【書評】『秒で見抜くスナップジャッジメント』(メンタリストDaiGo)
お薦めの本の紹介です。 メンタリストDaiGoさんの『秒で見抜くスナップジャッジメント』です。
メンタリストDaiGo(めんたりすと・だいご)さんは、人の心を読み、操る技術「メンタリズム」を駆使するメンタリストです。
誰もが、「他人を見抜く力」を持っている!
「人の心を見抜けたら・・・・・」
そう願う人は、多いでしょう。
相手の考えを読み取れれば、コミュニケーションは自由自在になります。 相手の嘘も見抜くことができ、リスクの回避にもなります。
実は、私たちの中には、生まれつき他人の心や性格を見抜く才能が眠って
います。
DaiGoさんは、この能力のことを「スナップジャッジメント」と呼んでいます。
スナップジャッジメントとは、他人の行動をちょっと見ただけでも相手の能力を正確に見抜く
能力のことです。
基本的に人間が表情や行動で他人を判断するのは困難ですし、人の心を見抜く特別なテクニックもありません。これが科学の結論です。 そこで、他人を見抜くために私がすすめる戦略は次の2つになります。
戦略1 生まれつきの能力を鍛えて瞬時の判断力を上げる 戦略2 特定の人物が持つパターンを押さえて判断の精度を上げる
ひとつめは、もともと人間の脳にインストールされている「スナップジャッジメント」の能力を鍛えることです。 くり返しになりますが、私たちは、顔写真だけでも相手の性格や能力を見抜けてしまうほどの判断力を持っているのに、様々なノイズによって能力が発揮できていません。 それならば、持ち前の力をトレーニングでアップさせ、「スナップジャッジメント」の成功率を上げていくしかありません。 (中略) 戦略の2つめは、人間が持つ特定のパターンを事前に学んでおき、「スナップジャッジメント」の力をさらに高めることです。 言うまでもなくヒトの心は千差万別ですが、そこにはおのずと一定の偏りが出ます。 少し考えただけでも、社交的な人ほど明るくてゆったりした服を好みそうですし、頭がいい人は読書が好きなイメージがあるでしょう。 多かれ少なかれ、みんな他人の大まかなパターンや特徴を判断材料にしているものです。
が、特定のパターンに頼った判断は、間違いを起こすケースもよくあります。誰もが同じパターンに当てはまるわけではないですし、そもそも自分の見解がたんなる偏見に過ぎないことも珍しくないでしょう。 あくまで大事なのは、科学的に関係性が認められたパターンだけを押さえ、人を見抜くための武器としてあらかじめ大量に用意しておくことです。 (中略) これら2つの戦略は、いわば車の両輪のようなものです。 「スナップジャッジメント」の能力だけではただの当てずっぽうに終わりかねませんし、パターン認識だけに頼っていたら間違ったときのリカバリーが効きません。 つねに2つの戦略を意識しながら、判断の精度を限界まで高めていくのが重要になります。 まとめれば、人を見抜くためのステップは大きく2つです。 ステップ1 鍛えあげた直感力で相手を大きく見抜く ステップ2 パターン認識を使って直感の正確性を高める
これが、私の提案する「スナップジャッジメント」の最大のポイントです。
『秒で見抜くスナップジャッジメント』 第1章 より メンタリストDaiGo:著 興陽館:刊
本書は、誰もが持つ他人を見抜く能力「スナップジャッジメント」をフルに引き出すノウハウをまとめた一冊です。 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。
顔写真だけで、ここまで見抜ける!
「人を見抜くには、多くの時間がかかる」
多くの人は、そう思い込んでいます。 しかし、これは心理学的に大きな間違いです。
すでに多くの研究で、他人を見抜くのにさほどの時間がいらない事実が判明
しています。
この能力は、相手の有能さを見抜く以外のシーンでも発揮されます。過去の「スナップジャッジメント」研究によれば、私たちは相手の顔を見ただけでも、次のような情報を識別できてしまいます。
- 販売員の顔をちょっと見ただけで、相手が良心的な人物か、それとも強引なセールスを行う人物なのかがわかる
- 従業員の写真を何枚か見るだけで、その会社の売り上げや将来性を、かなり正確に予測できる
- ある経営者の学生時代の写真を見るだけで、その会社が儲かっているかどうかを判断できる
- その人の顔を見るだけで、保守的な政党を支持しているか、それともリベラルな政党を支持しているかがわかる
- ネットのプロフィール写真を見ただけでも、その人のメンタルが強いかどうかを見抜ける
- 夫婦の会話を6分観察しただけで、その2人が近いうちに離婚するかどうかを高確率で当てられる
これらの事例は、どれも実験で確認されたものです。いずれのデータでも被験者はおよそ2秒〜10分の範囲で瞬間的に相手の情報を引き出し、しかも見事に言い当てることができています。 どのような情報をもとに、私たちが相手を判断しているのかは、まだはっきりとわかっていません。おそらく、顔の作り、ファッションのセンス、髪型、肌の色など、あらゆる情報を脳が一瞬で処理したうえで、私たちに「なんとなくの印象」として伝えているのでしょう。 特に人間の脳は、相手が「危険な人物かどうか?」や「本当に信頼できる性格かどうか?」を見抜くのがうまく、ある脳科学の研究によれば、他人を見てから「あの人と関わるのはまずい」と判断するまでの時間はたったの数ミリ秒。それでも多くの被験者は、相手の性質を性格に言い当てられています。俗にいう「第六感」の正体は、この能力が働いたおかげなのでしょう。
いくつかの例外はあるものの、多くの場合、意識的に考えるよりも瞬間の判断のほうが正しいもの。長く情報を集めるよりも、「スナップジャッジメント」のほうが正しい結論を出せるのです。
『秒で見抜くスナップジャッジメント』 第1章 より メンタリストDaiGo:著 興陽館:刊
「なんとなく、嫌な感じ・・・・・」
私たちが、一瞬で判断するときの「なんとなく」の印象。 それを決めるのが、この「スナップジャッジメント」です。
誰もが持っている、この能力。 活かすも殺すも、トレーニング次第だということです。
「写真のポーズ」で見抜く
「スナップジャッジメント」の精度を高める。
そのためには、相手の行動をもとに性格を推定する方法
が有効です。
この方法は、やや手間はかかりますが、たんに相手の好みだけで判断するよりも、確実に正確性は上がり
ます。
最初におすすめなのが、相手にカメラを向けて「好きな表情とポーズをしてみて」と切り出すテクニックです。 写真を撮ったら、後はその画像を見ながら「この人はどんな性格だろう?」と直感で考えてみるだけ。あくまで写真から伝わるインスピレーションをもとに判断するだけで、相手のパーソナリティは判断できます。 「それだけ?」と思われたかもしれませんが、これは実際にケンブリッジ大学などが効果を確認した技術です。実験では、その人の好きなポーズと表情で写った画像からは、5つの性格タイプを見抜くことができました。
- 優しい性格でまわりと協調するかどうか?
- 感情が安定していて、すぐにイライラしないかどうか?
- 好奇心が旺盛なタイプかどうか?
- 他人から好かれやすいかどうか?
- 自分に自信がありそうかどうか?
研究者によれば、私たちは他人の表情や姿勢、ファッションなどから、無意識のうちに相手のパーソナリティを見抜いているとのこと。このテクニックを使うときは、相手の写真を見ながら、「この人は自信がありそうだろうか?」などと自分に問いかけてみてください。より直感がうまく働き、判断の精度も高くなります。
『秒で見抜くスナップジャッジメント』 第3章 より メンタリストDaiGo:著 興陽館:刊
外見は、その人の内面を映し出す鏡。 それは心理学的にみても、真実だということです。
自分の中にある感覚を、どれだけ信じることができるか。 それが、人を見抜く能力を高める秘訣です。
「シミュレーション戦略」とは?
相手の嘘を見抜く。 その方法の一つが、「シミュレーション戦略」です。
シミュレーション戦略は、シカゴ大学が提唱するテクニックで、相手の嘘を見抜く最重要ポイント
です。
その要点を一言で言えば、「相手の身になって考えてみる」というものです。なんだか古臭い道徳の教えのようですが、実は他人の嘘を見抜くうえで、絶大なパワーを持っています。 シカゴ大学の実験では、様々な表情を浮かべた男女の写真を被験者に見せ、「この人たちの心を読んでみてください」と指示した後で2つの戦略を取るように誘導しました。
- 理論家戦略:写真の表情やボディランゲージをもとに心を読もうとする
- シミュレーション戦略:「私が写真の人だったら何を思うだろう?」と想像する
結果は「シミュレーション戦略」の大勝利でした。どの被験者も、表情やしぐさに注目したときよりも、その人の身になって考えた被験者のほうが、およそ2倍近くも正確に心を読むことができたのです。 研究チームは、こうコメントしています。 「私たちは、『人間の顔には内面が表れる』という考え方を、驚くほど過剰に信じ込んでいる。そのわりに、相手の身になって考える方法の正確さを低く見積もりがちだ」 私たちは、相手の行動や外見から、他人を見抜こうとしてしまうバイアスを持っています。しかし、実際は他人の立場で考え見たほうが、よほど相手の嘘を見抜くには有効なのです。 シミュレーション戦略のポイントは、「共感力」です。 正しくシミュレーションを行うためには、向こうの立場になって思考や感情を追体験していく必要があるため、相手の脳と自分の脳をシンクロさせなければなりません。そのためには、高い共感力が絶対に必要なのです。 共感力は生まれつきの能力のようなイメージがあるかもしれませんが、実際は後からトレーニングで育てることができます。その鍛え方については、第7章で詳しくお伝えしましょう。 とりあえず、あなたの共感力が育つまでは、会話中に「いま相手の立場だったら何を考えるだろうか?」とイメージしてみてください。相手の嘘を見抜く確率が格段にアップするはずです。
『秒で見抜くスナップジャッジメント』 第4章 より メンタリストDaiGo:著 興陽館:刊
共感力は、コミュニケーション能力を高めるのための必須スキルです。 一般的に、男性より女性の方が高いと言われています。
夫は妻の嘘をなかなか見抜けないのに対し、妻は夫の嘘をやすやすと見破ってしまう。 それは、共感力の差が大きいのでしょう。
「セルフコントロール能力」を見抜く3つのポイント
長続きするパートナーシップを築きたい。 そんなとき、探すべき相手は「セルフコントロールができる人」です。
セルフコントロールとは、自分の欲望や衝動を制する能力
のことで、ダイエット中にお菓子をガマンしたり、ムダ遣いをせずにコツコツと貯金したりと、人生のあらゆる必要
になります。
では、セルフコントロール能力の高い人を見分けるには、どうしたらいいでしょうか。
セルフコントロールは表面に現れやすい能力なので、普段の行動に注目すれば、見抜くのは難しい作業ではありません。ポイントは3つです。
1 忍耐力がある セルフコントロール能力と忍耐力は近い概念です。そのため、何かを我慢するのがうまい人ほど、セルフコントロール能力が高いことになります。 具体的には、貯金が少なかったり、タバコを止められなかったり、ダイエットが苦手だったり、仕事の締め切りを守らなかったりする人は危険度が高めです。他にも、すぐに怒る人や、こちらのミスに対してすぐ不機嫌になる人なども、セルフコントロール能力が低い可能性があります。
2 計画をたてるのがうまい セルフコントロール能力が高い人は、地道に計画をこなすのが上手です。旅行などでハッキリしたプランを立てて動けるような人、数年にわたる投資計画を実行できる人などは、長期的なパートナーに向いている傾向があります。 逆に言えば、時間にルーズだったり、平気で約束を破ったり、行き当たりばったりで行動する人は問題あり。注意しておくといいでしょう。
ちなみに、時間にルーズな人や直感で行動する人は自由人のような印象が強いため、短期的には魅力的な人物に感じてしまうケースが良くあります。こちらも意識しておいてください。3 注意力のコントロール セルフコントロール能力が高い人は誘惑に勝つのがうまいため、注意力のコントロールも巧みです。仕事中にジャマが入ってもすぐに元の作業に戻れたり、嫌なことがあっても気持ちが乱れてもすぐに平常心に復帰したりと、注意力を使いこなすことに長けている傾向があります。 このポイントを判断するには、普段の行動で「どれだけ目の前の作業に集中できているか?」に注目してください。「会話中に他のことを考えてないか?」や「デート中にスマホの通知にすぐ気を取られないか?」など、ついつい他のことに意識が向いてしまうようだと、セルフコントロール能力は低いでしょう。
相手のセルフコントロール能力を判断するには、これから紹介するいくつかの質問を相手に投げてみるのも有効です。 具体的には、以下の12問を相手に投げて反応を見てください。
①重要な目標をやり遂げるために、いくつかのトラブルを乗り越えた経験はありますか? ②新しいアイデアや計画を思いついたら、それまでに考えていたことから気がそれてしまうことは多いですか? ③趣味や興味がコロコロ変わりやすいですか? ④何かトラブルが起きても、やる気が続くタイプですか? ⑤熱しやすく冷めやすいタイプですか? ⑥自分のことを頑張り屋だと思いますか? ⑦目標を設定しても、後で変更してしまうことが多いですか? ⑧数ヶ月かかるような計画に集中し続けるのは難しいと思いますか? ⑨やり始めたものは必ず終わらせるタイプですか? ⑩ゴールまで数年かかるような目標を達成したことがありますか? ⑪数ヶ月ごとに新しい目標や趣味ができるようなタイプですか? ⑫自分のことを勤勉だと思いますか?
これらのうち、1、4、6、9、10、12番の質問がイエスなら合格。2、3、5、7、8、11の質問がイエスなら不合格です。 これはペンシルベニア大学のアンジェラ・ダックワース博士が提唱する質問集で、忍耐力や計画性の高さなどを判断するために考案されました。すべての質問を相手にぶつけて見る必要はないものの、たくさん聞くほど判断の精度はアップします。不自然にならない程度に、いくつか質問を重ねて様子を見てみるといいでしょう。
『秒で見抜くスナップジャッジメント』 第5章 より メンタリストDaiGo:著 興陽館:刊
パートナー探しは、一生を左右する重大事です。 相手のセルフコントロール能力は、ぜひとも把握しておきたいですね。
「何を考えているのかは、本人しかわからない」
私たちは、最初からそう思い込んで、相手の心の内を探ることをあきらめてしまいがちです。 それは、コミュニケーションを図るうえで、大きなマイナスです。
実は、思考や感情は、表情やしぐさ、外見にかなりの部分、表れています。 私たちは、それらを無意識のうちに感じとり、“第一印象”として受け取っています。
「スナップジャッジメント」の能力は、誰でも持っています。 意識的に使えば使うほど、さらに高まっていきます。
私たちも、本書の内容を普段の会話などで使って「コミュニケーションの達人」を目指したいですね。
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