【書評】『元気になりたきゃ、お尻をしめなさい』(船瀬俊介)
お薦めの本の紹介です。
船瀬俊介さんの『元気になりたきゃ、お尻をしめなさい』です。
船瀬俊介(ふなせ・しゅんすけ)さんは、医療ジャーナリストです。
「医」「食」「住」問題を中心に、精力的に執筆、講演活動等を行われています。
「お尻をしめる」と人生が変わる!
「お尻をしめる」は、世界一かんたんな健康法
です。
船瀬さんは、これ以上、シンプルで効果がある健康法は、ほかにはありません
と述べています。
①お尻(肛門)をしめる
↓
②下腹(したばら)に意識が集中する
↓
③丹田(たんでん)(=肚(はら))を意識できる
↓
④ゆっくり呼吸(丹田呼吸)をする
↓
⑤肚(はら)ができた人になる肚ができた人とは、度胸が据(す)わった人という意味です。
何事にも動ぜず、どんな事でも行える人です。なぜ、このようなことが可能になるのでしょうか?
それは、お尻をしめると「丹田呼吸」が行なえるからです。
「丹田呼吸」は、古代ヨガや禅で指導する基本の呼吸法です。
丹田に意識を集中して、深く、長く、息を吐(は)く――。
すると、心が静まるのを実感できます。全身は調和と平安に満たされるのです。
これが、理想のメディテーション(瞑想)です。
(中略)
私自身も、毎日お尻をしめて、「丹田呼吸」をしています。
すると、どんな変化が訪れたかというと・・・・、
太らない、疲れない、毎日快便、腰痛も肩コリもない、見た目年齢が若い(と言われる)、病気にならない、くよくよしない、いつも心穏やか、少食、アイデアがどんどん浮かぶ、集中力が続く、笑顔とユーモアが溢(あふ)れる・・・・・
といいことばかりです。
『元気になりたきゃ、お尻をしめなさい』 PART1 より 船瀬俊介:著 日本文芸社:刊
1日10回、1週間続けるだけで、効果が感じられます。
しかも、場所を選ばず、誰でも簡単にできます。
本書は、世界一かんたんな健康法「お尻をしめる」ノウハウをわかりやすく解説した一冊です。
その中からいくつかピックアップしてご紹介します。
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「お尻しめ」は、どのようにするの?
船瀬さんは、「お尻しめ」のやり方の基本を、以下のように説明しています。
①背筋を伸して、床の上であぐらをかく
ヨガでは「ムーラバンダ」と呼ばれている基本的なポーズです。「ムーラ」は「根」「原因」「足元」「基礎」、「バンダ」は「閉じる」「しめる」という意味で、人間の体に置き換えると「お尻しめ」のこと。体の中心の支えをしっかりさせることにつながります。
また、瞑想を行なう姿勢でもあるので、意識を自分の中心にもっていきやすくなります(下の図1を参照)。②手のひらを上に向け、ひざの上において目を閉じる
手はひざの上に置き、親指と人差指を軽くくっつけて、手のひらを上に向けると、リラックスできます。③息を吐きながらお尻しめを10回セット行なう
10秒ほどかけてゆっくり息を吐きながら、おなかの中に肛門を吸い上げるような感覚でお尻しめを行ないます。
数を数えながら、呼吸をすることを「数息観(すそくかん)」といい、意識の集中を高めます。ゆっくり10まで数えて1セット、最低1日10セットは行ないましょう。慣れてきたら数秒とセット数を増やしていきます。1週間後、自分の変化を意識的に観察します。『元気になりたきゃ、お尻をしめなさい』 PART1 より 船瀬俊介:著 日本文芸社:刊

図1.お尻しめの正しい姿勢
(『元気になりたきゃ、お尻をしめなさい』 PART1 より抜粋)
正しい姿勢を身につけ、1日10セット。
毎日の習慣にしましょう。
「筋肉」はアンチエイジングの近道
筋肉には、次の4つの役割があります。
- 体の各部位を動かすエンジン
- 姿勢や体位をキープする
- 活動して体熱を生む
- 外部の衝撃から体を守る
「お尻をしめる」ことは、お尻に近いさまざまな筋肉が連動して鍛えられ
ます。
そのため、筋肉の4つの役割をパワーアップすることができます。
体のエンジンパワーが大きくなれば、内臓の働きがよくなります。病気にかかりにくくなるでしょう。血液を押し出す力も強まります。血行がよくなり、血液が全身に行き渡ります。栄養も酸素も体のすみずみに届くでしょう。
そうなれば、疲れにくい、いつも元気な体でいられるはずです。
血行がよくなると、お肌の状態もよくなります。
瑞々(みずみず)しい肌になります。肌ツヤも良くなるでしょう。新陳代謝がよくなり、くすみやシワの改善にもつながります。
冷え性の女性にとっては、冷えの解消、むくみの改善、婦人科系の病気にもいい影響をあたえることは間違いありません。
腸の蠕動(ぜんどう)運動も活発になるので、便秘の悩みも解消されます。また、筋肉が強化されれば、正しい姿勢をキープしやすくなります。猫背が治り、背骨がシャキッとし、若々しくも見えます。
さらに筋肉の活動によって、食事からとった栄養素をエネルギーに変えて熱を生み出し体温をキープすることができます。摂取したカロリーをしっかりと使いきるので、脂肪をため込むことがありません。
つまり、メタボ、ぽっちゃり体型というかっこ悪い体形にはならないのです。『元気になりたきゃ、お尻をしめなさい』 PART1 より 船瀬俊介:著 日本文芸社:刊
お尻をしめて、ゆっくり呼吸することで、副交感神経も活性化されます。
まさに、一石二鳥の健康法ですね。
「腹圧」が健康のカギを握る
お尻をしめると、腰回りの筋肉、「腰筋」がしまります。
船瀬さんは、お尻しめは、「神様のコルセット」の強化で、さらに腹圧が高まる
と述べています。
腹圧とは、呼吸などによって横隔膜(おうかくまく)と腹筋の収縮が行われることで生じる、おなかの圧力のことです。
おなかとは、横隔膜の下の部分で、主に消化器などの内臓が集まっている空間のことなので、正式には腹腔内圧(ふくくうないあつ)といいます。内臓は腹膜(ふくまく)という風船のような袋に入っています。この袋をふくらませることで、袋の中の内臓が働きやすくなり、圧力によって正常な位置を保っています。
風船でいうところの空気圧のようなもので、腹圧が低下しているのは、しぼんだ風船と同じことなのです。
内臓が入った袋がしぼむとどうなるでしょうか。内臓や神経、血管が伸し込まれたような状態になり、身動きがとりづらくなります。
すると内臓の働きは落ちて、血行不良にもなります。
腹圧が落ちると内臓が圧迫され著しく機能が落ちます。神経や血管も圧迫されるので、代謝が落ちたり、代謝が阻害されたりします。
すると病気になりやすかったり疲れやすくなったり、冷えやすくなったりといいことはひとつもありません。
姿勢の崩れにもなり、肩こり、腰痛の原因にもなります。腹圧の低下は内臓機能の低下と直結しています。
とくにわかりやすい症状が便秘です。腸が圧迫されると、本来行なわれるはずの腸の蠕動(ぜんどう)運動を妨げてしまい、便をうまく出せないのです。健康のキーワードともいえる腹圧は、なぜ低下するのでしょう。
原因は3つあります。①姿勢の悪さ
猫背、前かがみの姿勢などは、その典型ですね。腹圧を下げてしまい、内臓を圧迫する姿勢ですから。ぽっこり下腹が出ている人は要注意です。
腹腔内に圧力がかかれば、内臓と背骨を正常な位置に安定させることができます。②運動不足
座りっぱなしで、動かない生活習慣は、確実に筋肉を退化させます。とくに腹筋が衰えると、正しい姿勢を維持しづらくなり、腹圧が下がってしまいます。だから、腹圧低下を防ぐには「正しい姿勢」「筋トレ」が不可欠です。③胸式呼吸
腹圧を上げるのに大切なのは、横隔膜を上下させる「腹式(ふくしき)呼吸」です。
横隔膜は、「胸部」と「腹部」を隔てる壁です。深い腹式呼吸をすると、横隔膜が上下して、内臓に入った腹腔内のマッサージになり、内臓の血行促進など、コンディション調整になるのです。
反対に腹圧を下げてしまうのが「胸式(きょうしき)呼吸」です。胸だけで呼吸をするので、浅く横隔膜の動きも小さくなり、横隔膜や腹膜が硬くなり、腹圧低下につながります。『元気になりたきゃ、お尻をしめなさい』 PART2 より 船瀬俊介:著 日本文芸社:刊

図2.腹圧がかかった状態
(『元気になりたきゃ、お尻をしめなさい』 PART1 より抜粋)
正しい姿勢を保つには、「体幹」を鍛えることが重要です。
その中でも、腰回りの筋肉は、脊柱を支えるという大切な役割を担っています。
お尻しめで、「神様のコルセット」をしっかり鍛えましょう。
まずは「正しい姿勢」
お尻をしめると「丹田呼吸」ができるようになります。
丹田呼吸は、世界最強の軍隊、ペンタゴン(米国防総省)にも、メンタル強化法として正式採用されています。
彼らが望むのは、「折れない心」ではなく「強い心」です。
要約すると、「折れない心」は何があっても痛みを感じない強靭な心、一方「強い心」はどんなプレッシャーやストレスがあっても柔軟に対応できる心、常に自分自身に戻ることができるしなやかな心のこと。
ペンタゴンが求めていたのは「折れない心」ではなく、「強い心」なのです。
軍人などに指導しているペンタゴンが、古代ヨガに学んだ行法なのです。そしてその手法のひとつとして、徹底して正しい姿勢を保つ訓練をしています。
背筋を伸ばしてよい姿勢を保つことで、気持ちにも緊張感が走ります。胸を張っているので、呼吸を深くできるし、悲観的にもなりにくい、これこそが心のキャパシティ(能力)を増やす方法だと考えているのです。ヨガの教えそのものです。ハーバード・ビジネススクールのエイミー・カディ博士(社会心理学)が行なった興味深い実験があります。
「実際の心理状態とは関係なく、意図的に背筋を正し、堂々とした姿勢を取るだけで、ストレスホルモン(コルチゾール)の値が25%も減少する」威儀即仏法(いぎそくぶっぽう)という言葉もあります。姿勢を正し、威厳を保つ。
それだけで仏法の真理に近づくことができる、という意味です。
この姿勢を正す原点が、お尻をしめることなのです。
それは、呼吸法、瞑想法に続く基本です。ペンタゴンが採用したヨガに基づく呼吸法を「タクティカル・ブリージング」(戦術的呼吸法)と命名しています。
「この呼吸を行うと、平常時の心拍数になり、平常心を取り戻せます」「PP(ピーク・パフォーマンス)が可能になる状態では、人の心は強くしなやかです。プレッシャーがありすぎず、かつ適度に緊張感があり、高い集中力を保った状態は、スナイパーに限らず、どんな人にも理想的なコンディションと言えるはずです」(コーテ氏)では、ペンタゴン式呼吸法とは、どういうものでしょうか?
「姿勢を正し、リラックスしたら、鼻からゆっくりと4カウント息を吸い、そのあと、4カウント息を吸い、そのあと、4カウント息を止めます。その後、4カウントかけ口から息を吐き、吐いたら、4カウント息を止めます。ここまでワンクールとし、これを4、5クール繰り返します。ここぞというような場面で心を奮い立たせる場合、この呼吸はあなたの強い味方になるでしょう」(同氏)『元気になりたきゃ、お尻をしめなさい』 PART3 より 船瀬俊介:著 日本文芸社:刊
最新鋭の技術を擁する軍隊である、ペンタゴン。
彼らが認めた「丹田呼吸」の効果は、当然、科学的根拠のあるものです。
どんなときでも、平常心でいられる「強い心」。
まさに最強のメンタリティといえますね。
「お尻しめ」とともに、「ペンタゴン式呼吸法」も、ぜひ、習得したいですね。
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☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆
ヨガでは、丹田を「生命の座」と呼んでいます。
船瀬さんは、ここに意識を集中したとき、心理的、生理的、物理的に、最上の人生を送ることが
できるとおっしゃっています。
不安や恐怖で、やる気が出ない。
プレッシャーや緊張で、あがってしまう。
それは、「気」が上半身のほうに“上がって”いる状態です。
上がっている「気」を下半身に落とし、気持ちを落ち着け、やる気を出す。
それを可能にするのが、「お尻しめ」であり、「丹田呼吸法」です。
特別な道具は必要ありません。
特別な場所に行く必要もありません。
自宅で、誰でも簡単にできる、「お尻をしめる」究極の健康法。
ぜひ、皆さんも試してみてください。
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