本一冊丸かじり! おいしい書評ブログ

本を読むことは、心と体に栄養を与えること。読むと元気が出る、そして役に立つ、ビタミンたっぷりの“おいしい”本をご紹介していきます。

【書評】『肩こりは10秒で治る』(佐藤青児)

 お薦めの本の紹介です。
 佐藤青児先生の『揉まない 押さない 引っ張らない 肩こりは10秒で治る』です。

 佐藤青児(さとう・せいじ)先生は、歯科口腔外科がご専門の医師です。
 全身の筋肉をゆるめる「耳たぶ回し」など、独自の健康法「さとう式リンパケア」が、日本のみならず海外でもセミナーが開催されるなど多くの支持を集められています。

肩の筋肉を「ゆるめる」ためには?

 佐藤先生は、長年にわたって口腔の健康に携わるうちに、驚くべき方法で肩こりが解消することを発見します。

 その方法とは、肩の筋肉を「ゆるめる」こと。
 たった10秒から数十秒ですぐに筋肉が“ふにゃふにゃ”に柔らかくなり、繰り返し行なうことで肩こりとは無縁の体に近づいていきます。

 佐藤先生は、この“常識はずれ”の健康方法を、肩こり、腰痛や目の疲れ、脚のむくみなど、全身に応用がきくように発展させて、全国の無料講習会などで広める活動を進めてきました。
 
 本書は、佐藤先生流「筋肉をゆるめる方法」(略して「筋ゆる」)によって、体のつらい症状を改善する具体的なメソッドを解説した一冊です。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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「水が流れる」筋肉とは?

「こり」とは筋肉が緊張したまま動かなくなった状態のことです。

 筋肉が動かなくなると、老廃物が排出されなくなり、筋肉がパンパンに張って、筋膜(束になった筋肉を包んでいる膜)を刺激し、この刺激が神経を伝わって痛みになります。

 筋肉がガチガチに硬くなると、問題になるのは、体の中で「水」が流れなくなること

 私たちの体の60%以上を占めている水が常に循環しているかが非常に重要です。

 体には、血管とリンパ管がくまなく巡っていて、水の運搬をしています。同じように血管とリンパ管の間にも体液が流れています。前述したように、この体液を間質リンパと呼びます。
 この間質リンパは、血管から染み出た酸素と栄養素を含む体液で、細胞にこれらを運び、また細胞から排出された老廃物を毛細血管やリンパ管に運ぶ役割をもっています。この体液(間質リンパ)=見ずを循環させるのが筋肉のポンプ活動です。
 筋肉は、収縮と弛緩を繰り返すことで、ポンプのように体液を取り込んだり吐き出したりしています。そうすることで、必要な栄養素と酸素を取り入れ、疲労物質などの老廃物を排出しているのです。この筋肉のポンプ運動が、体内の「水」の循環を促しています。
 ただし、これは筋肉が本来の柔軟性を保っている場合の話。筋肉が硬くなっている場合はどうなるか、おしぼりを例に説明しましょう。
 おしぼりをギュッと固く絞ると、水がジュワーッと出ていきますよね。その硬い状態のまま水に浸しても、ほとんど水を吸収しません。ねじれを解いてゆるめれば、スポンジのようにたっぷり水を吸い込みます。
 筋肉も同じで、固くこり固まった状態では、体液(間質リンパ)を十分に吸収することができません。新しい水が入ってこないということは、老廃物を排出することもできないわけで、疲労物質がたまっていきます。これが、筋肉の「こり」を助長する循環障害です。
 循環障害とは、たとえるなら家の中で下水が詰まっているようなものです。下水が流れないのに上水道からどんどん水を入れたら、家の中が水であふれてしまいますよね。
 下水の流れが良く、さらに水道からザーッとキレイな水が流れていれば、下水は詰まらないし、キレイなままです。たっぷりの「水」を循環させることが大切なのです。

 『肩こりは10秒で治る』 第1章 より 佐藤青児:著 祥伝社:刊

 筋肉は本来、水を吸い取る「スポンジ」のような役割を担っています。
 こったままの筋肉は、絞って水を吸わなくなったスポンジと同じです。

 筋肉をゆるませなければ、いくらストレッチをしても、マッサージをしても効果はありません。
 
 筋肉には「収縮しなさい」という命令系統はあっても、「ゆるめなさい」というものはありません。
 自分の意志で「ゆるめよう」と思っても、ゆるむものではないとのこと。

「筋ゆる」は、周囲の筋肉を動かしたり、弱い刺激を与えて脳に信号を送ったり、呼吸を使って自律神経に働きかけたりすることで、対象箇所の筋肉をゆるめるメソッドです。

 間接的に筋肉をゆるめるポイントのひとつが、『筋肉を「揺らす」こと』
 ガチガチの筋肉は、そっと揺らすことで本来のポジションに戻っていき、柔軟性を取り戻します。

 周囲の筋肉を揺らすと、対象の筋肉も同じように揺れ始めます。

 佐藤先生は、この効果を「同期同調」と呼んでいます。
「筋ゆる」は、この「同期同調」の原理を応用したものです。

「20グラム」の圧力を知ろう

「筋ゆる」の基本は、「揉まずに押さずに、触るだけ」です。

 ポイントは、対象となる部分以外に刺激を与えず、雑音のない静かな環境で行うこと。そして、極めて弱い力で触ることです。

 肩こりと言えば、ギュウギュウ揉んだりグリグリ押したり、バンバン叩いたりするのがこれまでの常識だったので、驚かれるのも無理はありません。体験した人でも、自分でやるときには何か物足りなくて、ついつい強めにやってしまうのが常です。
 しかし、極力弱い力で触らなければ、筋肉をゆるませることができません。「筋ゆる」をしたのに効果が出ないのは、ほとんど「力が強すぎる」のが原因です。
 そこで、実際に手の圧力を測ってみるのをおすすめします。筋肉をゆるめるのにちょうどよい圧力は、1平方センチメートル当たり20グラムくらいです。調理用の「はかり」に指先1本で触れて、20グラムとはどれくらいか、確かめてみてください。きっと、「こんなに弱い力なの?」とびっくりするでしょう。「筋ゆる」を行うときには、この弱い力を指先でイメージすることが重要なんです。
 20グラムの圧力とは、血管から細胞間に体液(間質リンパ)が染み出してくる圧力のことです。血管内は1平方センチメートル当たり約20グラムの圧力のことです。血管内は1平方センチメートル当たり約20グラムの圧力がかかっているので、それ以上の圧力を外からかけると、リンパが押し戻されて血管から出てこなくなります。
 だから、マッサージの最中は体の中の「水」が循環しません。20グラムよりはるかに強い力をかけているので、リンパが浸潤しないのです。
 繰り返しになりますが、体の中の「水」が循環しなければ「こり」は解消しません。「筋ゆる」があくまでも弱い力にこだわる理由はそこにあります。
 20グラムなら良いということではなく、20グラムでアウトです。20グラムを超えない、できるだけ小さな力で触れることが重要です。しかし、触れるか触れないかという感覚ではなく、しっかりと触れてください。これはとても難しい技術になりますが、練習すれば必ずできるようになります。ぜひ、習得して「筋ゆる」を実感しましょう。

 『肩こりは10秒で治る』 第2章 より 佐藤青児:著 祥伝社:刊

 こっている部分の筋肉を直接ほぐすのではなく、「同期同調」による脳の反応を利用してほぐすのが「筋ゆる」です。

 触ったか触らないかの刺激「20グラム」を超えない圧力で触れる。
 すると、筋肉をほぐす効果が最も現れるとのこと。

「20グラム」の感覚のつかめない人は、実際に「はかり」を使って確かめましょう。

「内旋した上腕」を外側に開こう

 現代人は、長時間デスクワークを強いられたりで、姿勢が乱れ、支え続けている筋肉には、悪いクセがついてしまっています。
 佐藤先生は、姿勢を正すためには、この「筋肉のクセ」をとる必要がある、と指摘しています。

 人間の頭は、全身の骨格から見ると、かなり後方に偏っています。6キログラムにもなる重い頭が後ろに倒れないようにするのは、潰れた薄っぺらい体にとって大変な負担です。おのずと前に重心をかけようとして、肩を内側に巻き込みます。この肩が内側に巻き込まれた、つまり内旋(ないせん)した状態が、筋肉に悪いクセをつけているのです。
 肩が内旋していると、上腕二頭筋がグルリとねじれ、それに引っ張られた僧帽筋(そうぼうきん)もねじれながら伸びきったままになります。ほとんどの日本人は、この内旋した状態のまま筋肉にクセがついているのです。
 こんな状態がずっと続けば、肩こりはひどくなる一方です。そのうえ、ねじれた肩に両側から圧迫された胸腔は潰れ、バストは小さくなり、おなかがぽっこり出てしまいます。
 悪いクセは、意識して治さなければ治りません。そこで、姿勢を整えるときには「上腕を外旋(がいせん)させる」ことを頭に置いてください。のちほど詳しく説明しますが、重要なのは「けっして背筋を張らない」こと。「肩甲骨(けんこうこつ)を寄せない」ことです。外側に反らすのではなく、上腕を外旋させている状態がベストです。
 上腕を外旋させ、「腔」を広げれば「腔を立てる」ことができます。このとき、体のどこにも余計な力は入っていません。これこそが「正しい姿勢」です。
「姿勢を正す」とは、けっして一生懸命胸を張ることではなく、力をダラーンと抜くこと。つまり「正しい姿勢」は「楽な姿勢」なのです。

 『肩こりは10秒で治る』 第3章 より 佐藤青児:著 祥伝社:刊

 佐藤先生は、正しい立ち姿勢を作るための体操として「キラキラパタパタ体操」を紹介しています(下図1を参照)。

キラキラパタパタ体操
図1.キラキラパタパタ体操 (『肩こりは10秒で治る』 第3章 より抜粋)

「筋ゆる」で目の疲れをとろう

 佐藤先生は、長時間パソコンを見てたときなどにぴったりの、眼精疲労に即効性のあるメソッドを紹介しています(下図2の参照)。

目の疲れに効く 筋ゆる P124 125
図2.目の疲れに効く「筋ゆる」 (『肩こりは10秒で治る』 第5章 より抜粋)


 おでこのこめかみ側をやや引き上げながら耳たぶ回しをすることで、前頭筋と側頭筋をゆるめる効果があります。
 この2つの筋肉がゆるむと、自然と目尻が上がり、目を開けやすくなります。

「目が疲れたな」と感じたときに、ぜひ、試してみたい方法ですね。

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 人間の体は、自転車と同じで、手入れをしないで放ったらかしにしていると錆びついてきます。
 それが「こり」などの症状になって現れてくるのですね。
 
 錆びついた自転車をいきなり動かすと壊れてしまいます。
 同様に、人間の体もいきなり動かすと、刺激が大きすぎて逆効果になる場合もあります。

 ストレッチも軽い運動も、体に負荷をかけるものです。
 その点「筋ゆる」は、まったく負荷をかけないで体の体液(水)を循環させてあげようという方法なので安心です。

 即効性があり、誰でもどこでもできる、常識を打ち破った「こり解消法」。
 皆さんも、是非試してみてはいかがでしょうか。

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