【書評】『仕事が早く終わる人、いつまでも終わらない人の習慣』(吉田幸弘)

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 お薦めの本の紹介です。
 吉田幸弘さんの『仕事が早く終わる人、いつまでも終わらない人の習慣』です。

仕事が早く終わる人、いつまでも終わらない人の習慣

吉田幸弘 あさ出版 2019年06月25日
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by ヨメレバ

 吉田幸弘(よしだ・ゆきひろ)さんは、コミュニケーションデザイナー・人材育成コンサルタント・上司向けコーチです。

あなたは「仕事を増やす人」になっていませんか?

「夜遅くまで働いている割には、成果が上がらない」

 そんな悩みを抱えている人が多い一方、

「毎日、定時で帰るのに、結果をしっかり出して社内の評価が高い」

 そんな人も少なからずいます。

 両者には、どのような差があるのでしょうか。

 講演やコンサルティングの現場では、かつての私のように、「仕事が多くて、なかなか終わらない」「毎日、仕事に追われてばかりでキツイ」などと悩んでいる人に数多く出会います。
 そんな人たちには、主に次のような特徴があります。

  • 断ることが苦手で、どんなに忙しくても仕事を請けている
  • 周囲の人のことを考えてていねいに仕事をしている
  • 相手のために無理な納期でも対応する
  • 資料を案件ごとに、こと細かに作成している
  • 責任感が強く、他の人に仕事を振らず、自分で抱え込みすぎてしまっている

 真面目で気配り上手。それがすぎるゆえに、どんどんどんどん自分で仕事を増やしてしまっているのです。
 その結果、心身ともに疲弊し、当然パフォーマンスは落ち、仕事のスピードが遅くなり、仕事に時間を取られていく毎日に−−。
 まさに、悪循環のスパイラルに陥っているのです。

 私はこれまで、研修や講演、コンサルティング等を通して3万人超の方々と接し、様々な相談を受け、仕事時間、量を減らす方法をお伝えしてきました。
 その中から特に効果の高いもの、評判がよかったものを中心に、私の経験を踏まえながら、仕事を早く終わらせるコツや考え方、感情との向き合い方などを、仕事がいつまでも終わらない人の悪い習慣と対比させながら、本書では紹介しています。
 仕事がいつまでも終わらない理由のほとんどは、よかれと思ってやっていることが、かえって仕事を増やしてしまっていることにあります。あなたももしかしたら無意識のうちに、自らの仕事の量、時間を増やしてしまっているのかもしれません。

『仕事が早く終わる人、いつまでも終わらない人の習慣』 はじめに より 吉田幸弘:著 あさ出版:刊

 本書は、「仕事を増やす人」から「仕事を減らす人」へ脱却するためのノウハウを具体例を交えて紹介した一冊です。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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仕事が早く終わる人は、「小さなカバン」で考える

 仕事で使っている「カバン」の大きさ。
 その大小でも、仕事が早く終わる人なのか、そうでないかがわかります。

 吉田さんは、実は、仕事がなかなか終わらない人は、たいてい大きいサイズのカバンを使っていると述べています。

 お客様を訪問する際も、大きいカバンに分厚い提案書や使わないであろう参考資料をぎっしりと詰め込み、移動時間に読むためと本を何冊も入れて、かなりの重量の荷物を常に持ち歩いています(結局、読み終わらず、いつまでも本が入りっぱなし、ということも・・・・・)。
 お客様のところでも、せっかく持っていったのだからと、大量の提案書を広げてプレゼンを始めるものの、時間内に終わらず、収拾がつかなくなってしまうなんてこともしばしばです。
 また、カバンに荷物をパンパンに詰め込む人は、予定もパンパンに詰め込みがちです。
 たとえば、移動時間をギリギリで考え、1日にアポを5件も6件も入れてしまいます。その結果、商談が延長したり電車が遅延したりするたびに、それ以降の約束すべてに間に合わず、お客様に迷惑をかけてしまいます。
 さらに、自分のキャパシティを超えた仕事量を引き受けがちです。
「これぐらいならできるだろう」と、自分の力を過信しているうえに、計画の精度、時間の見積もりも甘い。時には、まったく計画を立てることなく、引き受けてしまいます。そして結局、処理できずに、相手に迷惑をかけたり、周りの人間を巻きこんでどうにか仕上げたりといったことに陥るのです。
 一方、仕事が早く終わる人は、小さいサイズのカバンを使っています。
 小さいので、大量の書類は入りません。
 提案書もスマートで少ない枚数にしなけれはならないので、資料なども的を射た必要最低限のものにする必要があります。
 それがお客様への、ポイントを突いた簡潔な説明につながります。
 無理なタイムスケジュール、行動計画も立てませんし、自分の仕事が1時間でどれだけ進むかなどもきちんと把握しているため、できる量、範囲と照らし合わせて、仕事を引き受けるかどうかを決めるので、周りに迷惑をかけることもさほどありません。
 タイムスケジュールも、電車は遅延するものとして、あらかじめ、多少のリスクには対応できるくらいの余裕を持たせて組むことが習慣になっています。
 確実にできること、確実に使うものだけにする。それでよいのです。

『仕事が早く終わる人、いつまでも終わらない人の習慣』 第1章 より 吉田幸弘:著 あさ出版:刊

「もしかして使うかもしれないから持っていこう・・・・・」

 そんな貧乏性的な発想が、カバンの中身を増やし、仕事を非効率にするのですね。

 用意するものは、必要最低限のものに絞る。
 カバンの中身だけではなく、仕事全般を通しての“いろは”といえますね。

仕事が早く終わる人は、ひと息ついてから報告する

 仕事で、ミスや失敗、悪いことが発生したとき。
 もちろん、上司に「できるだけ早く」報告する必要があります。

 ただ、吉田さんは、「できるだけ早く」報告すべきですが、「急いで」する必要はないと述べています。

 その理由は、とりあえず行う報告は、事実関係その他、必要最低限の情報が揃っていないため、要領を得ない内容になる可能性が高いからです。

 特に、悪い報告をするときは、気ばかり焦ってしまい、内容の抜けや漏れがあったり、あるいは事実と意見が混同した間違った情報を伝えてしまったりする場合も多いものです。
 それでは、報告された相手もどう動くべきか判断できません。場合によっては、情報が不足しているために間違った解釈をしてしまい、誤った判断を下してしまうことだって起こりえます。
 また、よくわからないからと悩んでいても時は過ぎていくばかり。「急いで」報告した意味がありません。
 報告は「早さ」だけが命、ではないのです。

 仕事が早い人は、ある程度の情報が揃った段階で「できるだけ早く」きちんとした報告をします。
 悪い出来事の連絡を受けたら、その時点で収集できる情報をできるだけ多く集め、確認し、状況を整理してまとめてから上司に報告します。
 そうすることで、上司も情報を整理しながら話を聞くことができ、判断のスピードが速まるばかりか、間違った指示を出さずにすむというわけです。
 最初の報告の前に集めるべきことは、次の3つです。

  1. ミスの内容や経緯、起こった理由
  2. 上司にどのように動いてほしいか(どのような対策を取ったらいいのか)
  3. 最悪のケースはどうなるか

 これらを5W2H(When・いつ/Where・どこで/Who・誰が/Why・なぜ/What・何を/How・どのように/How much・いくら)でまとめてから伝えましょう。

 たとえば、取引先が配送先を間違えたため、納品すべき商品が期日までに届かないというトラブルが生じたとします。

1.ミスの内容や経緯、起こった理由
 先日、取引先に納品すべき商品を1万個手配した。しかし、配送先を間違えてしまった。倉庫にある在庫は1万個未満のため、期日までに満数を送ることができない。
(理由)配送先の住所が見当たらず、昔の名刺の住所に送った。

2.上司にどのように動いてほしいか(どのような対策を取ったらいいのか)
 残っている在庫をできるだけ早く取引先に送る許可がほしい
 取引先への謝罪に同席してほしい

3.最悪のケースはどうなるか
 商品の1万個のキャンセル/年平均3000万円の取引の解消/信用が落ちる

 このように簡潔にまとめて伝えることで、上司も全体を鑑みて対応をどうするか判断でき、お客様への対応も早くなるのです。

『仕事が早く終わる人、いつまでも終わらない人の習慣』 第2章 より 吉田幸弘:著 あさ出版:刊

 予期せぬ事態、それも悪いことが起こると動揺して、すぐに上司に助けを求めてしまいがちです。
 しかし、それではいつまでたっても「仕事が早く終わる人」にはなれません。

 イレギュラーな状況が起こったときこそ、冷静に対処する。
 自分の頭の中を整理するうえでも、必要事項をしっかりまとめてから、上司に連絡するようにしたいですね。

仕事が早く終わる人は、チェックを何度かに分けて行う

 仕事が早く終わる人は、ミスをしません。
 ミスをしないためのコツは、何かあるのでしょうか。

 ある時、作業がいつも正確で、皆から信頼されている先輩と食事をする機会がありました。
 その際に、「なぜ先輩の仕事はいつもミスがないのですか?」と聞いてみたところ、「必ずダブルチェックをしているんだ」と教えてくれました。
 それまでの私は「ダブルチェックなんて時間がもったいない」と考えていました。
 時間は有限で大切な経営資源。ならば、チェックなんて一度でいい。ミスが起こらないよう、作業の最初の段階から細心の注意を払えばいいんだ、と思っていたのです。こんな考えでやっているから、ミスがなくならなかったともいえるでしょう。
 ミスをすると、当然やり直しです。余計に時間がかかります。
 ダブルチェックの時間を削減したつもりが、逆に作業の時間が増えてしまっていたわけです。本末転倒です。
 では先輩のように、ミスをしない人はどうしているのでしょうか。
 まずは、人間はミスをする生き物であるということを理解し、自分への過信を捨てています。
 そして、ミスが起こることを前提にして、「ミスをいかに見つけるか」を考えます。そのうえで、ダブルチェックの仕組みをつくっていたのです。
 具体的には、チェックリストを作成します。チェックリストを活用すれば、確認すべき項目のヌケ・モレを防ぐことができます。
 しかし、チェックリストだけでは、万全とは言えません。「チェックリストでチェックするから大丈夫」という気持ちでチェックすると、間違っていても見落としてしまうからです。
 また、いくらミスがあることを前提にチェックしても、1回目にミスがないとわかると安心してしまい、次の仕事の時にミスを見落としやすいのです。
 そこで、次の3つの方法を使ってチェックすることをオススメします。

1.チェックリストの逆の順番でチェックする
 これは、飲食店などでもよく使われている方法です。
 最初は上から順に足して計算し、検算は下から順に足していくのです。
 ダブルチェックは、1回目のチェックと同じ動作を繰り返すのではなく、違う方法で行うほうがミスを見つけやすくなります。

2.数字はグラフを使って確認する
 エクセルで折れ線グラフをつくります。
 折れ線グラフにすれば、大きく数字が違う場合、その箇所だけ突出して見えるので視覚的にすぐ気づくことができます。

3.一度目とは違う場所・時間帯でチェックする
 私は本の校正(見直し作業)をする時、1回目を昼にした場合、2回目は夕方にしています。すると、1回目では気づかなかったミスに気づくことが多々あるからです。
 2回続けてチェックすると、2回目にはしっかり見ることが難しく、ミスを見つけられません。
 それよりは、少し時間を空けてから確認するほうが、ミスを発見しやすくなります。
 また、休憩後も新鮮な気分になるので、ミスに気づきやすくなります。
 場所を変えて行うのもオススメです。
 場所を変えると視界がリフレッシュされるため集中力も上がり、しっかりと注意して確認でき、ミスも発見しやすくなるでしょう。
 チェックは効率化しようとしないことです。

『仕事が早く終わる人、いつまでも終わらない人の習慣』 第3章 より 吉田幸弘:著 あさ出版:刊

図1 DM発送業務チェックリスト 例 仕事が早く終わる人 第3章
図1.DM発送業務チェックリスト(例)
(『仕事が早く終わる人、いつまでも終わらない人の習慣』 第3章 より抜粋)


 ダブルチェックは、2度目とやり方や環境を変えてやるのがポイントです。
 ケアレスミスが多くて困っている人は、参考にしてみてください。

仕事が早く終わる人は、「マニュアル化思考」

 仕事が早く終わる人は、仕事から学んだことを整理して、その都度ノウハウをマニュアル化します。
 その結果、次回の仕事のクオリティがアップし、作業効率が上がっていき時間短縮につながっていきます。

 吉田さんは、経験したことをまとめる方法として「YWT」という方法を紹介しています。

 Y(やったこと)、W(わかったこと)、T(次にやること)の3つの項目で、仕事の振り返りを行うのです。

1.Y やったことを書き出す
 仕事で実施した内容を可視化する

2.W わかったことを書き出す
 やったこと(Y)の中から、わかったこと(W)を書き出します。学びや気づきを見出すステップです。成功と失敗の両方に目を向けるためにも、学びになることをもれなく書き出してください。

3.T 次にやることを書き出す
 1と2の内容から、次にやること(T)を書き出します。次回以降、同じような仕事の時にどうするかを考えて書いていきます。

 月に1回ある専門学校での入学説明会を例に考えてみましょう。

1.Y やったこと

  • 今までに問い合わせのあった600件にメールとハガキで案内を送った
  • 開始時間は18時30分から、場所は新宿にした
  • 全体説明が45分、体験学習が60分、質疑応答が15分の計120分にした

2.W わかったこと

  • スタッフ2人では、30名の参加者をフォローしきれなかった
  • 開始時間に遅れた人が何名かいた
  • アンケートに、場所がわかりづらかったと言及した人が5名いた
  • 中央区と千代田区に勤務している人が10人以上いた
  • 質疑応答の時間が10分オーバーした

3.T 次にやること

  • フォローを強化するため、参加者が30名規模の場合、スタッフを2人ではなく3人にする
  • 参加者の定員を10名にし、2人のスタッフでフォローが行き届くようにする
  • 全体説明を30分にし、質疑応答を30分にする
  • 開始時間を19時にし、アクセスのいい飯田橋で会場を探す
  • 定期的にメールマガジンを発行することを検討する

 何かのイベントやタスクを経験したら、YWTを振り返る時間を確保するようにしましょう。いちいちそんなことをしていたら時間がかかってしまい、もったいないと思うかもしれません。
 しかし、YWTを振り返ることで、T(次にやること)が、PDCAのP(計画)を立てる際にも大きなヒントになります。
 結果、所要時間の短縮にもつながるでしょう。

 また、このようにYWTを繰り返すことで、マニュアルの精度はどんどん上がっていきます。
 毎回、何時間もかけて行う必要はありません。
 たとえば、15分から20分でいいので、YWTを振り返ってまとめる、をルーティン化してしまうだけでも十分です。
 経験を財産に変え、時間の無駄を省いていきましょう。

『仕事が早く終わる人、いつまでも終わらない人の習慣』 第4章 より 吉田幸弘:著 あさ出版:刊

 ただ漠然と同じことを同じようにやっている。
 それではいつまでも成長しませんし、仕事も早くなりません。

 問題点を見つけ出し、それに対する対応策を見つける。
 PDCAのサイクルを上手に回すことが、仕事ができる人になるコツですね。

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 吉田さんは、最後に、仕事が早く終わる最強のコツを以下のようにおっしゃっています。

「仕事が早く終わるようになったらやりたいこと」を明確にすること

 何ごとも、最後は「心」が決めます。

「仕事を早く終わらせて帰ったら、〇〇したい」

 そのモチベーションにかなう方法は存在しないということですね。
 本書は、モチベーションという“燃料”に、いわば火をつけてくれる“着火剤”のようなもの。

 自分の自由な時間が増えて、上司の評価も上がる。
 今の時代にぴったりな一石二鳥のノウハウを、皆さんもぜひ試してみてください。

仕事が早く終わる人、いつまでも終わらない人の習慣

吉田幸弘 あさ出版 2019年06月25日
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