【書評】『心を上手に透視する方法』(トルステン・ハーフェナー)

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 お薦めの本の紹介です。
 トルステン・ハーフェナーさんの『心を上手に透視する方法』です。

 トルステン・ハーフェナーさんは、世界的に有名なドイツ生まれのマインド・リーダーです。
 ステージショーの他、講演会やセミナーを開催し、テレビやラジオにも多数出演されるなど絶大な人気を誇っています。

「見る目」を変えるだけで、心が読める!

 

 ハーフェナーさんは、中学生の頃からは、数多くの誕生パーティーやいろいろな団体のパーティーや催し物でマジックを披露し、催眠術や身体言語などのマジックの周辺分野にも興味を持って取り組んできました。
 そのおかげで、他人を観察することがとても得意になり、話者をよく観察しているだけで、その人が次に何を話そうとしているのかが分かるようになりました。
 
 ハーフェナーさんは、人の心を読めるようになった理由について、ある瞬間から僕は、それまで目を向けてこなかったために見えなかったものに、強く意識を集中させるようになった。現実を見る目が変わったことで、そのときから、普通なら多くの人が注意を向けずに活用していない側面に気づくようになったと述べています。

 誰でも、その人の性格や思想が読み取れるような特徴をもっているものです。
 しかし、多くの人は、そのメッセージを受け取ることができません。

 その理由は、私たちは見たものを、経験に当てはめて決めつけているからです。

 膨大な量の情報を無意識に受け止めているときを除いて、私たちは現実を、すでに知っていること(または、少なくとも自分が知っていると思い込んでいること)で補うことで、細かい部分をフィルターにかけるか、より完全なものにしようとする。
 すべては、私たちが期待するものでなければならないのだ。よいことではないように思われるかもしれないが、この「選択」は重要である。こうして情報を選り分けないと、洪水のように押し寄せる情報に押しつぶされてしまうからだ。
 私たちは、いつでも何度でも五感にだまされる。人間というものは、視覚、感覚、触覚、嗅覚、味覚、すべてを同時に知覚することができないからだ。
 たとえば目は、三次元の世界を、二次元でしか網膜に映し出さなければならない。この時点ですでに数多くの情報が失われる。またこうしたプロセスの中でもまだ、私たちの視覚器官は1秒に約1ギガバイトの情報を受け取っている。
 これは、たとえば書籍にして約50万ページ分のデータに相当するほど膨大な量である。これだけの情報から、自分にとって大切な情報を取り出せるように選び取らなければならないのだ。それは情報をほんのわずかな部分に絞るからこそ可能なのだ。

 『心を上手に透視する方法』 第1章 より トルステン・ハーフェナー:著 福原美穂子:訳 サンマーク出版:刊

 相手の心を読むには、多くの人が見落としたり聞き逃したりしている「相手からのシグナル」をキャッチするアンテナが必要でです。

 本書は、マインド・リーディングの“道具箱”の中から、日常生活でも使えるテクニックを取り出して解説した一冊です。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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『目が動いた方向』によって分かる、これだけのこと

 

 相手が何かを思考する際に、視覚的イメージを思い浮かべているのか、音を聞いているのか。
 それらは、相手の話に耳を傾ける以外の方法でも知ることができます。

 その方法の一つが、「相手の目の動きを観察すること」です。

 何か視覚的なイメージを思い浮かべているときは、目が上に動く(V)。何かの響き、音や言葉が思い浮かんだときは、目は真横に動く(A)。身体に何か感じたときは、左下を向く。相手がまっすぐに見ているときも、たいてい何かを視覚でイメージしている。
 ただし気をつけてほしいのは、とくに左利きの人の半数を含む少数の人が、今述べた左右の動きにおいて逆に目を動かすことがあるという点だ。
 NLPに心酔している人であっても、この図式が誰にでもぴったりと当てはまるとは言わないだろう。しかしこの分析方法が当てはまる度合いは、驚くほど高い。
 この図式とは違う反応をする人に会ったとしても、その人なりに一貫性のある反応が見られるはずだ。仮に、誰かが何かを視覚的に思い浮かべる際に、上ではなく下を見るとする。それなら、視覚的にイメージするとき、その人はいつも下を見るだろう。それさえわかればいいのだ。

 『心を上手に透視する方法』 第2章 より トルステン・ハーフェナー:著 福原美穂子:訳 サンマーク出版:刊

 人はどのようなイメージを思い浮かべて考えているのか。
 そのときの目の動きの方向の対応をまとめたのが下図です。

目の動きの実験P76

 図.目の動きの実験(『心を上手に透視する方法』 P76 より抜粋 )

「昨日着ていた服の色は?」

 例えば、このような視覚的なイメージを促すような質問をしたとします。
 すると、質問を受けた相手は、こちらから見て「右上」に視線が向きます。

「あなたの好きな歌は?」

 と声や音を思い出すような質問をすると、視線は「水平に右」に向きます。

 覚えておくと、色々な場面で使えそうな知識ですね。

「これは誰にも言わないで」と言うと、人は耳を傾ける


 相手の興味や関心を惹きつけたいときのテクニックとして「秘密を打ち明ける」ことがあります。

 ハーフェナーさんは、その例として、ロバート・チャルディーニが著書の中で、ウェイターのビンセントがチップの稼ぎを大幅に増やした話を紹介しています。

 注文をとるとき、彼は少し前かがみになりこう言ったのだ。
「本当のことを申しますと、お客様がお選びになったお料理は、いつもほどよい出来ではないのです。それよりも、こちらかこちらの料理をお勧めいたします」
 彼が勧めた料理は、客が最初に選んだものより少し安かった。ビンセントは、自分の利益よりも客の利益を優先させたように見える。しかしまさにそのことで、彼は客の信頼を得て、たっぷりとチップを受け取った。
 おまけに、料理に合うワインと一番おいしいデザートを勧めると、客はどれも注文した! もしかするとその客は、ビンセントが勧めなければ、デザートやワインをまったく注文しなかったかもしれない。
 つまり、誰かを相手に何かを達成したいときには、まず先に相手の利益になることをこっそり伝えておくといい。「これから秘密を打ち明けますよ」と予告することは、まさしく同じ行為である。

 『心を上手に透視する方法』 第3章 より トルステン・ハーフェナー:著 福原美穂子:訳 サンマーク出版:刊

 人は、「秘密」とか「とっておき」などという言葉に弱いです。
 また、自分に対して秘密を打ち明けてくれた人に対しては親近感を抱きます。

 いかに自分が相手のことを「自分は特別な存在だ」と考えているのかを示す。
 そのことが、相手の興味を引きつけるポイントです。

「なぜかしっくりこない」という感覚を大事にする


 心理学には、「ミラーリング」という手法があります。
 ミラーリングとは、相手が今何を考えているのかを知るために、相手と同じ姿勢をとることです。

 ハーフェナーさんは、相手とまったく同じように動き、意識をある程度相手の皮膚の内側にもぐり込ませれば、直感によって相手の思考の世界が開かれ、相手がどう感じているのかがわかるようになると述べています。 

 直感に従うための能力は、訓練で鍛えることができます。
 重要なのは、「何だかしっくりこない」という違和感を覚えるような感覚を大事にすること。

 マジックの世界には限界がない。だから僕はとても混乱していた時期に、逃避することができた。もう一つの世界、僕が自由自在に操れる世界に入り込むことができたのだ。いつでも好きなときに。
 仮に、あなたにもそれができるとしよう。どんなことができるか想像してみてほしい。想像の世界で、あなたが望むどんなことでもやっていみることができる。それも好きなだけの時間だ。
 芸術家やスポーツ選手は、いつもそれを行っているといえるだろう。彼らが成功する秘訣は、適切なイメージを思い描くことにある。
 優れたドイツ人バイオリニスト、アンネ=ゾフィー・ムターは、『ミュンヒナー・メルクール』紙のインタビューで次のように語っている。これは僕の基本的な考え方でもある。
「私は一日に何時間も練習したことがありません。とはいえ、いつも、とことん集中して練習はしてきました。
 練習時間の長短よりも、私が大切にしていることがあります。音や演奏技術のことでつまずいたら、そこから距離を置いて冷静に解決するほうがおいということです。つまり、単調な動きをひたすら繰り返して練習するよりも、分析を行なうことで解決するのです。
 単調な動きは、短時間でやってみてしっくりこなければ、いくら繰り返しても無駄なのです。ひたすら繰り返せば弾けるようになるというのは、大きな勘違いです。この勘違いは、ただ楽器を脇に置くことで解決できます」

 『心を上手に透視する方法』 第4章 より トルステン・ハーフェナー:著 福原美穂子:訳 サンマーク出版:刊

 分析し、それからよく考え、頭の中でシミュレートすること。

 つまずいた理由やうまくいかない理由は何なのか。
 しっかり考えるクセをつけることが上達の秘訣です。

 ただやみくもに頑張っても、効果的な練習にはなりません。
 何を修得するにも当てはまりますね。

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☆    ★    ☆    ★    ☆    ★    ☆

 マインド・リーディングのテクニックは、頭に入れるだけでは他の知識同様、役に立ちません。
 実際に使って自分なりに試行錯誤を重ねていくうちに、体に沁み込んでいくもの。
 そうなってはじめて、ビジネスやその他の場面で効果を発揮します。

 ハーフェナーさんは、「何かしようと思っていることがあったら、72時間以内にとりかかるべし」とおっしゃっています。
 それ以上先延ばしすると、結局手つかずのまま終わってしまう可能性が高いということ。

 とにかく「実行あるのみ」です。
 手始めに本書で仕入れた知識を当てはめて、道行く人の「人間観察」をしてみるのも楽しいかもしれませんね。


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