【書評】『超一流の雑談力』(安田正)

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 お薦めの本の紹介です。
 安田正さんの『超一流の雑談力』です。

 安田正(やすだ・ただし)さんは、プレゼンテーションや対人対応コーチングがご専門のコンサルタントです。
 大手企業を中心に研修・コンサルティングを通じて多くの役員との交流があり、その分野の著書も多数書かれています。

「意味のない雑談」から「超一流の雑談」へ


「雑談」は、意味のないムダ話をすること。
 そう思っている人は少なくないでしょう。
 しかし、それは単なる思い込みに過ぎません。

 安田さんは、雑談とは本来、人間関係や仕事の質を根本から変えてくれる魔法のようなメソッドだと強調しています。

 みなさんの中には、雑談をすることに「価値がない」「わずらわしい」「イヤだ」と思っている方もいるでしょう。「人見知り」「人に好かれにくい」「どうしても苦手なタイプがいる・・・・・」と悩んでいる方もいらっしゃると思います。
 そんな方にこそ、雑談のレベルを高めることによって起きる、そのすさまじい効果をぜひ知っていただきたいと思います。
 たとえば、雑談のレベルが高まるとこのようなことが起きます。

  • 自分に対する印象や評価がガラッと変わる
  • 仕事が驚くほどやりやすくなり、成果も上がる
  • 苦手な人がどんどん減っていき、人間関係で悩まされなくなる
  • どんな場所にも顔を出すことができるようになり、よい縁にも恵まれる
  • チャンスにも恵まれるので「食うに困る」ことがない
  • 表情や気持ちが明るくなってきて、人生が充実しているように感じられる
 といったように、コミュニケーションという枠を超えて、人生全体に大きなよい影響を及ぼしてくれます。
 たとえば、出会ってすぐにもかかわらず「何だか感じのいい人だな」「一瞬でファンになってしまった」という経験をされたことはないでしょうか?
 優秀なビジネスマン、リピーターの多いお店の店員さん、芸能界で活躍されるタレントさんなど、世の中にはたった数分にも満たないやり取りの中で「人に好かれる技術」を持っている人がいます。
「おはようございます」「いつもありがとうございます」「よろしくお願いします」など、ひと言交わしただけなのに、好印象を抱かざるを得ない言葉の使い方や物腰。
 この技術こそが本書でお伝えしたい雑談力の真髄(しんずい)であり、世の中で一流と呼ばれる人があたりまえのように身につけているスキルなのです。

 『超一流の雑談力』 はじめに より 安田正:著 文響社:刊

 あらゆる人間関係の入口であり、自分という人間を認めてもらい、その後の関係をより深く、強いものにするためのきっかけ
 それが、「雑談」です。

 本書は、雑談力を高めるテクニックの中から、「実践的」「具体的」な方法をまとめた一冊です。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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「信頼できる」と思ってもらえる自己開示


 安田さんは、最初にいい印象を与えているかどうかで、そのあとの関係にかなり響いてくると指摘しています。

 最初の印象をよくするため、会話の序盤で取り入れたいテクニック。
 それが、「適度な自己開示をする」ことです。

 自己開示とは、文字どおり自分を開くこと。自分はこういう人間です、と相手に伝えることです。
 雑談の際、一方的に自分のことばかり話すのはNG。これは「自分勝手」などの悪印象を与える瞬間です。かといって「目の前の人がどこの誰だか、何を考えているのかわからない」では、相手も安心してコミュニケーションが取れません。そこで、自己開示をしていくことで距離を縮めるスピードを早くするのです。
 具体的なやり方としては、「自慢話はしない」「軽い失敗談を話す」といったことが基本になります。
 ただし、失敗談にも注意が必要で、

  • 「昨日も飲み過ぎて今日も二日酔いなんですよ(笑)」
  • 「いつも遅刻ばかりで会社からも怒られているんですよ(笑)」
  • 「親の介護で大変なんです・・・・・」
 といった類(たぐい)の、「この人は人間的に大丈夫なのか?」と思われかねないような失敗談、また、相手が引くくらいの経験談、身の上話はNGです。
 あくまでもほどよい気安さを生むために、自分はどういうことを経験して、どんなことを考えている人間なのかを伝える作業です。
 よい自己開示というのは、具体的にいえば次のような例です。
  • 「そういえば、私もこの前飲み過ぎて家内にどやされましたよ(笑)」
  • 「学生の頃はサッカー部でやせていたんですけれど、今はこのとおりだいぶウェイトアップしまして(笑)」
  • 「◯◯出身なのですが、女優の××さんと同じ小学校に通っていました」
 このような何気ないひと言で場の空気をよくしたり、相手が気になるような情報をあえて入れておくことによって、会話を広げるきっかけをつくります。
 一流と呼ばれるような人は、この自己開示の具合が実にほどよく、それだけで心をつかまれてしまう魅力があります。
 普段はなかなか会えないような、緊張してしまうようなポジションにいるからこそ、あえて気安く話しかけやすい雰囲気をつくっているのです。

 『超一流の雑談力』 第1章 より 安田正:著 文響社:刊

 その人に対するおおむねの評価は会話が始まってから1分。最長でも4分で決まるとのこと。

 会話も、「つかみ」が肝心です。
 まずは、ほどよい自己開示で、相手の心を開いてあげましょう。

「タテとヨコ」ー会話の2つの軸


 雑談における大事な考え方は、会話における『「タテ」と「ヨコ」という2つの軸』です。

 タテの軸とは、「会話の深さ」
 ヨコの軸とは、「何を話題にするか」

 さまざまな話題を振りながら(「ヨコ展開」)、この人は何に興味があるのか、どんな話をすれば会話が深まっていくのかを探っていき、相手がのってきたところでその話題を深めていきます(「タテ展開」)。
(中略)
 では、実際にどのような話題を振ればよいのでしょうか?
 最初のきっかけとなる話題は次の中から選ぶとよいとお伝えしています。

 気候/相手の会社情報/衣服、ファッション/健康/趣味/最近のニュース/共通のこと/出身地/血液型/仕事

 簡単にいえば、誰にでもあてはまるようなあたりさわりのない話題がいい、ということです。
 超一流の雑談というのは、なにもトリッキーな話題をふるということではありません。
 天気などありふれたところから話をふくらませて、共通点などをうまく見つけて、相手のふところに入っていく。そのプロセスがとても自然な雑談なのです。
 試しに、2つのケースを見てみましょう。

 普通の営業マンAの会話例

「いやぁ〜、すごい雨ですね」
「そうですね、急に降ってきますからね」
「この季節はよく降られてしまって外回りも大変です」
「そうですか、お疲れさまです」
「えっと・・・・・それで今日なんですが・・・・・」
と、「タテ」と「ヨコ」の意識がない人は、このように雑談のラリーが続きません。本当に「ただのムダ話」に終わってしまうのです。
 一方、雑談がうまい人は、こんなふうに会話を進められます。

雑談が上手い営業マンAの会話例

「しかし、最近の異常な大雨には困ってしまいますね。今も駅についた瞬間に降られてしまいました」
「急に降ってきますからね」
「そうなんです。なかなか天気が読めないので、週末も外へ行く予定が立てられなくて困っているんですよ」
「ありますよねぇ、私も先週予定がつぶれてしまいました」
「ええっ、それは災難でしたね!どこに行かれるつもりだったんですか?」

・・・・・と、入りは天気の話題でしたが、「天気(雨)」→「週末の予定」とテーマが移動しています。
 基本的には一つの話題をフックにして、相手の反応を見ながら話題を変えていき、相手がどこに引っかかるのか探っていく。引っかかる話題があったら、深掘りしていく・・・・・と、これが雑談の基本的な流れになります。
 このやり取りの中で相手のことを知り、自分のことを知ってもらい、距離を縮めていくのです。

 『超一流の雑談力』 第2章 より 安田正:著 文響社:刊

 相手の興味がありそうなテーマをすばやく探り、それを掘り下げていく。
 雑談の上手な人は、適当に話しているようでいて、このセオリーに当てはめて会話をしています。

 会話の「タテの軸」と「ヨコの軸」。
 忘れないようにしたいですね。

ソフトに見つめてテンポよくあいづち


 雑談を盛り上げるためには、相手の話を聞くときのリアクションが大切です。
 深く納得している、相手の言葉が響いている、という姿勢が大事とのこと。

 人の話しはうなずきながら聞くのが前提です。

 ではそのうなずき方ですが、うなずきは、つい無意識にやってしまうものです。自然に癖がついてしまっているのですね。
 見直すべきはポイントは、目線とうなずくタイミングです。
 まず、基本的には話している相手の目をずっと見るようにして下さい。
 目を見るのが苦手なら、ネクタイのあたりを見ていれば大丈夫です。あるいは、眉間のあたりを見てもいいでしょう。
 絶対に、目を離してはいけません。
 とはいえ、じーーーーーっと観察するように見つめられると相手も気持ち悪いので、あくまでもソフトに、おばあちゃんが孫の話を聞いているときのようなスタンスを心がけてみてください。目に力を入れない、目尻をやわらかくしたソフトな表情です。
 その中で、相手の話すスピードや間の取り方などを見ながら、うなずきのテンポをつかんでいきましょう。
 たとえば、言葉数が多い人なら小刻みにうなずくことが大切ですし、間(ま)が多めの人なら一つひとつのうなずきを深くしましょう。
 また、その人が力を込めて語っているところにはより強いうなずきをして、どうでもいい場所でうなずかない、というメリハリもポイントです。
(中略)
 うなずくときの言葉ですが、ワンパターンではなく、バリエーションをたくさん持つようにして下さい。たとえば、

  • 「ああ〜(小刻みにうなずきながら、腹に落ちていること、深い共感を示す)」
  • 「へぇ〜(眉を少し上に動かし、驚きをあらわす)」
  • 「はいはい(抑揚をつけて、理解している、納得している、という表情をしながら)」
  • 「ええ(冷静なトーンで、理解している、聞いているという表情をしながら)」
  • 「お〜・・・・・それは、さすがですね(相手の話のオチや大事なところで)」
  • 「う〜ん、それはすごい!」
 など、場面や内容によって反応を変えることを心がけましょう。
 ただ、いくらバリエーションがあったほうがいいとはいえ、「うん、うん」といったあいづちは、間違っても目上の方、フォーマルな場などでは使わないでください。
 この練習場所として最適なのは、上司のいる飲み会などでしょう。相手に敬意を持って真剣に話を聞いていれば、雑なあいづちは自然となくなっていくものです。

 『超一流の雑談力』 第3章 より 安田正:著 文響社:刊

 誰でも、自分の話に興味を持って聞いてくれると嬉しいものです。

 しかし、相づちを打つことが大事なのではありません。
「あなたの話に興味がありますよ」という意思を示すことが重要です。

 相手の話をしっかり聞いて、状況に応じたうなずき方をマスターしたいですね。

意見が食い違うときは、「うかつでした!」


 話が盛り上がってきたとき、不意に相手から反論や指摘を受けることもあります。
 そのときの正しい対応は、どのようなものでしょうか。

「家を買うなら中古物件ですよね、郊外なら1000万円くらいでかなりいい物件がありますし」
「いやぁ、それはどうですかね。耐震性とか、怖くないですか?」
「・・・・・(そんな言い方されてもなぁ・・・・・)」

 こうした反論や意見の食い違いが起きたとき、どうするのが正解でしょうか。
 特に自分の得意分野や詳しいことでツッコミが入ると、「いや、そう思われると思うのですが」「お言葉ですが・・・・・」などと反論したくなるかもしれません。
 しかし、それでは一流の対応とは言えません。
 そんなときにぜひ使っていただきたいのは、「うかつでした!」というフレーズです。
 仮に自分が正しそうな場面でも、「それはうかつでした!」と、相手の主張を飲み込むのが正しい対処方法です。

「家を買うなら中古物件ですよね、郊外なら1000万円くらいでかなりいい物件がありますし」
「いやぁ、それはどうですかね。耐震性とか、怖くないですか?」
「あー、それはうかつでした!たしかにおっしゃるとおりですね。ということは、Bさんは新築を建てられたんですか?」

 などとむやみに争わず、論破しようとせず、「うかつでした!」で矛(ほこ)をおさめてください。さらに、深追いせずに話題をずらしてしまうのがよいと思います。
 私自身、この「うかつでした!」でかなりの回数救われてきました。
 特に商談のように、明らかにこちらの立場が下の場合では妥協を迫られる場面もあるので、とても使い勝手のよいフレーズです。

 『超一流の雑談力』 第4章 より 安田正:著 文響社:刊

 雑談は、あくまで相手との距離を縮めるための手段です。
 どちらが正しいかを決めるような論争の場ではありません。
 本来の目的を忘れてしまうと、取り返しのつかないことになりかねません。

 相手と意見が食い違ったら、すかさず「うかつでした!」。
 もしものときのために、覚えておきたいフレーズですね。

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☆    ★    ☆    ★    ☆    ★    ☆

 技術の進歩で、多くの情報伝達手段が発達した現代社会。
 距離や時間を超えて、たくさんの人と簡単につながることができるようになりました。

 とはいえ、さらに前に進んで信頼し合える関係をつくるには、直接顔を合わせたコミュニケーションが不可欠です。
 雑談は、そのきっかけとなる大事な第一歩ですね。

 雑談には、決まりごとはないです。
 だからこそ、幅広い知識や相手や場所などの状況に応じた対応力などが問われます。
 その人の総合的な能力が試される場といっても過言ではありません。

 たかが雑談、されど雑談。
 私たちも、『超一流の雑談力』を身につけて、豊かな人間関係を築いていきたいものです。


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