【書評】『改訂版 金持ち父さん 貧乏父さん』(ロバート・キヨサキ)
お薦めの本の紹介です。
ロバート・キヨサキさんの『改訂版 金持ち父さん 貧乏父さん:アメリカの金持ちが教えてくれるお金の哲学 (単行本)』です。
ロバート・キヨサキ(Robert Kiyosaki)さんは、起業家・教育者・投資家です。
「二人の父親」から学んだこと
「お金」は、それを持つ人間に、大きな力を与えます。
しかし、それよりも強いのは、「お金に関する教育」です。
キヨサキさんは、教育を受けてお金がどのように働くか、その仕組みをマスターするれば、お金に働かせて富を築くことができる
と指摘します。
金持ちがさらに金持ちになり、貧乏人がさらに貧乏になり、いわゆる「中流」の人たちがいつも借金に追われている理由の一つは、お金に関する教育が学校ではなく家庭で行われるからだ。たいていの人は親からお金について学ぶ。となれば話は簡単だ。貧乏な親は子供にこう言うしかない――「学校に行って一生懸命勉強しなさい」。子供はいい成績で学校を卒業するかもしれないが、頭に入っているお金に関する知識は貧乏な親から教えてもらったものだけだ。
学校ではお金について教えない。学校で教えるのは学問的知識、専門的な技術だけで「お金に関する実際的な技術」は教えない。学校で優秀な成績をとったはずの銀行員や医者、会計士たちが一生お金のことで苦労しなければならない理由の一部はここにある。国家も同じだ。国家が財政難で苦しんでいる理由の一部は高い教育を受けたはずの政治家や政府の役人が、お金に関する訓練をまったく、あるいはほとんど受けないまま財政上の決定を行っていることにある。
最近、私はよく考える――老人が増え、経済的援助あるいは医療面での援助を必要とする何百万という人口を抱えて、この国はいったいどうなるのだろうか? 老人たちは家族と政府からの経済的援助に頼って生きていくことになる。高齢者対象の医療保障や社会保障の制度がパンクしてしまったらいったどうなるのだろう? お金に関する教育を親に任せたまま、国家が生き延びていくことが可能なのだろうか? 親たちの大部分はでにお金のことで苦労し始めているか、あるいは近い将来苦労することになるというのに・・・・・。『改定版 金持ち父さん貧乏父さん』 はじめに より ロバート・キヨサキ:著 白根美保子:訳 筑摩書房:刊
キヨサキさんは、強い影響力を持った二人の父親に育てられました。
一方の父は、死ぬまでお金に苦労します。
もう一方の父は、ハワイで最も裕福な人間の一人となります。
キヨサキさんは、この二人から「頭の中の考えがその人の人生を作る」という言葉が本当であることを知った
と述べています。
本書は、「金持ち父さん」から学んだ、お金持ちになるためのノウハウを“6つの教え”としてまとめた一冊です。
その中からいくつかピックアップしてご紹介します。
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感情に支配されず、頭でものを考える
『中流以下の人間はお金のために働く
金持ちは自分のためにお金を働かせる』
キヨサキさんは、これを人生に大きな違いをもたらす唯一無二の考え方
だと強調します。
多くの人は、お金に対する無知の恐怖と欲望によって振り回されています。
そこから抜け出す道を切り開くためには、「考えを選ぶ」ことが必要です。
「考えを選ぶ?」よくわからなくなったマイクが聞いた。
「そうだよ。感情に反応するんじゃなくて、自分で自分の考えを選ぶんだ。請求書の支払ができなくなるのが怖いからというだけの理由で、それを解決しようとただ毎朝起きて仕事に行くのじゃなくてね。考えっていうのは、ときには自分自身に問いかけるための時間をとること意味する。たとえば『もっと一生懸命働くことがこの問題を解決するのに一番いい方法なのだろうか?』といった質問を自分にしてみるんだ。たいていの人は自分自身に本当のこと――恐怖が自分を支配しているということ――を言うのが怖くて、考えることすらできない。そして、考える代わりに玄関から飛び出していく。つまり、タール人形に支配されているんだ。考えを選ぶことによって道を切り開くっていうのはこういうことなんだよ」
「で、どうやったらぼくたちにそれができるようになるの?」マイクが聞いた。
「それを教えてあげたいんだよ。朝、コーヒーを流し込んで玄関から飛び出して行くみたいに考えもなしに反応するのではなくて、考えを選ぶ方法教えてあげようというんだ。
前に、仕事は長期的な問題に対する短期的な解決法にすぎないという話をしたけれど、そのことを忘れちゃいけないよ。たいていの人の頭にはたった一つの問題しかない。目の前にぶらさがっている問題だけだ。つまり、月末の請求書の支払、タール人形のことばかり気にしている。こういう人の人生はお金に振り回されている。お金がないことに対する恐怖とお金に対する無知に振り回されているんだ。だから、こういう人は自分の親がやっていたのと同じことをする。毎朝ベットから飛び出して、お金のために働きに行くんだ。
『他に道はないだろうか?』と考えるひまさえない。彼らの考えを支配しているのは頭じゃなく感情だ」
「感情が考えを支配しいるのと、頭で考えているのとではどこが違うのか、パパにはわかるの?」とマイクが聞いた。
「ああ、わかるとも。両方の話を年がら年中聞いているからね。たとえば『人はみんな働かなくちゃいけない』『金持ちはみんなペテン師だ』『給料をあげてくれなければ仕事を変わる。安くこき使われるのはまっぴらだ』『この仕事は安定しているから気に入っている』とか言う人は感情で考えている。そうじゃなく、『自分に見えていないことが何かあるんじゃないか?』というふうに自問すれば、感情的な思考を断ち切って、はっきりした頭で考える時間ができるんだ」『改定版 金持ち父さん貧乏父さん』 第一の教え より ロバート・キヨサキ:著 白根美保子:訳 筑摩書房:刊
「お金のために働く」のは、お金に振り回されているということです。
お金に対する無知、偏見、恐怖、欲望。
それらが、知らないうちに私たちの頭の中を支配しています。
お金自体は、実体のない、単なる「道具」です。
それに意味を与えているのは、私たち一人ひとりです。
お金の幻想にだまされず、冷静に世の中の仕組みを見極めること。
それが、お金持ちになるための第一歩です。
「資産」と「負債」はここが違う
キヨサキさんは、金持ちになりたければ、お金について勉強しなければならない
と述べています。
つまり、「ファイナンシャル・リテラシー(お金に関する読み書き能力)」が大切だということ。
幼い私たちに金持ち父さんはこう言った。
「資産が何かを決めるのは言葉ではなくて数字だ。だから、もし数字を読むことができなければ、地面にあいた穴と資産の区別だってできやしない。
会計の世界で大切なのは数字そのものではなくて、数字が何を意味しているかだ。つまり言葉と同じだ。言葉の場合だって、大切なのは言葉そのものじゃなくて、言葉が語るストーリーだろう?
きみたちも金持ちになりたかったら、数字を読み、それを理解する方法を学ばなければいけない」
マイクの父親はこの言葉を何十回、何百回、何千回と私に聞かせた。また、「金持ちは資産を手に入れ、中流以下の人間は負債を手に入れる」という言葉も何度も聞かされた。
(中略)
これから資産と負債の違いについてお話する。会計士や財務の専門家のなかには、ここに示した定義に異議があるという人もいるかもしれないが、これから示す単純な図が、二人の少年が堅固な金銭・財務知識の基礎を築くのに大いに役立ったことは事実だ。これは資産のキャッシュフローのパターンを示す図だ。
図①(下図を参照)のうち上の縦長の箱が「損益計算書」と呼ばれるものだ。これには収入と支出が記録される。入ってくるお金と出ていくお金だ。下の横長の箱が「貸借対照表」だ。英語では「バランスシート」と呼ばれるが、これは左右に振り分けられた資産と負債がバランスをとるように作られているからだ。財務をちょっとかじっただけの人間の多くは、この「損益計算書」と「貸借対照表」との関係をわかっていない。ところがこれが一番重要なことなのだ。
金持ち父さんが二人の少年にした説明は簡単だった。「資産はきみたちのポケットにお金を入れてくれる」。これほど簡単で役に立つ定義はない。図②(下図を参照)は負債のキャッシュフローのパターンを示している。
二つの図を見て資産と負債の違いが多少わかったところで金持ち父さんのこの言葉を聞けば、それほど苦労せずにその違いが理解できるだろう。資産は私のポケットにお金を入れてくれる
負債は私のポケットからお金をとっていく知らなくてはいけないことは本当にこれだけなのだ。金持ちになりたいなら、ただ「資産を買うこと」に生涯を捧げればいい。中流以下にとどまっていたい人は負債を買えばいい。
『改定版 金持ち父さん貧乏父さん』 第二の教え より ロバート・キヨサキ:著 白根美保子:訳 筑摩書房:刊
図①.資産からのお金の流れ 図②.負債からのお金の流れ
(『改定版 金持ち父さん貧乏父さん』第二の教え より抜粋)
自分のお金を増やしてくれるものが「資産」。
自分のお金を減らしてしまうものが「負債」。
お金持ちになりたいなら、「資産を買うこと」に生涯を捧げればいい。
大事なルールほど、単純で、明快なものです。
お金持ちになる「お金の流れ」とは?
お金持ちになるためには、「お金の流れ」が重要です。
つまり、収入の多い、少ないより、入ってきたお金が流れるルートがポイントになります。
図の中の矢印はお金の流れを表している。数字だけではあまり意味がないし、文字だけでもあまり意味がない。大切なのはそれらが語る「物語」だ。お金に関する報告書においては、数字を読むことはこの物語を理解すること意味する。つまりお金がどこに流れて行くかという話の筋書きだ。ふつうの家庭の80パーセントは「お金に関する物語」と言えば、生活のためにあくせく働くことにつきる。でも、資産ではなく負債を買うために一生あくせく働いているのでは、その努力は何にもならない。
たとえば、貧乏な人のお金の流れのパターンは図③(下図を参照)のようになる。
図④(下図を参照)は中流に属する人のお金の流れのパターンだ。
金持ちのお金の流れは図⑤(下図を参照)のようになっている。
一見してわかるように、これらの図はどれもひじょうに単純化してある。図には示されていない場合もあるが、たとえば人には衣食住にかかる費用、つまり生活費はどんな家庭にも欠かせない。
ここでも図の中の矢印はそれぞれ貧乏な人、中流の人、金持ちのお金の流れを示している。どのように自分のお金を扱うか、その物語を語ってくれるのはこのお金の流れだ。『改定版 金持ち父さん貧乏父さん』 第二の教え より ロバート・キヨサキ:著 白根美保子:訳 筑摩書房:刊
図③.貧乏な人のお金の流れ 図④.中流の人のお金の流れ
図⑤.金持ちの人のお金の流れ
(『改定版 金持ち父さん貧乏父さん』第二の教え より抜粋)
自分の得た収入が、どのようなルートで流れているか。
それを正確に把握している人は、少ないかもしれません。
まず、自分のお金の流れがどうなっているのかを知ること。そのうえで、
「負債→支出」ルートのお金の流れを減らす。
「資産→収入」ルートのお金の流れを増やす。
この積み重ねが、お金持ちへの道を切り開きます。
本当の「資産」とは何か?
キヨサキさんのいう「本当の資産」とは、具体的にどのようなものなのでしょうか。
では、私があなたやあなたの子どもたちに買うように勧める資産とはどんなものだろうか。私が考える「本当の資産」を次にあげてみよう。
- 自分がその場にいなくても収入を生み出すビジネス。
私は会社を所有しているが、実際の運営は他人がやっている。もし、自分がその場にいて働かなければいけないのならば、それはビジネスとは言えない。自分の「仕事」だ。- 株
- 債権
- 収入を生む不動産
- 手形、借用証書
- 音楽、書籍などの著作権、特許権
- その他、価値あるもの、収入を生み出すもの、市場価値のある物品など
私が子どもの頃、高い教育を受けた父は、いつも私に安定した仕事につくように勧めた。金持ち父さんの方は、自分が一番好きな資産を手に入れるように励ました。「好きでなかったら、きちんと世話ができないからね」というのが金持ち父さんの口癖だった。私が不動産を買い集める理由は、建物や土地が好きだからだ。購入するためにあちこち回るのも大好きだし、一日中見て回っても疲れない。どんな問題が起きても、不動産に対する私の愛情は変わらない。反対に不動産がきらいな人は、それに手を出すべきではない。
私は株も好きだ。とくに、株式公開したばかりの小さな会社の株を買うのが大好きだ。理由は、私自身が起業家で、大会社を好むタイプではないからだ。若い頃はカリフォルニア州のスタンダード石油、海兵隊、ゼロックスといったいわば「大企業」で働いたことがある。それはそれで楽しかったし、いい思い出もたくさんある。だが、私は自分が本当は会社人間でないということを知っている。私が好きなのは事業を立ち上げることで、経営をすることではない。だから私が買う株はたいてい小さな会社の株だし、ときには自分で会社を作って株を公開することもある。新しく株が発行されるときは大儲けのチャンスだ。私はこういうゲームが大好きだ。たいていの人は小さな会社の株を買うのを怖がり、危険が多すぎると言う。実際たしかに危険は多いが、投資が大好きで、それを理解するために勉強し、ゲームのやり方を心得ていればその危険は回避できる。小さな会社の株に私が投資する際のコツは一年以内に売却することだ。不動産投資の方のコツはこれと異なり、まず小さい物件を購入し、それをどんどん大きな物件に買い替えるやり方だ。こうすれば売買によって得た利益に対する税金の支払を遅らせることができ、結果としてその物件の価値を何倍にも増やすことができる。私が一つの不動産を所有し続ける期間は長くて7年だ。『改定版 金持ち父さん貧乏父さん』 第三の教え より ロバート・キヨサキ:著 白根美保子:訳 筑摩書房:刊
「好きこそものの上手なれ」
この言葉は、投資にも当てはまるということ。
自分の好みに合った資産を選ぶ。
そして、最初は小さいところから、試行錯誤しながら投資を繰り返し、知識を深めていく。
それが幸せなお金持ちになるための、最短ルートだということです。
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☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆
キヨサキさんは、お金を手にするたびに思い出してほしい、あなたの運命を決定するのはあなた以外のだれでもない
と強調されています。
何も考えずにくだらないことに使い、「貧乏になる道」を選ぶのか。
ローンで家や車を買って「中流階級の道」を選ぶのか。
自分の頭に投資し、資産の獲得のしかたを学んで「金持ちになるための道」を選ぶのか。
すべては、私たちのお金に関する考え方にかかっているということです。
これまで私たちが教わることがなかった「ファイナンシャル・リテラシー」を学ぶ。
本書は、そのための導入書として最適な一冊といえます。
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