【書評】『乗り遅れるな!ソーシャルおじさん増殖中!』(徳本昌大、高木芳紀)

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 お薦めの本の紹介です。
 徳本昌大さんと高木芳紀さんの『乗り遅れるな! ソーシャルおじさん増殖中!』です。



 徳本昌大(とくもと・まさひろ)さん(@masahirotokumo)は、複数の広告会社勤務を経て、広告会社アドフロンテでコミュニケーションデザインのコンサルタントとしてご活躍中です。

 高木芳紀(たかぎ・よしのり)さん(@omeishi)は、商社の営業マンを経て、現在は渋谷の小さな老舗文具店「つばめや」のウェブマスターとしてご活躍中です。

「ソーシャルおじさん」って何?


 ツイッターやフェイスブックなどのSNS(ソーシャルネットワークサービス)をはじめ、ブログ、ミニブログなど、インターネットを利用して個人間のコミュニケーションを促進するサービスをソーシャルメディアと呼びます。
 一般的に、“若者向けのサービス”として捉えられているソーシャルメディアですが、それらを活用して、仕事とプライベートの充実を図り、成功を収めている40代以降の中年世代も存在します。
 徳本さんは、そのような人たちを、「ソーシャルおじさん」と名付けています。

 パソコンが苦手だ、というおじさんは多いです。
 しかし徳本さんらは「おじさんだからこそ、ウェブで活躍する必要がある」と強調しています。
 一歩踏み出してウェブの世界に入ることで、これまで蓄えてきた人脈や仕事や趣味のノウハウは大きな武器になるからです。

 ソーシャルおじさんの使命は、世代、業種を超えて、人と人をつなげると同時に、それぞれの人が足りないと感じていることを補うこと。
 ウェブ上で、構築した“つながり”を、リアルな“つながり”に変えていくことで、まわりの人を巻き込みながら、困っている若者を盛り上げていく、そんな少しおせっかいな「ソーシャルヒーロー」、それがソーシャルおじさんです。

 徳本さんは、ソーシャルおじさんの条件に合う人を仲間に引き入れて「ソーシャルおじさんズ」を立ち上げました。
 加入順にナンバーリングされ、現在もメンバーが増え続けているとのこと。

 本書では、「ソーシャルおじさんズ」のコアメンバーの成功体験をまとめた一冊です。
 いくつか印象に残った部分をピックアップしてご紹介します。

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ウェブ上のやり取りに必要なのは「素の自分」


 インターネットに不慣れなおじさん達にとって、少々とっつきにくい「ソーシャルメディア」。
 使い始めるときに気を付けるべきことについて、高木さんは以下のように述べています。 

「ソーシャルメディアでは素の自分を出していった方が良いですね。みんなから好かれる必要はないし、気の合う人だけ付き合うようにすれば良いと思います」

 高木氏がソーシャルメディアを使うときに心がけているのは“素の自分を出す”こと。ソーシャルメディアでの自分の姿を必要以上に意識し過ぎてしまったり、すべての人から好かれようとしたりすると“ソーシャル疲れ”におちいりやすく、継続が難しい。そこで、ソーシャルでもリアルと同じ“自分”を表現して、気の合う仲間を見つけてつながっていくことが肝要なのだ。
 ソーシャル上では自分がどんな会社や学校、地域などの“コミュニティ”に属しているかを明確に示すことも重要だ。これを示すことで相手に安心感を与えるだけでなく、同じコミュニティに属する人に共感や共族意識を芽生えさせて、より強いつながりに醸成することもできる。ただ、逆にどんな人と付き合っているのか見られてしまうため、知らない人からのフェイスブック申請を不用意に承認することには慎重になったほうがよい部分もある。

  『乗り遅れるな!ソーシャルおじさん増殖中!』  第一章 より  徳本昌大、高木芳紀:著  ソフトバンク クリエイティブ:刊

 かしこまって大事な人と会って話をすると気疲れする。
 それと同様に、いつもの自分以外の「自分」を出すのは、かなり大変です。
 周りの目を怖がり過ぎずに、「素の自分」を出すこと。
 それが、長く続ける秘訣になります。

ソーシャルメディアと出会って、生まれ変わることができた


「ソーシャルおじさんズ」のメンバーの一人で、企業にソーシャルメディアを使った宣伝、PR、ブランディングなどを指南するソーシャルメディアコンサルタントとしてご活躍中のニール・シェーファーさん。

 シェーファーさんは、もともとビジネス向けSNS「リンクトイン」のエキスパートでしたが、そこから派生して、他のソーシャルメディアの研究をして使いこなせるようになったそうです。

「ソーシャルメディアは、情報とコミュニケーションのメディアです。でも、私にとってはそれ以上の大きな存在で、ソーシャルメディアと出会って人生が変わりました」

 シェーファー氏はソーシャルメディアと出会って生まれ変わった。現在では友だちも仕事もソーシャル上でつながり、出会うことがほとんどで、様々な感動的な出会いを経験して、人生の深みが増したという。
 彼がまだソーシャルメディアを使ったことのない40代以上の世代に伝えたいのは、「まずは参加してみること」だ。会社で地位が高くなり、責任は大きくなるが、なかなか理解者がいない。プライベートの時間もうまく使えない。シェーファー氏はこのような環境の中でソーシャルメディアに出会い、人生が変わった。この経験を他の人にも伝えたいと考えて、まずは参加することを勧めている。
 そして、シェーファー氏が初めてソーシャルメディアを使う人に勧めるのが、ツイッターでニュースを読むこと。これでソーシャルのスピード感に慣れてきたら、次はそのニュースを発信しているユーザーが誰をフォローしているのかを調べて、フォロー数を増やしてみる。そうすると、タイムライン上の流れはさらにスピードが増すが、徐々に慣れていけば、無理なく、たくさんのニュースが読めるようになる。このとき、無理にリプライをしたり、ダイレクトメッセージを送ったりする必要はまったくない。

  『乗り遅れるな!ソーシャルおじさん増殖中!』  第五章 より  徳本昌大、高木芳紀:著  ソフトバンク クリエイティブ:刊

 ある統計によると、ツイッター上でまったくつぶやいていないユーザーは、全体の4割を占めているといいます。
 これを考えれば、無理につぶやく必要もなく、ただ眺めているだけでも全く問題ありませんね。
 まずは「習うより慣れろ」です。1日5分でも継続して使っていけば、ソーシャルメディアの魅力が分かるようになるのではないでしょうか。

“ギブ・アンド・ギブの精神”の重要性について


 以前からブログに記事をコンスタントに書き続け、複数のソーシャルメディアを使いこなしている徳本さん。
 ソーシャルメディアにはそれぞれ特性があり、用途によって使い分ける必要がある、と指摘します。

 また、ソーシャルメディアを使う上では、「見返りを求めない精神」が重要になる、として以下のように述べています。

「以前は“ギブ・アンド・テイク”の関係性が当然だと思っていましたが、ソーシャルメディアを使い始めて、“ギブ・アンド・ギブの精神”の重要性に気づきました」

 徳本氏がソーシャルメディアを使い始めてから学んだのが、“ギブの精神”。これまでは、相手に何かを与えたら、その対価や見返りを求める“ギブ・アンド・テイク”の関係が一般的だったが、ソーシャルメディアがインフラとしての地位を確立しつつある現代では、情報を見つけてもらい、コラボすることに意味があるため、徹底的に情報を提供する“ギブ・アンド・ギブの精神”が重要なのだ。
 徳本氏は、自分の持っている知識や経験、アイデアのすべてをソーシャルとリアルですべての人と共有することを心がけている。知識や経験ならまだしも、アイデアを盗まれてしまっては困ると感じる人もいるかもしれない。しかし、ソーシャルメディアの普及で、世界がボーダーレス化、シームレス化している現代では、アイデアは世界中にあふれていて、個人がひとりで考えだしたアイデアは他の誰かがもはや考えている可能性が高いし、アクションに結びつかなければ意味がない。
 それならば、知識やアイデアを無償で提供し友人や知人とアイデアを具体化したり、情報発信して新たな人とアイデアを媒介に出会うことの方が大事だ。情報を共有し、拡散されることによるエネルギーには大きな力がある。

  『乗り遅れるな!ソーシャルおじさん増殖中!』  第七章 より  徳本昌大、高木芳紀:著  ソフトバンク クリエイティブ:刊

 出し惜しみせず、与え続けること。
 それが、より多くを得るためのポイントとなります。
 ソーシャルメディア上では、「有益な情報の発信源」として認められてこそ、大きな価値を持ちます。
 仕事人として、社会人としての経験豊富な40代以上の人たち。
 自分の頭の中だけに納められている膨大な知識をオープンにするだけで、かなり貴重なコンテンツが出来上がります。
 これまで蓄えてきた人脈や知識を、上手く利用したいですね。

おじさん世代こそ、「ソーシャル」を!


 徳本さんや高木さんは、「おじさん世代」がソーシャルメディアを活用することの意義やメリットを強調します。

高木 情報発信する際も、若い人は知識や経験が足りないから、何事もいちから自分で勉強して発信しなければなりません。これに対し、おじさん世代は人生経験が豊富なぶん有利でしょうね。言い換えると、村の長老じゃないけれど、途方もないほどの知識や経験を持ったシニア世代がブログなどを始めたら、ソーシャルメディア上での我々の存在価値がかすむほどのパワーを秘めているはずです。だからこそ、シニア世代にはぜひともまずSNSを使ってほしいですね。

徳本 そうですね、何事も知っているのと知らないのとでは全然違いますから。だから、おじさん世代に言いたいのは、まずSNSを知ったら、とにかく実践して続けていただきたい、ということ。さっきも言いましたが、おじさん世代は居酒屋文化で生きてきたから、コミュニケーション能力が高くて、相手の気持ちも分かる人たちなんです。つまり炎上リスクが低いんですよ。要するに、街中でおおっぴらに口にすべきじゃないことを呟いたり、ブログに書かなければ大丈夫。

   『乗り遅れるな!ソーシャルおじさん増殖中!』  おわりに より  徳本昌大、高木芳紀:著  ソフトバンク クリエイティブ:刊

 
「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥」
 使い方がわからなかったら、ぜひとも、恥ずかしがらずに職場の若手社員に聞きましょう。
 徳本さんらは、「人生経験が豊富な人たちによる集合知」が形成されれば世の中は変わるだろうし、若い世代をおじさんが支援する仕組みが社会に構築されるのでは、と期待します。
 もし実現すれば、経験面や人脈の面だけではなく、経済面においても、若者たちにとって大きなバックアップになることは間違いありません。

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 徳本さんは、今の日本の課題の一つは世代間ギャップであり、おじさん世代のSNSユーザーが世代や業種、業界の枠を越えて、若い人と良好なパートナーシップが組めれば世の中はもっとよくなるのでは、と予感していると述べています。
 20代以降の、いわゆる「デジタル・ネイティブ」と呼ばれている世代は、物心ついたときから、周りにパソコンや携帯電話があり、インターネット環境が備わっていました。
 インターネットだけではなく、電子メールやソーシャルメディアに関しても、「あって当然のもの」というくらい生活に溶け込んでいます。
 今後、ソーシャルメディアは社会に浸透していく流れはさらに加速するでしょう。
 「歳だから・・・」という理由だけでソーシャルメディアから背を向けるのは、もったいなさ過ぎるし、社会への適応性という面でもリスクが高いといえます。

 自分のため、社会のために食わず嫌いをやめて、ソーシャルメディアを試してみる価値はあるのではないでしょうか。
 若者には若者の、おじさんにはおじさんの活用方法がきっとあるはずです。
 本書が、多くのおじさんたちがソーシャルの道を進むための水先案内人となることを願っています。
 「ソーシャルおじさんズ」のこれからのご活躍にも期待したいですね。

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