本一冊丸かじり! おいしい書評ブログ

本を読むことは、心と体に栄養を与えること。読むと元気が出る、そして役に立つ、ビタミンたっぷりの“おいしい”本をご紹介していきます。

【書評】『折れない自分のつくり方』(小倉広)

 お薦めの本の紹介です。
 小倉広さんの『折れない自分のつくり方』です。

 小倉広(おぐら・ひろし)さんは、経営コンサルタント、ビジネス作家です。
 大学卒業後、大手出版社に入社、編集部や組織人事室の課長などを経て独立されています。

リーダーは、折れて当たり前

 社会に出ている人は、誰でも「折れそうになった」経験が2度や3度はあるはずです。
 特にグループを束ねなければならない管理職の立場に立たされると、上と下からの板挟みになり、悩みも尽きないことでしょう。

 小倉さん自身も29歳で課長に昇進したときにうつ病にかかり、自らリーダーの職を辞すという挫折を味わっています。

 しかし、そのような経験を繰り返し、リーダーになるチャレンジをし続けることで「折れない自分」を手に入れました。

 小倉さんは、リーダーの役割とその難しさについて、以下のように述べています。

 中でも、リーダーの責を任ずる人は「折れそうになる」場面に出合うことが格段に多いはずだ。なぜならば、リーダーの仕事とは「進むべき方向性を一つに定め、その方向へ向けてメンバーの気持ちを動かしていくこと」なのだから。

 この仕事が簡単そうに見えて、実に難しい。
(中略)
 時には、全体の利益のために、目の前のメンバーの利益に反するような決定を下さなければならないこともある。リーダーは反対され、ののしられることもある。大きな重圧がかかるのだ。
 だから、迷って当然、折れて当然だ。
 そもそもリーダーとはそうした宿命にある。
 しかし、リーダーは決して折れてはならない。メンバー全員がリーダーを見ているからだ。
 リーダーの動揺はメンバーに感染する。リーダーが途中で折れてしまったら、チームは舵を失ったような船のように大海原を迷走してしまうことだろう。
 折れて当然の場面にもかかわらず、リーダーは折れてはいけない。
 それがまた、リーダーに大きなプレッシャーとなって襲いかかる。

 『折れない自分のつくり方』  はじめに より  小倉広:著  フォレスト出版:刊

「リーダーは折れて当然、でも決して折れてはならない」

 一見、矛盾するような厳しい命題をクリアすること。
 それが真のリーダーシップを発揮する「折れない自分」を作り上げることになります。

 本書は、小倉さんが自らの体験を踏まえたリーダーとして成功するためのエッセンスを抽出した一冊です。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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ぶれない軸は「信念」を土台に打ちたてよ!

 リーダーは、自分のやり方を部下に「強制」することでも、部下の機嫌を取って「迎合」することでもない、全く別の方法を追求しなければなりません。

 リーダーは、メンバーがそれを受け入れるかどうかにかかわらず、自らが正しいと思うことを愚直に伝え続ける。それこそが、「強制」でもなく「迎合」でもない第三の道だ。そして、大地に深く根を張った、どっしりとした揺れないリーダーの姿そのものなのだ。
(中略)
 相手が泣こうがわめこうが。受け入れられようが拒否されようが。自分の信念に基づいて求め続ける。おかしいことはおかしいと言い続けるのだ。
 ただし、それを受け入れられるかどうかはメンバーに任せる。自己責任として託すのだ。リーダーにできることは、求め続け、言い続けることだ。メンバーがわかってくれるまで、百回でも千回でも一万回でも言い続ける。それが自分軸、ということだと気づいたのだ。

 『折れない自分のつくり方』 第1章 より 小倉広:著  フォレスト出版:刊

「折れない自分」の核心となる部分は、自分の信念に置く必要があります。
 ぶれない一流のリーダーは、自分の信念だけしか見ていません。

 結局のところ、この信念を結果が出るまで持ち続けることができるか。
 それが真のリーダーになれるかどうかの分かれ目になります。

「自分軸」を持つこと

 リーダーになる以上、他人からの批判や陰口は、覚悟しなければなりません。

 小倉さんは、批判されないためにがんばってはいけないと強調します。

 周りからうわさされないように。
 笑われないように。
 馬鹿にされないように。
 嫌われないように。

 それらは、すべて他人中心に物事を考える「他人軸」です。
 リーダーは、「他人軸」ではなく自分の信念に基づいた「自分軸」をしっかり持つべきです。

 他人に軸を預けている限り、私たちは人生においても幸せになれない。なぜならば、幸せかどうかの判断を他人に委ねているからだ。
 人に評価されて幸せを感じ、人に批判されたら不幸せと嘆く。それは、メンバーの顔色や周りの声に一喜一憂していたかつての私そのものだ。
 自分が幸せかどうかは他人が決めることではない。
 その基準を他人の物差しで測ってはいけない。幸せかどうかは自分が判断する。OKは人からもらうものではなく、自分でジャッジする。他人軸から自分軸へ、大事な軸を取り戻すのだ。
 それは自分の人生を我が手に取り戻すことでもある。
 リーダーとして、人として、私はそういう人生を送りたいと思う。
 他人の人生ではない。それは自分の人生なのだから。

 『折れない自分のつくり方』 第1章 より  小倉広:著  フォレスト出版:刊

 自分軸をしっかり持つことは、リーダーだけでなく、すべての人にとって重要なことです。

わがままにならないための2つの視点

 自分軸でものごとを考える際、ついつい自分に都合のいい利己的な判断をしがちです。
 小倉さんは、その過ちを回避する方法について、以下のように述べています。

 自分軸の考え方では、相手の意見を受け留めながらも、最後は必ず自分で判断する。そのため、ついつい自分に都合のいいように、わがままで自分勝手な判断をしてしまいがちになる。しかし、それはリーダーにとってあってはならないことだ。

 そこで、私はその過ちを回避するために、判断・決定のよりどころに2つの条件を設けてセルフ・チェックをしている。
 ひとつには、「利他」の心に則っているかどうか。
 私利私欲、つまり「利己」ではなく、相手やみんなのためを考えたうえでの選択かどうか。それが第一条件。もしも利己の発想から出たものであれば、どんなにすばらしい意見でもNO。逆に利他の精神が通っていれば、周りが反対してもYESだ。
 もうひとつは、120%やり切ったかどうか。
 手を抜かずに全力で挑んだかどうかだ。利他の心でも手抜きがあればダメ。手を抜かずにやり切っていればマル。これが第二の条件だ。

 この2つをクリアできていたなら、結果が伴わなくても、私は自分を良しとするようにしている。私は私にOKを出す。よくやったと褒めてやるのだ。

 『折れない自分のつくり方』  第2章 より  小倉広:著  フォレスト出版:刊

 リーダーは、部下に対して厳しく接しなければならない場面が多いです。
 だからこそ、フェアであることが、より求められます。

 部下に厳しく、自分に甘いリーダーには、誰もついていきません。

「利他の心」

 忘れないようにしたいものです。

それでもなお、リーダーになりなさい

 リーダーはそんな役回り多く、途中で投げ出したくなることもあります。
 そのため、若い世代を中心に、リーダーになることを避ける風潮があります。

 しかし、小倉さんはそれでもなお、「リーダーになりなさい」と言わずにはいられないと述べています。

 なぜならば、リーダーという仕事は、人のために生きる仕事だからだ。人をあごで使うとか、偉くなって楽をするという意味ではない。皆のため、チームのために尽くす人になることなのだ。味わうことのできる「幸せ」も大きく深いものになる。
 私たちは社会に出たときに、右も左もわからずにたくさんの教えを請う。
(中略)
 人は何のために生まれてくるのか。
 多くの先人たちは、自分にそれを問いかけた。文学も芸術もその答えを求めた。
 私たちは、小説や映画の偉人の伝記の中に、その答えを見つけることができる。
 人は誰かの役に立つために生まれてきたのだ。
 リーダーが感じることのできる「してあげる幸せ」とは、人が生きる意味を成すものに他ならない。それこそが、世の中と調和できる究極の幸せだ。自分の幸せと社会の幸せが、イコールになってくる。リーダーとは、それほどに大きく、深い世界を生きていけるのである。
 だからやはり「それでもなお、リーダーになりなさい」なのである。

  『折れない自分のつくり方』  第5章 より  小倉広:著  フォレスト出版:刊

「自分の幸せと社会の幸せがイコールになってくる」

 そんな幸せが手に入れられるのなら、リーダーになるのも悪くはないですね。

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☆    ★    ☆    ★    ☆    ★    ☆

 日本刀は、赤く熱した鋼(刀身)を水に浸けて焼き入れる作業を、何度も繰り返して鍛えます。

「折れない自分」も、自らを厳しい外部の環境に投じて、そこで切磋琢磨することによってのみ、形作られるものです。

「地位は人を選ぶ」とも「地位が人を育てる」ともいいます。
 リーダーになるというチャンスは、自分の意志だけではなく、巡り合わせの部分も大きいです。

 いつ自分がリーダーと言う立場に立つことになるか分かりません。
 ただ、その時に慌てることのないよう、できる限りの準備はしたいですね。

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