【書評】『自分は自分 人は人』(和田秀樹)

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 お薦めの本の紹介です。
 和田秀樹先生の『自分は自分 人は人 -争わない「生き方」』です。

  和田秀樹(わだ・ひでき)先生は、精神分析学をご専門とする精神科医です。
 また、 自らの経験をもとに書かれた受験勉強のハウツー本でも有名です。

『争わない生き方』とは?


「勝ち組」とか「負け組」という言葉がよく使われます。
 人生を周りの人との競争だと思う人は、そのような考え方になるのでしょう。

 その一方で、人と争うことを好まず、自分が進む道をたんたんと歩む人もいます。
『自分は自分、人は人』という人」であり、「『争わない生き方』をする人です。

 その人たちは、着実に自分のペースを守って一歩一歩歩みを進めていきます。
 そして、最終的には、自分の目標を達成することができます。

 人と競争したり、意地になって衝突することによるストレスとは無縁。
 だから、人の輪が自然と広がっていく。

 そんな「賢い生き方」している人々のことです。

 人生では、結局そのような人が「勝ち組」になるのでしょう。

 本書は、『争わない』生き方、競争なしに結果を出すための方法論をまとめた一冊です。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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「人のダンゴ」につかまらないで生きましょう


「争うのが嫌いな人」は、自分のペースを守ってゆったり生きたいと考えます。
 そんなとき必要となるのは、「わたしはいま、やることがあるんだ」と気がつくことです。

 どんな人にも、たったいま、この瞬間にも「やること」があります。あるいは「できること」があります。
 その「やること」や「できること」に着手するのが、マイペースで生きるための最良の方法になってくるはずです。もし、たったいまやることが何もないというのでしたら、遊んだり、ゴロゴロしたり、好きな映画のビデオでも観たりして過ごせばいいのです。これだって立派な「できること」です。
 マイペースを守れない人は、自分の「やること」や「できること」よりも、他人の動きやことばに目を奪われてしまいます。「みんなして遊んでいるな」と思えばそっちが気になり、「あいつ飛ばしているな」と思えばそっちを追いかけようとします。
 エンジンをかける、アクセルを踏み込む、ブレーキをかけるといった動作がいつも周囲のペースと同じなのです。
 すると、高速道路で車のダンゴ(渋滞)につかまってしまうように、人のダンゴにつかまって自分のペースを見失うことになります。
 遅くてもいいから自分の「やること」「できること」を実行する人が、争いとは無縁の「自分は自分、人は人」で生きていくことができるのです。

 『自分は自分 人は人』 法則その1 より 和田秀樹:著 新講社:刊

「眼の前にあるやるべきことを見つけて、それを集中してやること」

 それが周りを気にせず、マイペースに生きるための秘訣です。

 マラソンでいえば、あえて集団についていかずに、事前に決めた想定タイムやその時の自分自身の体調で走るペースを決めて淡々とラップを刻んでいくやり方です。

 つねに安定した実績を残している人は、このようなやり方の人でしょう。

成長できる人は、なぜかみんなが盛り立ててくれる


「自分は自分、人は人」という人は、「他人を押しのけても」といった強い上昇志向は持ち合わせていません。
 ただ、気がついてみれば、それなりに責任のあるポジションにいて、しかも周囲の信頼を勝ち得ています。

 和田先生は、こういうマイペースタイプの人間というのは、周りに敵をつくらないからだと述べています。

 だれに対しても気さくで、きちんと受け答えしてくれる人は、普段は目立たなくてもいざというときに応援してくれる人間が周囲にいるからです。グイグイ引っ張る強さがなくても、「この人なら間違いないだろう」という安心感があるからです。
 わたしはそれでいいのではないか、思います。
 みんなが盛り立ててくれる人が、長い目で見れば大きく崩れることもなく、仕事でも自分の好きな世界でも着実に成長していくからです。
 負けん気の強い人は熾烈なトップ争いを続けるでしょうが、割り切って考えればトップ争いに勝ち残るのはたった一人です。
 しかもその一人が、いつまでもトップでいられるわけではありません。勝ち・勝ち・勝ちで来て最後の1敗で消えてしまう人だっています。
 それよりむしろ、勝たなくてもいいから長く仕事の場で自分の責任を果たし続けるほうが、はるかに穏やかな人生を送れるはずです。
 マイペースで生きて、自分の好きなことをやり続けた人が、最後の最後にささやかであっても幸運を手にするものです。
 「『自分は自分、人は人』という人」「『争わない』生き方を求める人」には、そんな人生がとてもよく似合います。

 『自分は自分 人は人』 法則その2 より 和田秀樹:著 新講社:刊

 周りに引き立てられて、ステップアップし成長していく人。
 そういう人たちは、味方の多い人というより、むしろ周りに敵が少ない人です。

 本当に得たいのは、「地位」や「名声」なのか。
 それとも、周囲からの「信頼」や「信用」なのか。

 優先順をしっかり踏まえて生きていきたいですね。

「この人は信頼できる」と思わせるのはこんな人


「争わない生き方をする人」の最大の長所は、その公平性にあります。
 和田先生は、何にせよ偏りがあるということは人と衝突しやすいということだと述べています。

 それに自分を強く主張しない人は、平凡な仕事、地味な役割でもそれが当たり前と苦にせず取り組むことができますから、「なぜこんな仕事をわたしがやらなければいけないんだ」といった偉ぶった気持ちは持ち合わせていません。
 たとえば部署の飲み会で、率先してみんなの注文をまとめたり、各人の前に取り皿を配るような人がいますね。そういう人はかならずしも新人や平社員や女子社員である必要はないわけで、要はだれかがやらなけないことを自分から進んでやっているというだけのことです。少なくとも本人はそう思っています。
 ときには上司やベテラン社員であっても、そういった下働きのような作業に気さくに取り組んでくれます。
 すると、その人の公平さが伝わってきます。キャリアやポストがどうであれ、みんなで手分けしてできる作業は公平に分担しようという気持ちが伝わってくるからです。
 こういった公平さが、上下関係を超えた信頼感を生むのでしょう。
 どんなに能力やキャリアがあっても、一つの作業を公平に分け合えず、ふんぞり返っているような人間は、チーム全体の信頼を得ることはできないからです。

 『自分は自分 人は人』 法則その7 より 和田秀樹:著 新講社:刊

 あくまで、公平にふるまうこと。
 それが、周囲の信頼を獲得するために、もっとも大事なことです。

 公平にふるまうには、自分の中にしっかりした判断基準が必要です。
 その判断基準を、自分を含めたすべての人に当てはめることが公平であることの条件です。

「自分のモノサシ」は、つねに持っていたいものですね。

こだわらずに「いいとこ取り」しましょう


 勉強はコツを覚えれば、成績も上がり出します。
 問題は、そのコツをつかむまでの間の努力です。

 どうすれば覚えることができるか、理解できるか。
 自分なりのやり方を試して、探っていく必要がありますが、勉強の出来ない人がそれを探るのは容易ではありません。

 いろいろな方法に手をつけるけれど、ひとつのやり方に絞り込めないという人も多いです。

 和田先生は、そういうときには素直に「できる人」の勉強法をマネするのがいちばんだと述べています。

「できる人」だって最初からできたわけではなくて、自分なりに工夫して見つけた勉強法を実行しています。それをマネすることは、いわば「いいとこ取り」なのですが、少しも悪いことではありません。
 じつはこういうときにも、争いの嫌いな人は有利なのです。勝ち負けの感覚にこだわればどうしても意地になってしまい、「いまさらあいつに教えてもらいたくない」とか、「自分は自分のやり方で頑張る」と思うからです。
 争いの嫌いな人、マイペースな人は違います。
 「この人にはかなわない」と思えば素直に頭を下げて教えてもらうことができます。
 でも教えてもらったら、つぎは実行しなければいけません。
 此処から先は本人が頑張るしかないのですから、決してただの「いいとこ取り」ではないのです。

 『自分は自分 人は人』 法則その9 より 和田秀樹:著 新講社:刊

 受験勉強のノウハウを多く持っている和田先生が言うと、説得力があります。

 勉強に限ったことではありません。
「できる人」になるためには、すでに「できている人」のマネをするのが一番効率的です。

 変なプライドは持たずに、素直に教えを請うことが上達のポイント。
「いいとこ取り」の人生の方が、周りの人の力を借りて、より成長できるということですね。

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☆    ★    ☆    ★    ☆    ★    ☆

「自分は自分、人は人」という人は、小さな負けに振り回されるのが嫌いな人です。
「小さな負け」というのは、言い争い、出世争い、メンツ争いなどに負けること。

 最終的に「大きな勝ち」を手に入れるのは、「小さな負け」に振り回されず、やるべきことを積み重ねた人です。

「ウサギとカメ」の故事を引き出すまでもなく、最終的に目的地にたどり着けるのは、結局、少しずつでも休まず着実に歩みを進めた人です。

 価値観が大きく変わりつつある時代。
 だからこそ、「自分は自分、人は人」という生き方は、より大きな価値を持ちます。

 私たちもマイペースでコツコツと充実した自分の人生を歩んでいきたいですね。


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