【書評】『今日から始めるガンにならない体』(済陽高穂)

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 お薦めの本の紹介です。
 済陽高穂先生の『今日から始めるガンにならない体』です。

 済陽高穂(わたよう・たかほ)先生は、消化器系がご専門の外科医です。
 臨床医として執刀された手術は4000例以上、そのうち半数はガンという、ガン治療のスペシャリストです。
 独自に考案されたガン治療のための食事療法、「済陽式食事療法」でも有名です。

「ガンは完治する病気」は医学の常識!


 日本人の死亡原因は、1981年に脳血管疾患を抜いて以来30年間、ガンが1位の座にあり続けています。
 その割合は、じつに日本人の死亡原因の3割を占めます。

 先進国のなかでは、唯一、日本だけが「ガンを患う人」「ガンで死亡する人」が増え続けています。

 済陽先生は、その大きな理由を、日本人が「ガンについて知らなさすぎる」からだと述べています。

 一般的に、ガンは「不治の病」「いつ誰が罹るか分からない恐ろしい病気」というイメージです。
 しかし、医療の世界では、「ガンは完治する病気」「予防できる病気」であることが基本常識です。

 私たちの体の中では、毎日、数千個単位で「ガン細胞」が生まれています。
 いわゆる、「ガンの芽」と呼ばれるものです。

 ただ、私たちの体には、ガンの芽を抑える免疫監視システムが備わっています。
 そのシステムが正常に作用していれば、ガンを発病することはありません。

 ただ、何らかの理由で免疫システムがうまく働かないと、ガンの芽が成長し、ガンになります。

 済陽先生は、「ガン」の発生と成長のメカニズムを以下のように説明します。

 体は60兆個もの細胞からできています。そして毎日、数千億単位の細胞が寿命を終え、代わりに同じ種類の新しい細胞が誕生します。これが「新陳代謝」です。
 このとき、発ガン物質で傷つけられたり、突然変異を起こしたりした細胞の遺伝子(DNA)が生まれることがあります。また、正常ではない細胞ができる場合もあります。これらが、「ガンの芽」となるのです。
 遺伝子を傷つける原因となる発ガン物質には、いくつかの種類があります。
 ストレスなどで発生する活性酸素(酸化力が強く毒性をもつ酸素。呼吸で体内に取り込まれた酸素の数パーセントが変化)、タバコに含まれるタール、紫外線、大気汚染、放射線、ウイルス、細菌・・・・などが代表的です。
 もちろん、不適切な「食習慣」も遺伝子を傷つける原因となります。
 ガンは正常な機能を失った、たった100分の1ミリの大きさのガンの芽が、体全体の調和を無視し、どんどん増えて大きくなっていく病気です。
 免疫システムを逃れたガンの芽は、最初は1個でも、すぐに2個、4個と倍々に分裂して増殖していきます。
 やがて長い歳月をかけて、ガンの芽はかたまりになり、検査で見つかる大きさ(およそ1センチで1グラム)にまで成長します。
 ガンの芽は、まわりの正常な組織に入り込んだり(浸潤)、血管やリンパ管を通って体のいたるところに移動したりして増殖します(転移)。そして体に必要な栄養を横取りして成長・増殖を繰り返し、体を衰弱させていくのです。

 『今日から始めるガンにならない体』 1章 より  済陽高穂:著  三笠書房:刊

「ガンの芽」は、加齢とともに量を増やしていきます。
 つまり、長生きすればするほど、ガンのリスクは高まっていきます。

 そのため、「ガンは老化」であるとも言われています。

 本書は、食事を中心に、「ガンにならない体作り」に有効な生活習慣をまとめた一冊です。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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「四足歩行動物のたんぱく質」に注意する!


 動物性たんぱく質や動物性脂肪の摂取量の増加が、大腸ガンや乳ガンの発生率を上げることは知られています。
 最近の研究で、「アニマルプロテイン(四足歩行動物のたんぱく質)」が発ガンのリスクを高めることがわかってきました。

 毎日肉を食べる人は、週に1回程度食べる人に比べ、大腸ガンの発生率が約2倍高いという研究報告もあります。

 済陽先生は、その理由を以下のように説明しています。

「もっとも発ガン性の高い食品」は、牛、豚、羊などの四足歩行動物の肉です。
 ガンの発生と、因果関係がいちばんはっきりした食品と言えるでしょう。
(中略)
 なぜ、そうなるのかと言えば、アニマルプロテインが代謝しにくい栄養素だからです。それが、発ガンリスクを高める要因です。
 動物の肉、とくに、四足歩行動物の肉には、飽和脂肪酸という脂が多く含まれています。飽和脂肪酸をとりすぎると、悪玉コレステロール(LDL)が増え、血液をドロドロにしてしまうのです。
 肉を使った煮物の汁が冷えると、白い脂が浮いてきますよね?それが飽和脂肪酸です。
 飽和脂肪酸によって増加した悪玉コレステロールは、活性酸素がかかわって毒性の強い酸化LDLに変わります。
 酸化LDLは、動脈硬化の引き金としてよく知られています。これが、免疫力を低下させたり、遺伝子を傷つけたりして発ガンをうながすのです。
 肉食に偏った食事を続けていると、大腸ガンのリスクも高まります。
(中略)
 肉食中心の食習慣は悪玉菌を増やし、消化液の胆汁の毒性を高めてしまいます。胆汁には腸壁を傷める胆汁酸という毒性物質が含まれていますが、ふつうの状態では、この毒性物質はグルクロン酸という物質によって抑えられています。
 ところが、増加した悪玉菌がグルクロン酸の働きを弱めてしまい、毒性物質を活性化させます。この胆汁酸が大腸ガンのリスクを高めるのです。

 『今日から始めるガンにならない体』 1章 より  済陽高穂:著  三笠書房:刊

 もともと日本人に少なかった大腸ガン。
 しかし、この40年で9倍というものすごい比率で増えているデータがあります。

 それは、日本人の食生活が肉中心になったことと決して無関係ではありません。
 気をつけたいですね。

月1回の「プチ断食」で胃腸をリフレッシュ!


 済陽先生は、月に1回の「プチ断食」を推奨しています。

 腸は、およそ6割の免疫細胞が集まる免疫の要となる器官です。
 腸内環境を整え、発ガン性物質を長く留まらせないことが、ガン発生防止のポイントです。

 胃腸の働きをよくするためには、胃腸への負担を減らしてあげることが重要です。
 食べ過ぎに注意することはもちろんですが、それだけでは不十分です。

 いくらふだんから消化によいものを食べ、規則正しい食生活を送っていたとしても、胃や腸の疲労を完全に取り去ることはできません。
 ですから、休日を利用してプチ断食をし、胃や腸を休ませてあげるのです。
 プチ断食では、野菜と果物の手づくり生ミックスジュースを使います。前日の夕食を少し早めにとって、翌日の昼までの半日、生ジュース以外は口にしないですごすのです。
 1リットル前後の量を、数回に分けて飲みます。もちろん、全部飲み干す必要はなく、体と相談しながら飲めばいいでしょう。
 生ジュースは、腸内環境を効果的に整える緑黄色野菜をベースにします。
 わずか半日のプチ断食ですから、精神的にも身体的にも負担をかけずに胃や腸に休養を与えて、それぞれの機能をリセットすることができます。
 年を重ねるうちに、私たちの体には、水銀、鉛、ヒ素、カドミウムなどの有害金属が蓄積されていきます。これは、食材や加工食品、農薬、大気汚染、そして喫煙などを通じて、体内に取り入れられるのです。
 有害金属は、活性酸素を大量に生成する原因となる発ガン物質です。
 ですから、体内に溜まっている有害金属を体外に出すという意味でも、プチ断食によって排便機能を高めることが大切なのです。

 『今日から始めるガンにならない体』 3章 より  済陽高穂:著  三笠書房:刊

 1年中休まずに、黙々と働いてくれている胃や腸に感謝する。
 その意味でも、実行してみたいアイデアですね。

ガンの危険信号は、「しこり」と「出血」


 ガンは、早期発見、早期治療が何よりも大事です。
 しかし、初期のガンは自覚症状に乏しいため、かなり進行しないと自分では気づかない場合が多いです。

 済陽先生は、初期のガンの自覚症状として次の2つの特徴的な性質を知っておくことが早期発見のカギになると述べています。

  1. かたまり、しこり(腫瘍)ができる
  2. 出血しやすくなる
 ガンができると出血しやすくなるのは、以下のような理由からです。

 ガン細胞は成長・増殖するのに、正常な細胞よりも大量の栄養と酸素を必要とします。そのため、ガン細胞自体が「新生血管」と呼ばれる新しい血管を多くつくり、血流を引き込みます。
 ただ、新生血管は通常の血管と比べて血管壁がもろく、ちょっとした物理的刺激で出血します。だから、「出血しやすくなる」のです。
 たとえば、肺にできたガンだと血痰(けったん)、大腸だと血便が出るという具合です。胃ガンでも出血が起こり、真っ黒な便(タール便)が排泄されることがあります。
 子宮体ガンでも、血の混じったおりものや過多月経などの不正出血が見られます。不正出血が持続的に続くと貧血症状としてのめまいや動悸、息切れが現れます。こうした症状も、ガンによるものであることも少なくないのです。
 この2つの性質を理解しておくと、初期症状をいち早く察知することができます。

 『今日から始めるガンにならない体』 4章 より  済陽高穂:著  三笠書房:刊

  定期的なガン検診も、もちろん大切です。
  日々のセルフチェックが生死を分けることもありえます。

 ちょっとした出血や便の色にも、日頃から関心をもつ習慣を身に付けたいですね。

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☆    ★    ☆    ★    ☆    ★    ☆

 私たちの身に降りかかる病気は、日頃の悪い生活習慣が原因のものがほとんどです。
 その悪い生活習慣を改めない限り、改善することはありません。

 本書を読むと、「ガン」という病気も生活習慣病の一つなのだ、ということがよく分かります。

 遺伝的な要因が多くを占めると言われてきましたが、そうではありません。
 単に、生活習慣が似ているから同じ種類のガンにかかる確率が上がるだけ、というのが真相です。

 どんな病気の予防にも、食生活を中心にした健康的な生活習慣を身に付けることが欠かせません。
 ちょっとずつでも、意識して改善していきたいですね。


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