【書評】『血流がすべて整う食べ方』(堀江昭佳)

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 お薦めの本の紹介です。
 堀江昭佳さんの『血流がすべて整う食べ方』です。

 堀江昭佳(ほりえ・あきよし)さんは、漢方薬剤師・不妊カウンセラーです。

「食べること」こそ、血流の本質


 堀江さんは、前著、『血流がすべてを解決する』で、血流を増やすことが、心と体の健康に重要な役割を果すことを解説しました。しかし、

「具体的な方法が、わからない」
「やろうとしたけど、長続きしない」

 そんな悩みを抱えている人も、まだいるのではないかと考え、書かれたのが本書です。

 血流たっぷり生活のポイントになるのが「食べること」です。

 堀江さんは、「食べること」が上手にできさえすれば、血流の問題は解決したも同然だと述べています。

 漢方でいう「血」とは、血液のことだけをさすのではなく、栄養やホルモンなども含む概念です。だから、血が足りていないというのは、同時に栄養やホルモンも足りず、血の質が悪くなっているということ。そして、そもそも血が足りていないために、血の流れである血流も悪くなってしまっているということです。
 でも、大丈夫です。
 この血の質、量、流れのすべては、食べたものに左右されています。つまり、食を見直していけば、いくらでも血流は改善できるということなのですから。

 毎日、何気なくしている「食べること」ですが、日々の自分の命をつないでいく行為そのものです。
 血流を質も量もきれいにたっぷり整え、そして幸せに生きていくために何を食べるか、どのように食べるかを知っていただきたい。
 こんな思いから本書が生まれました。
 ただ頭でっかちな知識に振り回されるのではなく、心や体の声に耳をすませて、食事をいただく。
 日々のごはんをいただく。
 これを繰り返していくことで、あなたの直感力や判断力が高まっていきます。すると欲求を抑えつけることなく「食べること」が自然と上手に、誰にでもできるようになっていきます。
 食べることは、生きる本能そのものです。
 その結果、血流が整い体の不調や心の悩みが解決され、本当の自分の望んでいる人生を実現できるようになるのです。

『血流がすべて整う食べ方』 はじめに より 堀江昭佳:著 サンマーク出版:刊

 本書は、「食べること」に焦点を絞った、血流を整える健康法をわかりやすくまとめた一冊です。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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血流が汚れる「痰湿体質」で「汚デブ」になる!


「血流たっぷり」のために、もっとも重要な鍵を握っているのは、「胃腸」です。

 漢方では、胃腸を「気血生化(きけつせいか)の源(げん)」と呼びます。
 これは、体を動かすエネルギーである「気」も「血」も、どちらもが胃腸でつくられることを意味しています。

 胃腸を弱らせる、最大の敵は「食べすぎ」です。

 堀江さんは、胃腸が食べすぎによって弱ると、非常に悪い体質に変化してしまうと指摘します。

 漢方では、必要以上に食べすぎ、胃腸の働きが弱ってくると、「痰湿(たんしつ)体質」になると考えます
 痰湿体質とは食べ物のカス、老廃物がヘドロのように胃腸にたまってしまう体質です。痰湿が胃腸にたまっているひとは、非常にやせにくく、水を飲んでも、空気を吸っても太る・・・・そんな悲惨な状態になってしまいます。ダイエットをがんばってもうまくやせることができないひとは、この痰湿体質になっていることが多いのです。
 それだけではありません。痰湿はヘドロのようなものと書きましたが、率直にいうと、とても汚いもの。胃腸にとりつき毒素を生み出しつづける存在です。それは、口臭やニキビ、肌荒れ、体臭などとして現れ、胃腸から全身へと汚れを拡散します。
 その状態は、不健康に、汚れながら太ってしまう「汚デブ」状態といってもいいかもしれません。
(中略)
 実は、さらに深刻な問題が痰湿にはあります。
 それは、痰湿が血の源である胃腸を汚染すること。川の源流が汚染されると下流の川がすべて汚れてしまうのと同じように、胃腸が汚れると血流全体が汚れてしまうのです。そして、血流の質を決定的に悪化させてしまいます。
 漢方では痰湿がある場合、真っ先に痰湿を取り除きます。「百病は痰湿より生まれる」というような格言があるように、痰湿は血を汚すことで多くの不調や病気を引き起こしてしまうのです。

 胃腸を汚染する。ヘドロがたまり血液を汚す。汚れた血流が全身に運ばれる・・・・。その結果、万病のもとになる。
 実は現代の最新医学で、この痰湿とぴったり当てはまるものがあるのです。それが、ここ数年で急速に多くのことが明らかにされてきた腸内細菌、とくに悪玉菌と呼ばれる存在です。

『血流がすべて整う食べ方』 第一章 より 堀江昭佳:著 サンマーク出版:刊

 堀江さん自身も、若い頃、体重が90kgを超える「汚デブ」だったそうです。

 しかし、漢方茶と食事制限を組み合わせてダイエットをしたことで、20kgの減量に成功し、汚かった肌や太った体ともさよならしました。

 漢方では、ひとの体を木にたとえた「生命の木」という考え方があります。
 生命の木では、胃腸を「根」ととらえています。

 木全体をよみがえらせるには、まず「根」を元気にする必要があります。
 慢性的な不調を抱えている人は、胃腸の状態を改善することから始めたいですね。

まずは、「胃腸の大掃除」を終わらせる


 胃腸の状態を改善するために、最初にするべきこと。
 それは、「胃腸の大掃除」です。

 堀江さんは、きちんと掃除をして、休ませてあげれば、誰の胃腸でも自らきれいに元気になっていくと述べています。

 胃腸には「捨てる」仕組みがしっかりと備わっています。その仕組みをしっかりと働かせることが、胃腸の本来の働きを回復させるためには欠かせません。
 そして、その仕組みは、「空腹」のときに働くようにできています。
 この「捨てる仕組み」で大活躍するのが消化管ホルモンのモチリン。
 かわいい名前のモチリンですが、「モチ」は「運動」、「リン」は「刺激する」という意味であることが名前の由来です。胃腸が「捨てる」を終わらせるためには、モチリンが必須(ひっす)です。モチリンがたくさん出てくると、胃腸の掃除が始まるのです。

 グーッとお腹が鳴るのが、この掃除開始の合図。
 胃が強く収縮するために、中の食べ物のカスや空気、水分が一気に撹拌(かくはん)されて音が出ます。このギューッという収縮が胃から腸へと波のように伝わり、同時に、食べ物のカスがどんどん大腸へと送られていくのです。
 胃の強い収縮が十二指腸、小腸へと伝わって小腸の端っこまで届くのにかかる時間がだいたい90分。その間にものを食べると、胃腸は掃除をやめて消化を始めてしまいます。だから、くれぐれもおなかが鳴ってすぐに食事をしてはいけません。
 お腹がグーッとなるのは、「おなかがすいたよ〜」という声では決してありません。「お掃除しているよ。今は食べないで!」という胃腸からの合図なのです。
 体からの声を聞き間違ってはいけません。

 このお掃除は、食後数時間たつと始まる「小さなお掃除」。いわば「食後の片づけ」のようなものです。もちろんとても重要なのですが、これとは別に、胃腸の大掃除機能がぼくたちの体には備わっています。この大掃除機能をきちんと使えるかどうかが、「捨てる」を終わらせるために非常に重要なのです。
 大掃除機能を使うには、胃腸の掃除人モチリンにたくさん登場してもらわなければなりません。モチリン登場のために欠かせないのが食後約8時間の空腹時間。個人差があり、研究などによっても異なりますが、食事を終えてだいたい8時間たつとモチリンがたくさん出てきて、胃腸の大掃除である「空腹期収縮」が起こります。
 しかも空腹期収縮はおよそ90分ごとに何度も起こります。この収縮によって、胃腸に残っていた食べカスやゴミは一気に捨てられていきます。
 この大掃除にもっとも適した時間は夜、就寝中です。
 寝ている間にモチリンに大活躍してもらって、胃腸のゴミを捨てていきましょう。

『血流がすべて整う食べ方』 第二章 より 堀江昭佳:著 サンマーク出版:刊

 お腹がグーッと鳴るのは、「おなかがすいた」という合図ではありません。
「お腹の掃除中です」というサインなのですね。

 小腹が空いても、お掃除中は、食べるのをちょっと我慢。
 習慣にしてしまいたいですね。

「うんち」が沈めば、健康も沈没する


 胃腸のヘドロである「痰湿」の発生を抑える。
 そのために重要な、食べ物に含まれている成分が「食物繊維」です。

 昔から、さまざまな胃腸を正常にする、さまざまな効用が指摘されてきた食物繊維。
 近年では、腸内細菌の研究からも、大きなプラスの影響力があることがわかってきました。

 食事で摂取している食物繊維の量が足りているか、足りていないか。
 それを知るのは、簡単です。

「あなたのうんちは、水に浮かんでいますか?」

 浮かんでいたらOKです。
 沈んでいたらNGです。


 トイレでうんちをしたとき、必ず見てチェックしてみてください。浮かんでいたら大丈夫なのですが、沈んでいたらとても心配です。
 うんちが浮かぶか、沈むかは、実はとても大きな問題です。なぜなら、浮かばないうんちの場合、第一章でご紹介した胃腸のヘドロ「痰湿」が腸の中でまとわりつき、汚デブ菌が大発生。さらには全身に行き渡る血流が汚染されているかもしれないのですから・・・・。
 浮かばないうんちは、失格です。
 うんちは沈んではならないのです。
 なぜ、うんちは沈んではいけないのでしょう。
 この大切なことを理解するために、まずはうんちを分析してみましょう。

 うんちは全体の70〜80%が水分でできています。
 水分はうんちの硬さと柔らかさに直結していて、80%より多くなると下痢に、70%より少なくなるとカチカチになってしまいます。
 そして水分を除くと三分の一ずつを「腸内細菌」「食べカス」「腸の粘膜がはがれたもの」が占めています。
 この三つのうち、水に浮かぶかどうかを決めているのは、食べカスの大部分を占める食物繊維です。食物繊維の量が多ければうんちは浮かびますし、少なければうんちは沈みます。
 そして、うんちが沈めば健康も沈没するといっても過言ではありません。
 おなかの状態は外から見ることはできませんが、うんちが浮かべば腸内の状態がすこやかで、たっぷりときれいな血液をつくることができているサインだからです。
 女性の健康は血流に大きく左右されます。そして、女性の場合、血が不足することで血流が悪くなっているひとがほとんどです。
 そこで、ぼくは初回のカウンセリングの際に、血流の源である胃腸の状態を必ず確認します。
 そのために聞くのがお通じの状況。毎日出るというひとは少数派ですし、そして、悪くないと答えるひとでも、よくよく聞くと、残念ながらよいといえるひとはほとんどいません。
 血流不足のひとは、うんちの状態が悪い。
 こういっても差し支えないくらいの状況です。そして、うんちが水に浮かぶかどうか尋ねると、「浮かぶ」と答えるひとは皆無に等しい。当然ながら胃腸の状態が悪く、血流不足になっている体質だということがわかります。

 一日に必要とされている食物繊維の量は18〜19歳の男性で20g以上、女性で18g以上ですが、すべての年齢層で不足していることがわかっています。
 そして残念なことに、野菜をたくさん食べているから大丈夫と思っているひとですら、実際には不足していることががほとんどなのです。
「食物繊維の不足=沈むうんち」という関係があるため、食物繊維の摂取量が足りていない現状では、大部分のひとでうんちが沈んでしまう、すなわち胃腸の状態が悪いというのは当然ともいえます。
 体質改善をしてお通じがよくなってくると、血流も増えていきます。実際にぼくがカウンセリングをしている方のほとんどがそういった傾向にあります。

『血流がすべて整う食べ方』 第三章 より 堀江昭佳:著 サンマーク出版:刊

「うんち」が、水に浮くか、浮かないか。
 健康にとって、私たちが思っている以上に重大事なのですね。

 摂っていても、意外と足りていない「食物繊維」。
 たっぷり血流のためにも、毎日しっかり食べるよう、心がけたいですね。

キッチンには「七味唐辛子」という隠れた漢方薬があった


 血流をつくる源である、「胃腸」。
 その胃腸を元気にするためにぴったりの食材が、「七味唐辛子」です。

 そばやうどんを食べるときには欠かせない薬味である、七味唐辛子。
 実は、胃腸のための漢方薬といえるほどの薬効があるのです。

 七味の七種類の素材は地域によって異なりますが、創業が1625年ともっとも古い「やげん堀七味唐辛子本舗」さんのブレンドは、「唐辛子」「焼唐辛子」「粉山椒(こさんしょう)」「黒ごま」「陳皮」「けしの実」「麻の実」の七種類です。
 七味唐辛子というくらいですから、唐辛子が主役に違いありませんが、この唐辛子を筆頭にほとんどすべてが胃腸のための生薬なのです。
 唐辛子は中南米が原産地で、コロンブスのアメリカ大陸発見のとき、チリではインディオがけいれんや下痢の薬として使っていました。それがヨーロッパに持ち帰られて世界に広がりました。日本に渡ってきたのは意外と新しく、諸説ありますが、豊臣秀吉のころに漢方薬として伝わってきたといわれています。
 この唐辛子のことを古くは「蕃椒」といって、江戸時代の生薬辞典にも登場しています。そこには、「味辛性温毒ナシ宿食ヲ消シ結氣ヲ解キ胃口ヲヒラキ邪悪ヲ辟ケ腥氣諸毒ヲ殺ス」とその効能が書かれています。かんたんにいうと、「胃腸を温めて、ストレスを解消し、おまけにデトックス効果もあるよ!」という意味です。

 唐辛子以外の成分も、胃腸を温めたり、食欲を増進したり、消化を促したりと、まさに七味唐辛子は胃腸の薬の集合体。
 そして、あの刺激的な匂いには、鬱々とした気持ちを晴らし、ストレス解消もできるという働きがあり、さらに、唐辛子に含まれるカプサイシンには血流をよくする効果もあります。
 血をつくる胃腸を元気にし、さらに血流そのものまで改善してくれる七味唐辛子。現代の日本人にぴったりの助っ人といっても過言ではありません。
 ちなみに同じ七味唐辛子でも、関西と関東では味わいがまったく異なります。関西では風味を大事にするので、関東のものに比べて山椒の香りが強いのが特徴。この香りは気持ちを軽くすることにつながるので、ストレスを感じやすいひとにより向いています。

 とくに、七味唐辛子をとることを強くおすすめしたいのは、薄毛の方です。
 実は、「世界21の国と地域の成人男性薄毛率調査」の結果をかつらメーカーのアデランスが発表しているのですが、日本は14位でした。
 欧米人よりもアジア人のほうが薄毛になりにくいようですが、その中でも圧倒的に薄毛率が低いのがインド。これはスパイスの使用量が多いことと関係しているともいわれています。逆に薄毛と相関性が高いとされているのはビールと肉食。先ほどの調査では、もっとも薄毛率の高い国はチェコで、ビールの消費量も世界一です。
 実は、唐辛子に含まれるカプサイシンには血流をよくする効果があり、さらに育毛効果も期待されているのです。せっかくですから、日頃からとるに越したことはありません。
 漢方では、「髪は血のあまり」であるといわれていて、血流の不足が薄毛につながってしまいます。これは、男性だけでなく女性も同様です。
 七味唐辛子で胃腸を元気にして血流を増やし、さらに唐辛子のカプサイシンで育毛効果を得る、こんなすてきな調味料がキッチンに隠れていたとは!

『血流がすべて整う食べ方』 第四章 より 堀江昭佳:著 サンマーク出版:刊

 堀江さんおすすめの七味唐辛子の使い方は、みそ汁にちょっとふりかけることです。

 皆さんも、胃腸の元気ためにも、料理の隠し味に、ぜひ加えてみてください。

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 堀江さんは、食べることが「幸せに生きたい」という人間の本能に根ざしたものであるからこそ、食は人生を豊かにすることに直結しているとおっしゃっています。

 毎日食べる食事を、体にいいものに改善する。
 栄養を取り込むための「根っこ」である、胃腸の状態を改善する。

 それが「血流たっぷり」の健康的な生活への最短コースです。

「医食同源」は、東洋医学の根本をなす思想のひとつです。
 本書の内容は、もちろんそれに寄り添っており、誰でもできることばかりです。

 心身の健康を、根本から見つめ直したい。

 そう願うすべての人に、ご一読して頂きたい一冊です。

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