【書評】『歯科医が考案 毒出しうがい』(照山裕子)

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 お薦めの本の紹介です。
 照山裕子先生の『歯科医が考案 毒出しうがい』です。

 照山裕子(てるやま・ゆうこ)先生は、歯学博士です。
 現在は、都内歯科クリニックにて診療を続けるかたわら、テレビ・ラジオなどのメディアに出演するなど、ご活躍中です。

お口の健康の秘訣は「毒出しうがい」


 口の中には、約1000億〜6000億個の細菌が住み着いています。
 その細菌の中に「ばい菌」が潜んでいて、それらが増えると、からだに悪さをはじめます。

 歯周病菌や虫歯は、この「ばい菌」が原因となります。

 口の中のばい菌のエサは、食べ物や飲み物に含まれている糖分。
 すべて胃に流れてくれるといいのですが、
 どうしても、歯の表面や歯の周りに付着してしまいます。

 そうすると、そのエサを目当てに、
 ばい菌がどんどん集まりはじめます。

 食べたり、飲んだりしてから8時間経過すると
 集まってきたばい菌が、かたまりをつくりはじめます。
 24時間経過すると、
 目で見てもわかるくらいのかたまりになります。

 このかたまりを「プラーク(歯垢)」といいます。

 やわらかいプラークは、歯みがきで取り除けます。
 ただし、歯と歯の間や歯と歯ぐきの境目といったところまで
 丁寧にブラッシングする、という条件付き。

 プラークを完全に取り除ける歯みがきができる人は、
 ごくごく少数。ほとんどの人が歯みがきが下手。


 プラークが残ると、2〜3日で歯石になります。
 歯石になると歯みがきでは取り除けなくなります。
 そうなってしまったら、歯科医にお願いするしかありません。

『歯科医が考案 毒出しうがい』 PART2 より 照山裕子:著 アスコム:刊

 ばい菌のエサとなる糖分を取りのぞくにはどうしたらいいか。

 照山先生が考案した方法が「毒出しうがい」です。


 本書は、歯周病や口臭を予防し、ほとんどの生活習慣病から身を守る「毒出しうがい」のメリットとその具体的なやり方をわかりやすくまとめた一冊です。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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上、下、右、左 「4方向洗浄」だからきれいになる


 正しいうがいとは、歯の表面や歯のまわりに付着しているばい菌や食べかすを洗い流すうがいです。

 照山先生は、「毒出しうがい」のやり方を、以下のように説明しています。

 水を含んだだけでもダメ。
 軽くゆすいだだけでもダメ。
 歯と歯の間や歯ぐきの境目、歯と歯が重なったところにしっかり何度も水をぶつけて洗い落とすのが、正しいうがい。
 それが、「毒出しうがい」。
 水圧を利用して口の中をきれいにします。

 毒出しうがいは、次の手順で行います。

 ①30ミリリットルくらいの水を口に含み、口を閉じます。
 ほほが膨らむほど水を含むと口が動かせなくなります。逆に少なすぎると洗浄効果が小さくなります。

 ②上の歯をきれいにします。
 口に閉じたまま、口に含んだ水を上の歯に向けて、強く速くぶつけます。10回ぶつけたら、水を吐き出します。
 口の中の水を葉に何度もぶつけるときは、「クチュクチュ」と音が出るくらい速く、力強く行いましょう。ゆっくりぶつけると、ばい菌や食べかすが落ちないことがあります。とくに歯と歯の間や歯ぐきの境目などは残ってしまいます。

 ③下の歯をきれいにします。
 同じように口に水を含み、その水を下の歯に向けて、強く速くぶつけます。10回ぶつけたら、水を吐き出します。

 ④右の奥歯をきれいにします。
 同じように口に水を含み、その水を右の歯に向けて、強く速くぶつけます。10回ぶつけたら、水を吐き出します。

 ⑤左の奥歯をきれいにします。
 同じように口に水を含み、その水を左の歯に向けて、強く速くぶつけます。10回ぶつけたら、水を吐き出します。

 これが基本の毒出しうがい。
 上、下、右、左と4方向に水圧をかけることで、歯と歯の間や歯ぐきの境目にあるばい菌や食べかすを、きっちり取り除いていきます。
 最初は、ゆっくりでもかまいませんが、少しずつ速く、強く、歯に水をぶつけるようにしましょう。よりきれいに洗い流せるようになります。
 毒出しうがいのやり方そのものは、難しいものではありません。誰でもすぐにできると思います。しかし、実際に口に水を含んでうがいをしてみるとわかりますが、最初は、とにかく口が疲れます。
 上、下、右、左の4方向をそれぞれ10回できない人もいるでしょうし、もしかすると、上の歯をきれいにする10回だけで疲れる人もいるかもしれません。

『歯科医が考案 毒出しうがい』 PART2 より 照山裕子:著 アスコム:刊

図 基本の毒出しうがいの手順 PART2P58
図.基本の毒出しうがいの手順
(『歯科医が考案 毒出しうがい』 PART2 より抜粋)


 歯周病の予防だけでなく、口周りの筋肉の強化にもつながり、一石二鳥ですね。
 やり方を覚えて、毎日の習慣にしましょう。

食後すぐなら、ばい菌も食べかすも簡単に洗い流せる!


 照山先生は、毒出しうがいのタイミングは、毎食後がベストだと述べています。

 先ほども述べたように、ばい菌やばい菌のエサとなる食べかすは、食べたり、飲んだりする度に口の中に入ってきます。プラークになるまでに8時間の猶予があるとはいえ、できるだけ早い段階のほうが、歯や歯のまわりからはがれやすい状態なので、より簡単に洗い流せます。

 健康のことを考えると間食はおすすめできませんが、間食することがある人は、できるだけ間食後も毒出しうがいを行いましょう。残業が長引いて夜食をとらなければならないときも、夜食後に毒出しうがい。
 要するに、食事の後は毒出しうがいということです。

 1日3食の歯みがきが習慣になっている人は、歯みがき後に毒出しうがいを行うほうが効率がいいでしょう。
 ただし、夜の歯みがきが夕食後ではなく寝る前の人は、夕食後に毒出しうがいを行うようにしましょう。口の中に入ってきたばい菌や食べかすは、すぐに洗い流すのが基本です。

 歯みがき後に毒出しうがいを行うときは、基本の毒出しうがいの最後に、のどをきれいにする「ごろごろうがい」も行いましょう。
 歯みがき粉を付けて歯みがきする場合、歯みがき粉は想像以上に口の中に飛び散ります。歯のまわりだけでなく、のどに近いところまで歯みがき粉が飛んでいます。それを洗い流すには、ごろごろうがいが必須です。

 毒出しうがいは、食べたり、飲んだりした後だけでなく、寝起きもおすすめします。
 というのは、口の中のばい菌は、寝ているときがいちばん繁殖するからです。

 就寝中は唾液の分泌量が少なくなります。そのため、唾液の自浄機能が低下します。
 そうなると、ばい菌が増える可能性があります。
 毒出しうがいでエサがなくなっていれば、ばい菌が増殖する可能性は低くなりますが、念のため洗い流しておきましょう。

 すぐに増殖しようとするのが、口の中のばい菌なのです。

『歯科医が考案 毒出しうがい』 PART2 より 照山裕子:著 アスコム:刊

 口の中のばい菌のエサとなる食べかすを残らず一掃する。
 そのためには、毎食後の毒出しうがいは欠かせません。

 何か食べたら、「毒出しうがい」。
 朝起きて、顔を洗ったら、「毒出しうがい」。

 習慣として体にしみ込ませてしまいましょう。

口内ばい菌が「動脈硬化」を引き起こす


 毒出しうがいが習慣になると、口の中をいつもきれいな状態に保つことができます。
 ばい菌のエサがなくなれば、虫歯や歯周病の進行を防ぐことができます。

 しかし、毒出しうがいの健康効果は、それだけにとどまりません。

 口の中のばい菌は、虫歯や歯周病といった歯の病気だけでなく、からだ全体のあらゆる病気に関連していることがわかってきました。

 その大きな原因といわれているのが「歯原性菌血症」です。
 菌血症とは、本来は無菌のはずの血液中に細菌が入り込んだ状態のことをいいます。つまり、歯原性菌血症とは、口の中のばい菌が毛細血管から侵入し、からだ全体にまわることをいいます。
 それが動脈硬化、脳梗塞、アルツハイマー型認知症、その他にも、心臓血管疾患、糖尿病、骨粗しょう症、脳血管疾患、高脂血症などの病気の一因になることがわかってきました。
 口とは無縁と思われる場所の疾患ですが、じつは口内ばい菌が深くかかわっていたのです。

 歯周病になると、歯みがきで歯ぐきから血が出ることがあります。それだけで、歯ぐきの毛細血管からばい菌が入り込み、血液とともにからだ中にまわります。歯の治療で抜歯したときに出血しても、やはり毛細血管から血流にのって、ばい菌がからだ中を駆け巡ります。
 歯科医が治療の前に持病のある方に抗菌薬を飲んでもらうのは、治療のときに出血してばい菌がからだ全体にまわるリスクを抑えるためです。

 歯原性菌血症と文字にすること大げさに思えますが、口の中のばい菌がからだ中にまわるのは珍しいことではありません。頻繁に起きている現象です。
 それでも、からだのどこにもトラブルが起きないのは、ばい菌を食べて殺してくれる白血球や免疫による生体防御機能がはたらいて、侵入してくるばい菌をすぐに撃退してくれるからです。

 しかし、からだが弱っていたり、疲労していたり、老化によって、白血球のはたらきが悪くなったりして、生体防御機能が低下してくると、ばい菌を駆除できないことがあります。とくにがんや糖尿病を患っている人、免疫不全に陥っている人の場合は、歯原性菌血症が致命的な感染症になることもあります。

 たとえば、血管に侵入してきたばい菌を撃退できないと、血管の壁に炎症を起こし、血管の中にコブをつくるようになります。いわゆる動脈硬化です。
 コブによって血管が狭くなると、血流が悪くなり、その血管から酸素や栄養が送られている臓器に影響が出てきます。

 また、コブが血管の壁からはがれ落ちると、それが血管を詰まらせる要因になることもあります。その血管が心臓につながっているなら心筋梗塞、脳につながっているなら脳梗塞を引き起こすということです。

『歯科医が考案 毒出しうがい』 PART3 より 照山裕子:著 アスコム:刊

 一説では、歯周病の人は、そうでない人の約3倍も、動脈硬化からはじまる脳梗塞や心筋梗塞になる確率が上がるといわれています。

「たかが、口の中だけの話」

 そう思っていると、痛い目にあいますね。

水なら何回うがいしても歯に色はつかない


 水以外で、毒出しうがいにもっともおすすめなのは、「緑茶」です。

 緑茶で毒出しうがいをすると、抗菌作用によって口の中のばい菌を減らしてくれるので、虫歯や歯周病になるリスクが抑えられるとのこと。

 しかし、問題がひとつあります。

 それは、茶渋が歯に付きやすいことです。
 どんなに毎日歯みがきしても、歯を白くする処置(ホワイトニング)をしない限り、歯は少しずつくすんできたり、黄色くなってきたりします。色が濃くなりすぎると、虫歯を発見できないこともあります。

 これは、食べ物や飲み物に含まれている色素が、長期間にわたって歯の表面に沈着していくからです。
 この現象を、ステインといいます。

 歯に付着しやすい色素を含むものは、以下のようなものです。
 ◯赤ワイン
 ◯チョコレート
 ◯ココア
 ◯果物(バナナ、りんご、柿など)
 ◯コーヒー
 ◯緑黄色野菜

 緑茶もそのひとつです。
 茶渋に含まれるタンニンはステインになりやすい物質とされています。また、殺菌作用があるカテキンもステインの原因になるといわれています。

 着色しやすい口腔環境もあります。
 たとえば、体質的にエナメル質の部分が凸凹している人や口の中が乾いてしまうドライマウスの人、嘔吐癖がある人、それから虫歯のかぶせ物や詰め物がプラスチックの人などは、歯に色がつきやすくなります。

 口を開いたときに歯の色が気にならない人なら、毎回緑茶で毒出しうがいをするのもいいでしょうが、やはり、歯は白いほうがいいですよね。

 ですから、緑茶で毒出しうがいをするなら、1日1回。
 毒出しうがいで取りそこなったばい菌を退治するのが目的ですから、これで十分に口の中をきれいに保つことができます。

『歯科医が考案 毒出しうがい』 PART4 より 照山裕子:著 アスコム:刊

 毒出しうがいの基本は、「水」です。
 シンプル・イズ・ベストですね。

 お茶での毒出しうがいは、殺菌効果は高まりますが、やりすぎると歯が着色する恐れがあります。
 1日1回に止めておきましょう。

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 食べたあと、口の中に残るばい菌や食べかすは、歯みがきやうがいで、ほとんど取り除かれている。
 そう考えている人がほとんどなのではないでしょうか。

 しかし、実際には違います。
 日本人のほとんどは「歯みがき下手」であり、日本人30歳以上の約8割が歯周病と言われています。

 口の中に残ったばい菌は、短時間で爆発的に増殖してプラークとなります。
 それを放っておくと歯石になり、やがては歯周病やその他の病気を引き起こします。

 毎食後、口の中のばい菌や食べかすをなくすことが、口腔ケアの最も大切なポイント。
 それを誰でも簡単に実現してくれる方法が「毒出しうがい」です。

 皆さんも、お口のお手入れの習慣として身につけてみてはいかがでしょうか。


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