【書評】『ゼロ秒思考』(赤羽雄二)

LINEで送る
Pocket

 お薦めの本の紹介です。
 赤羽雄二さんの『ゼロ秒思考 頭がよくなる世界一シンプルなトレーニング』です。

 赤羽雄二(あかば・ゆうじ)さん(@YujiAkaba)は、ビジネスコンサルタントです。
 現在は、コンサルティング会社を共同で設立、大企業の経営改革、経営人材育成などにも積極的に取り組まれています。

「頭に浮かぶことを次々とメモに書く」と頭がよくなる!


 一生懸命考えているつもりでも、頭の中で堂々巡りして、結局うまくまとまらない。

 そんな悩みを持つ人は、意外と多いのではないでしょうか。

 赤羽さんは、そもそも、大半の人は、どうすれば「深く考える」ことができるのかがよくわかっていないと指摘します。

 従来の日本の学校教育は、暗記することや解き方を理解することが中心です。
 反面、考える訓練や効果的に考えをまとめる訓練はほとんどなされていません。
 日本人が「深く考える」ことが苦手なのは、子供の頃からの環境面の影響も大きいのでしょう。

 赤羽さんが提唱する「深く考える」トレーニング方法は、頭に浮かぶことを次々とメモに書くだけというシンプルなものです。

 この習慣を続けていくと心のコントロールの達人にもなり、ストレスや不安、恐怖が軽減されて、前向きに明るき生きることができるようになります。
 しかも、お金はほとんどかからず、わずか3週間ほどでかなりの効果を体感できます。

 本書は、「考える力」を鍛える究極の方法、「ゼロ秒思考」を具体的に解説した一冊です。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

スポンサーリンク           
[ad#kiji-naka-1]

頭に浮かぶ「イメージ、感覚」を言葉にする


 赤羽さんは、「思考と言葉の関係」を意識すること、つまり「思考は言葉によってなされる」ということ、「感情も言葉にできる」ということの重要性を指摘しています。

「なんだか気持ち悪い、気分が悪い」「どうとは言えないがむずむずする」「なんだか嫌だが、どうなるものではないので忘れてしまおう」——こういう気分になったことは誰にでもあるだろう。というか、毎日何回かそういうことはあるだろう。その場は忘れてしまうこともあるが、心の底にたまり、どんどん重くなる。
 私のお勧めは、それを言葉にし、遠慮なく書いてみることだ。もやもやを外に出してしまうことだ。誰に見せるわけではない。遠慮はまったくいらない。もやもやを書いたからといって、それが現実化するわけでもないし、何か悪いことが起こるわけでもない。
 怒り、不満、不安などは、もやもやより感情が明確なぶん認識しやすく、わかりやすく、言葉にしやすい。書くことさえ躊躇(ちゅうちょ)しなければ、誰でも自由に書くことができるようになる。書くことに慣れるかどうかだ。
「愚痴(ぐち)は言いたくない」「人の悪口も言いたくない」という主義の方も多いだろう。そう思うのは大変立派なことだ。でも、だからと言って、そのままきれいに流してしまうことは容易ではない。消化できる人はまずいない。そういう感情に目をつぶろうとか、無理にしまっておこうとしても必ず吹き出してくる。当の本人にぶつけられない場合は、他の人に当たってしまうなど、悪い形で結局は出てしまう。それだったら、むしろ気にせず、紙にはき出してしまうほうがいい(もちろん、人には見せない。決して見られない場所にしまっておく)。

 また、毎日の生活や仕事の中で、こうしたらという思い、アイデアが生まれる一方で、「でも、だめじゃないか」「そんなの無理に決まっている」「自分にはとてもできない」という気持ちも湧き起こってくる。不安が湧いてくる。これも全部書き出すとよい。かまわず全部書く。きれいにまとめようとせずに、そのまま言葉にして書き出していく。
 そうすると、こうしたらという思い、アイデアの全貌が目の前に浮かび上がってくる。実は気になるところも、いいと思っていることも、全部はき出されていく。何かが気になって次のレベルまで考えられなかったところにも、気を配れるようになる。上司に見せる企画書ではないので、見た目などまったく気にせず、気になるところ、気づいたところから書き出していく。

 『ゼロ秒思考』 第1章 より 赤羽雄二:著 ダイヤモンド社:刊

 私たちは、起きている間は、つねに何かを考えているといっても過言ではありません。
 しかし、そのほとんどは漠然とした不安や非現実的な妄想などです。
 同じことを何度もぐるぐる頭の中を巡らせているだけ。

「紙に書き出す」ことは、自分の思考や感情を可視化して客観的な目で見えるようにすることです。

究極は「ゼロ秒思考」


 もやもやとした気持ちをその場で言葉にし、考えを深められるようになる。
 すると考えが進むだけではなく、どんどんスピードアップしていきます。

 3、4日かかって考えたことが数時間ででき、生産性は数倍から数10倍上がります。

 そうした思考の「質」と「スピード」、双方の到達点が「ゼロ秒思考」だ。
 ゼロ秒とは、すなわち、瞬時に現状を認識し、瞬時に課題を整理し、瞬時に解決策を考え、瞬時にどう動くべきか意思決定できることだ。迷っている時間はゼロ、思い悩んでいる時間はゼロとなる。
 文字通り瞬時にできることが多いが、もう少し時間がかかる場合もある。それでも、従来に比べて驚くほどのスピードアップとなる。今、目の前で何が起きているのか、どういう現象なのか、一瞬のうちに判断し、判断したら次の瞬間に進むべき道を複数考え、長所短所の比較をし、即座に方針を決定することができるようになる。

 普段から企画や事業について考え抜いている人が突然の変化にすぐ対応できるのは、「ゼロ秒思考」が身についているからだとも言える。自然と先が読めてしまう。はっきりとではなくとも、だいたいの方向性が瞬時に見えるようになる。情報収集を延々として判断を先延ばしにしたり、不安に駆られて部下を叱り飛ばしたり右往左往するのとは正反対だ。
 リンゴが落ちるのを見て閃(ひらめ)いたというニュートンの逸話も(本当かどうかはともかくとして)、まさにこれだ。普段から考え抜いていた課題に対して、瞬時に閃きが生まれる。
 大リーグのイチロー選手は、バッティングだけではなく素晴らしい守備でも有名だが、バッターが打った瞬間に、ピッチャーの投げたボールのコース、打球音、打球の方向、風向き・風速などのすべての情報をもとに、どの方向に走り出すべきか判断しているはずだ。0.5秒考えていたら、ライナーを地面すれすれでダイビングキャッチすることはできない。

 『ゼロ秒思考』 第2章 より 赤羽雄二:著 ダイヤモンド社:刊

 私たちが「閃き」と呼ぶ現象は、経験や思考の積み重ねから答えが瞬時に導き出されること。

「無」から「有」は生まれません。
 普段から、課題を見つけて考え抜く習慣をつけることがいかに重要であるか、ということです。

メモはA4用紙の裏紙に、「1日10枚」書く


「ゼロ秒思考」を身につける最短、最良の方法が「A4用紙へのメモ書き」です。

 具体的には、A4用紙を横置きにし、1件1ページで、左上にタイトルを書き、1ページに4〜6行のみ、各行20〜30字、毎日10ページ、1ページを1分以内に書くやり方(下図参照)です。

A4用紙メモ書きの例 第三章 jpg
図.「A4用紙メモ書き」の例 (『ゼロ秒思考』 第3章 より抜粋)

 赤羽さんは、「ゼロ秒思考」を身につけるために、「毎日10ページ」のメモ書きを継続することを勧めています。

 毎日10ページ、10分間だけメモを書くだけで、誰でも3週間もしないうちにかなりの手応えとご自身の成長を感じられる。ミーティングでみなが話している内容が以前よりずっと理解しやすくなったとか、自分の発言をちゃんと聞いてもらえるようになったとか、あせらず人の話を最後まで聞くことができるようになったとか、なぜか前より自信が出てきた、などだ。
 なぜ5ページでも20ページでもなく10ページなのか。もちろん、いろいろ試してみた。その結果、20〜30ページ書きたい場合もまれにはあるが、平均すると毎日10ページ書けば、その日に気になること、思いつくことはほぼカバーできることに気がついた。当然、もっと考えているはずではあるが、書けば書くほど頭が整理されるので、平均すると毎日10件書くことで十分になったのだ。何しろ1週間で70件も1件1ページで書き続ければ、ある意味、悩みもネタ切れになる。新しいアイデアもネタ切れになる。頭の回転を遅らせる気がかりなことを全部はき出しつづければ、まあ1日10ページも書けばいいかな、という気に間違いなくなるようなのだ。
 いや、それは絶対おかしい、自分は毎日、数10個以上何かを考えている、アイデアが無尽蔵に湧いている、懸案事項が次々に生まれてくる、と思われる方もいるだろう。それであれば、ぜひ毎日30ページでも40ページでも書くとよい。それはそれで素晴らしいことだ。
 だが、実際やってみると、それほど続かないだろう。1日10ページ、つまり10のテーマで書くことはやってみると結構大変なことなのだ。2、3日はよいが、ほとんどの人は毎日10ページですら1週間も続かない。

 なぜか。おそらく、普段いろいろなことを考えているとは言え、堂々巡りや繰り返し、逡巡(しゅんじゅん)が大半なのだ。それを1件1ページで書き出していくと、その件については一応けりがつくので、悩むべき・考えるべき課題が急激に減っていくのだろう。頭の中に残しているので、毎日多くのことを考えている、思いついていると思ってしまうが、多分、実際は違う。毎日毎日、新規で10の悩み、課題を思いつくのはただ事ではないのだ。
 逆に言えば、メモに書かないと、同じことばかりああでもない、こうでもないと考え続けるので、悩みが減らないし、頭を無駄に使っている、時間を大変に浪費しているという証明でもある。

 『ゼロ秒思考』 第3章 より 赤羽雄二:著 ダイヤモンド社:刊

 1日10枚のメモ書きは、普段書き慣れていない人、メモをとらない人にとっては、最初はかなりの負荷かもしれません。

 赤羽さんは、メモ書きを3週間から1ヶ月続けると、頭にどんどん言葉が浮かぶようになってくる。メモよりも早く、言葉が湧いてくると述べています。
 メモ書きに慣れるまで、諦めずに継続していきたいですね。

「1ページ1分」で、思いついた瞬間に書く


 メモ書きは、ゆっくり時間をかけながら書けば何倍もよいものが書けるわけではありません。

 メモ書きを続けるコツは、「思いついたときにその場で、1ページ1分で書き終えること」です。

 メモは、書いた直後に2〜3秒推敲(すいこう)する。書き終えた瞬間に前の行を見る程度でもよい。追加したい言葉があれば、躊躇(ちゅうちょ)せず吹き出しで入れる。ただ、慣れてくると、あまりこういう時間は必要なくなってくる。ぱっと思いついた瞬間に言葉がきっちりと浮かび、それほど過不足なく書けるようになるからだ。
 このメモ書きに慣れれば、常に大事なことから書いており、具体的な内容なので、メモの推敲はほとんど必要ない。後で見ても、誰が書いたのかと思うほどの立派な内容に気づく場合もある。一方、メモを元にしてパワーポイント資料等にまとめる時は、当然推敲も入ってくる。その時は、書いたメモを見ながら、パワーポイントで最適の表現を探っていく。

 もう一つ大事なのは、メモは思いついたその場ですぐに書くことだ。夜寝る前にまとめて10ページではなく、原則、思いついたその瞬間だ。何かが気になったその時、忘れる前に書き留める。このやり方が一番新鮮な気持ちで書くことができる。
 アイデアとは一期一会なのだと考えている。頭の中に浮かぶアイデア・懸念との出会いは二度とないかもしれないので、その場ですぐ書き留めるということだ。書き留めるともう消えていかない。定着し、自分のものになる。自分が書いたものながら、後で振り返るといいことを書いたなと感心することがきっと何度も出てくるだろう。
 10ページのメモを夜寝る前にまとめて書こうとすると、思いついたはずの内容の記憶が飛んでしまう。おぼろげに覚えていたとしても、内容が曖昧になる。メモとして書きにくいし、だんだんメモを書くのがおっくうになるので、お勧めしていない。あくまで、思いついた瞬間、すぐその場で書き留めるほうがずっとよい。そういう場合、1ページ書くのに実は1分も必要ない。それこそ、やや短い文章にはなるが30〜40秒でも書けることが多いので、ミーティング中でも十分できることだ。
 思いついた瞬間というのは、起きてすぐ、通勤時間中、会社についてすぐ、昼休み、仕事中、寝る直前など、いつでもだ。頭に何かがよぎったその時がベストだ。私の場合、飛行機や新幹線の中など、他にすることがあまりない状況で思いつくことも多い。古来、三上(馬上、枕上、厠上)は文章を書く時、アイデアを練る時としてよいと言われているが、まさにそのとおりなのだ。

 『ゼロ秒思考』 第4章 より 赤羽雄二:著 ダイヤモンド社:刊

 アイデアとは「一期一会」、その場限りのもの。
 思いついたその場で書くことが重要です。

 普段からメモとペンを持ち歩き、せっかく浮かんだアイデアを逃さないようにしたいですね。

スポンサーリンク           
[ad#kiji-shita-1]
☆    ★    ☆    ★    ☆    ★    ☆

 思いついたことを紙に書き出すことは、自分の考えや感情を整理する最もよい方法である。
 それは多くの人が認めているところです。

 赤羽さんは、考えようともせず、感じたままをメモにはき出すことで、いくらでも思考が進むとおっしゃっています。

「上手に書かなければいけない」と気負ってしまうと、どうしてもペンの進みが遅くなります。
 小学校で書いた読書感想文みたいですね。

 昔から「習うより慣れろ」といいます。
 誰かに見せるわけではありませんから、下手でも何でも、とにかく書き続けることです。

 1枚1分、1日10枚。
 メモを取り続けて、究極の「ゼロ秒思考」を目指していきたいですね。


にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ(←気に入ってもらえたら、左のボタンを押して頂けると嬉しいです)

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 15

フォローする

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA