【書評】『大好きなことをやって生きよう!』(本田建)
お薦めの本の紹介です。
本田健さんの『大好きなことをやって生きよう!』です。
本田健(ほんだ・けん)さんは、経営コンサルタント会社やベンチャーキャピタル会社など、複数の会社を経営する「お金の専門家」です。
今まで多くのベンチャービジネスの成功者を育ててこられました。
「大好きなことをして生きていけない」は思い込み
「大好きなことをやって生きたい」とは、誰もが思うものです。
でも、実際に毎日を自分らしく、楽しく生きている人は、まだ少数派です。
本田さんは、その理由を大好きなことに関して、みんな誤解しているから
だと指摘します。
もちろん、世の中には、お金持ちではなくても、自分の大好きなことをやっている人もいます。
才能はそこそこでも、大好きなことをやって楽しく毎日を生きている人は、存在しています。
本田さんは、嫌いなことをやって生きていると、大好きなことをやって生きている人たちと出会うことがないので、その存在に気づかない
と述べています。
「類は友を呼ぶ」の法則を当てはめると、至極当然のことなのかもしれません。
本書は、大好きなことをやって生活する人たちの生き方、暮らしぶりをはっきりイメージする方法をまとめた一冊です。
その中からいくつかピックアップしてご紹介します。
あなたは、自分の人生を自由にえらべる
本田さんは、最初に「大好きなことをもっと日常生活に取り入れる」ことを提案します。
毎日の生活を充実させるだけでなく、健康にも、家族にも、まわりにとっても、幸せにつながることだからです。
私たちの多くは、いろんな人に遠慮したり、家族やパートナーからのプレッシャーを感じ、自分らしくない生き方をしています。
あなた以外に、あなたの人生を変えられる人はいません。
しかし、あなたがどう生きるのかに、いろいろと口を出してくる人たちはたくさんいます。あなたのことを思って言っているように聞こえますが、大半のアドバイスは、ごく常識的なものです。自分の常識や人生観から、もっともなことを言うだけです。
それをそのまま鵜呑みにして生きるのも一つの生き方です。
本当に大好きなことで生きていきたいと願うなら、自分が、誰からどのような影響を受けて、今の人生を選択するに至ったかを考える必要があります。
自分の人生観を調べていくと、知らないうちに自分が望んでいない観念が混じっています。「人生は、楽しむべきではない」「お金は汚い」「騙されないように、人の親切は信じてはいけない」などの観念は、あなたの祖父母のものかもしれません。
しかし、知らないうちに、それが両親、そしてあなたへと引き継がれているのです。
それプラス、社会の常識があなたの人生観をつくっています。それを一つずつ検証していく作業は、自分らしい人生を望むなら、一度はやる必要があるでしょう。『大好きなことをやって生きよう!』 第1章 より 本田健:著 フォレスト出版:刊
自分の人生に責任を持つことができるのは、自分だけです。
「自分が望んでいない観念」は、自分以外のどこからか混ざりこんだものです。
そのルーツをたどり、原因を突き止めることは大切なことです。
「好きなことをやってはいけない」という制限を外す
大好きなことができない。
その大きな原因のひとつは、「自分の好きなことをやって、生きていいと考えていない」ことです。
日本人は小さい頃から、「自分のことだけ考えちゃダメよ」と、聞かされて育ってきました。
それに加えて、「仕事は厳しいものだ」という考え方が根づいています。
仕事観や人生観が、「好きなことをやって生きている=無責任」という“常識”があるかぎり、「大好きなことをやろう」と思い立ったり、自分の好きなことを見つけようと思っても見つけられないのも、当然なのです。
最初に倒すのは、小さなドミノでいいのです。それがだんだん徐々に大きいドミノになって、マットレスまで倒すことができるわけです。
ということは、自分が今、最初に倒さなければいけないドミノは、「自分は好きなことをやってはいけない」という制限を外すことかもしれません。これがある意味、いちばん大きなリスクかもしれません。
「自分が大好きなことをやったら、どういう人生を生きているのだろう」とイメージすることが、最初のドミノを倒すための大事な行動なのです。『大好きなことをやって生きよう!』 第2章 より 本田健:著 フォレスト出版:刊
「大好きなこと」ができない、探そうとしない。
その一番の原因は、自分自身の心の中にあります。
「こんなことやって何になるんだ」
そんな余計なことを考えないことです。
「もし、自分が大好きなことをやったら・・・・」
とイメージすることからすべては始まります。
これまでの常識にとらわれずに、「最初のドミノ」を倒してみることから始めたいですね。
たった1つ必要なものは「好奇心」
本田さんは、大好きなことをやっていく人生に必要なものはない
と述べています。
「勇気」も「お金」も「才能」も、「やる気」でさえ必要はないと言い切ります。
なぜなら、それらがなくても続けることができることが、「大好きなこと」
だからです。
ただ、本田さんは、一つだけ必要なものがある
といいます。
それは、「好奇心」です。
一番大切なのは、自分に対する好奇心です。「本当に自分らしく生きるとしたら、いったい自分はどんな人物になるのだろう」という好奇心です。
何にでも興味を持つ人は、心が柔らかい人です。
そういう人は、人との出会いにも熱心です。
好奇心から次々と自分のやりたいことを追いかけていくうちに、自分の選んだ分野でも結果を出せるようになります。
落ちこんでいるときに、人は好奇心を持てないものです。
もしあなたが小さい頃、好奇心を持っていたのに、今、好奇心を持てない状態になっていたとしたら、まずはそのあたりから始めてみましょう。『大好きなことをやって生きよう!』 第2章 より 本田健:著 フォレスト出版:刊
「大好きなこと」を探すには、さまざまなことに興味をもつ必要があります。
「大好きなことなんてない」
そういう人は、この好奇心が足りない人です。
大好きなことをすることから離れすぎていたので、心が凝り固まっているのでしょう。
「趣味」が「仕事」に変わるとき
「大好きなこと」を続けていくと、いずれ「大好きなことを仕事にしたい」と考える始めるかもしれません。
大好きなことを仕事にしよう。
そう考える人はたくさんいますが、ちゃんと生活できる人はほとんどいないの実情です。
どの世界でも、アマチュアが多い中で、プロになれる人はごくわずかです。
理由は明快で、「お金を払うだけの価値を提供できる人が少ないから」です。
では、趣味が仕事に変わる瞬間は、いつなのでしょうか?
それは、ただ楽しいだけでやっていたことが、まわりに評価され、お金を払ってもいいからお願いしたいと言われ始めるときです。
突然、それはやってきます。
「講演してくれませんか?」「コンサルティングをしてくれませんか?」「今度のパーティーで、料理を作ってくれませんか?」「雑誌に記事を書いてください」「今度ステージで歌ってくれませんか?」
その依頼に、あなたは戸惑うかもしれません。そして、「ええ!?自分にできるだろうか?」とドキドキするでしょう。
でも、そのときに尻込みしていては、チャンスの神様は行ってしまいます。
あなたに見えたチャンスは、あなたのものです。
自分に来たチャンスは「きたぁ~。つかまなくちゃ」と思って、飛び込んでいってください。きっと、そこから、おもしろいドラマが展開していきます。
結果的にうまくいかなかったとしても、その失敗が経験となって、未来に生かされていきます。
ドキドキしたとき、怖いときは、前に進むサインだと思ってください。『大好きなことをやって生きよう!』 第4章 より 本田健:著 フォレスト出版:刊
本人がいくら楽しくても、お金を喜んで払う人がいなければ、それは、単なる趣味です。
本田さんは、プロとアマの最大の違いは、プロはどんなときにも結果を出さなければいけないことだ
と強調します。
逆にいうと、プロとアマの差は、「結果」の部分だけだといえます。
一流になって大金を稼ぎたいならともかく、知人に「お金を払ってもいいからお願いしたい」と言われるレベル位ならば、何とかなりそうですね
自分が大好きだと感じたことを始めて、それを続けてみる。
やっていくうちに「結果」を出せる手応えをつかんだら、プロになる(お金をもらうようになる)という選択肢を頭に入れればいいということです。
最初から、「自分には無理だ」とか「こんなことをやっても仕事にならない」と考えて、大好きなことをやらないのはもったいないです。
逆に、これはお金になりそうだからといって始めても、大好きなことでなければ長続きもしないし、上達もしないでしょう。
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☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆
本田さんは、「ライフワーク」という考え方を提唱しています。
ライフワークは、自分が生まれてきた目的です。
ライフワークをやるために必要な才能は、すべて与えられています。
それらが掛け合わさったときに、初めてライフワークにたどり着けます。
ただ、そこまでの道のりで、持って生まれた才能を一つ一つ発見して、磨き上げていく必要があります。
もし、今、やりたくないことをやっているのだとしたら、それは、ライフワークに必要な才能の一つを磨き上げている最中です。
イヤイヤやっている仕事も、「あとで何かの役に立つかもしれない」と思うと、少しやる気も出てきますね。
「回り道」で身につけたスキルや視点は、蓄積されていきます。
「大好きなことをする」ことは、ライフワークに必要な才能を見つけ出す作業でもあります。
自分の大好きなこと、自分のやりたいことをやっていると、「自分にはこんな一面があったんだ」と自分でも驚くほどの発見があります。
自分の生活の中で「大好きなこと」をやる時間が増えるほど、気持ちが前向きになります。
自分の周りの状況が好転していくことは、間違いありません。
その「大好きなことをする時間」比率が臨界値を超えたとき、一つのきっかけで、つまらなかった生活に急に開けてくる。
人生とは、そんなものなのかもしれませんね。
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