【書評】『やる気のスイッチ!』(山崎拓巳)
お薦めの本の紹介です。
山崎拓巳さんの『やる気のスイッチ!』です。
山崎拓巳(やまざき・たくみ)さん(@dana49)は、「夢実現プロデューサー」として多方面で活躍されている方です。
リーダーシップ論やコミュニケーション術、メンタルマネジメントなど、多彩なテーマで年間200件の講演やセミナーを実施されています。
「やる気のスイッチ」を持つということ
「やる気」は気まぐれな存在です。
昨日はあれだけやる気があったのに、今日はそれがどこにいってしまったのかという位にやる気がなくなってしまった・・・
そんな経験は誰にでもあると思います。
やる気は自分の中にあるものなのに、なかなか自由にコントロールさせてもらえないものですね。
何もしないで放っておくと、やる気は「まわりで起こった出来事」に左右されるだけのものになります。
やる気を長続きさせるには、「やる気のスイッチ」をいくつも持ち、いつでも押すことができるようにすることが何よりも重要です。
本書は、山崎さん自身が、何度も試して本当に使えると確信した「やる気のスイッチ」の数々をまとめた一冊です。
その中からいくつかピックアップしてご紹介します。
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心のスクリーン
同じ風景を見ていたとしても、人はそれぞれ違うとらえ方をしています。
人は現実にある無限の風景から、自分が意識したものだけを選び出しているということ。
山崎さんは、現実はイリュージョンのようだ
と述べています。
欲しい絵だけを切り取り、自分なりに演出を加え、それを「現実」だと思いこんでいるという意味です。
心の中には一枚のスクリーンがある。
「青空」という言葉を聞いたときに、「青空」の映像を描くあの場所だ。
今こうして本を読んでいても「あれ? 財布どこにしまったっけ?」と心配になると、あなたの心は財布を探しはじめる。すると、目は文字を追っているのに、頭には入ってこない。スクリーン上には脱いだ上着のポケットや、玄関に置いたバッグの中などの映像が描き出され、目で追っている文字は意味を失ってしまう。
このように頭の中で一度に描けるイメージはひとつだけ。
前向きなことを思うと同時に、否定的なことを意識することはできない。
勝つシーンと負けるシーンを、同じ画面に描くことはできない。
(中略)
さらに「心のスクリーンに描いたイメージ」は、そのイメージを実現させようと無意識に力をはたらかせ、からだを反応させる。
子どもに「転ばないで!」と注意すると、
子供が思い描くイメージは自分が転ぶ姿であり、転ぶ確率が高くなる。
転ばせたくなければ、「ちゃんと歩いて」と伝えるのが正解だ。
伝達は、言葉の意味だけでは通じない。大事なのは、起きて欲しいことを、相手が思い描けるようにしてあげることだ。『やる気のスイッチ』 SWITCH 02 より 山崎拓巳:著 サンクチュアリ出版:刊
「もしも起きたとしたら」と想像するだけで、無意識は「そのことを望んでいるんだ」と勘違いします。
そして、そちらへからだを反応させてしまうのだそうです。
どんなときでも、いいことを、望むことだけを頭の中に描くこと。
その重要性が理解できますね。
セルフイメージ
自分が認識する「私」のことを、「セルフイメージ」と呼びます。
やる気を保つ上でも、このセルフイメージが大切な役割を果たします。
親、友だち、先生に言われたこと。上司や先輩から受けたあつかい。すれ違った人の視線や、自分がやったことに対する評価・・・・など無数の経験から、「自分はこんな人間だ」と限定する。
そうあるべきだ。それが私だ。
そうあるべきではない。そうじゃないのが私だ。
服のセンスがいい。こまごましたことが好き。なかなかあきらめられない。変だと思われたくない・・・・そんな風に限定することで、アイデンティティを保っている。
(中略)
これ以上でもなく、これ以下でもない。
ここが自分らしい場所だと決めて、その中で落ち着いている。
そこはコンフォートゾーンと言って、ただ居るだけで心地がいい。
それ以下になることに対しては恐怖感を持つ。
そして同じように、それ以上になることにも恐怖感を持つ。セルフイメージを落とさないためのバリアだ。
しかしそのバリアがあると、同時に上へとあがることも阻まれる。
「あの人たちすごいよね。でも一緒に居たらきっと疲れるよ」という言葉は、コンフォートゾーンの外に出たくない人のためのものだ。『やる気のスイッチ』 SWITCH 13 より 山崎拓巳:著 サンクチュアリ出版:刊
セルフイメージは、自分自身を限定してしまいます。
自分のレベルを高めていくには、セルフイメージも一緒に高める必要があります。
山崎さんは、そのための方法のひとつとして、「すでにそうなった自分」を演じ、「すでにそうなった自分」としてふるまうことを挙げています。
「すでにそうなった自分」として生活していくうちに、「すでにそうなった自分」に慣れてきて、セルフイメージを高めることができます。
コンフォートゾーンを自ら飛び出す、勇気と好奇心を持ち続けたいですね。
おまじないの言葉
声に出してみるだけで、自分の心に「素敵な傾向」を与えてくれる「おまじない」があります。
それが、「すべてはうまくいっている」という言葉です。
いいことが起きるとハッピー、
悪いことが起きるとがっかり、
と反応するのは、自分の外側に主導権を握られているということだ。
目の前で起きた出来事に、心を惑わされないように。悪いことが起きてめげそうなとき、
「すべてはうまくいっている」とつぶやくと、
心のスクリーンに映る風景が明るくなり、
あちこちに解決するトビラが見えてくるだろう。また、わざわざこういうつらい出来事が起きることで後のハッピーエンドへの展開につながっていくんだな、ということに気づかせてくれる。
「凄いことはアッサリ起きる」凄いことを起こすには、相当な努力や苦労が必要だ。
そう思いこんでいる人は、もし目の前にツルツルとうまくいくチャンスがあったとしても、気づかないし、目に入らない。「凄いことはアッサリ起きる」とつぶやくと、
今まで目に見えてこなかった、いい方法を見つけることができる。『やる気のスイッチ』 SWITCH 16 より 山崎拓巳:著 サンクチュアリ出版:刊
今、現実に起こっていることは、過去の自分の頭の中のイメージが元になっています。
つまり、その頭の中のイメージを変えることが、現状を良い方向に変える一番の方法です。
「うまくいっていない」と思いこんでいるうちは、実際にうまくいくことはありません。
「うまくいっていない」と感じたときこそ、「すべてはうまくいっている」。
繰り返し唱えたいですね。
思ったことは叶う。
山崎さんが、自ら試行錯誤し、たどり着いた結論。
それは、「思ったことは叶う」というごくシンプルなことでした。
自身の中学生時代の経験を例に挙げ、以下のように述べています。
当時の陸上部の顧問は名物コーチで、彼女が赴任した学校の陸上部は、ことごとく飛躍的に成績を伸ばしていた。
卒業後「なんで先生が教えると伸びるんですか?」と聞いてみると、それは実に簡単なカラクリだった。
練習でタイムを測るとき、じつはいつもスタートから少し間をおいてストップウォッチを押していたと言うのだ。
練習ごとに伸びていく自分の記録に驚きながら、選手たちはそのまま成長し、全国大会に出場してしまった。やる気と感情といったメンタル面が、身体へ確実に影響を与えていたのだ。その後、ぼくは大学在学中に仕事をはじめた。
そしていろいろなセミナーに参加するようになると、ふたたび驚かされることになった。どのセミナーでも、どの人も、みんな同じことを言っていたからだ。思ったことが起きる。
現実は自分で作り出している。
いいことを思うと、いい結果が生まれる。
紙に書けばさらに実現しやすくなる。
つまり「思ったことは叶う」と言う。いい年をした大人たちが酒も飲まずに、真顔で夢を語っている。聞いているこちらが照れてしまう。
ホントかよ。ありえないと思った。『やる気のスイッチ』 EPILOGUE より 山崎拓巳:著 サンクチュアリ出版:刊
「思ったことは叶う」
昔から多くの人が、多くの場面で、バリエーションを変えながらも訴え続けてきた言葉です。
重要な言葉ほど、当たり前でシンプルな響きをするため、つい見逃してしまうものです。
思っても叶わないのは、自分の心の奥底にある「どうせ叶いっこない」という否定的な思いの方が強いから。
その否定的な思いも、結局は自分の心がつくり出した、「ひとつの現実」に過ぎません。
自分自身の思いを邪魔しているのも自分自身。
その真実に気づき、本気で心の底から、「思ったことは叶う」と信じることができるかどうか。
それが人生を変えるカギになりそうですね。
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☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆
本書にある「やる気のスイッチ」はどれも、実用的で誰にでもすぐ応用できるものばかりです。
ただ、頭では理解できても、実際に「スイッチを押す」という行為にもっていくのは大変なものです。
初めての試みは勇気がいるものです。
「スイッチ」を押そうと思っても、上手く押せないこともあります。
しかし、やる気を自分自身の手でコントロールするには、押し続けるしかありません。
山崎さんは、スイッチを入れるのは難しい。でも、スイッチが入っちゃったら楽しい
とおっしゃっています。
「スイッチが入っちゃった」状態を体験するまで押し続けること。
それが、自分自身を変える秘訣です。
自分の中に眠っている、たくさんの「やる気のスイッチ」を呼び覚まし、前向きで素敵な人生を歩みたいものです。
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