【書評】『嫌われない男のエチケットとマナー』(根本千春)

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 お薦めの本の紹介です。
 根本千春さんの『嫌われない男のエチケットとマナー』です。

 根本千春(ねもと・ちはる)さんは、マナーインストラクター・心理カウンセラーです。
 男性のためのマナー教室「Calla manners lesson」を主宰されています。

社内で嫌われない人になるためには?


 仕事はできるけれど、周囲からは疎まれている。
 同僚にはうけがよくても、上司からはにらまれている。
 同性には人気があっても、異性からは毛嫌いされている。

 そんな人は、どんな職場でも見かけますね。

 誰からも魅力的と感じてもらえる人になるには、当然、仕事の能力を磨くことが必要です。

 しかし、それだけでは足りません。

 どんなに能力が高くても礼儀作法やビジネスマナーができていなかったり、清潔感がなかったり、言葉づかいが汚かったりすれば、相手を不快にさせたり、傷つけたりしてしまうのです。
 しかし、このようなことは、自分ではなかなか気づけませんし、教えてくれたり指摘してくれる人もいません。つまり、どこをどう直せばよいのかが、わからないままになってしまうのです。

 また、あなたが良かれと思ってやったことや言ったことが、実は相手に不快感を与えており、それが原因で嫌われているのかもしれません。
 誤解を生まないためにも、あなたの気持ちが正確に伝わるマナーや表現方法、好感を持たれる振る舞いや身だしなみを、本書で身につけてください。

 ただし、ビジネスマナーを知っているだけ、清潔感があるだけでは好かれません。そのようなことを「相手のため」と思い、毎日行動に移せる男性が、職場の方や女性の目に素敵に映るのです。

『嫌われない男のエチケットとマナー』 はじめに より 根本千春:著 明日香出版社:刊

 本書は、職場などのビジネスシーンで嫌われないために守るべきマナーをわかりやすくまとめた一冊です。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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「臭い」は、あなたのイメージになる


 身だしなみを整えるうえで、疎かになりがちなのが「臭い」です。

 自分が発する臭いは、自分では、なかなか気がつかないものです。

「身だしなみに気をつけましょう」。学生の頃から言われ続けてきた言葉です。私たちは鏡でチェックできる身だしなみや、正しい着こなしについては教わってきましたが、臭いについて多く教わることはありませんでした。
 いざチェックしてもらおうにも、喫煙所で一緒に過ごした人や食事を一緒にした同士では、その臭いに気づけません。とはいえ、本当に臭っていたとしても「臭い、気になるかな?」と聞いたところで「はい、くさいですよ」などと正直に答える方もいないでしょう。
 臭いのやっかいなところは「当の本人に伝えづらい」という点です。今は「スメルハラスメント」という言葉が一般的に使われるようになりましたが、昔から「タバコくさい」「香水がキツイ」といった苦情は、本人に聞こえない場所で言われ続けていました。
 もともと「自分では気にならない」では済まされない問題だったのですが、どんなに親しい仲でも「臭うよ」とは言いづらいものですし、立場が上の方に言えるはずがありません。本人が気づかなければ改善できない問題です。
 だからこそ、私たちは臭いに対して自己管理をしなければなりません。

 男性向けに消臭効果の強いボディソープや消臭スプレーが盛んに販売されていますので、汗をよくかく人や加齢臭が気になる人は、使用してみましょう。ただし、制汗・消臭スプレーは、香り付きが苦手という方もいらっしゃいますので、無香のものをおすすめします。
 足の臭いに効く防臭グッズもたくさんありますし、靴もスーツも帰宅後の手入れをきちんとすることで、臭いを残さないだけではなく、傷みからも守ることができます。口臭の場合は、原因が食べものだけでなく歯の治療や病気の可能性も含まれてきます。
 体から出る臭いは空気中を漂うので、同じ空間で働く方には特に配慮が必要です。

 また、体から出る臭いだけでなく、会社のデスクで臭いの強いものを食べないといったことにも気を配れるようになりましょう。あなたから伝わる臭い、あなたの身の周りの臭い、それはあなたのイメージに直接つながります。
「くさい人」のイメージはつけられたくないものです。

『嫌われない男のエチケットとマナー』 第1章 より 根本千春:著 明日香出版社:刊

 夏場の暑い時期、とくに汗のかきやすい人は、注意したいです。

 嗅覚は、同じ臭いをかぎ続けると、麻痺していきます。

 普段使っている香水などの香りが、強くなりすぎていないか。
 ときどきチェックすることも必要ですね。

「これくらい」では済まさせれないハラスメント


 社会問題化してから年月が経ち、すでに多くの人が気をつけているはずの「ハラスメント」
 しかし、ハラスメント関連のトラブルは、増え続ける一方です。

 根本さんは、この問題が減らない理由のひとつにハラスメントに対する意識の違いがあると指摘します。

 ハラスメント発言をしたあとに「こういうこと言うと、ハラスメントって言われちゃうよね」と言ってごまかそうとする人、「セクハラ、セクハラって言うけどさ、カッコよい男が言えばセクハラにならないだろ」といった勘違いを強気で言う人、そして一番困るのは、「本当は女の子も喜んでるんだよね。たださあ、今はうるさく言われているからね」と完全に勘違いをしている人です。

 なぜ相手の気持ちをここまで無視できるのかと不思議に思うばかりですが、ハラスメントをする側には「本当に相手の気持ちがくみ取れない人」と「相手を追い詰めるために嫌がらせと知っていてやる人」の2パターンがあります。
 後者は意図的なので悪いことの区別ができていますが、前者は相手がどう思うかなどを考えずに言葉や行動に出るので、「そう言うことがNG行為なのですよ」と伝えてもいまひとつ理解できていないような気がするのです。それが、セクハラやパワハラに限らず、さまざまなハラスメントが長く存在している理由ではないでしょうか。

 以前、医者から言われた言葉にひどく傷ついたことがありますが、今では「ドクターハラスメント」という言葉があります。お酒の強要などは「アルコールハラスメント」、年齢による差別は「エイジハラスメント」、男のくせに、女なんだからという考えに基づくものは「ジェンダーハラスメント」など、今では「ハラスメント」と言われるものは数えきれないほど存在します。
「何がハラスメントになるかわからないから、怖くてコミュニケーションが取りづらい」という声も聞きますが、「何をしたら相手が嫌がるのかがわからない」ということです。
 女性の気持ちがわからない、部下の気持ちがわからない、家庭と仕事の両立をしている人の気持ちがわからないなどの「わからない」からしてしまうハラスメントならば、「わかろうとする」ことで防げるのではないでしょうか。
「これくらいで騒ぐなんて」という思いでは、決して解決できません。

『嫌われない男のエチケットとマナー』 第3章 より 根本千春:著 明日香出版社:刊

 時代背景や社会のモラルは、大きく変化しています。

 10年、20年前には許されていたことも、今ではNG。
 そんなことは、意外と多いです。

 埋められている地雷を知らずに踏んで、吹き飛んだ。
 そうならないよう、ハラスメントと、そうでないことの“境界線”は、把握しておきたいですね。

電話だからこそ「笑顔」で話す


 多くのビジネスパーソンが意外と苦手にするのが「電話での応対」です。

 多くの電話オペレーターは、デスクの上に鏡を置き、鏡に向かい笑顔を作りながら話すように指導されるそうです。

 その理由は、笑顔で話しながら出る声は「笑声(えごえ)」と言い、聞き手に安心感とよい印象を与えるからです。

 電話は他のコミュニケーションツールに比べ、すぐに相手から回答をもらえるという利点がありますが、表情が見えないので話し方で印象が左右されます。
「この人、感じ悪いな」と電話の相手に思われてしまう方の特徴は、声が低く話が聞きづらい、早口で聞き取れない、事務的すぎる、敬語が使えない、声が暗い、きちんと話を聞いてくれているのか不安になる、などです。
「感じが悪い」と思われてしまう原因になる声の低さと暗さは、笑顔で解消されます。口角を上げた笑顔で話すと少し高めの声が出るからです。
 相手が理解しながら話を聞いているかがわかりづらい場合は、早口にならないように配慮します。反対に、こちらの聞いているという姿勢は、「はい、そうですね」というしっかりとした相槌を入れることで伝わります。
 事務的すぎるというのも「申し訳ございません」や「嬉しく思います」「感謝しております」というような言葉に感情が感じられない結果ですので、電話の向こうの方にしっかりとこちらの思いが伝わるよう、声に思いを乗せるような話し方を心掛けます。
 敬語はすぐに使いこなすのは難しいかもしれませんが、実際に話のなかで使って覚えるのが一番です。
 電話独特の「間」が苦手な方もいらっしゃいますが、お互いがメモを取り合う時間、話を整理する時間、一呼吸を置く時間も相手とつながっている瞬間です。他のことをしていれば、相手はすぐに気づきますので会話に集中しましょう。
 また、姿勢が悪いまま話すとよい声が出ませんので、電話に限らず話すときは姿勢を正す癖をつけましょう。

『嫌われない男のエチケットとマナー』 第4章 より 根本千春:著 明日香出版社:刊

 電話だと、当然、相手に顔の表情は見えません。
 ただ、笑顔で話すときの明るい声の調子や雰囲気は、受話器の向こう側まで伝わります。

 電話でも、いや、電話だからこそ、顔の表情や姿勢に気をつける。
 それが大切だということですね。

相手の話は全身で聴く


 同僚や上司、お客様と上手にコミュニケーションをとること。
 それも、社会人として身につけておきたいマナーのひとつです。

 コミュニケーションにおいて、私たちの関心は「話し方」にいきがちです。

 しかし、根本さんは、「話すこと」同様、もしくはそれ以上に「聴くこと」へ関心をもっと向けて欲しいと述べています。

 以前勤めていた出版社の編集長は、多忙であるにもかかわらず、当時20歳そこそこの私の話を聞くために、必ずといってよいほど一旦仕事の手を止めて、顔を上げて聞いてくれました。今思えば、編集部全員が激務であるにもかかわらず、とてもチームワークがとれていたのは、編集長のこんな行動が理由だったのかもしれません。

 あなたは、今日話しした相手の表情を思い出せるでしょうか。
 あなたは、パソコン操作や書類の束を片づけながら、話を聞いていませんでしたか。
 あなたは、話しながらスマホで誰かとやり取りをしていませんでしたか。
「そんなに毎回毎回、相手と向かい合っていられない、こっちは忙しいんだから」という意見もあるでしょう。私自身も歩きながら打合わせや、どうしても外せない席から返事をすることがあります。
 ですが、できる限り相手に体を向ける、顔を見る、表情を作る、うなずく、相槌を打つなどの基本的なことは意識しています。相手はそれらの行動から、自分の話を理解してくれているかどうかを判断するだけでなく、自分への「敬意」を感じ取るからです。
「聞こえてるよ」ではなく、「聴いてますよ」と全身で表現してください。

 自分では気づかないだけで、不快に思われる聞き方をしている方は意外と多くいます。
 体の重心を後ろから前に、体の向きは相手に向けて、目は手元のスマホではなく相手の顔を見ます。そして話に合った表情で、理解しているといううなずきや相槌をうちながら、相手の話が終わるまでしっかり聴くと、あなたの評価は驚くほど上がります。

 話の内容にもよりますが、口元は口角を上げることを意識して聞くだけで「しっかり聞いてくれている」「話を聞く余裕がある」「理解して聞いている」という印象を与えることができます。是非、試してみてください。聴き方で損をする男性にならないためにも。

『嫌われない男のエチケットとマナー』 第5章 より 根本千春:著 明日香出版社:刊

 実際に、相手の話の内容を理解しているかは、もちろん大事です。
 ただ、それと同じくらい「聴こうとする姿勢」が重要だということ。

 相手との信頼関係を深めるためには不可欠な「聴く力」。
 社会人として一段レベルアップするためにも、身につけたいスキルですね。

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☆    ★    ☆    ★    ☆    ★    ☆

 自分には落ち度がないつもりだったのに、相手を不快にさせてしまった。

 誰にも、そんな経験が一度はあるかもしれません。

 エチケットやマナーは、知っていれば、コミュニケーションのトラブルを未然に防いでくれます。
 まさに「転ばぬ先の杖」ですね。

 エチケットやマナーは、時代とともに変わっていくもの。
 パソコンのOSのように、ときどきアップデートする必要があります。

 時代に取り残された「イタい人」にならないためにも、ぜひ、一度は目を通して頂きたい一冊です。

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