【書評】『幸せがずっと続く12の行動習慣』(ソニア・リュボミアスキー)

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 お薦めの本の紹介です。
 ソニア・リュボミアスキー先生の『幸せがずっと続く12の行動習慣』です。

 ソニア・リュボミアスキー先生は、心理学がご専門の大学教授です。
 現在は、大学の社会心理学とポジティブ心理学のコースで教鞭をとっておられます。

可能性は自分で変えられる「40%」にある!


「人はずっと続く幸せを手にすることはできない」

 リュボミアスキー先生は、このような当時の心理学会の通説に疑問を感じます。
 そして、その説が見当違いであることを証明しようと決心して研究を続け、幸福を決定づける最も重要な要素を特定しました。

 それをまとめたのが、下の円グラフです。

幸福を決定するものはなにかP33
 図.幸福を決定するものは何か?(『幸せがずっと続く12の行動習慣』 P33 より抜粋)

 このグラフから、人それぞれ幸福度の違いのうち、遺伝で決定づけられた設定値に起因する部分は50%、生活環境や状況に起因する部分にいたってはたった10%しかないことが読み取れます。

 つまり、遺伝的に決定される性格や生活面でのさまざまな環境を考慮に入れても、幸福度における40%の違いがまだ残るということ。

 では、この「40%」をつくりあげているものとは何でしょうか?
 遺伝子や、生活環境のほかに、重要なものが一つ残っています。それは私たちの「行動」です。つまり、幸福になるための最大の鍵は、遺伝子の性質を変えること(不可能ですが)にあるのではなく、「環境を変えること」(つまり、富や魅力、もっといい同僚を求めることにあるのではなく、「私たちの日々の意図的な行動」にあるのです。それを頭に入れると、あの円グラフが表しているのは、幸福度を高めるために、40%は私たちがコントロールできるということです。その40%とは、日常生活での行動や考え方を通じて幸福度を高める余地やチャンスがたくさんあるという意味でもあるのです。
 これはじつに素晴らしい情報です。つまり、とても幸せにしている人々が自然にどんな行動をとり、どんな考え方をしているかを注意深く調べれば、誰もがいまよりずっと幸せになれるのです。

 『幸せがずっと続く12の行動習慣』 PART1 より ソニア・リュボミアスキー:著 日本実業出版社:刊

 本書は、「意図的に自分で変えられる40%の行動」のパワーを活用し、ずっと続く幸せを手に入れるための方法をまとめた一冊です。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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「快楽順応」という、興味深くて強烈な現象


 多くの人が、まわりの変化が幸福をもたらすことを信じて環境を変えようとします。

 より大きな家に引っ越したり、収入が多い仕事に転職したり、整形手術を受けたり。
 そのような方法では、一時的に前よりも幸せになるだけで、結局はうまくいきません。

 その大きな理由のひとつが、「快楽順応」という、とても強力な力の存在です。

 では、「快楽順応」はなぜ起こるのでしょうか? 二つの大きな原因があります。一つは、より強くなっていく願望です。たとえば、あなたが前に住んでいた家よりも大きな家を買うことができたとしましょう。しかし、しばらくすると、自分の幸福が当たり前のものに思えてきて、もっと大きな家がほしくなるのがそうです。もう一つは、まわりの人との比較です。たとえば、近所に引っ越してきた新しい友人がBMWに乗っていたら、あなたもBMWに乗りたいと思ってしまうのがそうです。結果として、自分がほしいと思う以上のものを毎年買い込んでいるという人でも、全体的な幸福は変わらないままです。ルイス・キャロルの『鏡の国のアリス』に出てくる赤の女王の台詞(せりふ)を引用すると、「私たちはますます早く走っているのに、まったく同じ場所にいるようだ」というわけです。
 このように、ポジティブな出来事や気分を高揚させることが起こると、一時的に幸福感と引き換えに、快楽順応のせいでそのあとの幸福感や充足感が弱まってしまうのです。
(中略)
 人はすべてのものに適応することはできませんし、そうなるはずもありません。でも、ポジティブな出来事に関してはとくにそうですが、快楽順応の存在はとても強力です。なぜなら、富や家、財産、美しくなること、美人に囲まれること、健康、そして結婚という、好ましい変化にさえ慣れてしまうからです。

 『幸せがずっと続く12の行動習慣』 PART1 より ソニア・リュボミアスキー:著 金井真弓:訳 日本実業出版社:刊

 ひとつ願いが叶っても、それでは飽きたらずに「もっと上を・・・」と欲求不満を感じてしまう。
 それでは、ずっと続く幸せを手に入れることができません。

 心の中の「快楽順応」の存在を意識して「足るを知る」を学ぶこと。
 それがずっと続く幸せに近づく最初のステップになります。

「楽観的な考え方」を習慣にするために


 幸福度を高める行動習慣の一つとして、「楽観的な気持ちを育むこと」があります。
 楽観主義とは、単に「私はそれを手にすることができる」という考え方だけではなく、「どうやって達成できるか」というプロセスについてもしっかり考えることです。

 もちろん、生まれつき楽観的な人もいます。
 しかし、大半の楽観主義者は訓練により、それを身につけています。

 読者のみなさんのなかには、楽観的な考え方に対してまだ懐疑的な人もいるかもしれません。「ポジティブに考える」とか「物事のいい部分を見る」ようにすることは、なんだか単純すぎる行動だと思え、時にはバカげているとさえ感じられるものです。そのようにとらえるのは、「物事をありのままに見る」ことに価値をおいている人といえるでしょう。つまり、自分自身や周りの人々、世界を現実的に見ることを優先しているのです。
 このような反応に対して、私の大学院時代のアドバイザーだったリー・ロスは次のように述べています。「楽観主義とは、自己欺瞞(ぎまん)のためのレシピを提供するものではない。世界は悲惨で残酷なところにもなり得るが、同時に、素晴らしく豊かなところにもできるのである。どちらも真実なのだ。中間点はなく、どちらの真実を自分の前景に収めるかを選択するだけである」。
 楽観的になるとは、世界をどう見るかという姿勢を選ぶということです。ネガティブなものを否定し、好ましくない情報をすべて避けるという意味ではありません。また、コントロールできない状況を、たえずコントロールしようとすることでもありません。さらにいえば、楽観主義は悲観的にも考え、リスクや脅威に対して慎重であることが調査からわかっています。楽観と悲観をバランスよく使っているのです。また、楽観的な人は、「ポジティブな結果がでるのは、自分の努力の結果だ」と十分に承知しています。「何かいいことが起きないか」と、手をこまねいて待っているわけではありません。

 『幸せがずっと続く12の行動習慣』 PART2 より ソニア・リュボミアスキー:著 金井真弓:訳 日本実業出版社:刊

 現実にある世界はひとつです。
 しかし、それをどのように捉えるかのかは、人それぞれです。

「人間の数だけ世界がある」

 同じ状況下で幸せな人と不幸せな人がいる理由の一つでもあります。

「楽観的になるとは、世界をどう見るとかという姿勢を選ぶこと」

 普段から意識したいですね。

なぜ、「親切にする」と自分が幸せになれるのか?


 最も確かな研究結果の一つに、「あまり幸福ではない人よりも、幸福な人のほうが人間関係がうまくいっている」というものがあります。

 社会的なつながりを強め、幸せになるための行動習慣として「人に親切にする」ことがあります。

 親切にすることで得られる大きなメリットは、自己認識にかなりの影響を及ぼすことです。親切な行動をとると、あなたは利他的で思いやりの深い人間だと自分をみなすようになるでしょう。そう認識することによって、自信や楽観的な考え方や、自分は役に立っているという思いが高まるからです。人を助けたり、価値ある理念のためにボランティアをすると、あなたの能力や資質、専門知識が誰かの役に立っていることが強調され、自分の人生をコントロールできている感覚が生まれます。そうすることで、新しいスキルを学んだり、隠れた才能を発見するかもしれません。
 そして、これは最も重要な要素ですが、誰かに手を貸せば、好意をもたれて感謝され、御礼をいわれることがあります。さらに、あなたが助けを必要としているときに、その恩に報いて助けてもらえるかもしれません。人を助けることで、「誰かとつながりたい」「感謝されたい」「価値ある友情を得たい」という基本的な人間の欲求が満たされるのです。

 『幸せがずっと続く12の行動習慣』 PART2 より ソニア・リュボミアスキー:著 金井真弓:訳 日本実業出版社:刊

「情けは人の為ならず」

 周りの人にした親切は、自分自身の利益となって戻ってきます。

 見返りが期待できるときだけ、相手に親切にする。
 ではなく、自発的に相手に良かれと思う行動をとることが幸せの秘訣です。

「ギブ・アンド・ギブ」の精神で生きていきたいですね。

「ポジティブな感情」をより多く体験する


 幸せが続く行動習慣を続けるコツとして、「ポジティブな感情をより多く体験すること」があります。

 実際に、うれしさ、喜び、満足、安心感、好奇心、関心、活力、熱意、気力、スリル、プライドなど、たえずポジティブな感情が生まれることこそ、幸福の特徴といえるでしょう。人は誰でもネガティブな感情に耐えねばなりませんが、幸福な人はあまり幸福でない人よりも、ポジティブな心の状態を経験する頻度が高いのです。ポジティブな感情が、幸福な人間をつくるといってもいいでしょう。
「幸せがずっと続く12の行動習慣」をじっくりと吟味してみると、どれも人生でたとえ一時的にでも幸福度を高めるものを増やし、ポジティブな経験を次々に生み出せそうなことがわかるでしょう。しかし、ポジティブな感情はたいていの場合、長続きしないので、多くの人はあまり重視しません。でも、これは間違いです。心理学者のバーバラ・フレドリクソンが雄弁に主張したように、楽しい時間はただ気分をよくするだけではありません。あなたの視野を広げ、社会的、肉体的、知的スキルを強化してくれるのです。
 このようにポジティブな感情は上昇スパイラルを引き起こします。たとえば、エアロビクスをやったあと、あなたは生き生きとしているでしょう。それによって創造力が高まり、あなたはパートナーを魅了する新しいアイデアを思いつき、そのおかげで二人の絆がより強いものになり、満足感や責任感が強くなり、さらに感謝する心や許す心が増え、そのせいで楽観主義の傾向が強くなり、仕事の失敗による心の痛みもやわらぐ、というようにさまざまなことがつながっていくのです。

 『幸せがずっと続く12の行動習慣』 PART3 より ソニア・リュボミアスキー:著 金井真弓:訳 日本実業出版社:刊

 幸せを生み出すのは、その人の「感情」です。
 いつもイライラしたり、怒ったりする人が幸せになれるとは考えにくいですね。

 日々の小さな「うれしさ」と「喜び」の積み重ね。
 それが、ずっと続く幸せをつくるということです。

 自分の感情としっかり向き合うことを忘れないようにしたいですね。

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「幸せがずっと続く12の行動習慣」は、どれも科学的に証明されています。
 しかも、誰でも簡単に取り組めるものばかりです。
 取っつきやすいところから始めれば、幸福度が高まったことを実感できます。

「幸せ」は行動や出来事そのものよりも、その人の捉え方や感じ方に大きく依存します。
 どんな状況でも、人は幸せを感じることができます。

「自分で変えられる40%」に集中し、誰にも壊されることのない幸せを手に入れたいですね。


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