本一冊丸かじり! おいしい書評ブログ

本を読むことは、心と体に栄養を与えること。読むと元気が出る、そして役に立つ、ビタミンたっぷりの“おいしい”本をご紹介していきます。

【書評】『未来記憶』(池田貴将)

 お薦めの本の紹介です。
 池田貴将さんの『未来記憶』です。

 池田貴将(いけだ・たかまさ)さんは、メンタルトレーナーです。
 その道の権威として世界的に知られる、アンソニー・ロビンスさんに直接指導を受けられ、そのメソッドを日本人に合ったものにアレンジして紹介されています。

目標を達成する人と、そうでない人の差は?

 池田さんは、最初に、以下のように述べています。

 いつも目標を達成している人には、共通点があります。
 それは「ラクに」やっていることです。

 私たちが目標を達成するのに、苦しい努力はいりません。
 しかし、多くの人は苦しい努力をしなければものごとは達成できない。そして達成できなければ自分は幸せになれないと誤解しています。
 けれども、目標を達成し続けている人のほとんどは、「苦しい」と感じることなく、楽な気持ちのまま達成しているのです。

  「未来記憶」 はじめに より  池田貴将:著  サンマーク出版:刊

「苦労を克服して、幸せをつかめ」

 日本では、スポ根アニメに代表されるように、いまだに、このような精神論が主流です。
 まずは、その意識を変える必要があります。

 苦しい努力というのは、とても継続できるものではありません。
 例えば、イチロー選手を例にとっても、とても苦しんで努力しているようには見えませんね。

 もちろん、練習はものすごいきついものでしょうし、プレッシャーも半端ないでしょう。
 しかし、それすらも楽しんでいるように感じます。
 
 願望や目標を叶えるのに、必要なのは、楽しみながら継続できる努力です。
 そのためには、「未来記憶」を効果的に使うことが、何より重要です。

 行動を楽しめるから、続けられる。続けられるから、もっと楽しくなって、成果が上がる。成果が上がるともっともっと楽しくなり、楽しいからより行動量が増える。成功者は、そうやって成功への階段を駆け上がっていくのです。
(中略)
 成功者が卓越しているのは努力や行動力ではありません。彼らが卓越しているのは成功するまで行動する努力を「楽しむ力」なのです。
(中略)
 多くの人は「努力」というと、つらいことを我慢してがんばることだと思い込んでいます。しかし、本来の「努力」というのは、積み重ねて続けることを意味しています。いわば種をまいて花が咲くまでのあいだ、「続ける」ことを努力と呼ぶのであって、いやなこと、つらいことをひたすらに耐えてがんばることが「努力」ではないのです。

  「未来記憶」 はじめに より  池田貴将:著  サンマーク出版:刊

 ひたすらに耐えて、がんばることが「努力」ではない。
 厳しい意見かもしれませんが、その通りです。

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「未来記憶」が人生を変える!

 池田さんは、「未来記憶」とは何かを、以下のように説明します。

 人は、頭の中に、3つの箱を持っています。それぞれの箱の中には「過去記憶」「現在記憶」「未来記憶」が分類され、入れられています。
 過去記憶というのは、過去に経験した記憶―たとえば「過去に飛び込み営業して怒鳴られた」「朝起きたら寒くてつらかった」という実際にあった記憶のことです。
 現在記憶というのは、「今日はやらなくちゃいけないことがこんなにある」という現状に関する記憶です。
 そして未来記憶というのは、「1日に英単語を10個ずつ覚えれば、海外での仕事への道が開けるぞ」「ここでお客さんをフォローしておけば、あとで評価が上がり、お給料をたくさんもらえるはずだ」などと、その行動をしたらこの先の未来にどんなことが起きるのか、どんな自分になれるのか―という、その行動の先にある未来のイメージのことをいいます。

  「未来記憶」 はじめに より  池田貴将:著  サンマーク出版:刊

 人間の記憶には、3種類ある。
 そのような考え方は、ユニークですが、納得できます。

 それは、人が、どの記憶を使ってイメージするのかを決めるのは、「過去記憶」「現在記憶」「未来記憶」の3つうち、もっとも多くの割合を占める記憶であるということです。
(中略)
 記憶は「質」より「量」なので、新しかろうが古かろうが、味わった回数の多い感情を思い出してしまうものなのです。
(中略)
 多くの人は過去記憶に比べて、未来記憶の占める割合が圧倒的に少ないものです。
 とくに、ストレスを感じやすい人ほど過去記憶でいっぱいで、次に現在記憶、そして未来記憶はほとんどないという状態になっています。
 ですから、ものごとにもっとラクに取り組むためには、もともと少ない未来記憶を意図的に増やしていく必要があるのです。そうして未来記憶が多くなると、ポジティブな感情にスイッチを入れることができるのです。

  「未来記憶」 第1章 より  池田貴将:著  サンマーク出版:刊

 ポジティブな感情のスイッチが入る。
 それまで、モチベーションを上げる「未来記憶」をたくさん持つ。

 それが大事だということです。

 人は、過去の嫌な体験を元に、これから起こるであろうことを想像しがちです。
 だから、なかなか新しいことにチャレンジしようという気が起こりません。

 行動する際に抱く感情を、「過去記憶」ではなく、「未来記憶」から引き出せるか。
 それがカギとなります。
 
 具体的なポイントは、以下の3つです。

①感情は、自分の無意識の領域からのシグナルである。
 (ネガティブな感情を抱いたら、方法を変えなさいという合図だということ)

②たった0.1%ずつ日々成長するだけで、10年後には38倍まで成長することが出来る!
 (継続することがいかに大事かということが分かりますね)

③上手くいかなかったのは、自分のせいではなく、自分の行動のせいにすること。
 (つまり、自分の抱いているネガティブな「過去記憶」が元になった行動で失敗したんだ、と思うようにするということ)

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 池田さんは、最後に、「人生の質」について、以下のようにおっしゃっています。

 人は人生というものを考えるとき「結果」ばかりに目を向けてしまいがちです。
 でも実際にはどんな結果を手に入れたかではなく、どんなふうに生きてきたかが人生の質を決めるのではないでしょうか。
(中略)
 人生において、夢をかなえる瞬間というのはほんの一瞬だけです。たとえば第1志望の会社に入社するという夢に向かって2年間努力し続けても、それがかなったあとは、すぐに営業目標や出世、能力を高めるための試験勉強のような新しい目標ができ、そこに向かって努力する日々が始まるのです。
 つまり、人生の9割以上は、夢に向かって行動している時間なのですから、未来記憶を使わずに飽きていることを必死で続けたり、過去記憶にとらわれて自分の夢を変えてしまったり、現在記憶にとらわれて先延ばししたりしていては、その9割以上の時間の質を落としてしまうことになるのです。

  「未来記憶」 おわりに より  池田貴将:著  サンマーク出版:刊

 目標は、日々の生活がより充実して、適度な緊張感を保つものである必要があります。

 自分の描いていた最終的な目標が、達成できなかった。
 たとえそうでも、その過程で、質の高い充実した人生を送れたのなら、十分、成功したと言えます。

 一流のアスリートが輝いて見えるのも、同じ理由からでしょう。
 
 結果ではなく、そこに至るまでの過程を楽しんで、日々過ごすこと。

 誰の人生でもありません。
 自分自身の人生です。

 同じ苦労をするなら、それらも楽しみながら、成長していきたいですね。

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