【書評】『準備する力』(川島永嗣)

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 お薦めの本の紹介です。
 川島永嗣さんの『準備する力』です。

 

 川島永嗣(かわしま・えいじ)さんは、プロサッカー選手で、ポジションはゴールキーパーです。
 高校卒業後の2001年からJリーグでプレーし、2010年にベルギーに移籍、同年の南アフリカワールドカップでは不動の守護神として日本のグループリーグ突破に大きく貢献されました。

「準備する力」が夢へのパスポート


 今でこそ、日本代表の守護神として不動の地位を築いている川島さん。
 しかし、ここまでの道のりは決して平坦なものではありませんでした。

 全国的には無名の高校を卒業して、地元のJリーグチームに拾ってもらったものの、プロのレベルにまったくついていけません。
 試合に出るどころか、メンバーにも選ばれない日々が続きます。

 ステップアップするために、J1の名古屋グランパスに移籍するも、当時の日本代表のゴールマウスを守っていた楢崎選手の壁の前に第2ゴールキーパー甘えます。

 ベルギーのリルーセというチームに移籍した時も、チーム自体の実力がないこともあり、失点を重ねる試合が続く苦しいシーズンを送る経験もしています。

 それでも気持ちを切らさずにトレーニングを重ねてワールドカップという大舞台で日本代表のレギュラーの座を掴むことができた。

 その理由は、本書のタイトルにもなっている「準備する力」があったからです。

 川島さんは、目標とするビジョンを掲げ、試合に出ていなかった時も、自分の描いた目標から遥か離れた場所にいた時も、どうすれば、一歩でも、そこに近づくことができるか、最後には辿り着けるのかを考え常に100%の情熱を持って努力してきたと述べています。

 本書は、どんな逆境でも決して諦めずに目標に向かって進むための、「夢を実現する逆算のマネジメント」についてまとめた一冊です。
 その中からいくつかご紹介します。

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心の火は小さくなってもいいが、消してはならない


 どんな時でも落ち込まず、傷つきもせず、常にポジティブでいられる人はいません。
 一流の人、偉業を成し遂げる人は、大小さまざまな挫折に見舞われても、諦めずに何度も立ち直ることができる「しなやかな強さ」を持っています。

 僕は、何事にも決して屈することのない鋼のハートなど持っていない。
 弱い人間である。
 だが、そういう自分の弱さを認めたところからすべてが始まるのだ。
 何かがうまくいかない時に、自分の心を折って、落ちてしまうことは簡単だ。その苦しさを耐え忍ぶことは難しい。ただ、そこで一度、ドン底まで落ちてしまうと、再び同じ場所まで這い上がってくるためのエネルギーや時間は、相当な量が必要となる。そのエネルギーとパワーを考えると、その場所で、諦めずに耐えた方が楽だと思う。
 辛いことがあった時は、できるだけ、その一瞬を耐えてみるべきだ。
 また元の場所にすぐに戻らなくてもいい。少しずつ戻っていけばいい。心の火を一度消してしまうと、再点火する作業は生半可ではない。火は小さくなってもいいから消してはならない。それは、今でも変わらぬ信念だ。
 ビジネスマンの左遷、学生の受験失敗、就職の失敗、失恋・・・・
 人生には試練が待っている。
 そこで意欲を失い、不貞腐れても、プラスは何もない。僕の場合で言えば、練習で手を抜き、いつも100%全力という自らの信念を裏切れば、それは、いずれ自分に跳ね返ってくる。窮地に陥った時に、マイナスの方向に向かわず、そこで耐えてみる。たとえば練習でも100%全力で続ければ、それは、いつかプラスとして返ってくるものである。また、その姿を見てくれた周囲の人たちも、サポートしてやろうと思ってくれるかもしれない。
 ピンチの時ほど、自分が弱い人間であることを自覚した上で、100%全力の努力をしてみるのだ。

  『準備する力』 第1章 より 川島永嗣:著 角川書店:刊

 止めてしまったり諦めてしまったりすることは、簡単で、いつでもできることです。
 うまくいかない時こそ、少しでも前に進もうと気持ちを奮い立たせることが大事になります。

 どんなことでも継続するためには、「やる気」や「情熱」が必要です。
 どんな強い風や雨に遭っても、自分の心の中の火だけは消さずに守り抜くようにしたいですね。

10年先のビジョンを描き、「今」できることを考える


「逆算のマネジメント」の基本は、将来のイメージ化です。

 川島さんは、自らの10年先、20年先、30年先のビジョンを常に頭の中に描いています。
 そして、そのビジョン通りに進むには、今、何をすべきかを考え、行動しています。

 40歳でも、トップでプレーしているというイメージを抱いた時に、20代の前半では自分はどういうことをするべきか。20代後半になれば、自分はどういうことを経験すべきかという長期プランを計画せねばならない。
 肉体のマネジメントも必要だろう。スキルのマネジメントもいる。クラブ移籍など、プレー環境の選択も、そのプランニングの中には含まれてくるだろう。
 プレイヤーとしての晩年にはささやかな夢もある。最後は給料が安くとも、中米などにある小さな国の名も知れぬクラブで1、2年プレーができれば楽しいだろう。そういう場所で、最後はキーパーからフォワードに転向してフィールドを走り回ってみても面白い。もう一度、子供の頃に遊びで始めたサッカーの魅力を思い出すような原点に戻ってみたい。「サッカーは楽しかった」という感激を胸にサッカー人生にピリオドを打ちたいという、まるで絵本のような願いがある。

 『準備する力』 第2章 より 川島永嗣:著 角川書店:刊

 どんな人になりたいか、どんな仕事をしたいのか。
 将来のイメージ化をせず、ただやみくもに努力している人は意外と多いです。

 まずは、将来なりたい自分を具体的に思い描いてみること。
 そうすれば、自分が今すべきことも見えてきます。

とりあえずやってみようの行動哲学


「まず目標を立てて、そこに向かう手段を考えて、真剣に取り組む」がモットーの川島さん。
 そんな川島さんでも時折、そのビジョンが明確に描けなかったり、手段や方法がわからない時もあります。

 そんな時に指針となる考えが、「とりあえずやってみようという行動の哲学」です。

 やってみると、それが経験になる。すると視野が広がる。その時に改めてわかることがある。それもこれも行動を起こさなければわからないことだ。何事もとりあえずやってみるのである。
 語学の勉強を始めても、なかなか理解ができずに身につかなかった時期もあったが、とりあえず続けてみようと思った。なんとなく続けていたら、いつのまにか7年や8年の歳月経過していた。そしてそれなりに、語学が使えるようになっていた。そういう成功体験が、「まずは行動を起こし、それを続ける」という哲学をさらに論理的に支えた。
 やり続けることで、自分が気づかないうちに、形になっていることはある。だから、僕は語学を習得するコツを人に聞かれると、「継続すること」を挙げている。
 継続することで生まれる成長は、いつも自分の目に見えるものとは限らない。自分が成長しているか、していないかに何の手応えがなかったとしても、それを継続すれば、いつか「自分は進歩している」と感じられる日が来るのではないか。目標だけを定めても、それを眺めるだけで何もやらなければ前には進まない。まずは行動を起こす。もし、その方向が間違っていたとしても、道筋は後で修正できる。目の前が真っ暗闇で、何をしていいかわからない時は、とりあえず何かをやってみるのだ。
 時に、若さや未熟さ、無知さから方法論を見つけられないことはある。でも、わからなくてもいいではないか。その模索する行為こそが大切なのだ。

  『準備する力』 第3章 より 川島永嗣:著 角川書店:刊

 世の中、やってみなければわからないことばかりです。

 迷ったら、とにかく行動に移してみる。
 やってみると、それが経験になり、今までより視野が広がり、より多くのことを理解できます。

やりがいを優先する生き方


 川島さんが、金銭的な条件以上に大事にしていること。
 それは、「やりがい」です。

 自分が求めていないスタイルではサッカーをしたくない。そいう選択はNOだ。給料が高いという理由だけでクラブ選択もしたくないのである。やりがいのあるクラブでプレーしたいということが、経済面よりも優先するのが、僕のポリシーだ。変わっているかもしれないが、そんな男が一人くらいいてもいい。何のためにサッカーをするのか。金のためか?自分のためか?サッカーを愛する人のためか?
 そういう根源的なことを考えた時に、お金のためだけという答えは導き出せない。
 お金よりやりがいという人生観があってもいい。
 だが、プロである以上、自分の値段を上げるための努力は100%するべきである。プロとしてピッチで結果を出し、プレーでチームに貢献するのは最低限のことで、加えて、チームが向上するためにどんな手助けができるか、自分の持っているものをチームに対してどう還元できるか、どれだけ付加価値を与えられるかが、自分の値段、評価を上げるために必要なものだ。
 自分の値段を上げるためには、いつでも自分自身が自分の価値を高める努力を惜しまないことが大事だと思う。

  『準備する力』 第8章 より 川島永嗣:著 角川書店:刊

「自分は生きていく上で何をいちばん大切にしたいのか」

 それを決めておくことは大事なことです。
 その軸がブレたら、自分では望まない人生に甘んじる危険が大きくなります。

 川島さんのように、確固たるポリシーを持って生きていきたいものです。

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☆    ★    ☆    ★    ☆    ★    ☆

 成功は、決して一晩で成し遂げられるものではない。
 目標に向かって、ただひたすらに努力した先にあるもの。

 本書を読むと、そのことを痛感します。


 努力を継続するために必要なのは、将来のビジョンを描くこと。
 そして、挫折しても心の中の火を決して消さないこと。

 自ら思い描く将来のビジョンの実現に向けて、着実に努力を重ねる川島さん。
 これからのご活躍にも大いに期待したいですね。

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