【書評】『「気づく」技術』(おちまさと)
お薦めの本の紹介です。
おちまさとさんの『「気づく」技術』です。
おちまさと(おち・まさと)さんは、テレビ番組のプロデューサーです。
最近では、WEBサイトやSNSゲームやファッションなどのプロデュースやデザインまで、幅広く手掛けれれてご活躍されています。
成功する人は、1秒前に“気づいている”
25年以上も、さまざまな番組や商品を「企画」する仕事をしてきた、おちさん。
成功する企画と、失敗する企画を分けるポイントは、何なのか。
そのことについて、ずっと考えきました。
そして、あるとき、もっとも重要なのは「気づき」である、まさにそう“気づいた”
と述べています。
僕は「企画」を生み出すステップは、その頭文字のとおり「き/気づいて」「か/考えて」「く/比べる」ことだと言っています。そう、最初のステップは「気づき」。この「気づき」がなければ、企画は生まれることがないのです。 もうひとつ、僕がよく言う言葉に「企画は記憶の複合」というのがあります。それまでに自分が見たこと、聞いたこと、経験したこと、そうしたいくつかの「記憶」が結びつくことで、企画は生まれるのです。「記憶」とは、言い換えれば、日々の小さな「気づき」と言ってもいいでしょう。「あ、あの店、いつできたんだろう?」「あの人、何で携帯ばっかり見ているんだろう」といった、本当にささいなものです。 考えてみれば、世の中のヒット商品というものは、だいたいが「小さな気づき」の組み合わせによってできています。プリクラは「顔写真」×「シール」だし、カラオケボックスは「カラオケ」×「部屋で仲間だけで歌うこと」でしょう。 ひとつひとつは誰でも思いつくささいなこと。でも、小さな「気づき」と「気づき」を複合させることで、誰も思いつかなかった画期的なアイディア・企画となって爆発するのです。
『「気づく」技術』 はじめに より おちまさと:著 ダイヤモンド社:刊
世の中の「大発明」と呼ばれるものの多くは、この「気づき」と「気づき」の複合でできています。
「気づき」と「気づき」をいかにくっつけることができるか。
それが、勝負です。
本書は、「気づきのプロ」であるおちさんが、さまざまな企画を手がける中で得た、気づける人になるためのテクニックをまとめた一冊です。
その中からいくつかピックアップしてご紹介します。
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「気づき」の感度を鈍らせる「仮面自分」
おちさんは、自分が思っていないことを言ったり、書いたりすることを「仮面自分」と呼びます。
誰しも、「自分をよく見せよう」という意識は少なからず持っているものです。
しかし、だからといって、自分にウソをつき始め、それが溜まりに溜まっていくと、いつしか本当の自分に対する“感度”が鈍ります。
では逆に、本当に思っていることだけを言ったり、書いたりしていくと、どうなるでしょうか。そう「気づく」のです。本当にの自分に対する感度が蘇ってきて、いろいろなことに気づけるようになるのです。
「本当の自分」とはすなわち、「他の人とは違う自分」。「仮面自分」とは、いわば「他の人に合わせていた自分」です。そんなウソの自分がなくなれば、本当の自分の感覚だけで物事が見られるようになる。そうすることで、他の人にはない「気づき」が生まれるようになるのです。 僕は、ブログには喜怒哀楽をできるだけストレートに出すようにしています。怒っている日はブログも怒っていて、楽しい日はブログも楽しい。だから、「この映画、面白かった!」と書くと、「ほんとに面白いんですね!」というコメントをもらえる。ふだんから、なんでも褒めている人が褒めても、それはウソになります。怒っているときには怒っているから、その「気づき」が読者に伝わるのだと思っています。『「気づく」技術』 第1章 より おちまさと:著 ダイヤモンド社:刊
100パーセント、本当に思っていることだけを言ったり、書いたりすることは難しいです。
それでも、「100%に近づけよう」という意識を持つことで、「気づき」の感度は、間違いなく高まります。
まずは、自分に正直になるというところから始めたいですね。
ツイッターは「読まない」でのぞくだけ
最近、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の一つ、ツイッターを情報収集などに使う人が増えています。
おちさんも、ツイッターを「気づき」を得る道具として活用していますが、その活用方法がユニークです。
さて、僕はツイッターは「読まない」ようにしています。あくまで“ウインドウショッピング感覚”で、のぞきにいくだけ。もっと言えば、読んでいてはいけないと思っています。 タイムラインをスクロールして、「◯◯引退!」「◯◯辞任!」など、気になるワードが目に入ったら、そこでピッと止める。僕はこれを「ツイッタースロット」と名付けているのですが、こうしてざっと流し読みをしていきながら、「あ、今いいこと言った」「おや、それはないだろう」というツッコミやコメントを瞬時に思い浮かべる。 もちろん、友人や好きな著名人など、少ない数人だけをフォローして、真剣に読んでいるという人もいるでしょう。もし僕のつぶやきをしっかり読んでいただけているとしたら、それはとてもうれしいことです。でも一方で、もっとサラリと読んでいいのではないかとも思います。なぜなら、サラリと読むことで高まる「気づき力」があるからです。
『「気づく」技術』 第3章 より おちまさと:著 ダイヤモンド社:刊
たしかに、自分のフォローしているフォロワーのつぶやきをすべて読むのは、難しいです。
今の時代にあった賢いツイッターの利用法として、試してみたいですね。
「登場感」と「第ゼロ印象」を大事にする
おちさんは、登場したときの「登場感」は、たったの1回しかない貴重なもので、この「登場感」を大事にすべき
と述べています。
さらに、この「登場感」を第一印象だとしたら、その前に「第ゼロ印象」というものがある
と述べています。
「第ゼロ印象」、つまり会う前の印象です。人は会ったときの印象だけで、その相手のキャラクターを判断しているように思うかもしれませんが、実際に会うまでにも、さまざまなインプットがあるわけです。 たとえば僕の場合なら、サングラスをかけてテレビに出ていた時代には、「怖い人なのではないか」と思われていることがとても多くて、実際に会って話すと「本当は怖くないんですね」とよく言われたものです。 見た目の怖いヤンキーがおばあさんを背負っていたらいいヤツになり、逆に清廉潔白そうな政治家がちょっとした失言でイメージを崩したりする。 僕は、この「第ゼロ印象」が大事だと思っているのです。
『「気づく」技術』 第4章 より おちまさと:著 ダイヤモンド社:刊
「自分はこういう人間である」
そんな「第ゼロ印象」を前もってつくれば、それをうまく利用した「登場感」を演出できます。
最初の印象が、相手との関係性を変えて、「気づき」が変化します。
とにかく、会った最初の瞬間にどれだけ印象づけられるかがポイントです。
相手に覚えてもらえれば、それだけ「気づき」のチャンスも増えます。
「登場感」と「第ゼロ印象」。
意識していきたいですね。
考え方の”背骨”をブラさない
おちさんは、気づきの邪魔をするのは、「当たったためしなし」とか「これはこういうものなんだ」といった、ガチガチに凝り固まった既成概念である
と指摘します。
この世に、「絶対」とか「永遠」はありません。
おちさんは、既成概念もいつかは壊れていくもの
だとして、以下のように述べています。
何よりも大事にしなければならないのは、自分なりの方向性、考え方の“背骨”ともいうべきもの。これが確立していることが大事です。時代は変わっていくもの。だから、その時代に合わせようとすると、背骨がグニャグニャになってしまう。 だから背骨はそのまま、まっすぐに立てて歩いていけばいいのです。そうすれば、突き抜けられる時代が何度かやってくる。時代が勝手に近づいてきてくれるのです。 芸能界にもそういう方が何人もいるでしょう。一貫してブレない。だから時折、顔が見えなくなるときがある。ところが何年かに一度、時代が変わって、その人のブームがやってくるのです。 逆に時代に近づいて、時代に寄り添って生きていこうとする人もいます。しかし、時代の変化など、読めるわけがありません。そして、逆にそのブレが致命的になってしまう。 ブレないこと。自分を追求し続けること。「自分にしかできないこと」をやろうと考えること。そうすれば、いつか自分の時代が来るのです。
『「気づく」技術』 第5章 より おちまさと:著 ダイヤモンド社:刊
世の中が急激に変わっていく中で、その激流に翻弄される。
それでは、とても「気づき」のチャンスをものにすることはできません。
どんなときでも、自分の中に変わらない考え方や方向性を持っている。
いつも同じ目線でものごとを捉えられる。
そんな人だけが、わずかな世の中の変化の中に「気づき」を得ることができます。
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テレビやラジオに、インターネットも発達し、周りには情報があふれています。
必要な情報は、何でも検索して済ますことができるようになりました。
「気づき」のネタになる素材は、そこらじゅうにあふれています。
必要な情報にいかに気づいて、それらを組み合わせることができるか。
それが重要になりますが、余計な情報が多くなった分だけ難しくなったともいえます。
必要なのは、ノイズだらけの電波から、必要な周波数の電波だけを受信できる、感度のいいアンテナです。
時代に合った最新鋭のアンテナを、つねに備えておきたいですね。
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