本一冊丸かじり! おいしい書評ブログ

本を読むことは、心と体に栄養を与えること。読むと元気が出る、そして役に立つ、ビタミンたっぷりの“おいしい”本をご紹介していきます。

【書評】『世界一やさしい「才能」の見つけ方』(八木仁平)

お薦めの本の紹介です。
八木仁平さんの『世界一やさしい「才能」の見つけ方 一生ものの自信が手に入る自己理解メソッド』です。

世界一やさしい「才能」の見つけ方 一生ものの自信が手に入る自己理解メソッド

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(2023/6/3 12:09時点)

八木仁平(やぎ・じんぺい)さんは、自己理解メソッド開発者です。

「才能」を見つければ、その瞬間から人生は変わる!

八木さん自身が才能について真剣に向き合ってきた経験と、1000人以上の「才能が見つかっていない人たち」を「才能が見つかった人」へと導いてきた経験から、自信を持って言えること。

それは、才能を見つけると、その人の考え方や行き方、そして人生までもが劇的に変わってしまうということです。

 では、なぜ才能を見つけると、このように生き方が変わってしまうのでしょうか? 一言でいうと、才能を見つけたことで「本当の自分を肯定することができた」から。その結果、本当の自信がつき、自分の生き方に迷いがなくなるのです。

あなたにも必ず才能がある。
ただ、見つけ方を知らないだけ

才能は誰もが持っているものです。
それなのに、多くの方は「才能」について漠然と「選ばれた人だけか持っているもの」「簡単には見つからないもの」と考えているのではないでしょうか。

ここて、そもそもどうして才能を見つけるのは「難しい」のか、考えてみましょう。
結論をお伝えすると、それは「才能」に関して間違った考えを多くの人が持っているからです。

あなたにとって才能がある人とは、どんな人でしょうか?
野球の世界で抜きん出た成果を残している人のことでしょうか? 音楽の才能があり演奏で人を感動させる「ピアニスト」などでしょうか? 残念ながら、本書でみなさんに見つけていただく才能はそういうものではありません。

才能は誰もが持っているものです。
「そんな才能、見つけても役に立たなそう」と思うかもしれません。それは全くの勘違いです。
むしろ、「野球の才能」などと違って一般的なものだからこそ、日々の生活や仕事などあらゆる場面でつかうことができます。
ほとんどの人は自分の才能に気づいていないからこそ、気づいたときには自分の人生を大きく変えることができるのです。

世の中には、自分で見つけるまでもなく、周りから才能を引き出してもらえる人がいます。
しかし、僕も含めて多くの方はそうではないでしょう。なので、本書では才能を見つける技術をみなさんにお伝えします。技術だからこそ、順番通りにやれば誰にもできるものです。

才能にはシンプルな見つけ方がある

この本を書くにあたっては、過去の偉大な方々による才能に関しての本や研究を読み込みました。1つ1つの理論は素晴らしいものですが、才能を見つけて活かす方法をシンプルに示せている本はまだ存在していませんでした。
そこで、本書では過去の人々の発見をすぐに実行できるように体系立ててまとめました。
才能に関わる言葉すべてを明確に定義し、見つけ方を公式として示し、公式に当てはめる要素を見つけるためのステップを1つ1つ解説しています。

本書であなたがやるのは、算数の問題を解くように、公式に自分を当てはめていくことだけ。
やることは全部で立ったの3ステップ。あなただけの才能の見つけ方を、世界一やさしくお伝えしていきます。本書の公式に、あなたの人生を当てはめることで、圧倒的な自信を持って、劇的な人生を生み出すことができるでしょう。

改めて断言します。
あなたには、必ず才能があります。
そして、本書を手に取ってくださった方には、一人残らず才能を自覚していただきます。

この本には、そのために必要なことをすべて書きました。
あなたはこの本を読み終わったあとに、気づくでしょう。

・自分には才能がないのではなかった
・自分は才能に気づいていないだけだった

と。

『世界一やさしい「才能」の見つけ方』 はじめに より 八木仁平:著 KADOKAWA:刊

本書は、あなただけの才能を見つけることで、“一生ものの自信”を手に入れる方法をわかりやすくまとめた一冊です。
その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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正しい「才能の定義」とは?

「自分には才能なんかない」

そう信じてしまっている人は多いでしょう。

しかし、八木さんは、そう感じてしまうのは、そもそもの「才能の定義」が間違っているからだと指摘します。

正しい「才能の定義」とは?

では、正しい才能の定義とは何なのか? それは、

「つい、やってしまうこと」

これなんです。
才能を見つけるときには、他人と比べる必要は一切必要ありません。
自分が「つい、やってしまうこと」であれば、それが才能です。
言い換えると「自然とやっていること」でもあります。
「『つい、やってしまうこと』って、八木さんどういうこと?」と思いましたよね。例えば、

・つい、すぐ行動してしまう
・つい、人間観察をしてしまう
・つい、リスクを考えてしまう
・つい、目立とうとしてしまう
・つい、ネガティブに考えてしまう
・つい、人の気持ちを考えてしまう
・つい、人に話しかけてしまう

これらはすべて才能です。
ここで、才能を実感するためのワークをやってみましょう。

「頭の中で紙を思い浮かべて、
手で自分の名前を書いてみてください」

書けましたか?
では質問です。

「どちらの手で名前を書きましたか?」

おそらく、ほとんどの方が利き手をつかって書いたはずです。
そして、利き手をつかって書くときに、「利き手をつかおう」と意識すらしなかったはずです。
これが、「つい、やってしまうこと」です。
「才能」もこれと同じで、みなさんがいつも、意識せずにやってしまっていることなのです。
しかし、利き手をつかうのは自分にとって無意識な行動なので、「どちらの手で名前を書きましたか?」と質問されるまでは、「今、利き手で書いている」と気づけていた人はいないでしょう。「才能」も同様に、普段からずっとやっているのに、あえて意識してみるまで気づけません。だからこそ、時間をとって行動を振り返ることで、自分がつい無意識につかっている「才能」を見つける必要があるのです。
その振り返りをサポートするのが本書の役目です。
(中略)
「才能」とよく間違われるのが、資格に代表される「スキルや知識」です。この2つは似ているようで全く違います。
「才能」の例は「リスクを考えられること」「人の気持ちを大事にできること」「1つのことを突き詰められること」などです。
一方で「スキルや知識」とは、「英語が話せる」「プログラミングがてきる」「料理ができる」などのことです。
これらは3つの点で全くの別物です。
まず1点目。「才能」は、特別な努力をせずに身についたもので、「スキルや知識」は学ぶことで後天的に身につけたものという違いがあります。
2点目。「才能」は一度知ってつかえるようになれば、どんな仕事でもつかえるもので、「スキルや知識」は特定の仕事でのみ活用可能なものです。
3点目。「才能」は一生つかい続けることができます。一方、「スキルや知識」は古くなってつかえなくなる可能性があります。
表にまとめるとこのようになります。

「え? じぁあスキルや知識は重要じゃないの?」と思われたかもしれません。
「スキルと知識」は、もちろん必要なものです。
ですが、時代の変化とともに陳腐化してしまいます。昔は、ソロバン教室に通って資格を取ると就職に有利でしたが、今はそんなことはありませんよね。スキルとは、そういうものです。
また、一度身につけたスキルや知識に依存して、人生の自由度を下げてしまう人もいます。
そして、この「スキルや知識」を重視している人は、なかなか「才能」を見つけることができません。

例えば、看護師の資格を取ったとします。資格取得のために努力をしたことは、本当に尊いことです。
でも、看護師の仕事を辞めてしまったらどうでしょうか?
その資格自体は無駄になってしまうかもしれません。
僕のところによく「転職したいけれど、看護師の資格を活かしたいと思っている」など今持っている資格を活かしたいという相談がきます。
これは、自分の「やりたいこと」よりも「資格を活かす」ことの優先順位が高くなってしまっている状態です。
そうやって選んだ次の仕事が、本当にあなたを幸せにしてくれるでしょうか?
人生を豊かにするための資格が、逆にあなたを縛っているとしたら本末転倒です。

また、例えば、公認会計士の資格を取ったとします。
ものすごい努力が必要なことで、本当にすごいことです。けれど、実際に仕事を始めてみたら自分には合っていなかったとしたらどうでしょうか?
実際にこんな相談を受けたことがあります。
「公認会計士の資格を取って会計事務所に就職したものの仕事が合わなかったので、辞めたいんです。けれど、これまでの努力が水の泡になってしまうと思うと、決断できません」
これもまた、自分の「やりたいこと」よりも「資格を活かす」ことの優先順位が高くなってしまっています。
このように、資格を代表とする「スキルや知識」を重視した生き方はとても不自由です。

では、どうすればいいでしょうか?
答えは簡単です。
「自分の外」に向いている目を、「自分の内」に向ければいいのです。
自分の「外側にあるスキルや知識」を求めるのではなく、「内側にある才能」に目を向ければいいのです。「スキルや知識」をつかうのも、結局は自分自身。だから何よりもまず、「自分の才能」について学ばなければいけません。

『世界一やさしい「才能」の見つけ方』 CHAPTER1 より 八木仁平:著 KADOKAWA:刊

才能は、自分が当たり前のように自然とやっていることの中にあります。

他人から見るとすごいことなのに、自分では気づけない。
才能を自覚することが難しい理由は、そこにあるのですね。

一方、資格やスキルは、目に見えるものです。
それを才能と誤解してしまうことが多いのも納得です。

才能を強みに変える「2つの公式」

八木さんは、才能はそのままつかうものではなく、少しだけ調理する必要があると指摘します。

才能を唯一無二の強みに変えるための黄金レシピ「2つの公式」です。

[才能の公式①]
「短所←才能→長所」

才能は「包丁」のようなもの。すべてはつかい方次第

まずは1つ目の公式は、「短所←才能→長所」というものです。
これは、「才能は短所にも長所にもなる」というシンプルなことです。

・「つい、人の気持ちを考えてしまう」
短所⇒自分の気持ちを後回しにする
長所⇒人の気持ちに配慮して行動する

・「つい、先のことを考えてしまう」
短所⇒リスクが見えて身動きが取れない
長所⇒効率的に物事を進める

・「つい、新しいことを学んでしまう」
短所⇒学んで満足し行動しない
長所⇒向上心がある

このように、才能自体は、いいものでも悪いものでもありません。つかい方によって、良くもなるし、悪くもなります。
イメージは、包丁です。
同じ包丁でも、料理で人を幸せにすることもできれば、殺人事件を起こして人を不幸にすることもありますよね。
しかし多くの人は、自分の才能の短所しか見ておらず、他人の才能の長所しか見ていません。
隣の芝生はいつも青く見えます。しかし、そんなときこそ思い出してください。隣の芝生はたしかに青いですが、他人から見ればあなたの芝生も青いのです。あなたにも必ず才能があり、長所があります。

勝負どころは「イキイキする環境」を見つけられるかどうか

今まで、あなたは一度は「うまく長所が発揮できた!」と思ったことがあるでしょう。
もちろん、それ以上「今日はダメだった」と短所が発揮されて落ち込んだ経験もあるでしょう。
いつもうまくいくとは限らないものです。

だからこそ、こう思いませんか?
「常に自分の才能が長所として発揮され続ければいいのに」と。
才能が長所になるか短所になるかを分ける、最も大きなポイントは「環境」です。例えば、「つい抜け漏れがないかを確認してしまう」という才能は、スピードを求められる環境では「仕事が遅い」という短所として発揮されてしまいます。
しかし、正確さを求められる環境では「ミスをしない」という長所として発揮することができます。

才能を活かすために必要なのは、必死に努力をすることではありません。
自分の才能を深く理解し、才能が長所として活きる環境に身をおくことです。

つまり、「自分がイキイキするのはこういう場所だ」と、才能をプラスに発揮できる環境を見極めるのが勝負どころなのです。
「環境」の中には、大きく分けて「人」と「活動内容」があります。
例えばあなたも、「この人といるときの自分は好き」と思える人がいませんか?
それは、その人といると自分の才能が長所として発揮されると感じるからです。
もしくは、「この仕事をやっていると楽しい」ということはありませんか?
それは、その活動で求められることが、自分の「才能」とマッチしているからです。

「ここでダメなら、どこへ行っても同じだぞ」にだまされないで

「今の場所でうまくいかないからと、環境を変えるのは逃げなのではないか?」
そう思う人が多いようです。

・会社の上司から「ここでダメなら、どこへ行っても同じだぞ」と言われた
・周りの人から「今逃げたら逃げグセがつくよ」と言われた

あなたにも、こんな経験がありませんか? 実際に、お客さまからよく聞く話です。確かに、同じ環境でうまくやっている人がいるのを見ると、「うまくいっていないのは自分の努力不足」と感じてしまうのも無理はありません。しかし、断言します。
「ここでダメなら、どこへ行っても同じ」なんて大嘘です。自分がしんどい環境にいるんだとしたら、今すぐ逃げていいのです。
むしろ、「逃げていい」どころか「絶対逃げなければいけない」のです。
せっかくもらった「才能」を精一杯活かすのがあなたの責任。それは他の誰かには絶対できません。
(中略)
[才能の公式②]
「才能×スキル・知識=強み」

ここまでで、公式①「短所←才能→長所」は正しく理解していただけたでしょうか?
続いて、2つ目の公式を解説していきます。
それは、「才能×スキル・知識=強み」です。

実は、本書でみなさんに手に入れていただきたいのは、「長所」よりさらに1段階上にある「強み」です。
強みとは、「成果を生む能力」のこと。
この2つ目の公式を理解すれば、あなたがこれから何に時間をかけるべきかがはっきりわかるようになります。

ピカチュウなのに、はっぱカッターを練習するな

「ピカチュウなのに、はっぱカッターを練習しないでください」

セミナーで、僕がこんなことを言うと、お客さまは一瞬びっくりしたような顔になります。これは僕が、公式②「才能×スキル・知識=強み」を説明すること気によくつかうたとえ話です。
例えば仮に、ピカチュウが「はっぱカッター」という、葉っぱで相手を傷つける技を身につけようとするところをイメージしてみてください。「なんか大変そうだな・・・・・」と思いませんでしたか?
そうなんです、自分のタイプに合っていない技を身につけるのは大変です。
ピカチュウはでんきタイプのポケモンなので、くさタイプの技を一生懸命練習しても体から葉っぱが出るようにはなりません。
どうにかうまく葉っぱを投げられるようになっても、大したダメージを与えられないのでポケモンバトルで勝つことはできないでしょう。いくら練習しても、葉っぱを体内から出すことのできるフシギダネのように、はっぱカッターをうまく扱うことはできなそうです。つまり、そもそも「才能」がないものに「スキル・知識」を掛け算したとしても、小さな成果しか出ないわけです。
一方、もともと体内ででんきを作れるピカチュウが「10まんボルト」という技を身につけたらどうでしょうか? 自分にぴったりなスキル・知識を身につければ大きな威力が出て、ポケモンバトルに勝ちやすくなるはずです。
実はポケモンの世界では自分の持っているタイプと同じタイプと同じ技をつかえば、技の威力が1.5倍になるという仕組みがあります(でんきタイプのピカチュウの場合、でんき技をつかえば1.5倍)。そして、この仕組みはポケモンの世界だけでなく、人間の世界でも同じです。

『世界一やさしい「才能」の見つけ方』 CHAPTER2 より 八木仁平:著 KADOKAWA:刊

行動遺伝学の研究によると、「才能の約50%が遺伝で決まる」とされ残りの半分は、育った環境で決まるそうです。

つまり、才能自体を変えようとしても、なかなかうまくいかないということです。

すでに自分の中にあるものを磨き、有効に活用すること。
才能に関しては、それが最も重要になります。

才能は「5つの質問」で見つける!

八木さんは、才能とは息を吸って吐くようにやっているのもで、あなたは、まだ気づいていないだけだと述べています。

では、自分ではなかなか見つけられない才能に気づくには、どうすればいいでしょうか。
八木さんは、そのための方法として「5つの質問に答える」を紹介しています。

 では、まずは質問を通じて才能を見つけていきましょう!
質問は全部で5つ。すべての質問に回答の参考になる例をつけてあります。

Q1 他人にイラッとすることは?

あなたが他人にイラッとすることはなんでしょうか? なぜ、イラッとしたことから「才能」がわかるの? と思いますよね。それは、イラッとするのは以下の2つのどちらかを思ったときだったからです。

・「自分だったらこうするのに」
・「自分だったら絶対こうしないのに」

つまり、「自分なら普通にできてしまうこと」ができない人を見たときに、「なんでこんなこともできないの?」とイラッとしてしまいます。しかし、この「イラッ」としたときはあなたの才能を見つける大チャンスです。「イラッ」の裏側には、才能が必ず隠れています。

具体例を紹介します。
僕の友人に、飲み会でいつも中心になる人がいます。
あるとき、そんな友人が「面白くない話を延々と続ける人にイラッとする」と言っていました。これは僕には全くない感覚で、ものすごく驚いたので鮮明に覚えています。
面白い話をして場を盛り上げることを当たり前にやっているから、出てくる言葉でしょう。
そんな友人は、「つい面白い会話で人を楽しませようとする」という「才能」を持っていました。
この質問から才能を見つけるのには、10秒です。

・まず、イラッとしたことを考える
⇒次に、自分が何が当たり前にできるからイラっとしたのか考える

具体例を紹介しておきましょう。

「他人にイラッとすることは?」の回答例
・「相手の立場を考えず意見をしてくる」ことにイラっとした
⇒「相手の立場に立って考える」が当たり前にできる才能
・「同じ失敗を繰り返す」人にイラっとした
⇒「問題が起きたときに根本解決する」が当たり前にできる才能
・「矛盾していることを言う」人にイラっとした
⇒「論理的に物事を考える」が当たり前にできる才能

このように、他人にイラっとしたときは、他人のできないことを指摘するのではなく、「その逆が自分の才能なんだ」と捉えましょう。それができれば人間関係がとても円滑に進むようになって人生はラクになります。
明日からも、人と関わる中でイラっとするタイミングがあるはずです。そんなときにこの技術をつかってみてください。才能も見つかり、人間関係もラクになり、一石二鳥のテクニックです。

POINT
イラッとする他人は、あなたの才能を教えてくれている

Q2 親や先生によく注意されたことは?

親や先生に注意されたことはなんですか?
「注意されることってダメなことですよね? なんでそこから才能が見つかるの?」と思われるかもしれません。人から注意されることは、あなたの突き抜けているポイントです。目立っているからこそ、注意されるのです。
例えば、時速300キロで走れるF1カーが、最高速度が時速50キロの公道で走るとどうなると思いますか? 気を緩めて少し速度を出してしまうと、すぐにスピード違反になって注意されてしまいますよね。最高速度を守ろうとすると、持っているポテンシャルが発揮できずに、悶々(もんもん)としてしまうはずです。
しかし、F1カーはレース会場に行くと、ものすごいスピードを出せます。
ここから何がわかるでしょうか?
そうです。注意されるくらい自然とできる才能を見つけて、それを長所として発揮できる環境に移ることが大事だということです。

例えば、「ネガティブなことばかり気になる」などはどう考えても短所のように見えます。
そんな短所を持つUさんは周りの人からいつも「ネガティブなことばっかり考えるのはやめなよ」と注意され続けてきました。その結果、自分自身も「困った短所だな」と否定的に捉えてなるべく出さないようにしてきました。
ですが、炎上を避けるために謝罪会見のプロとして仕事を始めた瞬間に、長所として役立ち始めたのです。ネガティブに考えてリスクを徹底的につぶすことでお客さまから信頼されて仕事を依頼されています。
また、僕の場合は、高校生のころ世界史のテストで0点を取って先生から怒られたことがありました。自分の受験科目に世界史が必要なかったため、他の教科の勉強に時間をつかったので0点という結果になってしまいました。ここから僕の「必要のないことを切り捨てる」という才能がわかります。
他にも、「どう考えても短所のように見えるもの」も、必ず長所として活かす方法があります。

短所にしか見えないものが、長所として活かされる例
・物事を疑ってかかる
⇒人々に真実を伝えるジャーナリストになる
・人の話を聞かずに、自分が喋り続ける
⇒セミナー講師になる
・聞かれてもいないのに「こうしたほうがいい」と言ってしまう
⇒コンサルタントになる
・飽きっぽい
⇒連続起業家になる
・政治家の悪口をよく言う
⇒社会を風刺するラッパーになる

このように、注意されることから才能を見つけるのも、とても簡単です。

・注意されたことを思い出す
⇒自分のどんな「つい、やってしまうこと」が短所になったのか考え、長所として捉え直す

例えば、このように回答してみてください。

「親や先生によく注意されたことは?」の回答例
・飽きっぽいことを注意された
⇒「新しいことに興味を持つ」才能
・親に相談せずに決めてしまうことを注意された
⇒「自分で意思決定する」才能
・冷たい、思いやりがないと注意された
⇒「感情を交えずに考え、判断する」才能

あなたが注意されたことから才能を見つけたら、ここからの人生では「その才能を活かせる環境」を選んで、そこで生きてください。間違っても、注意される環境でがんばり続けることはやめてください。
才能を活かせる環境の見つけ方は次のCHAPTER4で解説します。
まずはこの章であなたの才能を見つけていきましょう。

POINT
注意されるのは、突き抜けているポイント

Q3 やっちゃダメと禁止されると辛いことは?

なぜ、禁止されると辛いことを考えると才能が見つかるのか、わかりますか? この時点でわかっていれば、あなたは才能を見つけるかなりの上級者です。
何度も繰り返しますが、才能とは「つい、やってしまうこと」です。自分にとって、それをやっている状態が自然で、やっていない状態は不自然です。無意識にやっていることなので、禁止されてできない状態はとても苦しいのです。
鳥が空を飛ぶことを禁止されて、陸を歩きなさいと言われているようなものです。

知人のTさんは感染症流行による外出自粛期間に、「人と会って話すこと」を禁じられ、とても落ち込んでいました。
つまり「他人とコミュニケーションする」という才能を持っているのでしょう。
ちなみに僕は「人と会って話すこと」は禁止されても辛くはありません。それをTさんに伝えるとビックリしていました。みなさんはどうでしょうか? 「才能」はこのように本当に人それぞれです。

この質問には、以下の手順で答えてください。

1.やっちゃダメと禁止される辛いことを考える
2.どんな「つい、やってしまうこと」が禁止されているのかを考える

この質問は1がポイントです。ストレートに「禁止されると辛いこと」を聞かれてもなかなか思いつかないかもしれません。そんな方は「これまで息苦しかった環境は何か?」と考えてみるのがおすすめです。
それは、自分の「つい、やってしまうこと」が禁止されていた環境であることが多いからです。

この質問にも、具体例を紹介しておきましょう。

「やっちゃダメと禁止されると辛いことは?」の回答例
・不健康そうな人にアドバイスすることを禁止される辛い
⇒「改善のためのアドバイスをする」ことがつい、やってしまう才能
・落ち込んでいる人がいるときに話を聞くことを禁止されると辛い
⇒「人の気持ちに寄り添う」ことがつい、やってしまう才能
・本を読むことを禁止されると辛い
⇒「新しい知識を学ぶ」ことがつい、やってしまう才能

この質問で見つかった、禁止されると辛いくらいの「才能」を仕事にするとどうなるでしょう? そうなれば、「仕事をしたい」とか「したくない」というレベルではなく、「仕事をつい、やってまう」という状態になります。
そのとき、人生から「モチベーション」の問題は消えます。言い換えれば、「今モチベーションが上がらずに困っているのであれば、才能を活かせていない」ということです。

成功の秘訣は「やる気を出すこと」ではなく「やる気がなくてもできることを続けること」。そして、やる気がなくてもできることには、あなたの才能が関係しています。
ぜひこの質問で、そんな才能を見つけてください。

POINT
「やっちゃダメと禁止されると辛いこと」を仕事にすれば、モチベーションの悩みから解放される

Q4 あなたの短所を「だからこそ」で言い換えるとどうなりますか?

あらためて、「短所」と「長所」は表裏一体です。
なのに「あなたの長所はなんですか?」と聞いても答えられる人は少なく、「あなたの短所はなんですか?」と聞くとほとんどの人が答えられます。これは不思議ではありませんか?
実は、これには人間の本能が関係しています。人間はポジティブな情報よりも、ネガティブな情報に注意を向けやすい「ネガティビティバイアス」を持っています。なぜかというと、人間の脳は明日生きることで必死で一歩間違えると死んでしまう「狩猟採集時代」に作られているので、「危険なこと」や「リスク」などのネガティブなことに注目する必要があったからです。
「ネガティブ」に注目する本能は、死のリスクが下がった現代でも変わっていません。社会の変化が急激すぎて、脳の進化が追いついていないのです。
その本能を利用して、見つけやすい「短所」から「才能」と「長所」を見つけましょう。

実は、あなたの「短所」を一瞬で「長所」に変えてしまう魔法の言葉があるのです。

それは「だからこそ」。
例えば「人見知りだから、新しい友達がなかなかできない」と考えていたとします。
この「だから」「だからこそ」に言い換えてみましょう。
そうすると「人見知りだからこそ、大事な人とじっくり向き合うことができる」や「人見知りだからこそ、一人でじっくり考える時間を取ることができる」と一瞬で長所に言い換えられます。
この言葉をつかえば、どんな短所も例外ではなく、長所に言い換えられます。
なので、この質問には次の流れで答えてください。

・短所を考える
⇒短所がどんな「才能」から生まれているか考える

「あなたの短所を『だからこそ』で言い換えるとどうなりますか?」の回答例
・人と長時間一緒にいると疲れる
⇒だからこそ、一人で思考し新しいものを生み出すことができる
・承認欲求が強い
⇒だからこそ、多くの人に役立つ仕事をすることができる
・強い言葉で人を傷つけてしまうことがある
⇒だからこそ、その言葉で人の背中を押すこともできる
・相手の目線に立って考えることが苦手
⇒だからこそ、自分の意見をストレートに伝えることができる
・指示された通りのことをするのが苦手
⇒だからこそ、自分で主体性を持って動くことができる
・臨機応変に対応するのが苦手
⇒だからこそ、しっかり準備することができる
・目的のない世間話が苦手
⇒だからこそ、目的から逸れずに進むことができる
・勉強することが苦手
⇒だからこそ、自分で学ばず人に頼ることができる

他にも例は無数にあります。巻末特典として「才能の具体例1000リスト」を掲載しています。
短所があるあなた「だからこそ」輝ける。そんな場所が世界には必ず存在しています。

POINT
「だからこそ」で、短所は長所に一変する

Q5 他の人は嫌がるのに、自分には楽しいと思えることは?

仕事として、あまりに楽しくて、遊びだと思えるくらいのことを見つければ、勝ったも同然です。多くの人は「仕事とは苦痛が伴うもの」と思っています。ですが、現実は正反対です。仕事とは遊びであって、喜びが伴うもの。そういう感覚でできることのほうが楽しく、結果も出るのです。
自分には遊びのように楽しいのに、周りからは仕事として受け止められる。それがあなたの「才能」です。
遊びのように楽しければ、1日16時間、週7日働いても苦になりませんが、苦痛が伴う仕事だと感じている人にとっては大変すぎます。だから、誰もあなたには勝てないのです。

「努力は夢中にかなわない」

これは、仕事に置いてよく言われる言葉です。さまざまなアレンジが加えられて流布していますが、元は孔子の『論語』にある「知之者不如好之者、好之者不如楽之者(知っているというのは好むに及ばない、好むというのは楽しむに及ばない)」で、ことわざで言えば「好きこそものの上手なれ」です。

「夢中になれることなんて、ゲームくらいしかないです」と思う人もいるかもしれません。もちろんそこにも「才能」が隠れています。ゲームに夢中になる人は多くいますが、何を楽しんでいるかは人それぞれです。例えばゲームでも特に「レベル上げをするのが楽しい」という人がいると思います。その場合は、「コツコツ成長する」才能を持っています。
また「最短ルートで攻略することが楽しい」という人もいます。この人は、「効率的な戦略を考える」才能を持っています。

こうやって「夢中になれることの中で、どんな行動が特に楽しいんだろう?」まで掘り下げることで、あなたの才能を見つけることができるのです。この質問にも、簡単に答えられます。

・「他の人は嫌がるのに、自分には楽しいと思えること」を思い出す
⇒特にどんな行動が楽しいのか考える

「他の人は嫌がるのに、自分には楽しいと思えることは?」の回答例
・会議の進行役をすること
⇒「みんなの意見を引き出しまとめる」のが楽しい←これが才能
・動物の世話をすること
⇒「日々ケアをして変化を見る」のが楽しい←これか才能
・書類ミスのチェックをすること
⇒「ミスを見つける」のが楽しい←これが才能

この質問で見つけた才能を仕事に活かすことができれば、「早く仕事終わらないかな〜」ではなく「あっという間に時間が過ぎた! もっと働きたいな〜」と思うようになります。
才能を見つけて活かすと、これまでの人生がなんだったんだと思えるほど、世界の見え方が変わってしまうのです。

POINT
「夢中になれること」を掘り下げると才能が見つかる

『世界一やさしい「才能」の見つけ方』 CHAPTER3 より 八木仁平:著 KADOKAWA:刊

自分には、当たり前過ぎて、その価値に気づかないものに光を当てる。
その“サーチライト”となるものが「5つの質問」です。

5つの光で、これまで生きてきた自分自身の人生を照らして、隠れた才能たちを見つけ出しましょう。

長所を活かす「2つの技術」とは?

才能を活かす技術はシンプルで、次の2つだけです。

・長所を活かす
・短所をカバーする

つまり、最初にすべきは「長所を活かす」ことです。

八木さんの「長所を活かす技術」を、①クラフト法→②環境移動法に分解して解説しています。

[長所を活かす技術①]
クラフト法ーー仕事を天職につくり変える魔法の技術

では、まずは「クラフト法」からお伝えしましょう。
「クラフト法」とは、目の前の仕事に「才能を活かす工夫」をすることで、自分の天職に変えてしまう技術です。
僕は、「天職を見つける」という言い方が好きではありません。なぜなら、この世界のどこかに、唯一自分にぴったりの「天職」があって、それを見つけさえすれば幸せになれるというイメージを持ってしまうからです。
「天職」は「与えられる」ものではなく「作る」ものです。自分の長所に生かしやすい環境で、その活かし方を工夫することで、「これが天職だ」と感じられるようになっていくのです。
「クラフト法」をマスターし、天職に変えることができるようになりましょう。

他人の成功を真似するのはやめなさい

僕の感覚として90%以上の方は、今いる環境でも、工夫次第で「才能」を活かす余地があります。
20代の会社員Hさんの例をお話ししましょう。Hさんの目標は、「世界で自由に活躍できる人になる」こと。「日本にいながら、今できることは何だろう?」、そう考えて、会社員をしながら副業で海外向けの動画発信を開始しました。
最初は、「海外向け発信で成功している日本人」の真似をして、ファッションの動画、日本の食べ物のレビュー、スケボーの動画などをカッコよく編集してアップしていました。けれどチャンネル登録者数は20人程度までしか伸びず、楽しくないし自分らしい感じがしません。
そんなとき、僕の前著『世界一やさしい「やりたいこと」の見つけ方』に出会い、書かれている才能を見つけるワークに取り組んだのです。そこで見つけた才能は、「理想の未来を語ること」と「生き方について深く考えること」。それらを活かして、「私が1年以内に成し遂げたいこと」「出る杭(くい)は打たれるという日本文化について思うこと」など、次々と動画をアップしていきました。
「めちゃくちゃ楽しい! 普段から考えていることをそのまま発信しているだけなので、無理している感覚も全くありません」と言うHさん。半年間続けた結果、チャンネル登録者数は5000人以上になり、今も伸び続けています。
Hさんは、こんなことを語ってくれました。
「他人の成功を真似しても意味がないと言うことを痛感しました。持っている才能が全然違うんです。私が参考にしていた人は、見ているだけでカッコいい雰囲気に浸れる動画を作るのが上手でした。それはその人の才能をつかったやり方であって、私には私のやり方かあったんです」

このHさんのメッセージが、ここで僕がまさに伝えたいことです。
同じことをしても、やり方は人それぞれ。才能を見つけ、その才能のつかい方を工夫しなければ成果は出ません。もし出たとしても苦しくて続けられません。
「つい、やってしまうこと」をそのまま表現すれば、成果が出ない時期も粘り強く続けることができます。あなたが今やっていることでも、自分の才能のつかい方を工夫することは必ずできます。

「もっと自分の才能をうまくつかう方法はないか?」

こう考えることをクセにすれば、あなたの才能は長所としてどんどん活かせるようになっていくのです。他にも、以下の環境で才能のつかい方を工夫した例にはこんなものがあります。
今の環境で才能を活かす工夫をしきるために、質問とあわせてぜひ活用してください。

「クラフト法」の実践例
・人見知りで新しい人間関係を作れない
⇒「新しいことを好奇心を持って学ぶ」才能を活かして、つながりたい人がいる学びの場に出かけて知り合うようにした
・論理を重視しすぎて人の感情を無視してしまう。
⇒「うまくいくルールを作って守る」才能を活かして、人に意見を言うときに「私はこのように思うんですが、〇〇さんはどう思いますか?」とやわらかく伝えるようにした
・勉強しなければいけないのに好奇心が湧かないことに対してやる気が起きない
⇒「同じ目標を目指す仲間と取り組む」才能を活かして、ファミレスで友達と問題を出し合いながら勉強した

「クラフト法」を実践するための質問
まずはこの3つの質問に答えてみてください。
・その活動をあなたが自然とできることと結びつけることはできませんか?
・過去に他の物事でうまくいったやり方を応用することはできませんか?
・自分のモチベーションが上がる行動をつかうことはできませんか?

[長所を活かす技術②]
環境移動法ーー長所が輝く環境を再現性をもって手に入れる技術

ここまで本書の中で数多くの、「環境を移動すること」で才能が活かせるようになった事例をお伝えしました。
ここまで読んでくださったみなさんが気になるのは、

「どうやって自分に合った環境を選べばいいの?」

これですよね。続けて説明していきます。

うまくいった過去の共通点を探る

「長所が活かしやすい環境」を見つけるためにも、才能マップをつかいます。やり方はシンプルです。

・1つの才能マップの中から「才能を長所として活かせた経験」を抜き出し、共通する「環境の条件」を見つける

これだけです。

長所として活かせた経験は2つ以上あればOKです。もし長所として活かせた経験の数が少なければ、巻末特典の「才能を長所から見つける25の質問」に追加で取り組んでみてください(下の図1を参照)。

2つ以上の経験があれば、以下の質問に答えることで、あなたの才能が長所として活かされる環境の条件が一発で見つかります。

・やっていたこと(仕事・作業・趣味)の特徴は?
⇒例:一人で黙々と取り組めることだった
・そのとき周りにいた人は誰?
⇒例:尊敬できる先生がいて教わることができた

1つの才能に対して行ったら、残りの才能でも同じ質問をすることで、活かせる環境の条件を見つけることができます。

「才能4タイプ分類表」で環境マッチ率を上げる

ただ、「なんの手がかりもなしに自分を活かせる環境を見つける」ことは少々難易度が高いのも事実です。そんな方のために、才能の種類に応じて、その才能が、

・長所が活きやすい職種・役割
・短所が出やすい職種・役割

を4タイプに分類し、162ページに整理しました(下の図2を参照)。
この分類を活用すれば、才能を活かせる環境を見つけられる確率がグッと上がります。あくまでも1つのタイプ分類なので絶対視することなく、大まかな方向性を見出すためにぜひ活用してみてください。

『世界一やさしい「才能」の見つけ方』 CHAPTER4 より 八木仁平:著 KADOKAWA:刊

図1 才能を長所から見つける25の質問 世界一やさしい 才能 の見つけ方 Chap4
図1.才能を長所から見つける25の質問

(『世界一やさしい「才能」の見つけ方』 巻末 より抜粋)

図2 才能4タイプ分類表 世界一やさしい 才能 の見つけ方 Chap4
図2.才能4タイプ分類表

(『世界一やさしい「才能」の見つけ方』 CHAPTER4 より抜粋)

 私たちは、才能を活かそうとするとき、短所に目が行き、それを克服しようとしがちです。
ですが、それは労力のわりには、成果が乏しくなります。

 長所は、もともと特別に努力しなくても、人よりも優れている部分です。
磨けば磨いただけ、加速度的に光り輝いていきます。

 また、短所は、長所の裏返しでもあります。
短所をなくすことは、長所をなくすことにもつながりかねませんね。

「才能」を「強み」に育てるための4つの技術とは?

 自分の才能(強み)を見つけたら、次はそれを磨き上げて誰にも負けない武器にします。

 八木さんは、「自分の才能にマッチしたスキルや知識」を身につけていくことが重要だと指摘します。

 では、あなたの「才能」を育てて「強み」にするために学ぶスキルや知識をどうやって選べばいいのでしょうか?
それには大きく分けて4つの技術が存在します。

[才能を強みに育てる技術①]
「ロールモデル」を見つける

 出会う人に片っ端から「どんなことを勉強すればいいでしょうか?」と聞いても意味がありません。なぜなら、その人が学んだ方がいいと思っていることは「その人の才能を育てる」ために役立ったものだからです。

 そうではなく、自分と似た才能を持っていて、強みとして成果を出している人がいればとことん真似しましょう。ぜひ、どんなスキルを学んできたかを聞いてみてください。

「嫉妬」は大切なセンサー。
頼りにしてお手本を見つけよう

「じゃあ、どうすれば強みのロールモデルが見つかるの?」

 次に気になるのはこの疑問ですよね。
結論をお伝えすると、見ていて「嫉妬を感じる人」は自分と近い才能を持っている人なのでロールモデルにしましょう。
なぜかというと、嫉妬を感じるのは、「自分にもできそうなことを先にやられてしまった」「自分にもできそうなのに、今は届かない」という気持ちがあるからです。
「自分が到底かなわない」と感じる相手には、人は嫉妬すらできません。

 例えば僕は、すごく情報が整理されている本を読んだときに「これ、めちゃめちゃいい本だ。悔しい・・・・・」と嫉妬します。
それは、もう少しで自分にもできそうな気がするからです。

 一方で、「才能が違う人のやっていることは、魔法に見える」という特徴があります。なぜなら、才能が違う人のやっていることは文字通り、その裏側の「タネも仕掛けもわからない」状態だから。目の前でマジックを見せられているかのような気持ちになります。そんなときは、嫉妬ではなく、拍手を送りたくなってしまいます。

 例えば僕は、「チームから意見を引き出して、いつの間にか全体の合意をとって物事を前に進める人」のやっていることは、魔法のように見えます。何をどうやっているかが全くわからず、自分にできる気がしません。一度がんばって真似してみましたが、うまくできませんでした。
多くの人は、そんな「魔法のようなもの」を見たときに「憧れ」を感じて目指してしまうでしょう。ですが、それはここまでお伝えしてきた通り、「自分が持っていないもの」を手に入れようとがんばる自己否定の努力です。
なので、その方向には進まないようにしてください。
自分に近い才能を強みに育っている人が見つかれば、ぜひその人が学んできたスキルや知識をつきとめて、あなたも身につけてみてください。
そうすれば、あなたの才能は驚くべきスピードで育ち、想像もしていなかったような成果が出せるようになっていきます。

強みの「ロールモデル」を見つける質問
・嫉妬心を感じる人は、どんなスキルを持っていますか?
・自分と似ているなと感じる成功者は、
どんなスキルを持っていますか?

POINT
・遠い才能を持つ人のやっていることは、魔法に見える
→参考にしない
・近い才能を持つ人には、嫉妬を感じる
→ロールモデルにする

[才能を強みに育てる技術②]
他人に「アドバイス」を求める

 先日、チームメンバーのFさんからこんな相談を受けました。
「今後自分はどんなスキルを磨いていくのが良いでしょうか?」
僕は、長年Fさんと働いてきたのでどんな才能を持っているのか知っています。何のスキルを学べばFさんの才能が強みになるかがわかります。
なので、「Fさんは人の気持ちを高めることがうまいから、チーム作りを学んでほしい」と伝えました。
このときに決して、「あなたの短所を指摘してくる人」に話を聞いてはいけません。短所を指摘する人は、短所を直すために必要なスキルをアドバイスしてくるでしょう。
ぜひ、「あなたの長所を認めてくれている人」にアドバイスを求めてください。そうすれば、「長所をさらに育てるためのアドバイス」をくれるはずです。
自分に合ったスキルを学べば学ぶほど、あなたの才能は強みとして輝きを増していくのです。

他人に「アドバイス」を求め質問
・あなたが私だったらどんなスキルを身につけますか?
・私にできるようになってほしいと思うことはありますか?
(回答されたことに必要なスキルを身につける)

POINT
×短所を指摘する人に、学ぶべき気ことを聞く
◯長所を見てくれる人に、学ぶべきことを聞く

[才能を強みに育てる技術③]
4タイプの「スキル分類」から選ぶ

 とは言っても、「嫉妬する人をすぐに見つけるのが難しい」「アドバイスを求められる人がいない」という方もいるでしょう。そんな方のために、162ページの「才能4タイプ分類表」に才能の動詞の種類に応じて「適したスキル・知識」を4分類で整理しています(上の図2を参照)。
この分類に沿って学ぶスキルを選べば、まず間違いありません。ぜひ活用してみてください!

[才能を強みに育てる技術④]
「好きなこと」を探求する

(中略)
好きなことを勉強すれば、
誰もあなたに追いつくことはできない

 あなたが「好きなこと」を学んでください。好きなこととは「興味が湧くこと」です。

 例えば、これらはすべて「興味が湧くこと=好きなこと」です。

・車に興味がある
・医療に興味がある
・教育に興味がある
・ロボットに興味がある
・デザインに興味がある
・家族関係に興味がある

 なぜ、好きなことを学ぶのがいいのでしょうか?
それは、「才能」に対して「好きなこと」を掛け算したときに、「強み」として爆発するからです。それが最強です。
才能とは「つい、やってしまうこと」でした。体が勝手に動いてしまうようなことです。
好きなこととは「興味が湧くこと」です。こちらもがんばろうとしなくても勝手に心が動いてしまうことです。
「お金が稼げるからやる」「有名になれそうだからやる」などの外的な欲求とは無縁の、内側から湧いてくる強いエネルギーです。
子供の頃、時間を忘れてゲームに夢中になって、親に怒られた経験がある人もいるでしょう。

「才能」と「好きなこと」を掛け算した強みを生かす仕事をするのは、まさにゲームに夢中になるようなものです。
他の人にとってはがんばらなければいけないことだけれど、あなたにとっては遊びのように楽しいことであり、結果としてどんどん差がついていきます。
才能という「つい、やってしまうこと」を活かせるようになれば、他の人が「がんばる」ことで流れるプールを必死に逆走するのに対して、あなたは流れるプールに背中を押され、スピードアップして進んでいくようになります。
さらに「興味が湧くすきなこと」を掛け算すれば、流れるプールどころか、ウォータースライダーを進むような状態になります。
だからこそ、この2つが掛け算されて「強み」が生まれたとき、それは他の誰も追いつくことができない、圧倒的なものになります。

得意なことで「職種」が決まり、好きなことで「業界」が決まる

「得意なこと(才能)」と「好きなこと」が見つかれば、多くの人にとって関心のある「仕事選び」が一気にラクになります(下の図3を参照)。
前述のように「才能」は「動詞」で表されます。才能が見つかれば、その「つい、やってしまう行動」が長所として活きやすい「職種」が決まります。
「好きなこと」は「名詞」で表されます。好きなことが見つかれば、興味が持てる「業界」が決まります。
なんと、この2つの仕事選びの大きな軸である「職種」と「業界」がある程度絞られてしまうのです。

才能を自覚し、人生が激変したある営業職の女性の話

 例えば、「人前で臆せず話す」という才能を持っている女性のEさんがいました。ですが、Eさんは「メーカーの法人営業」をやっていて、才能を全く活かせていませんでした。
Eさんは自己理解を通じて、「才能」を自覚し、「服」という好きなことを見つけ、アパレル業界でライブ配信で服を売る仕事を始めました。
なんとその結果、持っていた「才能」と「好きなこと」が「仕事」とマッチし、ライブ配信中に服が飛ぶように売れる人気の発信者になりました。さらには、自分がプロデュースした服まで販売しています。
このように、「才能」に対して「好きなこと」に関連したスキル・知識を掛け算したときに、爆発的な結果がやってくるのです。少しずつ変わるのではなく、一気に変わってしまいます。
それは、他の人にはなかなか真似のできないことです。
Eさんと同じ「人前で臆せず話す」ことが才能でも、「服」が好きでなければ、同じ成果は出ません。
また、同じように「服」が好きという人でも、「目の前の人の個性に合わせて服を提案する」ことが才能であれば、1対1で服を売るのがよいでしょう。

「つい、やってしまう才能」と、「興味が湧く好きなこと」。これをひたすら続けていれば、あなたは替えの利かない存在となり、どこにいってもひっぱりだこになります。
あなたにとって最大限の「貢献」ができるようになり、たくさんの「ありがとう」とともに収入が増えていきます。
そうなったときに、あなたは「あなたにしか埋めることのできない社会での居場所」を手に入れることができるのです。

「好きなこと」を探求する質問
・ワクワクするテーマはなんですか?
・生きてきた中でお礼を言いたい仕事はなんですか?

POINT
体が動いてしまう「得意なこと(才能)」と、
心が動いてしまう「好きなこと(興味)」に従えば、
圧倒的な強みが生まれる

『世界一やさしい「才能」の見つけ方』 CHAPTER5 より 八木仁平:著 KADOKAWA:刊

図3 得意なことと好きなことの違い 世界一やさしい 才能 の見つけ方 Chap5
図3.得意なことと好きなことの違い
(『世界一やさしい「才能」の見つけ方』 CHAPTER5 より抜粋)

 八木さんの場合、自分の「体系立てて伝える」という才能に「自己理解」の知識を学んできました。
それによって、「文章でも動画でも体系立てられた自己理解の知識を届けられる」という強みが出来上がったとのこと。

 得意なこと(才能)で「職種」が決まり、好きなこと(興味)で「業界」が決まる。
それを履き違えないようにすることが大事だということですね。

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☆    ★    ☆    ★    ☆    ★    ☆

 八木さんは、「才能」はあなたに与えられた地球上での役割を教えてくれますとおっしゃっています。

 才能を見つけ、長所として活かし、強みに育てていく。
それを続けていくと、あるとき、「世界での自分の役割はこれだ!!!」「自分の居場所はここだ!!!」と気づく瞬間が訪れるとのこと。

 八木さんによると、それは感覚ではっきりと分かり突然、頭の中でカチッと鳴って、それと同時に、「ああ、自分は、これをやるために生まれてきたんだな」とか「これで人に貢献していけるんだな」という感情に、体が包み込まれる瞬間がやってきます。

 その瞬間がいつ訪れるかは人それぞれです。
数秒後かもしれませんし、数年後かもしれません。

 私たちがすべきは、自分の中に眠る「才能」を見つけ出し、それを磨き続けること。
それだけです。

 才能は、「人生の目的」という大きなゴールにつながる“コンパス”です。
その才能を掘り出すための、最強の“つるはし”といえるのが本書です。

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