【書評】『文章は書く前に8割決まる』(上阪徹)

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 お薦めの本の紹介です。
 上阪徹さんの『文章は書く前に8割決まる』です。


 上阪徹(うえさか・とおる)さんは、フリーライターです。
 経営、経済、就職などをテーマに、雑誌や書籍などで幅広く執筆やインタビュー記事などを手掛けられておられます。

文章は、「書き始める前」が大事


 上阪さんは、高校ぐらいまで、文章を書くことはおろか、本を読むことさえ、好きではありませんでした。

 そんな上阪さんが、職業ライターとして通用する文章が書けるようになった理由。
 それは、「書き始める前」の取り組みの大事さに気づいたからだと述べています。

 上坂さんは、 文章を書くことは難しいことではないし、書けるようになるととても楽しいものになると述べています。

 本書は、“文章のプロ”である上阪さんが、いつも書き始める前に意識していること、取り組んでいることをまとめた一冊です。
その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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書くことは目的ではない


 文章を書くときに、まず最初に考えるべき大事なことがあります。
 それは以下のようなことです。

 文章の技術について頭を巡らせる前に、前提を理解しておくべきだと私は考えています。それは、文章というのは、書くことそのものが目的ではない、ということです。作家など特別な職業を別にして、とりわけビジネスパーソンの方などが文章を書く際には、目的は文章そのものにあるわけではありません。
 文章というのは、伝えたい情報を伝えるためのツールである、ということです。道具なのです。文章を書く目的は、あくまで伝えたい情報を伝えることなのです。
(中略)
「どう書くか」をいくら学んだとしても、文章を書くことはできません。文章でもっとも大事なことは、「何を書くか」だからです。いくら文章技術を理解し、それを駆使してうまい文章を書いたとしても、伝えたい情報が伝えられなかったとしてたら、それは本末転倒です。もっとも重視すべきは、伝えたい情報を伝えることだから、です。

 『文章は「書く前」に8割決まる』 chapter1より  上阪徹:著  サンマーク出版:刊

「書きたい!」という気持ちが強ければ、書くこと自体が楽しみとなります。
 そのため、時間がかかる長い文章を書いていても、苦痛ではありません。

 逆に、書くこと自体が目的となると、難しくてつらい作業になります。
 文章を書くことは、あくまで「道具」です。

 伝える技術より、伝えたいという気持ちがずっと大事。
 このことは、つねに頭の片隅に入れておきたいです。

読みやすいリズムを知る


 プロの書き手の文章でも、読みやすいものもあれば、読みにくいものもあります。
 その違いを決める大きな要素が「リズム」です。

 文章を読むときには、リズムが大いに関係します。なかなか読み進められない文章というものは、自分と読むリズムが合っていないのです。だから、どうにも進みが悪い。
 一方で、どういうわけだか、スイスイと読み進めていくことができる文章があります。それは、自分とリズムが合っているのです。このリズムも千差万別ではあるのですが、多くの人にとっては、ある程度、似たところがあるのではないかと思います。
 自分にとって読みにくい文章というのは、実は多くの人にとっても読みにくいと思うのです。逆に、自分にとって読みやすい文章は、多くの人にとっても読みやすい文章である可能性が高い。
 となれば、自分が読みやすいと思うリズムを持った文章を「お手本」にしたほうがいいに決まっています。

 『文章は「書く前」に8割決まる』 chapter2より  上阪徹:著  サンマーク出版:刊

 リズムを決める要素は、文章の長さ、句点の位置や頻度などさまざまです。
 テンポよく読みやすい文章を見つけて、参考にしたいですね。

広く浅く、アンテナを張る


 読むメンバーや場面を想像して、文章を書けるか、書けないか。
 それは、とても大事なことです。

 上阪さんは、文章を書くうえでの周辺状況の考察を、「相場観」という言葉で説明します。

 たとえば、あるニュースについて言及したとする。そのニュースが世間ではもうすっかり情報としては下火になっているにもかかわらず、そのことを嬉々として書いていたら、やはりピント外れ、ということになるでしょう。
 あるモノを購入して、自分ではそれが極めて安く買えたと思っていたので喜んで掲示板に書いたら、実はまったく高値づかみをさせられていることがわかった、などというのも、ある種の「相場観」です。世間相場を知らないと、みっともない文章になってしまう、ということの証のひとつです。
 要するに、世間や会社など、文章を読む相手が、どのくらいの相場観を持っているか、それをできるだけ理解してから文章を書いたほうがいい、ということです。「相場観」を持っていれば、文章はスムーズに書けるようになります。目的と読み手と相場観を組み合わせることで、「何を書くか」がイメージしやすくなるからです。
 だからこそ、世間相場が理解できるような情報に接することは極めて大事です。新聞も大事だし、ネットも大事、テレビも大事、会社や業界、取引先をめぐる情報には、常にアンテナを張り巡らせておかないといけない、ということになるのです。といっても、あらゆる情報を知っておくことは不可能ですから、広く浅く、で十分だと私は思っています。

 『文章は「書く前」に8割決まる』 chapter4より  上阪徹:著  サンマーク出版:刊

 自分の興味もある事がらについて、つねにアンテナを高くしておく。
 それは、文章を書く上でもとても大事です。

 逆に、自分から発信することを習慣化して、アンテナを高く保つモチベーションを上げるという方法もあります。

 インプット(情報を仕入れること)とアウトプット(情報を発信すること)をセットで考える。
 それは、相場観を保つためにもいい方法ですね。

「文章」を書こうとしない


 文章を書くことに、苦手意識を持つ人は多いです。
 上阪さんも、以前はそうでした。

 その理由は、「書かねばならない」と身構え、勝手に「文章はこういうものだ」と思い込んで、「書こう」としてしまっていたためです。

 ところが、「文章」というのは決して特別なものではなかった、ということです。身構えて書かなければいけないものでもない。もっと平たく言ってしまえば、しゃべっているのと同じように伝えればいい、しゃべっていることをそのまま「文章」にしてしまえばいい、ということがわかっていったのです。
 なぜなら、文章の目的はわかりやすく伝えることだから。本来なら、しゃべって伝えてもいいことを、いろんな理由から文字にしている、というだけのことだからです。
 しゃべって伝えることなら、それほど苦にならないでしょう。ならば、それをそのまま文章にしてしまえばいいのです。それを「文章とはこういうものだ」と思い込み「文章にしよう」とするからこそ、苦手意識を持ってしまったり、文章に怖さを感じてしまったりするのではないでしょうか。

 『文章は「書く前」に8割決まる』 chapter5より  上阪徹:著  サンマーク出版:刊

「しゃべっていることをそのまま文章にしてしまえばいい」

 たしかに、その通りですね。

 しゃべっている言葉をそのまま文章にすることは、自分の思いをストレートに伝えることです。
 読み手も、書き手が語りかけているような親近感を持ちやすいです。

 人の心を打ち、印象に残る文章。
 それは、書き手の思いが読み手に直接伝わるような、血の通った温かみのあるものです。

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 電子メールやツイッター・フェイスブック。
 それらソーシャルネットワークサービス(SNS)が生活に浸透し、日常的に使われています。

 仕事でも、プライベートでも、文章を書くことは、避けては通れない必須のスキルになりました。

 美味しい料理を作るにも、事前の下ごしらえは欠かせません。
 文章を書くのも同様です。

 読めば読むほど味の出る、そんな手作りで真心のこもった文章を書けるようになりたいですね。

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