【書評】『「体幹」を鍛えるとなぜいいのか?』(木場克己)

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 お薦めの本の紹介です。
 木場克己さんの『「体幹」を鍛えるとなぜいいのか?』です。


 木場克己(こば・かつみ)さんは、アスレティックトレーナーです。
 整形外科やスポーツクラブなどで多くの人たちのリハビリやコンディショニングトレーニングの指導を行っておられます。

「体幹を鍛える」がブームになっている理由は?


 木場さんのクライアントには、世界で活躍するトップアスリートも多く含まれます。
 現在、ヨーロッパで活躍中のサッカー日本代表、長友佑都選手もその中の一人です。

 長友選手がJリーグ・FC東京に所属していた頃、木場さんの指導のもと「体幹」を鍛えるトレーニングを通じて持病の腰痛を克服したエピソードはよく知られています。

 長友選手は、「体幹」を鍛え上げることで、巨漢選手に当たり負けしない強靭な体を作り上げることに成功しています。
 長友選手の影響などもあり、「体幹」を鍛えることはちょっとしたブームとなっていますね。

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体幹とは体のどの部分を指す?


「体幹」とは、頭と手足を除いた胴体の部分で、胸部、腹部、腰部、背部の4つで構成されています。

 これらに関係する筋肉を強化することを、一般的に、「体幹トレーニング」と呼びます。

 体幹は、動いているときの動作だけでなく、「立つ」「座る」「歩く」といった人間が姿勢を維持するうえで重要な働きを担っています。樹齢何百年というような幹の太い樹木を想像してみてください。太くて立派な幹は、年輪をみるとわかるように中心部から外部に向かって、何層にもきれいにバランスよく厚く重なっています。そして、その中心部がしっかりしていると、樹木はまっすぐに美しくそびえたつことができるのです。
 そして、人間でいうところの中心部、つまり幹は、主に背骨から腰にあたる脊柱です。その太い骨の周りにある体幹部の筋肉をしっかり鍛えて固めることで、これらの骨が安定し、正しい姿勢を維持できます。
 体幹部の骨組みの中心は、緩いS字カーブを描く脊柱です。上から見ていくと、頭蓋骨を支える首の骨である頸椎、その下に12個の骨からなる胸椎、そして腰の骨にあたる腰椎で形成されており、体幹部の安定に重要な役割を果たす骨盤へとつながっています。体幹トレーニングによって、脊柱を正しいS字カーブに維持しなければなりません。しかし、何らかの要因でこの脊柱が必要以上にゆがんでしまうと、その結果、肩こり、腰痛、猫背、頭痛といった様々な体の不調、さらにはケガにつながります。ですから、体幹強化による正しい姿勢の保持こそ、体幹トレーニングの基本といえるでしょう。

 『「体幹」を鍛えるとなぜいいのか?』  第1章 より  木場克己:著  PHP研究所:刊

 体幹を鍛えるということで、立っているときも座っているときも、正しい姿勢をキープできるようになります。

 また、手足の筋肉も含めて、人間が行うすべての動作は体幹部の筋肉が起点となっています。
 そのため、スポーツなどのパフォーマンスが上がるだけでなく、階段を昇り降りしたりする普段の行動も楽々こなせるようになるメリットもあります。

 骨盤につながる腹部の筋肉を鍛えることにもなるため、内蔵の働きも活発となり、便秘などのおなかの不快な症状を解消するという効果もあります。

「インナーマッスル」と「アウターマッスル」


 体幹部分の筋肉は、「インナーマッスル」「アウターマッスル」の二つに分類されます。

 インナーマッスルは、深層筋とも呼ばれます。
 骨に近い体の奥にある部分に位置し、姿勢の維持や、関節の可動をスムーズにするなどの役割を担う筋肉です。

 主なインナーマッスルには、次のようなものがあります。

  • 脊柱を支え、上体を後ろに反らせたり、重いものを持ち上げるときなどに作用する「脊柱起立筋」。
  • 腹部を覆うように構成され、体幹部や骨盤を安定させるために役立つ「腹横筋」。
  • 背骨から太ももの付け根に伸び、歩行や走行の際、太ももを引き上げる役割を果たす「腸腰筋」。

 インナーマッスルは基本的に骨際についており、特に人間の背骨である脊柱を安定させ、正しい姿勢を保つことが大きな目的です。
 脊柱を積み木に置き換えて考えてみましょう。本来、脊柱はインナーマッスルに支えられ、きれいに積み上がった積み木のようにまっすぐ伸びています。しかし、インナーマッスルが弱いと、その正しく積み上がった積み木がずれる、つまり脊柱にズレが生じます。そうすると積み木が崩れるかのように、骨盤のゆがみや姿勢の悪さにつながり、健康面でさまざまな弊害が起きます。
(中略)
 インナーマッスルは意識的に動かすことが難しい筋肉ですから、トレーニングによって意識的に刺激を入れ、その周囲にある筋肉も連動して動かせるようにしなければなりません。もし、インナーマッスルが強化されておらず、筋肉の連動性もない状態では、急に横から押されたときなどに体勢が崩れ、脊柱にズレが生じ、腰の痛みに襲われるケースもあります。

  『「体幹」を鍛えるとなぜいいのか?』  第2章 より  木場克己:著  PHP研究所:刊

 一方、アウターマッスルは、表層筋とも呼ばれ、体の表面に近い部分にある筋肉の総称です。
 代表的なものに、以下のようなものがあります。

  • わき腹にあって肋骨と骨盤につながり、体をひねる、あるいは横に倒すといった際に作用する「腹斜筋」「腹横筋」。
  • おなかの中心にあり、体を前に倒すときに作用する「腹直筋」。
 体幹トレーニングとは、このインナーマッスルとアウターマッスルともに、バランスよく強化するトレーニング方法です。

 本書では自宅でも簡単にできる体幹トレーニング方法が写真付きで色々紹介されています。
 鍛えたい部位をいくつかチョイスして、実際にやってみましょう。

ストレッチがもたらす「血管のポンプ効果」と「神経の促進」


 体幹トレーニングを行う際には、ストレッチを行うと、より高い効果を得ることができます。

 ストレッチによって、結果のポンプ作用が働きます。筋肉を伸ばすと、固まっていた筋肉とその周囲の毛細血管が緩みます。血管が緩めば、それまで細くなっていた血管が太くなり、血液を送り出すための「ポンプ作用」が機能するので、血液循環がよくなるのです。
 その結果、他の周囲の関節や筋肉の神経や血液が行きわたるようになり、体全体に力が入りやすくなります。
(中略)
 さらに、腱などにある固有受容器(外からの刺激を受けて反応するセンサー)に刺激が加えられ、体が動きやすくなる面もあります。ストレッチによって、体の神経同士をつなぐシナプスの働きがよくなり、体の末端にまで神経が伝わるようになるからです。これは神経筋促通法とも呼ばれ、脳脊髄障害の治療にも応用されているほどです。
 また、血液の循環がよくなれば、疲れにくい体にもなれます。血液を通して体内に行きわたるようになるため、疲労の原因となる乳酸がたまりにくくなるのです。
 筋肉の内部にとどまった乳酸は、筋肉を酸化させて筋活動を不活発なものにし、筋疲労を起こしてしまいます。しかし、ストレッチによって、体内の血液循環を良好な状態にしておくと、乳酸は血液の流れとともに運び出され、エネルギーとして利用されます。また日ごろのストレッチにより、関節の可動域が広がって動きがスムーズになり、体が動かしやすくなります。

 『「体幹」を鍛えるとなぜいいのか?』  第2章 より  木場克己:著  PHP研究所:刊

 ストレッチには、ケガの防止以外にも、色々な効用があったのですね。

 デスクワークで、座りっぱなしの人ほど、ちょっとした時間にも取り入れていきたいですね。

「ミュージシャン」と「体幹」の関係性


 体幹トレーニングを取り入れるミュージシャンが増えています。
「体幹トレーニングにより声量がアップする」というのが、その理由です。

 ミュージシャンが、ステージでよいパフォーマンスを見せるための重要なポイントのひとつに、声量があります。実はこの声量を体幹トレーニングで大きく向上できるのです。ポイントは肺を大きくすること。そうして酸素を大量に取り込み、おなかから声を出すことによって声量アップにつながって、響くような大きな声を出せるのです。
 重要なのが、肋骨と肋骨の間にある肋間筋の動きの拡大です。この筋肉を広げてしっかりと動かすことで、より多くの酸素を体内に取り込めるようになります。
 さらに、肺を大きくするためには、背中の筋肉を柔軟にする必要があります。背筋が硬く縮こまってしまうと、大きく息を吸い込むことができません。
(中略)
 背筋と肋間筋には密接な関係性があります。肋間筋が大きく動かなければ、肺が大きく広がらないだけでなく、呼吸をする際に背筋を過剰に使ってしまうため、背中が張ってきてしまうのです。するとアゴが上がってしまい、大きな声が出ないという悪循環に陥ります。

 『「体幹」を鍛えるとなぜいいのか?』  第2章 より  木場克己:著  PHP研究所:刊

 マラソンランナーも、レース前日に背中の筋肉をほぐして、肺に大量の酸素を取り込めるようにします。
 それだけ、背筋の柔軟性というものは呼吸の時に大切だということですね。

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 特別な器具を使わずに、どこでも自分の体の重みだけを利用してできる、KOBA式「体幹」トレーニング。

 日頃、運動不足で体調がイマイチ・・・・。
 そういう方は、一度試してみる価値はあります。

「体幹」を鍛えて、見た目だけでなく、体の中から美しくなる健康作りを目指したいですね。


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