【書評】『 無一文から大きなお金と成功を手に入れる習慣』(矢吹紘子)

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 お薦めの本の紹介です。
 矢吹紘子さんの『99歳ユダヤのスーパー実業家が孫に伝えた 無一文から大きなお金と成功を手に入れる習慣』です。

 矢吹紘子(やぶき・ひろこ)さんは、翻訳家、書籍や雑誌のコーディネーターです。
 大学卒業後、フリーライターとなり、数多くの雑誌で、起業家、経営者、文化人などのインタビューを執筆されています。

スーパー実業家が孫に託す、“人生で最も大切なこと”


 矢吹さんは、ロンドンで日本映画(邦画)を配給する会社の経営者のアダムと知り合いになります。
 アダムには、トルコ系のユダヤ人で、イスタンブールにもうすぐ百歳を迎える祖父がいます。

 アダムは、その祖父を「ババ(おじいちゃん)」と呼んで尊敬し、三ヶ月に一回くらいのペースでイスタンブールまで会いに行きます。

 ババは、無一文から身を立てて、一代で財を成したスーパー実業家です。
 これまでに数回起業し、いずれもトルコを代表する企業に育て上げてきました。

 2013年の冬、そのババが急病で倒れ、心配したアダムは急きょトルコへ駆けつけて、ババが入院している病院へ毎日足を運びます。
 そこで二人は、家族、お金、仕事など、人生における最も大切なことについて話し合います。
 矢吹さんは、アダムに同行し、二人の会話を第三者として聞きながら、祖父が孫に託した『生きるための教訓』を書き留めました。

 本書は、矢吹さんが記録したババとアダムの七日間の会話をまとめた一冊です。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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貯金があっても無収入には絶対なるな!


 ババは、お金との付き合い方にはコツがあるといいます。
 それは、お金とは興味(インタレスト)ではなく懸念(コンサーン)の姿勢で向き合うこと。

 お金とは、自分の、そして家族の将来のための保険であり、いざというときのセキュリティです。

「お金を将来の困難のために備えること。そのためには、いくら貯金がいっぱいあっても、働かないで今あるお金に頼って生活することはとても危険だ。人生はアドベンチャーだぞ、アダム。その道の途中には、過去にわしの親戚を一夜にして一文無しにしたような恐ろしい事件が待ち構えているかもしれない。お金を稼ぐことは最大の攻撃であり、万が一そういうことが起こった場合には、最大の防御にもなり得るんだ
「防御か。なんだかボクシングの試合みたいだね」
「守りに入らず、攻め続けることだ。“A working iron will not rust(アイロンは使い続けている限り錆びない)”。アイロンが熱いうちは、つまり稼いでいるうちは、人は生き続けられる。これはトルコの古いことわざで、わしのビジネス人生を象徴するようなフレーズだ。お前も覚えておきなさい」
 お金を稼ぐということはいざというときのための備えであり、自分の身を守るための防御法である、か――。でも、備えとしてお金を貯めることができる人っていうのは、そんなにたくさんいないんじゃないかな。実際、普段よく仕事をしている日本の映画業界の関係者や友達は、食べるのが精いっぱいという感じの人が多い。身を粉にして二十四時間態勢で働いている映像ディレクターに、ゴールデン街の飲み屋でアルバイトをしながら生計を立てている舞台役者。彼らにとって、お金は将来のための備えではなく、今現在を生きるための術なんじゃないか? ババは本当に、お金に“興味”を持たず、将来の“懸念”のためだけにビジネスを続けてきたのか?
 そんな率直な問いかけに、ババは昔を懐かしむように微笑みながらこう言った。
「わしの若い頃はまさにそんな状態だったな。だが、わしがその負のサイクルから脱出できたのは、あることを続けてきたからだ。分かるかい?」
「あること? えーと、そうだ! 市場調査とか、一番売れるものを探すこととか?」
「いいや、わしが言っているのはもっと根本的なことだよ。大事なのは、何があろうと絶対にやめないことさ」
「やめないって、ババみたいに九十九歳まで働き続けるってこと? それはちょっと・・・・」
「そうじゃない。仕事を心から楽しんで、楽しみ尽くすまでは、何があっても続けるということだよ。わしの場合はそれがちょっと人より長いようで、それがみんなから変人のように見えるらしいがな。だがその根本は、好きで好きでしょうがない、という気持ちだけなんだよ。逆に言うと、半端な気持ちで向き合っているビジネスや仕事は、続けることが困難ということだ。だから、情熱の矛先を誤ってはいけないんだよ」

 『無一文から大きなお金と成功を手に入れる習慣』 Day 2 より 矢吹紘子:著 マガジンハウス:刊

 どんなに大きな湖でも、流入してくる川の水がなくなれば、いずれ干からびてなくなります。
 手持ちの資産の運用だけで生活している人は、恵まれているようにみえます。
 しかし裏を返せば、社会環境が急激に変わったときに適応できない危険もあります。

「お金を稼ぐことは、最大の攻撃であり、最大の防御でもある」

 覚えておきたい言葉ですね。

「泥」から「金」を作れ!


 “Touch mud and let it turn into gold(泥から金を作りなさい)”

 ババが若い頃から、母親に呪文のように聞かされた言葉です。
 ババは、一見なんのとりえもないような“泥”を、自分の力で金に替えることにフォーカスすることが重要だと説きます。

「お前がこの先、人生の保険であるお金をよりたくさん得るためには、金になる泥を見極める目が必要になってくる。そして、何よりも大事なことは、自分が一番輝けるフィールドに身を置くことだ。その的が外れていると、いくら頑張っても泥は金にならないだろう」
「自分のフィールドを探すには?」
「二つの目―――」
ババはここで一息置くようにハ~っと息を吐くと、声のトーンを少しだけ低くしてゆっくりと話し始めた。
『今の時代で一番お金が儲かる仕事』と『自分が100%情熱を捧げることができる仕事』、二つの目線で世の中を見ることが必要だ。わしの場合は、戦後のトルコの社会情勢と、自分が学校でも化学の時間が大好きで、実験を重ねて何か新しいモノを作るという作業に喜びを得るタイプだったというもともとの資質から、製造業に行き着いた。自分が100%情熱を注げるということは、すなわち自分が100%楽しめるのと同義だ。そして一度決めたら、あとはとことん突き進むだけだ。そこさえ定まれば、お金というのは後から自動的についてくるんだよ。だが、多くの人はそのフィールド探しの段階で見誤ってしまう。
 アダム、お前は映画というお前が一番輝けるフィールドを見つけることができた。それは誰にでもできることではないし、とても幸運なことでもあるんだよ。世の中には、立つべきスタートラインにすら立てない人や、一生のほとんどの時間をそのスタートライン探しに費やしてしまう人がとても多いのだからね」
(中略)
 ただ、お前が人生を賭けたいという映画業界は、この先さらなる受難の時代を迎えるだろう。そこで踏ん張っていくためには、中途半端なことはやっても意味がない。常に、どんな瞬間にも100%の力で進まないといけないよ。他の人の百倍努力をしないと同じ成功にありつけないと心得て、恥も外聞も捨てて思う存分突き進むんだ
 それから、『稼げない仕事だけどやりがいがあるからやるんだ』というメンタリティは一切捨てること。そういう自己満足的な心構えの人には、お金は寄り付かないからね。お金はわしらに必要不可欠な保険。稼ぐことは決して後ろめたいことではないんだ。

 『無一文から大きなお金と成功を手に入れる習慣』 Day 2 より 矢吹紘子:著 マガジンハウス:刊

 好きなこと、自分が情熱を注げる仕事でなければ、長続きしません。
 しかし、それだけでは不十分で「お金が儲かる仕事」という視点も大切です。

 自分が情熱を注げる仕事は、お金が儲かる仕組みが備わることで、初めて『自分が一番輝けるフィールド』となります。
 “泥から金をつくる”発想はそこから生まれてくるのですね。

年齢を言い訳にするな!


 八十代で会社を興し、九十九歳になってもまだ出勤を続けるババ。
 その衰えを知らないエネルギーはどこから湧いてくるのでしょうか。

 ババは、老いとエネルギーには何の関係性もないと指摘しています。
 年齢は、人が常識的であるように暗示にかける手段であり、実際には何の意味も持たない数字とのこと。

お前には、自分の体が動くうちは、常識だとか年齢だとか、そんな小さなことにとらわれずに、時には自分の直感を信じて突き進んでほしいんだよ。新しいアイデアに自信を持てるのであれば、どんどん人を巻き込んで試していきなさい。人生で一番みじめなのは、体がいうことをきかなくなってから後悔することだ。病院のベットの上で『あのときこうしていればよかった』と悔やまないようにね
「でも、ババだってきっと、後悔していることのひとつやふたつは、あるだろうし」
 何気なくそう答えたオレに、ババはこれまでにないスピードで即答してきた。
「いや、わしはない。少なくとも、仕事に関してはひとつもないんだよ。そうしないために、自分のやりたいことは全てやってきたんだ。これはわしの持論だが、人は誰しも何かをしようとするエネルギーは持ち続けることができるんだ。そして、その情熱は身体的な理由、つまり老化によってのみ損なわれる。だが、多くの人は、それについて誤解しているように思う。「もう四十歳だから若いころのようにアイデアが浮かばない』なんていうのがいい例だ。アイデアが浮かばないのは、年齢のせいではなくて、その年齢ではこうあるべき、という無意識の思い込みが原因だということに、気が付かないのだよ。そしてその思い込みこそ、“常識”そのものなんだ」
「つまり、年齢という常識にもとらわれずに後悔しないように生きろ、ということか。それってかなり難しいなぁ・・・・ 。それに、じつを言うと、僕はもう仕事に関して後悔していることがいくつかあるし」
(中略)
「まあ、そう心配するなアダム。時間はたっぷりある。仮に今の時点で何かについて悔やんでいるとしたら、それを挽回するチャンスはいくらでもあるということだ。だが、六十年後、体が不自由になってからはリベンジしようとしても、物理的に難しくなってしまうだろう。そうならないためにも、タイミングを逃してはいけないということを忘れないようにしなさい」

 『無一文から大きなお金と成功を手に入れる習慣』 Day 3 より 矢吹紘子:著 マガジンハウス:刊

 人は、やって後悔するよりも、やらなくて後悔することの方が多いといいます。
 大抵の失敗は取り戻すことができますが、失った時間は永遠に取り戻すことができません。

 本当に大切なのは、「今、この瞬間」です。

 今やりたいことは、先延ばしにせず、今のうちにやる。
 それが年齢関係なく、エネルギッシュに若々しく生きるための秘訣ですね。

「約束の三十分前」には到着せよ!


 ビジネスを長く続けるためのコツは、以下の二つです。

  • 何でもルーティーン(習慣)にしてしまうこと
  • 同じスケジュールを繰り返すこと
 ババは、さらにアダムに対して「時間厳守」を守るべき重要な習慣とするようアドバイスします。

「どこに行くのにも三十分前行動を心掛けなさい、アダムよ。これはわしが十代の頃から続けている習慣なんだが、その理由はというと『時間は危機を救う』ということに限る。時間に余裕を持って動くことで、わしは何度も危機を逃れてきたんだ。
 例えば、アステル社にいた頃、当時のパートナーたちと大事な取引のために南フランスのヴィルフランシュに出張したことがあった。ところが飛行機に乗り、ホテルにチェックインした後で、そこが実際に行くべき町から六百キロ離れた同じ名前の別の町だったということが判明した」
 まるでマンガのような絵に描いた失敗。「おっちょこちょいだね、ババ(笑)」というオレの冷やかしにちょっとだけ恥ずかしそうに笑うと、ババはこう続けた。
「わしは行く、となったらわき目もふらずに一直線のタイプでね。このときも『オレに任せろ!』とばかりにみんなを誘導したから、そりゃもう焦ったよ。だが、時間に余裕を持って約束の地に向かい、なんとか間に合わせることができたんだ。(後略)」
「でも三十分って、ちょっと早すぎない?」
「三十分早く出る、と思うくらいがちょうどいいんだ。あれこれ準備している間に時間がかかって、三十分前のはずが十五分前に現地に到着するかもしれない。それに、出かけた後に事故やトラブルに巻き込まれるかもしれないからね。三十分を目安にしなさい」

 『無一文から大きなお金と成功を手に入れる習慣』 Day 5 より 矢吹紘子:著 マガジンハウス:刊

「時間を守ること」は社会人の基本です。
 相手が親しい間柄だったり、あまり重要な用件でないときは、おろそかになりがちです。

 いざというときに困らないために、「三十分前行動」をルーティーンにしてしまうこと。
 時間に遅れるリスクを最小化するための最も有効な方法ですね。

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☆    ★    ☆    ★    ☆    ★    ☆

 大富豪が多いことで有名なユダヤ人。
 お金に細かく、お金を大切にする民族であることもよく知られていますね。
 そこには多くの迫害にあい、さまざまな苦難を乗り越えてきた彼らの歴史が大きく影響しています。
「自分の身は自分で守る」という精神が、文化として先祖代々受け継がれているのでしょう。

 本書で、ババがアダムに語ったことは、ビジネスや人生の本質的な部分です。
 生き残るためには、どうすればいいのかということについて。
 もちろん、現代の日本人にも大いに参考になることばかりです。

 99歳のスーパー実業家が伝える、ユダヤ人に伝わる智慧の結晶。
 私たちも、ぜひ、習慣として身につけたいですね。


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