【書評】『医者が教える食事術 最強の教科書』(牧田善二)

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 お薦めの本の紹介です。
 牧田善二さんの『医者が教える食事術 最強の教科書――20万人を診てわかった医学的に正しい食べ方68』です。

 牧田善二(まきた・ぜんじ)さんは、糖尿病がご専門の医師です。

エビデンスのある「最強の食事」とは?


「増えてきた体重が落ちない」
「疲れやすくなった」
「集中力が続かない」

 これらの不調の根本原因は、「血糖値」にあります。

 牧田さんは、血糖値が高いこと、あるいは急激な上昇下降を繰り返すことが、私たちの体に想像以上のダメージを与えると指摘します。

 たとえば、ダイエットのために必死でカロリーや脂肪を制限している人がいますが、いまの医学の常識では、肥満を生み出す原因は糖質であって、カロリーや脂肪は関係ありません。しかし、管理栄養士や医者でさえ、いまだにカロリー神話を信じている人が多くいます。
 本書では、あなたがとるべき最強の食事について、最新のエビデンスに基づいて説明していきます。生化学という人間の体のメカニズムにそって、世界中の信頼すべき論文や20万以上に及ぶ私の臨床経験を踏まえてお伝えしていきますので、その内容は、よくありがちな俗説や自己流健康法、一部の論説を拡大解釈したようなものとはまったく異なっています。
 本書を読んでくだされば、一時の流行に左右されず、絶対的な食事術を身につけることができます。それによって、「肥満・老化・病気」のすべてに対処することができます。
 心身を健康に保つことは、パフォーマンスを最大化するための絶対条件です。食事はそのためのスキルに他なりません。年をとるほど代謝は下がりますので、仕事のできる人は「食べるもの」や「食べ方」をおろそかにしません。バリバリ働くためにも、健康な身体をつくることは必須だからです。
 20代や30代の前半までなら、食事に無頓着でも問題なかったかもしれません。しかし、年を重ねるごとに、そのままでは徐々にパフォーマンスは落ちていきます。中年以降は、体に何を入れるのか、食事をどうマネジメントしていくかに意識的でなければいけません。ここが健康格差の分かれ道です。

『医者が教える食事術 最強の教科書』 はじめに より 牧田善二:著 ダイヤモンド社:刊

 牧田さんは、“バランスのいい食事”という曖昧なものではなく、いかに血糖値をコントロールするかだと、「血糖値」の大切さを強調します。

 本書は、肥満や老化、病気のメカニズムを説明し、「医学的に正しい食べ方」をわかりやすくまとめた一冊です。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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現代人の多くは「糖質中毒」である


 牧田さんは、血糖値は、健康管理における最大のカギだと述べています。

 血糖値を上げるのは、ひとえに「糖質」です。

 糖質は炭水化物と言い換えることができます。実際に、糖質たっぷりの清涼飲料水には「糖質◯グラム」ではなく「炭水化物◯グラム」と表記されているものがほとんどです。だから気づきにくいのです。
 この糖質(≒炭水化物)は、ごはんやパン、麺類、果物、ケーキやせんべいといったお菓子、清涼飲料水など、ビジネスパーソンが普段から摂取しているさまざまな食べ物に含まれます。
 こうした糖質を含む食べ物を摂取すれば、例外なく血糖値は上がりますが、上がり方はさまざまです。
 次のページの図0−3のグラフを見てください(下の図0−3を参照)。
 ごはんやパンなど固体のほうが血糖値の上昇が緩やかです。それは胃の中での消化に時間がかかるからです。ところが、液体の場合、あっというまに胃をすり抜けて小腸へ届き吸収されるために、一気に血糖値が上がるのです。
 健康な人の血糖値は、空腹時で80〜90mg/dl(以下単位省略)前後です。そこでごはんやパンを含んだ食事をとれば、1時間後に120くらいまで上がり、やがてゆっくりと下降していきます。こうした緩やかなカーブならばいいのですが、液体で大量の糖質をとると、とんでもないことになります。
 液体の糖質は口にしてすぐに血糖値が上がり始め、30分後にはピークに達してしまいます。缶コーヒーを1本飲めば、糖尿病のない健康な人でも30分後には血糖値が140くらいまで急上昇します。これを「血糖値スパイク」と呼びます。
 血糖値スパイクが起きると、今度はジェットコースターのように一気に下降して、血糖値が低すぎる状態に陥ります。
 このときに、体の中で起きている変化について簡単に説明しましょう。
 血糖値がぐんと上がると、セロトニンやドーパミンといった脳内物質が分泌されて、ハイな気分になります。だから、「仕事前に気合を入れるには缶コーヒーがぴったりだ」と誤解してしまうわけです。この、ハイな気分になるところを「至福点」と言います。
 一方で、血糖値が急激に上がったことを察知した体は、それを下げるために慌てて膵臓から大量のインスリンというホルモンを放出します。そして、血糖値が急激に下がります。
 血糖値が大きく下がると、ハイな気分から一転、吐き気や眠気に襲われたりと不快な症状が出ます。
 すると、「またあのハイな気分になりたい」とばかり、血糖値を上げる糖質が欲しくなり、同じことを繰り返してしまうのです。
 これは、「糖質中毒」という脳がおかしくなってしまった非常に深刻な症状です。しかし、中毒に陥っている本人には、その自覚がまったくありません。
 実は清涼飲料水などのメーカーは、人の至福点について計算し尽くし、商品を設計しています。言ってみれば、糖質中毒患者を増やすことで利益を得ているのです。知的なはずのビジネスパーソンが、それにまんまとはまってはいけません。

『医者が教える食事術 最強の教科書』 序章 より 牧田善二:著 ダイヤモンド社:刊

図0−3 血糖値の変化のイメージ 最強の教科書 序章
図0−3.血糖値の変化のイメージ
(最強の教科書』 序章 より抜粋)

 牧田さんは、缶コーヒーは悪魔の飲み物だと述べています。

 飲んだ瞬間はいい気分になるので、繰り返し飲みたくなる。
 ただ、長期的に見れば、体への悪影響は計り知れない。

 缶コーヒーや清涼飲料水は、タバコやお酒と一緒です。
 まさに、「糖質中毒」という言葉がぴったりですね。

糖質の「悪性度」を正しく知る


 一口に「糖質」と言っても、その「悪性度」は違います。

 牧田さんは、現代人は過剰摂取の傾向にあり、かつ「一切とる必要のない悪い糖質」を好んでいるのが問題だと指摘します。

 糖質の「悪性度」を5段階評価すると、次のようになります。

悪性度ナンバー1 缶コーヒーや清涼飲料水、ジュースなど
 そもそも、人間が生きるためにまったくとる必要のないものです。糖質中毒に陥っているから飲んでしまうのだと気づいて、シャットアウトしてください。

悪性度ナンバー2 砂糖の入ったお菓子
 白い砂糖は、人間がつくりだした不自然なものです。ケーキであろうとまんじゅうであろうと、白い砂糖がたっぷり溶け込んでいることを忘れないでください。

悪性度ナンバー3 果物
 ビタミンやミネラルが豊富な分、前記の2つよりはましです。ただ、いまの果物は糖度が高くなるように改良されており、昔の自然な果物とは違っています。とくにジュースはやめましょう。

悪性度ナンバー4 白米、白いパン、うどんなど
 朝食にトーストを食べたり、ランチに定食のごはんを食べたりするのは構いません。ただ、量を減らしまょう。うどんやそば、ラーメン、パスタなど「単品もの」は、どうしても糖質のとり過ぎになるので注意が必要です。

悪性度ナンバー5 玄米や全粒粉パン、イモ類
 精製された白米や白いパンなどよりミネラルが多く、同じ量を食べるならこちらがおすすめです。ただし、糖質であること自体は変わりませんから、やはり食べすぎれば太ってしまいます。

 このように、同じ糖質であっても悪性度は違い、なかでも液体は最悪。なぜなら、人間本来の消化・吸収システムをまったく無視しているからです。糖質をとるときは、自然の形に近いもの、よく噛む必要があるものを少量食べるに留めましょう。

『医者が教える食事術 最強の教科書』 第2章 より 牧田善二:著 ダイヤモンド社:刊

 体内に吸収されやすく、中毒性の高い糖質ほど、悪性度は高いです。
 前述の「血糖値スパイク」も大きくなります。

「自然の形に近いもの、よく噛む必要があるものを少量食べる」

 糖質を選ぶ際には、ぜひ、心に留めておきたいですね。

「良質のバター」にこだわれ!


 牧野さんは、パンを食べるなら、天然酵母で発酵させたものにし、かつ精製された小麦粉ではなく全粒粉でつくられたものを選ぶのが理想だと述べています。

 加えて、パンはそのまま食べるより、脂質を一緒にとったほうが血糖値は上がらないとのこと(下の図2−7を参照)。

図2−7 パンを食べたときの血糖値の変化 最強の教科書 第2章
図2−7.パンを食べたときの血糖値の変化
(最強の教科書』 第2章 より抜粋)

 パンにはエキストラバージンオリーブオイルをつけて食べるのが理想ですが、バターが好きな人もいるでしょう。バターは、放牧された牛の乳からつくられた「グラスフェッドバター」をおすすめします。
 値段は張りますが、体にいい不飽和脂肪酸が豊富に含まれていて動脈硬化の予防が期待できます。デパートや高級食材を扱っているスーパー、あるいはネットで購入することができます。
 パンにつけるだけでなく、料理に使ったコーヒーや紅茶に溶かして摂取するという方法もあります。
 なお、動脈硬化を進行させ心疾患の原因になりますので、マーガリンを口にするのは避けましょう。
 かつてマーガリンは、「動物性脂質のバターよりも健康にいい」ともてはやされました。ところが、いまではマーガリンやショートニングといった「トランス脂肪酸(液体である植物油に水素加工して固体にしたもの)」は、心臓病のリスクを高める極めて危険な物質であることがわかり、欧米では規制が厳しくなっています。
 しかし、日本ではまだ野放し状態に近く、さまざまなところで用いられています。たとえば、スーパー・コンビニで売られているパンや菓子の成分表を見ると、かなりの高率で使われていることが分かるでしょう。
 もっとも、マーガリンについて最初から「健康を害する物質を流行させよう」としたわけではありません。そのときには「いいものだ」と考えられたのです。
 このように、食と健康に関する常識は変化していきます。ときには真逆にひっくり返ります。変化したことに気づかず、いつまでも古くて間違った方法執着したり、あるいは「ウソだったじゃないか」と憤るのは賢い方法ではありません。
 そのときどきの、最新かつ信頼のおける情報の中から、真実を見抜いていきましょう。

『医者が教える食事術 最強の教科書』 第3章 より 牧田善二:著 ダイヤモンド社:刊

 良質で体にいい食材は、当然、値段もそれなりになります。
 それでも、自身の健康には代えられません。

「食材にかける費用は、健康維持に必要な投資」

 そう割り切って、考えることも必要ですね。

「人工甘味料」は砂糖以上に危ない


「砂糖より健康によい」として、多くの食品に使われている、人工甘味料。

 しかし、牧田さんは、もしかしたら砂糖以上に危険な物質だと警鐘を鳴らします。

 2015年の「ネイチャー」誌に、ある実験結果が発表されました。「アスパルテーム」「スクラロース」「サッカリン」の3種類の人工甘味料溶かした水をマウスに与えたところ、普通の砂糖を溶かした水を与えたマウスよりも血糖値が上がったというのです。
 続いて、人工甘味料を与えたマウスと普通の砂糖を与えたマウスの、それぞれから腸内細菌をとり、腸内を無菌状態にしたマウスに移植すると、人工甘味料を与えられていたマウスから腸内細菌を移植されたほうが、血糖値が高くなりました。さらに、人間でも、人工甘味料を使っていると腸内細菌に変化が生まれることもわかりました。
 また、健康な人が人工甘味料をとり続けていると腸内細菌のバランスが崩れ、「耐糖能(インスリンがブドウ糖を処理する能力)」が低下して糖尿病になるという論文も発表されています。「糖尿病になりたくないから」とせっせと人工甘味料を使っていると、かえって糖尿病になってしまうというわけです。
 人工甘味料が腸内細菌に悪い作用をすることは間違いないようですが、なかでも腸粘膜のひだに小さな穴が空く「リッキーガットシンドローム」は深刻です。
 私たちの食べたものは、胃で消化され、腸から栄養素が吸収され、老廃物は便となって排出されます。しかし、リッキーガットシンドロームに陥れば、本来取り込むべきではない毒素をとり込んでしまうのです。その結果、クローン病、食物アレルギー、リウマチなどを引き起こすこともわかっています。
 白い砂糖は人間がつくりだした不自然な物質です。人工甘味料はそれをはるかに上回るおかしな物質であり、口にすべきではありません。
 そもそも、どうして人工甘味料を使わねばならないのかを考えてみたほうがいいでしょう。そこまでして甘い味をとりたいのだとしたら、糖質中毒なのかもしれません。
 なお、人工甘味料以外にも、「果糖ブドウ糖液糖」「果糖液糖」「異性果糖」などと表記された甘味料にも注意が必要です。市販の清涼飲料水などにも使われています。「とっているつもりはないのにとっていた」ということになりかねないので注意が必要です。

『医者が教える食事術 最強の教科書』 第5章 より 牧田善二:著 ダイヤモンド社:刊

 人工甘味料は、「人工」という言葉通り、人が作り出したものです。
 つまり、もともと自然界に存在しない物質だということですね。

 人間の体も、自然の一部。
 そう考えれば、自然界に存在しないものを口にするのは、少なからずリスクがあります。

 人工甘味料を含めた、化学的な添加物の少ない食材をしっかり選ぶ。
 普段の生活から意識したいですね。

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 牧野さんは、食事は、強く生き抜くための、パフォーマンス高く働くための、最大のスキルだとおっしゃっています。

 私たちビジネスパーソンは、体が資本です。
 にもかかわらず、不摂生を重ねて、体を酷使しているは、本当に多いです。

 大切なものほど、なくしたときにその価値がわかる。
 健康は、その最たるものですね。

 今の社会は、「糖質過剰摂取」の罠が、いたるところに仕掛けられています。
 それらから身を守ることが、健康的な生活スタイルを築くための最大のポイントです。

 たかが食事、されど食事。

 何を食べるかは、数年後の人生を大きく左右します。
 皆さんも、本書を片手に、普段の食生活を振り返ってみてはいかがでしょうか。

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