本一冊丸かじり! おいしい書評ブログ

本を読むことは、心と体に栄養を与えること。読むと元気が出る、そして役に立つ、ビタミンたっぷりの“おいしい”本をご紹介していきます。

【書評】『やめないよ』( 三浦知良)

 お薦めの本の紹介です。
 三浦知良さんの『やめないよ』です。

「キング・カズ」こと、三浦知良(みうら・かずよし)さんは、プロサッカー選手です。
 15歳でブラジルへ渡られ、帰国後、Jリーグを創生期から支え続ける、レジェンド(伝説)のお一人です。

キングの「キング」たる所以は?

 2011年3月29日に行われた東日本大震災復興チャリティーマッチ。
 そのなかで三浦さんが決めたビューティフルゴールは、多くの日本人に、勇気と感動を与えました。

 ここぞ、という場面で、しっかり期待に応えてくれる。
 それが、三浦さんの、「キング」たる所以です。

 本書は、三浦さん自身が、日経新聞上で隔週で連載しているコラム「サッカー人として」から抜粋してまとめた一冊です。

 44歳になってなお、厳しいプロの世界で第一線で活躍できる元気の源は、どこから来るのか。
 その秘訣が、ぎっしり詰まっています。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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モチベーションを保つ秘訣は?

 三浦さんは、最初に、自らの「引退」についても触れ、以下のように述べています。

「引退」という言葉も周囲からは何度か聞いた。世間の声も耳に入ってきた。けれども、いま、僕の中では、どこでどんなふうに引退しよう、なんていう設計図はまったくない。カズらしさを持ったままで引退、とか、辞めるときのタイミングが大事、などと、いろんなことを言う人がいるけれど、僕はもう、そんなことすら考えていない。タイミングを計って引退するなんてことは、もはや僕の選択肢にはない。そんなことも考えずに、ただ今日も一生懸命やる、明日も一生懸命やる、それだけなのだ。
 最近、いろんな人たちから「なんでカズさんはそんなにずっとモチベーション高くいられるんですか」と訊かれたりする。僕はサッカー一筋でやってきているけれど、サッカーを楽しんでいるということにやっぱり尽きるのだと思う。いや、サッカーだけではなく、外で遊ぶときも、お風呂に入るときも、人と会うときも、もう、すべて一生懸命行くぜ、という感じの人生なのだと思う。そのときそのときで目一杯やっていく、その積み重ねが僕のいまなのだ。
 
  「やめないよ」 プロローグ より  三浦知良:著  新潮社:刊

 サッカーだけでなく、目の前のことを、とにかく一生懸命やる。
 モチベーションを保つには、それが一番だということです。

 尊敬しますし、見習いたいです。

 このチームでプレーは終わっても、本人のやる気さえあればサッカー人生は続く、僕もそうだったけれど、なぜ戦力外になったのかを考えることが大切だ。クラブだけのせいにしているようでは、この先どこへいってもまたダメになる。自分に何が足りなかったのかをまず考えられる選手が、この世界で残っていけるのだろう。
 
  「やめないよ」 Ⅱ不惑の力 ― 2007年 より  三浦知良:著  新潮社:刊

 サッカーの世界だけではありません。
 最後は、やはり、自分自身の力が試されるということ。

 最初から、会社のせい、上司のせいと言っていたら、どこへ行っても一緒です。

 誰だってたたかれるのは嫌だ。でも批判を受けていたかいないかで、逆境のときに乗り越える強さが変わってくる。選手はミスを指摘されて「もうしない」と改めて意識する。批判から学べるか。悔しさを思い知り、もまれた選手は強い。
(中略)
 経験から言えば、いいことしか言われない時期は「まだまだ」なんです。悪いことも言われて初めて一流に近づく。それを越えてこそ超一流じゃないかな。
 
   「やめないよ」 Ⅳ戦い抜く力 ― 2009年 より  三浦知良:著  新潮社:刊

 他より抜きん出ようとしたら、批判や悪口を受けることは、避けて通れません。

 批判や悪口から学び、それを乗り越えてこそ、一流。
 三浦さんが言うと、説得力があります。

 まずは、批判や悪口を恐れず、チャレンジすること。
 そこから始めることですね。

 17歳のころ、ブラジルで悩んでいた僕は諭されたものだ。「僕はいつだって考えている」「考えているだけで止まっている人間はたくさんいる。お前もそうだ。考え、悩め。でも前に出ろ。」
 失敗して、人生のレールを踏み外すこともある。その時も、フラフラでもいいから止まるな―。「一気に100メートル進まなくてもいい。カズ、1センチでいいから前へ進むんだ。考えるだけではダメだ」。今も胸に残る。
 
  「やめないよ」 Ⅴ明日を生きる力-2010年 より  三浦知良:著  新潮社:刊

「悩みながらも、前へ・・・」

 何度失敗しても、立ち止まらない。
 1日1センチでもいいから、前に進む。

 それが、1年後に、大きな差となって表れます。

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 三浦さんは、以下のようにおっしゃっています。

 学ばない者は人のせいにする。学びつつある者は自分のせいにする。学ぶということを知っているものは誰のせいにもしない。僕は学び続ける人間でいたい。
 
  「やめないよ」 Ⅴ明日を生きる力―2010年 より  三浦知良:著  新潮社:刊

 三浦さん同様、自分も、学び続ける人間でいたい。

 三浦さんの、来シーズン以降のご活躍を願っています。

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