち話でも会話はできる
 時間がなくて、会話をしている暇がない、という人がいる。
 時間はつくるものだ。時間が足りないと嘆く暇があったら、擦れ違いざまの立ち話でもよいから、会話を交わそう。逆に、たっぷり時間があるからと言って、会話ができるとは限らない。苦手意識の強い人は、時間を持て余して、会話の場から降りてしまうからだ。
 また、近頃はアルコール・コミュニケーションの機会が減ったので、若い人と会話をすることが少なくなったと、ぼやく年配者がいる。アルコールが入らなければ会話ができないわけでもない。昼休みの少しの時間でも、会話はできるのだ。
 「一回の時間は短く、回数は多く」
 これが、忙しい時代に、人と会話をするときのコツである。
 わずかな時間、相手の横に座って、簡単な話をする。これができる人は、人間関係を良好に保てる人である。

 『人は「話し方」で9割変わる 』 第3章 より  福田健:著  経済界:刊

 忙しいからこそ、会話の「回数」を増やす。
 短い会話でも、相手からすると「自分のことを気にしてくれている」という安心感を持つことができます。
 ちょっとした空き時間を利用して、家庭や職場でも良好なコミュニケーションを築いていきたいですね。

「聞く」のも表現だと考える


 会話が苦手、自信がないという人は、いかに、うまくしゃべるか、気の利いた話をするかに捕らわれている場合が多いです。
 しかし、それよりも大事なことは積極的に「聞く」ということです。
 「聞く」もコミュニケーションで、「ほら、このとおり、わたしはあなたの話を聞いていますよ」と、聞いていることを表現してこそ、「聞く」というコミュニケーションが成り立ちます。

「話す」の反対語はと問いかけると、たいていの人が「聞く」と答える。この答えは誤りである。話すと聞くは、反対の関係にあるのではなく、一対の関係で結ばれる。
 第一に、人は聞きながら、同時に話しているのである。
 表情で、頷きで、あいづちを打って表現をしている。反応を示さず、自分の中に閉じこもって、発信をキャッチするだけの人は、聞くというコミュニケーションができていないのだ。この点に気づいていない人が多い。だから、
 「ね、聞いているの?なんとか言ってよ」
 こんなふうに催促されるのだ。
 第二に、話しながら同時に聞いている。
 よくしゃべる人でも、相手の反応に敏感で、臨機応変に聞き役に廻るタイプは、会話上手である。このタイプの人は、話しながら相手の反応を確かめ、目線の動き、表情の変化、口元の様子などに注意を払って、いわゆる「声なき声」を「聞いている」のだ。
 だから、話したそうな様子を見てとると、すぐに、相手に、
 「キミの話す番だよ」
 と、促すことができる。
 (中略)
 会話は、話す、聞くのキャッチボールだから、話す、聞くの交代がタイミングよく行われることで、発展していくのである。それには、話しながら聞き、聞きながら話すが、同時に行われるのが望ましい。

 『人は「話し方」で9割変わる 』 第4章 より  福田健:著  経済界:刊

 相手の話を聞くとき、相手の話の内容さえ理解していればいい、とつい無表情、無反応な「受け身のコミュニケーション」をしてしまいがちです。
 話すことと聞くこと、どちらも積極的に表現してこそ、上手な会話が成り立つということです。
 「話しながら同時に聞く」、「聞きながら同時に話す」。その意識を忘れないようにしたいですね。

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 メールやソーシャルネットワークサービス(SNS)が全盛の現代社会ですが、コミュニケーションの基本は、相手と顔を突き合わせての1対1の会話であることには変わりありません。
 直接自分の声で相手を見ながら伝えることで、文字だけの表現よりもずっと多くのことを伝えることができます。

 会話は、周囲との関係を滑らかにする「潤滑油」でもあります。
 自分から積極的に話して聞いて、会話を効果的に使い、よりよいコミュニケーションを目指していきたいですね。

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