本一冊丸かじり! おいしい書評ブログ

本を読むことは、心と体に栄養を与えること。読むと元気が出る、そして役に立つ、ビタミンたっぷりの“おいしい”本をご紹介していきます。

【書評】『誰とでも心を通わせることができる7つの法則』(メンタリストDaiGo)

 お薦めの本の紹介です。
 メンタリストDaiGoさんの『DaiGoメンタリズム ~誰とでも心を通わせることができる7つの法則~』です。

 メンタリストDaiGo(めんたりすと・だいご)さんは、メンタリストです。
 TV番組にも多数出演されていて、数々の著書もお書きになっています。

「メンタリズム」は科学に裏付けされたテクニック

 心理学にもとづく暗示や錯覚を応用し、読心術や催眠、暗示誘導を行う技術のことを「メンタリズム」と呼びます。
 その技術を駆使してパフォーマンスやカウンセリングなどを行う人が「メンタリスト」です。

 メンタリストは、メンタリズムを駆使して相手の心に入り込み、意図通りに誘導する力を持ちます。
 とはいってもメンタリズムは、いわゆる「超能力」とは無縁の能力です。
 心理学や催眠術、奇術、運動力学といった分野の学問を融合させて、あらゆる角度から人の心を読む「科学」です。

 メンタリズムには、心理テクニックや人間の特性、錯覚などの知識と技術が詰まっています。
 DaiGoさんは、このメンタリズムを、ただ理解し使いこなすだけで、仕事でもプライベートでもありとあらゆる場面で、相手の心を理解し上手にコミュニケーションがとれるようになると述べています。

 本書は、数あるメンタリズムのテクニックから、日常に活かせる技術を中心にまとめた一冊です。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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状況を削り出し「場面」を読み取る

 人間の言動には必ず、その場に応じた「ふさわしい言動」と「ふさわしくない言動」があります。
 いわゆる「空気を読む」ということですね。

 シチュエーションを限定し、会話の言葉を選択すること。
 つまり、自分が意識的に状況や場面を把握し、「こういうときにどうするか」を考えていく
 それが、メンタリズムの基本になります。

「場をつくる」ための最初の作業は、今置かれている状況を細かくわけていく「細分化」を行うことです。

 序章で簡単に説明しましたが、今あなたが置かれている状況が「人と会う」という場だとしましょう。
 これを細分化していくと例えば次のようになります。

  • それはプライベートなのか、ビジネスなのか?
  • 場所は公共の場なのか、自分の部屋といったプライベートな場なのか?
  • 相手の家・会社(アウェイ)なのか、自分の家・会社(ホーム)なのか?
  • 相手は初対面の相手か、何度かあっている人か、心を許している人なのか?
  • 相手は同性か異性か? また、相手に抱いてほしい感情は何か?
  • 相手の人数は? 複数対複数(会議・合コンなど)なのか? それとも個人対個人なのか? もしくは個人対複数(プレゼン時やセールスなど)なのか?

 このようにして、ただなんとなく「人と会う」とぼんやりとしか捉えていなかった状況を細かく削り出して、限定された「場面」へと状況把握をブラッシュアップしていきます。そうするだけで、多くの事柄が変化しいくのがわかるはずです。

 例えば、意中の女の子の家や取引先の会社への初訪問なら、これは相当なアウェイ状況。それをしっかり認識していれば、最初から「権威催眠」に呑まれないようにしようと心構えができますし、逆に自分のホームに相手が現れるなら、どんな風な振る舞いなら自分が呑まれてしまうだろうかと想像して、自分の振る舞うべき行動を組み立てる。
 何度も会っている相手なら、気を許しているだろうから、いつもの感じでは自分の主張や声が届かないかもしれない。そのためには今日はいつもと違う「違和感」を仕草や会話に潜ませなければいけない、などなど。
 このような状況把握により、メンタリズム的な戦略が次々と生まれていくのです。そう考えると、普段の何気ない日常の一瞬一瞬も、面白い戦略ゲームのように感じられませんか?

 『誰とでも心を通わせることをできる7つの法則』 PART 1 より メンタリストDaiGo:著  ワニブックス:刊

 置かれている状況を把握しコントロールすることで、自分の好ましい「場をつくる」。
 そのためのツールが「メンタリズム」です。
 たしかに、戦略ゲームのようですね。

プラス or マイナスの感情は「口元」に出る

 メンタリズムの基本は、まず「観察」にあります。
 目線や唇の動き、姿勢、ちょっとした仕草など、あらゆる面から相手の情報を得る必要があります。

 顔のなかで最も表情が出やすく心理を読み取りやすいのが、「目元」「口元」の2ヶ所です。
 DaiGoさんは、「口元」から得られる情報について、以下のように説明しています。

 口元は、相手が今どういう気持ちなのか、非常に読みやすい部分です。目のように頻繁に大きく動くことが少ない分、観察しやすいということも利点のひとつです。
 相手が本当に自分の話に興味があり、面白いと思って集中して話を聞いている場合、口元の筋肉は自然にゆるみ、軽く歯が見えるか見えないか程度に、少し開きがちになります。相手に心を開いてリラックスしているときも同じ状態になります。
 逆に、相手が自分の話に興味がなかったり、緊張しているなど、マイナスの感情を持っているときは、口はキュッと閉じられ固く結ばれています。「真面目にしておいたほうがいい」とか「ちゃんとして見えたほうがいいだろう」という意識が働くからです。
 実際に、初対面の人と仲の良い友人の口元を常に「観察」するようにしてください。初対面の人は一様に口を閉じ、仲の良い友人は軽く口が開いてる時間が長いでしょう。これは、誰にでも簡単に判別可能で、一目瞭然の秘密の観察テクニックです。
 このように、細かい感情まではわからなくても、口元を見るだけで相手が自分の話に興味を持っているか、リラックスしてくれているか、楽しいか楽しくないかといった、本音の感情を読み取れてしまいます。

 『誰とでも心を通わせることをできる7つの法則』 PART 2 より メンタリストDaiGo:著  ワニブックス:刊

 相手がしゃべっていなくても、口元を見ているだけで、色々な情報を得ることができます。
 相手とのコミュニケーションをスムーズにするためにも、頭に入れておきたい知識です。

相手の「アセンブリ」を探り当てる4種類の質問

 何かを空想するとき、現実的な問題を考えるとき、楽しいことを思い描くとき。
 人のさまざまな思考や感情は、種類別にそれぞれ「位置」を持っています。

 例えば、空想するときは右上、マイナスの感情は左下・・・・。
 そのように、そのときの思考や感情に応じて、当てはまる位置へ目線が移ります。
 その目線の方向に、相手がどんな感情を配置しているのか。
 それを読み取るのが「イメージアセンブリ・リーディング」です。
 アセンブリとは、「配置」という意味です。

「その人が言っていることが本当かウソか」
「自分の話にいい印象を持っているのかそうでないのか」
 イメージアセンブリ・リーディングの技術を使えば、それらを高確率で把握することができます。
 基本のアセンブリは、「良い(プラス)or悪い(マイナス)」「事実(本当)or空想(ウソ)」の4種類の感情の把握です。
 相手のアセンブリを探る具体的な方法は、その4種類の感情に対応する質問をあらかじめ用意し、会話の中に織り交ぜてデータを採取することです。

「良い(プラス)」感情のアセンブリを探るときは、相手が好ましく思っているものを、自然に思い浮かべるような質問にします。
「楽しい」「うれしい」といった感情も、プラスの感情ですからそこに含めます。わかりやすい感情として、「好き」ももちろん含まれますが、同じ「好き」でも、恋人に対する「好き(LOVE)」と、食べ物の「好き(LIKE)」では厳密には違いますが、今は最初の段階ですので、特に細分化しなくて構いません。
 次に「嫌だったこと」や「怖かったこと」など、対になる「悪い(マイナス)」感情を想起する質問をしていきます。
 このふたつを続けることで、その人の持つ、良いイメージの場所(空間)と悪いイメージの場所(空間)が、ともに把握できます。

「事実」と「空想」の感情に関しても進め方は同じです。
 ここでは「事実を思い出すときの場所」と「想像で物事を考えるときの場所」を突き止めることが目的です。
 ですから「事実(本当)」の場所を調べるときは、数値やデータ、過去の記憶など、実際に頭のなかにある事実を思い出させる質問をします。
「空想(ウソ)」の場合は、相手の回答が脳内の記憶から引き出されて答えられると、判断が難しくなるのがネックなので、あきらかにあり得ないことや想像でしか答えられないような質問を用意したほうがよいでしょう。
 このように、4種類の質問を何度かしてみることで、その人の持つイメージの配置が空間的にある程度わかってくるようになります。

 『誰とでも心を通わせることをできる7つの法則』 PART 3 より メンタリストDaiGo:著 ワニブックス:刊

 例えば、「良い」感情のアセンブリを探るための質問は、「好きな色は何ですか?」とか「最近楽しかったことは何ですか?」などです。
 質問に対する答えにはあまり意味はありません。
 あくまでも、アセンブリの把握、つまり、相手の目線がどちらに向かうのかが重要です。

ワンテンポ遅れて相手と同じ動作をする

 心理学用語に「ラポール」という言葉があります。
 ラポールとは、「共感」「信頼関係」という意味です。

 そのラポールを意識して作り出してしまおうというのが「マッチング」と呼ばれる手法です。
 マッチングの方法は簡単で、基本的には相手のクセや動きを真似る、つまり同調するだけです。

 相手がグラスを取ったら、ワンテンポ遅れて自分も同じようにグラスを取る。
 肘をついたら、さりげなく自分も肘をつく。
 など、相手の仕草や行動を、ワンテンポ遅れて真似するわけです。

 この場合「マッチング」を実行するときのポイントは「ミラーリング」を意識すること。正確に相手と同じ動作をするのではなく、鏡に映った像のように対称に真似るのです。
 相手と向い合って座っているとしたら、相手が右手でグラスを取れば、自分は左手で取るわけですね。相手が左肘をついたら、あなたは右肘。
 ただし、このマッチングでいちばんの注意点は、相手に「真似をしている」と気づかれないようにすること。
 マッチングは、相手の潜在意識に訴えかけることが目的です。相手に気付かれたら、そこでもう終わりです。あくまでも相手にばれない範囲で、自然に真似をすることが大切なのです。
 喜んでいるときなど、プラスのイメージを持っているときの行動を真似ることも有効です。例えば、相手が面白い話に手を叩いて笑っていたら、あなたも同じように手を叩いて笑います。
 涙を流すぐらい笑っているなら、あなたも笑いすぎて涙が出たようなふりをする。盛り上がりを共有できることで、相手の潜在意識に訴えかける力も強くなるのです。

 ビジネスの場でも同じです。同僚が、大口の契約を取ってきて、思わずガッツポーズをしたとしましょう。そのときはあなたも一緒にガッツポーズをしてください。大げさにハイタッチなんかをするのもいいでしょう。
 特に気分が高揚している状況だけに、そのマッチングは相手の心に強く残り、あなたに親近感を持ってくれるはずです。

 『誰とでも心を通わせることをできる7つの法則』 PART 5 より メンタリストDaiGo:著 ワニブックス:刊

 こんな簡単な方法で信頼関係を築けるのか、と疑問に思う人も多いかもしれません。
 実際、人の行動や感情のかなりの部分は、無意識下の情報処理によって決定されています。
 だから、マッチングで同じ行動をとってくれている人に、ついつい安心感を抱くのだそうです。
 試してみる価値はありますね。

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 人間の心は形のないもの。当然、その中は直接、覗(のぞ)いて見ることはできません。
 ただ、心の中で考えていることや感じていることは、身体の動きや表情に何らかの変化を与えます。
 やはり「心と身体は一体」なのですね。

 メンタリズムは、相手の心を読み、その中に入り込むための優れたツールです。
 メンタリズムの上達のコツは、とにかく覚えたテクニック、理論を毎日毎日使い続けること
 訓練を積んでいけば、いずれ人の心を自由に操れる「メンタリスト」になれるかもしれませんね。

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