本一冊丸かじり! おいしい書評ブログ

本を読むことは、心と体に栄養を与えること。読むと元気が出る、そして役に立つ、ビタミンたっぷりの“おいしい”本をご紹介していきます。

【書評】『あなたは半年前に食べたものでできている』(村山彩)

 お薦めの本の紹介です。
 村山彩さんの『あなたは半年前に食べたものでできている』です。

 村山彩(むらやま・あや)さん(@Aya_latte)は、食欲コンサルタントで、日本初のアスリートフードマイスターです。
 現役トライアスリートの経験も活かし、プロのアスリートへの食事指導など、幅広くご活躍中です。

「食欲のセンサー」は正常に働いているか?

 村山さんは、人間とは本来、食べたいものを食べたいだけ食べる生活をしていれば、健康でいられるものだと述べています。

 人間の体は、必要な栄養素が足りなくなると、「食欲」というサインを出して摂取を促します。
 このとき、「食欲」のセンサーが正しければ、体にとって必要な正しい栄養素を自然と欲します。
 そして、正しい栄養素を体が取り込むことで、正しい健康体が保たれます。

 ところが、いったんこの「食欲」のセンサーがくもってしまうと、体が何を本当に必要としているのかがわからなくなり、手当たり次第に食べてしまうことになるのです。

 村山さんは、「正しい食欲」のセンサーを取り戻せば、老若男女誰でも健康な体になり、自分がもつ本来の力や能力が発揮できるようになると指摘しています。

 本書は、センサーを正常にし、「正しい食欲」を身につけることで健康体を維持する方法をまとめた一冊です。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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あなたは、半年前に食べたものでできている

 なぜ、くもってしまった「食欲」のセンサーを直す必要があるのか。
 自分を苦しめる「食欲」をそのままにしてしまうと、どんなことが起こるのか。

 村山さんは、以下のように解説しています。

 人間は約60兆個の細胞でできています。
 60兆個の細胞がぎゅっとひとつに集まったものが「自分」だといってもいいでしょう。
 たとえば、人間の体を透明なプラスチックの箱と考えてみてください。箱自体はもって生まれたもので、大きい箱、小さい箱、細い箱などいろいろな形があります。その中に細胞が詰まっているのが「あなた」です。
 細胞は、粘膜などの早いものだと一日〜二日で入れ替わります。骨の細胞のように何年も入れ替わらないものもありますが、平均するとだいたい半年くらいで、全部の細胞がチェンジすると思っていいでしょう。

 そして、その細胞をつくっているのは、食べ物です。自分が食べたもの以外に、自分の体をつくる材料になるものはありません。つまり、たったいま食べたものは、半年後の自分の体をつくっているといえます。
 あなたの脳も、神経も、手も、足も、筋肉も、すべての細胞はあなたが食べたものでできているのです。
 あなたがさっき食べたお昼ごはんは、半年後のあなたをつくっています。そして、いまの「あなた」は半年後につくられているということになります。

 ということは、もし、いまのあなたが体調が悪いとすると、その原因は半年前にあなたが食べたものに原因があるのかもしれません。
 もし、いまあなたの仕事の調子が悪いとすると、原因は半年前の食生活にあるといってもいいかもしれません。
 脳の細胞も食べ物でできているので、よい言葉や考え、ひらめきも、よい食べ物でできたよい脳細胞から生まれています。
 そう考えると、心さえ食べ物でできているといっても過言ではありません。こころと脳細胞は密接に関係しているからです。
 だからもし、あなたがこれから先、10年後、20年後も心身ともに健康的な生活を送りたいのなら、いま、「食欲」のセンサーを正しいものに直さないと、その先はありません
 いまだけお酒が飲めればいい、おいしいものだけ食べていられればいい、という生活をしていたら、半年後の自分は不健康になっているかもしれない。
 これから先もずっと幸せな人生を送りたいのなら、何をどう食べるかは、どう生き、どう働くかと同じくらい重要なことなのです。
 間違った「食欲」で食べてしまうのは、自分の体をゴミで埋め尽くしているのと同じです。
 間違った「食欲」をそのままにしてしまうことは、そのくらいおそろしいことなのです。

 『あなたは半年前に食べたものでできている』 第一章 より 村山彩:著 サンマーク出版:刊

 私たちの体を構成しているすべての細胞は、自分の食べたものでできている。
 よく考えると、当たり前ですね。
 しかし、実際に食事をするときには、その認識がすっぽり抜けてしまうことが多いです。

 くもった「食欲」センサーでは、体にとって不必要なものまで大量に口にしている可能性は大です。
「正しい食欲」を取り戻し、半年後の健康体を手に入れたいですね。

「ランニング」で、悪い毒素を外に出す!

 くもってしまった「食欲」センサーを磨くためにもっとも効果的なのが「運動」です。
 その理由は、「体の循環がよくなり、悪いものを押し出してくれるから」です。

 運動の強度の目安としては、「体全体で汗をかくくらい」が最適とのこと。
 ランニングや水泳、早足で歩くなどの運動が相当します。

 その中で、私がいちばんおすすめしているのはランニングです。
 ストレッチやヨガで汗をかこうと思ったら、長い時間が必要ですが、20分ほどのランニングをすれば、しっかり汗をかいて、血行がよくなり、体の中にたまっていた悪い毒素が流れていきます。
 ジムでマシンを使って走ってもかまいませんが、楽しみながら続けることを考えると、私はやはり外で走ることをおすすめします。季節の変化や風や太陽を感じながら、屋外を走る気持ちよさは、一度クセになるとやめられません。

 これまで、いろいろなスポーツがブームになってきましたが、ランニングブームが、10年以上もの長い期間続いているのも、やっていて楽しくて、手軽で、何よりも体を変える効果があるからではないでしょうか。
 そして、誰でも、すぐに、たった一人、道具もいらずに始められる。そんなところもランニングの魅力です。
 ランニングを始めるのは難しいという方は、まずは20分、よい姿勢でしっかり呼吸をしながら早足で歩くことから始めてみるとよいでしょう。
 体にクリアな感覚を定着させるためには、間を開けずに、できるだけこまめに運動することをおすすめします。
 まずは、二週間続けてみてください。私のまわりの人を見ていると、二週間もすれば、食生活が変わってくるのを実感できる人が多いようです。
 細胞が平均半年で入れ替わることを考えると、できることなら、半年はその習慣を続けてほしいと思います。

 『あなたは半年前に食べたものでできている』 第二章 より 村山彩:著 サンマーク出版:刊

 くもった「食欲」センサーを直すには、まず、体にたまった悪い毒素を外に出すことが必要です。
 そのためには、「ランニング」を続けるのがいちばんです。

 半年後に生まれ変わるための自分への投資として、一日に20分を確保したいですね。

理想の食事は、「一汁三菜」

 運動で体内の老廃物を押し出した後には、必ず「正しい食事」をして体に「正しい食欲」を覚えこませることが大切です。
 では、「正しい食事」とは、どのようなものでしょうか。

 村山さんは、わかりやすく、日本で昔から言われている一汁三菜をめざすようアドバイスします。

 ごはんとみそ汁やスープなどの汁ものに主菜ひとつと副菜をふたつ加えたのが一汁三菜です。毎食、これをめざせば、ほぼ五大栄養素はクリアできるでしょう。
 忙しい人は、せめて一日一食だけでも、一汁三菜に近づけていく努力をしていると、自分の「食欲」センサーを磨くスイッチが入っていきます
 一汁はともかく、おかずを三つもつくるのか・・・・と考えると、大変な気がしますが、おかずのひとつは納豆でもかまいません。お豆腐にねぎをのせただけでもいい。忙しければ、生卵一個、果物一個を添えるだけでもいいのです。

 バランスのよい食生活とは、なにも食卓をきれいにつくることではありません。納豆ひとつ、お豆腐ひとつ添えようとする姿勢から、きちんとした自分になろうとする第一歩が開けてきます。
 最初から全部手づくりするのは無理かもしれませんが、インスタントみそ汁に生卵を入れてみるとか、葉もの野菜をちぎって浮かべるとか、そういう姿勢の積み重ねが自分の体と向き合うスイッチを入れ、「食欲」のセンサーを改善させていきます
 自炊が難しければ、居酒屋に行くのでもいいのです。そこで、一汁三菜に近づけたメニューを注文してみることから始めるのもおすすめです。

 まずは、一日一食だけ、食事を一汁三菜に近づけていく。そのベースができたら、あとは自分なりに、どうやったら長続きできるのか、工夫していけばいいでしょう。
 たとえば私がよくやるのは、おかずをごはんの上にのせてどんぶりものにしたり、具だくさんのみそ汁をつくったりすることです。
 食卓の上はどんぶりひとつ、みそ汁ひとつでも、中身は一汁三菜の応用です。一汁三菜をベースに考えることで、どんぶりやみそ汁の中身はバラエティに富むようになりますし、大切な栄養素をクリアできるようになっていきます。

 『あなたは半年前に食べたものでできている』 第三章 より 村山彩:著 サンマーク出版:刊

 理想は、タンパク質、脂質、炭水化物の三大栄養素、これにビタミン、ミネラルを加えた五大栄養素をバランスよく摂取することです。

 毎食、理想的な食事をとるのは難しいかもしれません。
 それでも、食卓に乗せるおかずの数をできるだけ多くそろえようとする姿勢が大切です。

 少しずつ、できるところから改善していきたいですね。

「エネルギー代謝」から食事を考える

 村山さんは、何を、どう食べれば力を出せるのかを知るためには、「代謝」について知ることが大切だと述べています。

 身近な代謝のひとつに、エネルギー代謝があります。
 エネルギー代謝とは、食べたものを体の中でエネルギーに変える働きのこと。
「代謝を上げなさい」とよくいいますが、これはつまり、食べたものをきちんと消費できるエネルギーに変えて消費できる体になれば、脂肪としてため込まなくなる、ということです。
 代謝が悪ければ、食べたものをエネルギーにできず、やがて脂肪になってしまいます。だから、カロリーだけを気にしていてもダメなのです。
 人間の体を動かすエネルギーとなるのは、糖質と脂肪です。これらは体の中で熱になって燃え、内臓を動かして生命活動を維持します。またタンパク質は筋肉や内臓など体の組織をつくり、ビタミンやミネラルは糖質や脂質が燃えるのを手伝います。
 そしてその燃えかすは、便や汗となって、体外に排泄(はいせつ)されます。

 話をわかりやすくするために、人間の体を車にたとえましょう。
 車本体のボディをつくるのはタンパク質です。車を動かすガソリンは糖質や脂質、ガソリンが燃焼するのを助けるエンジンオイルはビタミンとミネラルです。ガソリンがなければ、車は動きません。
 動かなくなるというのは、つまり死んでしまうということ。それでは困るので、体の中にはガソリンタンクの役目をする肝臓や筋肉があって、いつも新鮮なガソリンが保管されています。糖質や脂質はガソリンになって、いったん肝臓や筋肉のタンクに保管され、そこからさまざまな活動に使われます。
 さらに、タンクに入りきらないガソリンは、脂肪に変えられ、別の倉庫に保管されます。これが皮下脂肪や内臓脂肪です。
 万一、タンクのガソリンが空になりそうになったときや、ある一定の強度で動いた時は、倉庫から脂肪を出して、ガソリンに変えて、燃焼させるという仕組みです。

 車は、その馬力によって、使うガソリンの量が違います。人も同じで、活発に活動している人はたくさんガソリンを使うので、ガソリンの材料となる食べ物をきちんと食べなければなりません。かつ、食べたものをガソリンに変えて燃やし、いらないものは排泄(はいせつ)するという一連の流れが活発でないと、活発な活動を維持できません。

 食べたものを吸収してガソリンに変え、燃やして、排出する――この一連の流れを代謝といいます。そしてこの流れがスムーズなことを「代謝がいい」といいます。

 『あなたは半年前に食べたものでできている』 第四章 より 村山彩:著 サンマーク出版:刊

 車でいうボディも、ガソリンも、エンジンオイルも、人間はすべて食事から取り入れています。
 栄養バランスのとれた食事が勧められる理由もよくわかりますね。

 質の悪い食事ばかりしていると、エネルギー代謝が悪くなり、活発な活動ができなくなります。
「正しい食事」の重要性を、「代謝」の観点からもしっかり理解しておきたいですね。

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「自分の体は、自分の食べたものでできている」

 当たり前ですが、私たちはその重要性を忘れてしまいがちです。
 どんな製品でも、元の素材がよければいいものができるし、悪ければ出来の悪いものになる。
 当然、人間の体にも当てはまりますね。

 中国には、「食は医なり」という古い言葉があります。
 日々食べるものが、自分の健康を守るためのいちばんの基礎になるということ。
 足元から自分の健康を見直すきっかけとなる一冊です。

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