【書評】『できる男のメンタルコンディショニング』(船瀬俊介)

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 お薦めの本の紹介です。
 船瀬俊介さんの『できる男のメンタルコンディショニング』です。

 船瀬俊介(ふなせ・しゅんすけ)さんは、食品・医療・環境問題に取り組むジャーナリスト、評論家です。

一生の呼吸数は決まっている!


「われわれに与えられている一生の食べ物の量や、呼吸する回数は、生まれたときから決まっている・・・・・」

 これは、インドのヨギ(ヨガ行者)バーバの言葉。
 船瀬さんの師、世界的ヨガ指導者、沖正弘導師が、若いころに出会って得た教訓です。

 そのときバーバの年齢はなんと152歳! インドでも伝説的な超人です。
 彼は、若い沖青年に、つぎのように、ゆったりと諭(さと)したのです。
「・・・・・だから、できるだけ少なく食べ、呼吸や脈をゆっくりするのが、長生きの基本となるのだ」
 その生き方は、まさに長寿法のテキストといえます。
「食事の量は、実に少食だった。一日の食事が、小さな皿に一杯ぐらいだ。主食は、玄米やアワなどを蒸したものとか、玄米粉とソバ粉を混ぜたもの。副食は、日によってちがうが、牛乳、青菜、ニンニク、玉ネギ、青トウガラシ、ニンジン、豆類など、すべて生で食べていた」「果汁、リンゴ酢、マンゴー酢、サトウキビ汁、蜂蜜、クルミを常用し、ヤシの汁なども、ときどき飲んでいた」(沖正弘『ヨガの楽園』光文社)
(中略)
「何を食べるときでも、よく噛む。水や牛乳は、口に入れておいて、唾液を多く含ませるようにする」「少し食べて、多く動き、よく眠るのがよい。身体をぐっと縮めると、全身の血行がよくなって、骨が強くなる。呼吸を止めて、身体に力をこめたり(クムバク)するのは、その意味でよいのだ」(同)

 『できる男のメンタルコンディショニング』 はじめに より 船瀬俊介:著 主婦の友社:刊

 少食とゆったりした長い呼吸が、健康長寿の秘訣。
 西洋医学が、近年、ようやくたどり着きつつある真実を、バーバは、数十年も前にすでに知っていたのですね。
 ヨガの世界の奥深さを知らしめるエピソードです。

 本書は、ヨガの叡智から得られた、健康的に長生きするための方法を、呼吸法を中心にまとめた一冊です。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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自律神経を動かす「呼吸法」


 “体毒”と並んで、病気の二大原因として挙げられているのが、“苦悩”です。

 苦悩、つまり、ストレスにより、猛毒「アドレナリン」が分泌されます。
 アドレナリンは、“怒りのホルモン”と呼ばれ、その毒性により全身の臓器を傷つけ、万病を引き起こすとのこと。
 この“苦悩”を消す秘訣は、「呼吸」にあります。

 猛毒のアドレナリンは、交感神経を緊張させます。ところが、交感神経の緊張が、さらにアドレナリン分泌を加速させるのです。まさに、エンドレスの連鎖反応です。
 その悪循環を断ち切るには、交感神経の緊張をほどけばいいのです。
 するとアドレナリン分泌もおさまります。
 では、交感神経の緊張をゆるめるには、どういう方法があるのでしょう?
 それは、深い、長い呼吸をすることです。
 交感神経も副交感神経も自律神経系です。自律とは自分でコントロールしている、という意味です。みずから心臓の鼓動や血圧や睡眠などを支配しているのです。
 あなたは、自分で心臓の鼓動を止めることはできないでしょう。
 それら臓器の働きは、自律神経が支配しているからです。
(中略)
 ところが、おもしろいことに、呼吸のみが、その自律神経にはたらきかけることができるのです。つまり、呼吸は自律神経をコントロールする。そして、究極には、心身を自分で制御することすら可能にするのです。
 5000年も昔、ヨガの行者はその真理に気づき、心身のコントロールの方法を会得(えとく)しました。それが、「長息(ちょうそく)呼吸」です。
 大きく、深く、長く吐くのが「長息呼吸」。小さく、浅く、短く吐くのが「浅息呼吸」です。「ムカムカ」「イライラ」していた人も、この深い「長息呼吸」をゆっくり行ううちに、「怒り」「不快」がしだいに消えていくのを感じるはずです。
 さらに、血流が改善、促進され、体内にたまっていた“毒素”も、肝臓で分解、解毒され、消え失せていきます。
 だから、あんなにおさまらなかったムカつきや不快感も、どこかにウソのように消え失せてしまうのです。

 『できる男のメンタルコンディショニング』 第1章 より 船瀬俊介:著 主婦の友社:刊

 病気のもうひとつの原因、“体毒”は、「ファスティング(少食・断食)」で排毒することができます。
 つまり、“食事”と“呼吸”のコントロールを完璧にマスターすれば、みずからの心身、つまり人生をも完璧に制御することが可能となるということ。

呼吸が決める「気」の流れ


 生命には、「つねに、正常を保とう」とする働きがあります。
 それは、「ホメオスタシス」と呼ばれます。
 病気やケガをしたときに働く自然治癒力なども、ホメオスタシスの一種です。

 ホメオスタシスの働きの元になるエネルギー。
 それを、東洋漢方では、「氣」といい、ヨガでは、「プラーナ」と呼びます。
 いずれも、生命エネルギーを指し、生命の体だけでなく、宇宙全体に満ちています。
 つまり、宇宙エネルギーが、生命エネルギーに転化しているということ。

 船瀬さんは、「宇宙」の存在と「人間」の存在は同一であると指摘します。

「身体のことは、身体自身に聞いてそれに従いなさい。生命即神――である」
「宇宙」は神であり、「人間」も神なのです。よって、「生命」も神そのものです。
 なんだか、宗教くさくなってしまいましたが、これらは真理です。
 宇宙エネルギーは人間を活かします。それが、気エネルギーです。
 宇宙に「気」が満ちているとともに、人体にも「気」は満ちています。
 そのエネルギーの流れが、生命現象の根幹といえます。
 東洋医学では、「気」エネルギーの流れる経路を「経絡」としてとらえています。
 そして、その「経絡」の交わる箇所が「経穴」です。よく“ツボ”といいます。
「経絡」「経穴」の存在は、遅ればせながら西洋医学も認めています。
 あなたは、アメリカに公私立のアキュパンクチャ(鍼灸)スクールが何百校もあることを、ご存知ですか?
(中略)
 さらに、人体には背骨に沿って、大きな「気」の流れが存在します。
 それが“チャクラ”です。つまり、「気」のメインストリートですね。
「気」がスムーズに全身をめぐっている状態が、もっとも理想的な心身の状態といえます。
 その「気」の流れを調整し、決定づけるのが、呼吸なのです。
 呼吸とは、単に酸素を鼻から吸って、出しているだけではありません。
 むろん、酸素を肺にとり込み、それを血液によって全身にめぐらせるのも、呼吸のたいせつな働きです。しかし、それだけではない。
 空気を吸うことは、宇宙エネルギーすなわち「気」を、体内にとり入れることでもあるのです。そして、それを全身にめぐらせる。
(中略)
「気」エネルギーは全身をめぐる、といいました。
 そのエネルギーにも中心点があります。それが、「丹田」なのです。
 昔の人はよくいいました。「臍下(せいか)丹田に意識を集中しろ!」
「丹田」とは、いったいどこにあるのでしょう。「臍下」というから、おヘソの下ですね。
 それでも、まだよくわからない。それは、具体的には、おヘソと肛門をむすぶ線の中間点にあります(下図を参照)。
 この「丹田」は、生命エネルギーである「気」の中心点であると同時に、意識すなわち「心」の中心点でもあります。
 よく、「あの人は肚(はら)が据わった人だ」などといいます。「心」が落ち着いている人は、肚つまり「丹田」にいつも、意識が集中しているのです。ぎゃくに、「あがる」といいますね。会社のプレゼンなどで、緊張してカーッとなり、頭が真っ白になった、などというそれです。
「いやぁ、あがっちゃって・・・・・」
 と、頭をかく。それは文字どおり、「気」が頭にあがってしまった状態です。上気とは、よくいったものです。

 『できる男のメンタルコンディショニング』 第2章 より 船瀬俊介:著 主婦の友社:刊

丹田 の位置 第2章 P53 JPG
図.「丹田」の位置 (『できる男のメンタルコンディショニング』第2章 より抜粋)


 私たち人間も、宇宙の一部。
 宇宙エネルギーである「気」を取り入れるのが、「呼吸」です。
 そして、「気」エネルギーの中心点となるのが、「丹田」と呼ばれる場所です。

 丹田を中心とした、深く、長い呼吸。
 いわゆる「丹田呼吸」が、生命力を高める上で不可欠な要素となります。

「肛門」を締めると、下半身が締まる


「丹田」に意識を集中するための簡単な方法。
 それは、「肛門を締めること」です。

 かんたんなコツがあります。それは、肛門を締めることです。わかりやすく言えば「尻の穴を締めろ!」です。それがどうして「丹田」への意識集中になるのでしょう?
 ためしに締めてごらんなさい。ホラ、無意識に、あなたの意識は下腹に移ったでしょう。そこが「丹田」の位置なのです。肛門を締めると、ググッと上のほうにすぼまるのを感じるはずです。肛門が、「丹田」の方向に引っ張られているのです。
 下腹の腹筋に力が入っただけでなく、お尻や腰の筋肉もグッと引き締まったはずです。この「腰全体が締まった」感覚こそが下半身が充実した状態なのです。
 つまり、肚(はら)が据わった人は、つねにこういう状態を保っているのです。
 いま、腰全体に感じているどっしりとした感覚を忘れないでください。
(中略)
 沖先生も、「肛門を締めよ」と指導しています。
「・・・・・ヨガでは、丹田に力を入れる方法を『クムバク』といいます。それは、肛門を締める方法です。肛門を締めると、自然に丹田に力がこもってきます。精神が安定するほど、背骨に力が入り、上半身の力が抜けるほど、下半身に力が入り、肛門の締まる力が強くなります」
「肛門を締めるには、足の親指に力を入れて、あごを引いて胸をはり、腰を突き出して、骨盤を下げ、ひざの内側に力が入るようにします」
「最高に肛門を締めるには、深く強い呼吸をします。びっくりすると肛門が開き、背骨の力も抜けます。肛門が締まっているときは、目がイキイキとしています。笑うと自然に肛門が締まってきます」(沖正弘『人間としてどう生きるか』(ナツメ選書)
 単に肛門を締めるだけで、人生が生き生きとしたものに、変わってくるのです。

 『できる男のメンタルコンディショニング』 第3章 より 船瀬俊介:著 主婦の友社:刊

 肛門をキュッと引き締める。
 不思議なことに、それだけで下腹に力が入り、背筋がピンと伸びます。
 心も、キリッと引き締まる感じがします。

 慣れるまで少し大変ですが、ぜひ、習慣にしたいですね。

「数息観」でロングブレスを!


 熟達すれば、1分間に1回の呼吸が可能になる「長息法」
 その秘訣は、禅の修行法のひとつ、「数息観」にあります。
 数息観は、息をしている間、数を数える冥想法のことです。

 船瀬さんは、「数息観」で、息に意識を集中して、心の中で数を数えていると、雑念や想念がわいてこない、と述べています。

 休息時とか、布団に横になったときに行います。全身の力を抜き、目を閉じて「イーチ」と数え始めると同時に、大きくゆっくり息を吸います。息を止めて、吸った息(気)が、全身にいきわたるのを意識します。これは「クムバク」です。とめたまま30くらいまで数えます。それから、静かに吐いていく。そのとき「吐こう」と意識せずに、自然に鼻から空気が抜けていく・・・・・ そうしているうちに60まで数えています。つまり、1呼吸で60秒が経過したわけです。
 最近は、80、90くらいまで数えられます。ヨガ行者には、5分に1回という人もいるそうです。
「人間の一生の呼吸数と、食べる量は決まっている」と論じた152歳のヨギの教えを思い出してください。長く吐けば長く生き、少なく食べれば長く生きるのです。――長息長命、少食長寿――は、生命の根本原理です。
 最初から60まで数えたら目が回ります。まずは、無理せず10までゆっくり、と・・・・・。
(中略)
 初心者のかたでも、ゆっくり10まで数えて、「数息観」を行ううちに、身体の変化を感じるはずです。まず、手や足の先がポカポカ温かくなってきます。
 これは「数息観」による「長息」(ロング・ブレス)で、末梢血管が開いて、血流が促進されたのです。「長息法」の第一の効果です。
 なぜ、「長息」で血行が改善するのでしょう?
 それは、長く息を吐くことにより、緊張型の交感神経から弛緩型の副交感神経優位にシフトしたからです。
 交感神経は、血管を収縮させ、脈拍を早めるはたらきがあります。だから血圧も上がり、ドキドキするのです。さらに、血糖値を高めるので、血液はドロドロしてきます。
 それに対して、副交感神経が優位になると、血管は弛緩し、脈拍もゆっくりとなり、血圧も下がります。つまり、一言でいえば、リラックスした状態になります。血糖値も下がるので、血液はサラサラと流れやすくなります。
「肺は、唯一、意識でコントロールできる器官であり、呼吸を通じて自律神経から心身のコントロールまで可能となる」という沖正弘先生の教えを思い出してください。
 つまり、「数息観」による長息は、副交感神経をはたらかせて、血流を改善したのです。低血流は、万病の原因です。それは、全身の低体温と低酸素を引き起こすからです。
 体温が下がれば、免疫力が極端に低下します。低酸素は、細胞の衰弱から壊死を引き起こします。ぎゃくに、血流改善は、これら体調不全をすべて改善するのです。
 つまり、血行促進は、万病を治すといっても過言ではありません。
 わかりやすくいえば、こうして長息法は、血流を改善し万病を治すのです。
 ただ、息を深く、長く、吐くだけで、これだけの健康効果があるのです。
 さらに、忘れていけないのは、寿命がおどろくほど、のびることです。
「長息法」は、「長寿法」である」――このことを、思い出してください。

 『できる男のメンタルコンディショニング』 第4章 より 船瀬俊介:著 主婦の友社:刊

 呼吸が深く、長くなるほど、健康的になり、寿命も伸びる。
 西洋医学においても、認められてきている事実です。

 いいことずくめの「長息法」。
 ぜひ、試してみたいですね。

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 私たちは、つねに息を吸って生きています。
 ひと時も欠かすことなく、ですね。
 しかし、呼吸を意識しながら生活することは、ほとんどありません。

 生きていくために不可欠な「呼吸」。
 だからこそ、より効率を高める方法を学ぶ必要があります。

 たかが「呼吸」、されど「呼吸」です。
 私たちも、長息法をマスターし、エネルギーあふれ、天寿をまっとうする人生を目指したいですね。


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