【書評】『最強の働き方』(ムーギー・キム)

LINEで送る
Pocket

 お薦めの本の紹介です。
 ムーギー・キムさんの『最強の働き方;世界中の上司に怒られ、凄すぎる部下・同僚に学んだ77の教訓』です。

 ムーギー・キムさんは、投資家・ビジネス作家です。
 大学卒業後、外資系金融機関の投資銀行部門にて、日本企業の上場および資金調達に従事されています。
 その後、外資系資産運用会社のバイサイド・アナリストやプライベート・エクイティ投資業務などのご経験を積まれました。

一流への道は、「一流の基本」から!


 キムさんは、勉強ができるかどうかを示すIQと、一流の仕事ができるかどうかを示す「仕事のIQ」は種類が違うと指摘します。

 本書の目的を一言で書けば、自分が自己実現できる分野を選んで「一流(ファーストクラス)の仕事をするためにはどうすればいいか?」という問いに対して、読後に具体的な行動指針を得られるようにすることである。
(中略)
「ファーストクラス」というのは、何も飛行機のファーストクラスに乗るごく一部の、いわゆるエリートビジネスパーソンや、歴代都知事の座席を指しているわけではない。
 ここで意味するのは業界を問わず、自分の選んだ分野で「最高水準の仕事をする一流のプロフェッショナル」のことだ。
 そして「自分にとっての最高水準の仕事をする」ための行動指針を、「基本」「自己管理」「心構え」「リーダーシップ」「自己水準」の5つの視点で浮き彫りにし、実際に具体的な行動に落としこむ支援をすることが、本書の目的である。

 本書で書かれている77ヶ条の教訓は、学歴やIQのよさにかかわらず、誰でも取り入れられる基本的かつ具体的なものばかりを厳選している。言い換えれば、IQや学歴が高くても、コレができない人はいい仕事ができない。逆にコレができる人は、IQや学歴が特別高くなくても、最高水準の仕事ができるのだ。

 『最強の働き方』 はじめに より ムーギー・キム:著 東洋経済新報社:刊

 仕事をしていくうえで、IQよりも大切なこととは、いったい何でしょうか。

 本書は、あらゆる職業で重視される「一流の基本」を、わかりやすくまとめた一冊です。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

スポンサーリンク

できる人ほどメールは即リプライ


 仕事ができる人のメールの最大の特徴は、「返事が速い」ことです。
 まるで、卓球のピンポン球並みに瞬時に返ってきます。

 メールへの返事が遅いと「相手から軽視されているのかな・・・・・」と不信が募るものだし、返事がなかったりすると、「失礼な人だな」という印象が残り、そんな小さなこと一つひとつが相手に対する感情や評価を大きく左右する。
 とりわけ上下関係(年齢的な)を重んじる上司や年長者の場合、若者や後輩からのこの手の非礼で憎悪を燃え上がらせることは少なくない。

 誰かに会ったあとの「お会いできて光栄です」メールも、相手が送ってくる前にこちらから先制攻撃で送るのが基本だ。「お礼の賞味期限は短い」とは、よくいったものである。
 できればその日のうち、遅くても翌日に「取り急ぎお礼まで」と送ることで、メールの威力も格段にアップする。
 人に会ったあとにお礼メールを先にもらってしまったら、心の中で白旗を上げて敗北宣言をし、次こそは「先制お礼メール」を発射することにしよう。
(中略)
 たかだかメールの返事のスピードくらい、と思ってはならない。これは一事が万事で、「いまできる仕事はすぐ片づける」習慣の有無が、メールの返信速度ひとつに如実に反映されるのだ。メールの返信速度が遅い人は、仕事の進捗もたいてい遅く、デッドラインも破りがちで、どんな仕事でも結局後回しにする習性があるものである。
 何かと集中力や責任感があり、重要な仕事を任され、相手の気持を汲んで仕事ができている人は、総じてメールのスピードも速い。そして実際の話、メール一本でその他多くの仕事能力が想像されてしまうのだ。

 親愛なる読者のみなさん、思い立ったが吉日、いまはこの本を読んでいる場合ではない。いますぐこの本を本棚のいちばんいいところに戻して、返信せずに溜まっているメールにすぐに返事を書こう。
 誰かからメールをもらったら、「自分は卓球の世界選手権に出場中」だと暗示をかけて、福原愛選手のように「サーッ!」と叫んで、返信しようではないか。
 メールを瞬時に返すことには、いまある仕事を後回しにしない自制心、何事も締め切り寸前ではなく前倒しで行う自己規律、そして相手への敬意や配慮の有無など、仕事の生産性の高さにまつわるすべてがあらわれてしまうのだ。

 『最強の働き方』 第1章 より ムーギー・キム:著 東洋経済新報社:刊

 メールの返信は、必ずしも優先順位が高いものではありません。
 つい、後回しにしてしまいがちです。

 ただ、どんなメールでも、5分もあれば、中身を確認して返信することは可能です。
 うっかり返信し忘れないためにも、メールの返事は、その場でその場で瞬時に行う。
 ぜひ、徹底したいですね。

「心のストレス引当金」を積む


 一流のリーダーたちは、思いつきや感情に流されることはありません。
 何かにつけて厳格な「自己規律」(Discipline)をもって人生を歩んでいます。

 たとえば、内面管理。
 キムさんは、大成する人は、ストレス耐性も強いと指摘します。

 私たちの日常は、小さな怒りから大きな激怒まで腹の立つことが多いものである。
 しかしそのたびに「転職してやる!」「別れて新しい恋人を!」などと腕まくりしていきり立っているようでは、人はいつまでも進歩しない。結果的に、新しい会社や新しい恋人とも、同じような問題がひたすら繰り返されることになるだろう。

 しかしながら、無駄な仕事を指示してくる上司や、期限どおりに正確な資料を仕上げない部下、自分のことは棚に上げて怒りをぶつける恋人に対して、大きなフラストレーションを感じない人はいないだろう。

 こんな諸々の人間関係のストレスにめげずに明るく前向きにがんばるためには、どうすればいいのか。
 その解決策はズバリ、「心のストレス引当金」を積んでおくことである。

 引当金とは、たとえば「貸倒引当金」でいうと、ある銀行がとあるお客さんに1万円貸したら、「1万円のうち2000円は返ってこないもの」とハナから諦めてその期に2000円を損失処理するという考え方である。
 よって2年後に実際8000円しか返ってこなくても、その期には2000円の損失は発生しないみなす、なぜなら2年前にその損失の覚悟と心の準備はしてしまっているから、というのが「引当金」の考え方である。
(中略)
 これと同じで、人間関係のストレスを減らすには「心のストレス引当金」を積むことが大切だ。
 常に一流のクオリティを目指すのはプロフェッショナルとして当然の本分ではある。しかし実際には自分の努力ではコントロールできないことも多い。理不尽な現実社会との折り合いをつけるべく、心のストレス対策もしてバランスをとらなければならない。

 上司からの指示を受けるときは、「どうせ上司の指示の3割は意味がなく、不愉快で腹立たしいものだ」と最初から諦めておく。部下に指示をするときも「どうせ部下は指示の3割は突き返してやってくれないか、できても役に立たないひどい仕事だ」とハナから諦めておくのだ。
 恋人に関しても同じで、「正当とは思えない理不尽な理由で八つ当たりされ、かつ自分のことを棚に上げて怒鳴り散らされるものだ」と最初からある程度、諦めておくのである。

 この「心のストレス引当金」を積むことは、職場やプライベートでの不愉快な出来事に関し、あなたがそれを「アッケラカン」とやり過ごすのに大きな役割を果たす。
 なにせ、すでに最初の段階で、不愉快な事態になることが想定されている。よって、仮に部下の仕事や恋人の振る舞いがひどくても、あなたは激怒の台風に襲われることなく、台風の目の中で冷静にやり過ごすことができるのだ。

 『最強の働き方』 第2章 より ムーギー・キム:著 東洋経済新報社:刊

 人間関係にストレスはつきもの、だから、最初から「ストレスはあるもの」だと考えておく。
 そうすれば、いざストレス受けたときのダメージは、小さくて済みます。

 突発的なトラブルへの備えが大事。
 それは、メンタルヘルスについても同じだということですね。

自分でやるべき仕事は、自分で考える


 キムさんは、主体性の有無はあらゆる職業で一流と二流を分けると述べています。
 一流と二流の心構え(マインドセット)の差は、主体的に最高水準の仕事を目指せているかに尽きるとのこと。

「自分が主体的に取り組む仕事でないと、いい仕事はできない」というのはビジネスの大原則である。自分が面白いと思って能動的に全力投球できる仕事でないと、結果的に大きな成果など残せないのだ。
(中略)
 そもそも人は、上司にやることをすべて指定されると、自分で差別化する要素が極端に減ってしまう。自分が苦手な仕事ばかりやらされて腐ってしまう前に、自分の強みが活かせて、面白い勉強になる仕事を主体的に創出していかなければならない。
(中略)
「会社であなたが何をすれば、会社にとって一番の貢献になるのか。どんな仕事ならば自分の強みが発揮でき、楽しみながら絶大な貢献ができるのか」
「自分をビジネスの能動的な主体ととらえ、ビジネスやプロジェクトの起点になったものがいくつあるか?」
 この問いを自分に投げかけず、指示されるがままやっているようでは所詮、いつまでたっても二流なのである。

 苦手か興味のない仕事で、うまくできるようにがんばっても、成果はたかが知れている。自分の興味と強みを発揮できて、かつ会社と顧客にとってもありがたい仕事を自分でつくる主体性こそが大切なのだ。この「自分で始めることで生じる責任感」は甚大で、それが仕事を最後までやり抜く原動力にもなるのである。

 なお、これはもちろん、自分の義務である目の前の仕事をやったうえで「主体的に考えよ」と言っていることを忘れてはならない。

「来週金曜まで」と指定された打ち合わせ資料を用意せずに「何をやっていたんだ!」と上司に叱られたときに、「私は会社とってありがたい戦略的に重要な仕事を、自分で考えてやるのです(エッヘン!)」みたいな態度だと、仕事の順番が大いに間違っているのである。あくまで目の前の義務を果たしたうえで、主体的に面白い仕事をつくっていってほしい。

 『最強の働き方』 第3章 より ムーギー・キム:著 東洋経済新報社:刊

 上からの指示に従って、言われた通りに作業をするのは、ある意味、とても楽です。
 ただ、それでは、「自分の仕事」とは言えません。

 自分で考えて企画し、計画を立てて、そのその通りに実行していく。
 自分の責任でプロジェクトを進めるのは、プレッシャーもありますが、やりがいも大きいです。
 能動的に仕事をする意識、ぜひ、身につけたいですね。

「信頼」こそがリーダーシップの基本


 大きな成功を収めている一流の人物が、異口同音に主張すること。
 それは、信頼こそが成功の秘訣だということです。

 もちろん仕事上の信頼という意味で、プロとして自分に任せてくれて大丈夫なことと、期待に応えられないことを明確に知っておくのは重要である。
 しかしこれら一流の人材に共通するのは、プロフェッショナルとして信頼される以前に、そもそもひとりの人間として信頼され、尊敬されているということである。

「相手のために何かをやってあげたい」と思うかどうかは、基本的に「相手への信頼感」が土台になっている。この信頼感こそが、名刺の上に書いてある名前を「たんなる知り合い」から、「いざとなったらあなたのために、ひと肌脱いでくれる人脈」に変えるのである。

 この意味で、どれほど人から信頼されているかが、自分自身のリーダーシップのサイズを決定するともいえる。
(中略)
 信頼を語るうえで大切なのは、リスク管理の徹底だ。
 一流のプロフェッショナルは攻めに強いだけでなく、守りにも強い。
 ビジネスの現場で最も大切な「守り」がコンプライアンス意識の徹底である。
 世の中を騒がせる著名経営者や投資家がいとも簡単に監獄行きになる例は枚挙に暇がないが、たいてい足をすくわれるのは法令違反である。世に出て大きくなろうとすればするほど、「どこをつつかれても痛くも痒くもない」状態を保つため、リスク管理の徹底が事業の継続性を大きく左右する。
 私の尊敬する柴刈さん(仮名、58歳)は、常々「反社会性力と絶対に付き合うな」と口を酸っぱくして私に教え諭してくれたものだ。

 信頼を得るうえで大切なのは、当たり前だがまずもって嘘をつかないこと、相手の話を聞くこと、自分の意見を押し付けないこと、時間を守ること、ミスがないこと、約束を守ること、そして「気づかなかった」を言い訳にせず、間違っても反社会勢力と付き合わないことである。

 歴代の失脚した著名経営者や政治家を思い起こせばわかるように、せっかくのキャリアで足をすくわれないために大切な守りのリーダーシップの要は、コンプライアンス、お金の適切な使用、そして法的なリスクをきちんと管理することなのだ。
 信頼を常に第一に考えている人は信頼を失うリスクにナーバスである。彼らの座右の銘は「信頼を貯金する」であり、短期的に損をしても、長期的な信頼を重視する。
 公明正大なので腹を探られてもまったく痛くなく、その誠実さからしまいには「ありがたい後光」が差すレベルにならなければ、真の一流への道のりは遠いのである。

 『最強の働き方』 第4章 より ムーギー・キム:著 東洋経済新報社:刊

 誰でも、しょっちゅう約束を破る人とは、一緒に仕事をしたくはないですね。
 信頼できる人には、自然と、人は集まってきます。

 相手との信頼を築くのには、相当の時間がかかります。
 しかし、壊れるのは一瞬です。

 慢心せず、つねに謙虚に。
 着実に「信頼貯金」を増やしていきたいものです。

スポンサーリンク

☆    ★    ☆    ★    ☆    ★    ☆

 世界を股にかけて活躍する、グローバルエリートたち。
 彼ら彼女らは、高度なスキルを駆使して、他の人の追随を許さない、圧倒的なパフォーマンスを生み出します。
 持って生まれた能力に加えて、絶え間ない日々の努力。
 それらが、彼ら彼女らを超一流のビジネスパーソンに押し上げたのでしょう。

 とはいっても、高度なスキルを支える土台の部分は、私たち一般のビジネスパーソンが求められていることと、まったく同じです。
 超一流の人ほど、誰でもできる基本的なことをおろそかにしません。
 高いビルを建てるのには、しっかりした基礎が必要。
 そのことが身にしみてわかっているのでしょう。

 一流の仕事は、「一流の基本」から。
 将来、自分が本当にやりたい仕事をしたい。
 本気でそう考えている人は、本書を読んで、「一流の基本」を学び、足元を固めて“来るべきとき”に備えることをお勧めします。

 

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ(←気に入ってもらえたら、左のボタンを押して頂けると嬉しいです)

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 15

フォローする

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA