【書評】『全力で、1ミリ進もう。』(中谷彰宏)

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 お薦めの本の紹介です。
 中谷彰宏さんの『全力で、1ミリ進もう。』です。

 中谷さん自身、この本は以下のような人のために書いた、と述べています。

 ① 勇気を、出したい人。
 ② 希望を、見つけたい人。
 ③ 希望と勇気を、大切な人にあげたい人。

 
 はっきり書かれてはいませんが、明らかに東日本大震災の痛手から精神的に立ち直ろうとしている、私たち日本人に向けてのメッセージです。

 中谷さんは、本書で、一人一人がこの大きな苦難を乗り切るために必要な心構え、意識の持ち方、生きる姿勢を『70のコトバ』として託しています。

過去からの積み重ねではなく、未来から逆算した今に生きる。


「今」には2つあります。
 どちらを選ぶということです。

  ① 過去からの延長線上の「今」にいる人
  ② 未来から逆算した「今」にいる人

 の2通りがいるのです。
 過去からの「今」を生きている人は、最終的に、過去からの延長線上の未来へ行こうとします。
 これは行き着く先が違うのです。
(中略)
 ほとんどの人は、過去から積み上げた「今」を生きています。
 ここで、未来から逆算した「今」を生きられるかどうかです。
(中略)
「未来を生きていこう。そのための今日はどうしよう」というのが、未来から来る「今」です。

 「全力で、1ミリ進もう。」 プロローグ より  中谷彰宏 :著  文芸社文庫:刊

 もちろん、「辛い経験をした」という事実は、忘れてはいけません。
 ただ、それに縛られて、辛い“過去”の延長線上の“今”を生きる必要は、ありません。

 どんな“未来”も“今”作られるものです。

 本書は、私たちの背中を後押しする『勇気のわいてくるコトバ』を、中谷さんの解説付きでまとめた一冊です。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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執着を捨てたら、次のことに進んでいける。


 ブッダのエピソードで「いかだの話」があります。
旅人がある町へ行く途中、川が氾濫して渡れなかった。
 仕方がないので、水と草でいかだをつくりました。
(中略)
 そのあと、乗ってきたいかだをどうするかです。
 自分のモノだったら、「せっかくつくったんだから、これを頭にのせたら運べないかな」と考えます。
 これがモノへの執着です。
 そんなものを家に持って帰ったら、邪魔です。
 モノはないよりあったほうがいいというのは、逆です。
 いかだは、川を渡ったら要らないのです。
(中略)
 いかだの話は、ほとんどの人が持っている、モノに対する執着です。
 重いいかだをずっと持ち歩かないで、渡り終えたら、他の人に譲るとか捨てるとかすればいいのです。
(中略)
 過去からの「今」も執着です。
 成功体験も執着です。
 執着を捨てないと、次のことが始められません。
 家の中にあるモノは、ほとんどがいかだなのです。

  「全力で、1ミリ進もう。」 第1章 より  中谷彰宏 :著  文芸社文庫:刊

 日本人は、古いモノや昔からの考え、昔からの方法を大切にされる方が多いです。
 もちろん、日本人の美徳として、残すべきモノや考え方はたくさんあります。

 しかし、それ以上に、捨てるべきモノや変えるべき考え方が、山のように積み重ねられています。
 まず、それらを片付けないことには、前に進めません。

 例えば、“バブル時代の栄光”なんか、今ではガラクタです。
 まさしく「いかだ」です。
 持っていても邪魔なだけです。

 今の時代に合ったモノ、考え方を身に付ける。
 そのためには、まず“捨てる勇気”を持つことです。

全力で、1ミリ進む。


 正しい電車に乗っていれば、特急に乗る必要はありません。
 最悪なのは、間違った特急に乗って、えらいところまで行ってしまうことです。
 早く行く必要はありません。未来へ進むためには、1ミリ進めばいいのです。
 1%でいいのです。
 1%の力で1%進むのではありません。
 大切なのは、全力で1%進むことです。
 だから確実に進んでいけるのです。

  「全力で、1ミリ進もう。」 第1章 より  中谷彰宏 :著  文芸社文庫:刊

 目指すべき方向を間違えないこと。大事なことです。
 その上で、『全力で1ミリ進む』。

 今の自分以上になろうとしたら、全力を出し切る必要があります。
 実力の80%を出しているだけでは、100%、つまり自分の限界は超えられません。

「どれだけ進んだか」ではなく、「前に進んだか」どうか。
『全力で1%』を続けられるか。

 大事なのは、それだけです。

動くのが、最も効率がいい。


 過去からの電車に乗っている人は効率を考えています。
 効率を考えていると、生きているのがつらくなります。
「好きなことをやっているのは、どうなんですか」と聞くのも効率を考えています。
 効率ばかり考えることから意識を切りかえると、体も動きます。
 行動するのです。
 動くのが最も効率がいいのです。
 じっとしているのが最も効率が悪いのです。
(中略)
「どうする、どうする」と言い続けていないで行動したほうが、効率がいいのです。

  「全力で、1ミリ進もう。」 第2章 より  中谷彰宏 :著  文芸社文庫:刊

『動くのが最も効率がいい』
 これは、エンジニア視点からも、理にかなった考え方です。

 例えば、ある工場の生産性は、簡単に言うと、

「時間当たりの生産量(つまり、ここでは『効率』のこと)」「工場が実際に稼働している時間」

 を掛け合わあせて、算出します。

 効率だけいくら上げても、実稼働時間がゼロに近ければ、ほとんど製品は作れません。

 まずは実際に工場を稼働させて、その中で出てきた問題点を改善し、少しずつ効率を上げていく。
 これも、実際の製造ラインで行われている生産性向上のセオリーです。

 まずは、『作ってみる』。
 コスト云々は、その後の話です。
 どんな画期的な新商品も、そうやって生まれてきました。

 まずは、結果にこだわらないで「動いて、始めること」。
 すべてはそこからです。

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 中谷さんは、最後に選んだ言葉の解説の中で、以下のようにおっしゃっています。

(前略)
 映画に感動しても、「しょせん、ドラマだから。現実は、そうはうまくいかない」と言う人がいます。
 人生は、フィクションです。
 神様が作った物語です。
 神様が作った物語の中で、私たちは演じているのです。
 ピンチは、主役にしか訪れません。
 もし、あなたにピンチが訪れたとしたら、あなたが神様のドラマの主役に抜擢されたのです。

  「全力で、1ミリ進もう。」 エピローグ より  中谷彰宏 :著  文芸社文庫:刊

 なるほど、たしかに『ピンチは、主役にしか訪れません』ね。

 ここでいう「あなた」は、すべての日本人です。
 そう考えると、史上稀にみる大地震も、それに伴う原発の事故も、日本をドラマの主役に抜擢するために仕組まれたシナリオといえます。

 悲しい過去と決別し、不屈の精神力で見事に立ち直ることで、世界に勇気と感動を与える。
 そんな世界中の記憶に残るドラマにしたいですね。

 いつか訪れるハッピーエンドに向けて、『全力で、1ミリ』ずつ進んでいきましょう。

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