本一冊丸かじり! おいしい書評ブログ

本を読むことは、心と体に栄養を与えること。読むと元気が出る、そして役に立つ、ビタミンたっぷりの“おいしい”本をご紹介していきます。

【書評】『ゆがんだ「背骨」の整え方』(栗原隆)

お薦めの本の紹介です。
栗原隆さんの『ゆがんだ「背骨」の整え方』です。

栗原隆(くりはら・たかし)さんは、医師・医学博士です。
内科医・スポーツドクターとして、数多くのメディアを通じて、医療や健康に関する正しい情報を発信されています。

ハイハイ体操は、全身の「ゆがみ」を解消する!

体の不調の中でも、もっとも身近な症状といえば「こり」と「痛み」です。
とくに肩こりと腰痛は「国民病」といわれるほど、日本人に多く、多くの人が悩まされています。

栗原さんは、こりや痛みは、体の「ゆがみ」が原因かもしれないと指摘します。

ゆがみとは、体を形づくる骨格の位置が本来あるべき場所からずれたままになってしまっていることです。

 そのゆがみを改善するために考案されたのが「ハイハイ体操」です。ハイハイ体操とは、その名の通り、赤ちゃんのようにハイハイをする運動です。ハイハイは、赤ちゃんにとって「立つ」「歩く」ための大切な準備運動です。ハイハイは骨格や運動能力に影響があることがわかっています。大人でもハイハイを行うことで体幹などが鍛えられ、全身の筋肉がバランスよくついてゆがみを正すことが可能なのです。そればかりではなく、転倒や寝たきり防止にも役立ち、年齢を重ねても自分の足で歩き続けられることが期待できます。
やり方はいたってかんたん。四つんばいになり、円を描きながら進むだけです。特別な道具は、一切、必要ありません。時間も一日たった5分。こりや痛みがある、体のゆがみが気になる、均整のとれた体になりたい、生涯、自分の足で歩きたい、かんたんに筋トレしたい・・・・・という人はさっそくハイハイ体操を始めましょう!

人間の体は、実は、生まれたとき既にゆがんでいます。
赤ちゃんは、おもに「寝返り」「ハイハイ」「おすわり」という過程を経て2本の足で立ち上がり、歩行するようになります。なかでも全身を使うハイハイは、骨格や筋肉を整える重要な役割を担っています。ハイハイで背骨を揺らすことによって背骨のゆがみがとれ、背骨はきれいなS字カーブを描くようになるのです。

では、ハイハイをしているとき、体ではどのようなことが起こっているのでしょうか。
まず、手のひらとひざをついて体重を支えることで腕や足が、頭を上げることで首の筋肉が鍛えられます。
次に、腹筋、背筋など体の中心の筋肉を使ってバランスをとりながら手足を動かすことで、手足以外の胴体部分である体幹がしっかり鍛えられるのです。
さらには、股関節まわりや腰、肩周辺の筋力がアップし、足腰、肩、肩甲骨が柔軟に、しなやかに動かせるようになります。

四足歩行の動物は体にゆがみがなく、肩こりや腰痛とも無縁です。人間にとって四つんばいの運動は二足歩行を行うために重要ですが、現代ではハイハイが十分に行われず、結果、姿勢が悪い、疲れやすいなどの症状がみられる幼児や児童が増加しています。
赤ちゃんのころにハイハイが十分に行われた場合でも、成人のほとんどは、生活習慣をはじめとした何らかの理由で体がゆがんでいます。

ハイハイ体操では、まず自分のゆがみの方向を把握し、そして、ゆがんだ方向と逆方向に円を描きながら進みます。こうすることで、より早くゆがみを正常に戻すことができるのです。円を描くのが難しいようであれば、前に進むだけでも十分効果は得られます。

ハイハイ体操をしてみるとわかりますが、思っている以上の運動量です。この適度な疲労が睡眠を促し、日々の疲労回復にも役立ちます。
体の変化だけではありません。質の高い睡眠は自律神経を安定させ、ストレスや不安を解消します。
また、こりや痛みがなくなったり姿勢がよくなったりすると活動的になり、明るく積極的になるのです。

ハイハイ体操を続ければ続けるほど、赤ちゃんのときのように活力あふれた心身が蘇ってくることに、誰もが喜びを感じるはずです。

『ゆがんだ「背骨」の整え方』 PROLOGUE より 栗原隆:著 日本文芸社:刊

本書は、誰でも簡単にできるゆがみ解消法「ハイハイ体操」の具体的な方法をわかりやすくまとめた一冊です。
その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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体の「ゆがみ」が生じるメカニズムとは?

栗原さんは、骨格が正しい位置にあり、骨格を支える筋肉がバランスよく、かつ柔軟性を保っていついていると体はラクに動くと述べています。
反対に、骨格があるべき位置になく、筋肉が硬くなった状態にあると、無理やり体を動かすことになり、さまざまな部位に負担がかかります。

 それでは、本来あるべき骨格と筋肉とは、どのような状態をいうのでしょうか。まず骨格から見ていきましょう。上半身には鎖骨、胸骨、肋骨(ろっこつ)などが、下半身には大腿骨(だいたいこつ)、脛骨(けいこつ)、腓骨(ひこつ)、足骨(そっこつ)などがあり、基本的に左右対称に構成されています(下の図1を参照)。
体の中心には背骨が通り、上半身と下半身は骨盤でつながっています。背骨は、横から見るとS字にカーブを描いているのが特徴です。厳密にいうと、頚椎(けいつい)は前カーブ、胸椎(きょうつい)は後ろカーブと、頚椎から腰椎(ようつい)にかけてきれいなS字を描いています。人間は2本の足だけで頭や体を支えなくてはならないため、歩くときの衝撃を吸収したり、クッション性をもたせたりするために、背骨がS字になっているといわれています。

一方、ゆがんだ骨格は背骨がS字を描いていません。たとえば、首がカーブを描かずに「ストレートネック」になっている。背骨がS字を描かずに一直線だったり、前に丸まったり、後ろにそったりしている。鎖骨や肩甲骨の高さが左右で異なる、肩が片側だけ前に突き出ている。骨盤が傾斜している。すねの骨がまっすぐではなく横に張り出したりしている・・・・・。これ以外にも、ゆがみは細かい部分にまでさまざまな形で現れてきます。

こうした体のゆがみは、事故や病気などで起こる場合もありますが、たいていは生活習慣やクセなど日々の過ごし方によって徐々に引き起こされます。また、とくに日常生活に起因する場合、足から骨盤、背中、首の順に上行性(じょうこうせい)のゆがみと、反対の順でゆがむ下行性(かこうせい)のゆがみがあり、ゆがみは連鎖してと起こります。たとえば、足の外側に重心をかけて歩いていると、脛骨、ひざ、大腿骨が外向きに開き、連動して骨盤からその上の背骨までゆがんでいきます。上行性、下行性のゆがみだけでなく、一部のバランスがくずれることで、ゆがみが連鎖的に全身に広がっていく場合は多々あります。

上半身と下半身をつなぐ重要な骨が骨盤です。「寛骨(かんこつ)・仙骨(せんこつ)・尾骨(びこつ)」の3つから構成され、仙骨がやや前に傾いている状態が理想の形です(下の図2を参照)。
骨盤の動きは大きく、前後、上下、回旋の3種類に分けられ、いずれも背骨や足と連動して体を動かしています。しかし、本来の正常な位置からずれた位置で固定されると、ゆがみにつながります。たとえば、骨盤が後傾したまま長時間過ごすと背骨は下に引っ張られた状態になり、S字カーブを失って猫背になり、首も前に傾き、頭が前に突き出たような姿勢になります。
骨盤は、骨盤を支える大腰筋などの筋肉が硬くなる、あるいはゆるくなることでゆがみが生じますが、骨や骨組みそのものは変形しません。たとえば、大腰筋などが硬くなると骨盤は前傾し、腰椎がそってしまいます。老化などで筋肉が衰えると、骨盤や背骨、足を支えることが困難になり、やはりゆがんでいきます。

次に筋肉について見てみましょう。骨格と筋肉は密接な関係にあり、とくに骨格を動かす筋肉のことを骨格筋(こっかくきん)といいます。また、重力に逆らって正しい姿勢を維持する重要な筋肉を抗重力筋(こうじゅうりょくきん)とよび、脊柱起立筋(せきちゅうきりつきん)、太ももを後方に引く大殿筋(だいでんきん)、ひざを伸ばす動きに関わる大腿四頭筋(だいたいしとうきん)、体が前方に倒れないように支える下腿三頭筋(かたいさんとうきん)などかあります(下の図3を参照)。
体のゆがみは、先に骨格がゆがんで筋肉が正常に動かなくなり、筋肉の機能が低下する場合と、老化や運動不足などで筋肉が極端に伸びきった状態(弛緩(しかん))または筋肉の収縮が続く状態(拘縮(こうしゅく))に影響を受けて骨格がゆがむ場合があり、現れ方はまちまちです。たとえば、猫背の姿勢を続けていると、肩甲骨が開いた状態でかたまり、肩甲骨を閉じる筋肉が硬くなります。すると肩甲骨や肋骨の可動域が狭くなるため、バランスをとろうとしてほかの筋肉や骨が動いて別のゆがみを引き起こします。さらに、また別の筋肉と骨がバランスを補正しようと動いていきます。こうしてひとつのゆがみが、全身のゆがみにつながっていくのです。

筋肉は、やわらかくゆるんだ状態が本来の姿で、よく伸び、よく縮みます。一方、体がゆがんでいると緊張して、硬くなったり張ったりします。
骨格筋にはそれぞれ必ず対になる筋肉が存在し、一報を主動筋(しゅどうきん)、反対を拮抗筋(きっこうきん)とよびます(下の図4を参照)。主動筋が縮むと拮抗筋は弛緩し、主動筋が弛緩すると拮抗筋は縮むというように、向かい合って相反する運動を行っています。この、拮抗する筋肉もバランスよくついていないとゆがみにつながりやすいのです。腹筋だけ鍛えている人のなかには、腰痛に悩まされている人も少なくありません。これは背筋を鍛えていないため、無理に上半身を起こそうとして骨盤が回転し、結果、ゆがみから腰痛を招いているのです。バランスよく筋肉を鍛え、筋力を高めることは、ゆがみ防止の大切な要素です。

『ゆがんだ「背骨」の整え方』 PART 1 より 栗原隆:著 日本文芸社:刊

図1 体を支える骨格 ゆがんだ 背骨 の整え方 PART1

図1.体を支える骨格
(『ゆがんだ「背骨」の整え方』 PART 1 より抜粋)

図2 骨盤の構造と動き方 ゆがんだ 背骨 の整え方 PART1

図2.骨盤の構造と動き方
(『ゆがんだ「背骨」の整え方』 PART 1 より抜粋)

図3 姿勢を保つ抗重力筋 ゆがんだ 背骨 の整え方 PART1

図3.姿勢を保つ抗重力筋
(『ゆがんだ「背骨」の整え方』 PART 1 より抜粋)

図4 筋肉のしくみ ゆがんだ 背骨 の整え方 PART1

図4.筋肉のしくみ
(『ゆがんだ「背骨」の整え方』 PART 1 より抜粋)

こりや痛みは「ゆがみ」のサイン

こりや痛みは、体のゆがみのサインです。
しかし、こったところがない、どこも痛くない、疲れも感じないからといって体がゆがんでいないとは限りません。

 ゆがみがあると筋肉のつき方や使い方にかたよりが生じるため、体のどこかにその形跡があったり、クセとして現れたりします。
たとえば、いつも同じ側の肩に荷物をかける人は、肩の筋肉が緊張してハンガーのように盛り上がってきます。また、肩から荷物がずり落ちるのは、そちら側の鎖骨や肩甲骨が下がっている証拠です。こうした傾向にある人は、肩や腕だけでなく、背骨や足なども連動してゆがんでいるかもしれません。O脚の人は、太ももの外側によけいな筋肉が付く傾向にありますが、これは外側に重心がかかっているため、外側の筋肉で体を支えようとするからです。
無意識に足を組んでしまうのは、両足を下ろした正しい姿勢で座るよりも組んだほうがラクだから。たとえば右足を上にして組むと、右側の座骨が上がり、それにともない骨盤全体が傾きます。とくに片側だけ足を組むクセのある人は、足を組んでいないときも常時、そちら側の骨盤が上がっているとも考えられるのです。

体のゆがみは、身につけているものからも察することができます。わかりやすいのが靴底です。かかとの減りが左右で異なっていませんか。右側のかかとの減りが激しい場合は、右側に重心がかかっている証です。また、両方のかかとの外側が減っているのは、O脚気味であることを示しています。

さらに、冷え性や生理痛、胃腸のトラブルや呼吸が浅いといった内臓からのサインも見逃せません。それらは、ゆがみによって血流が悪くなったり、神経が圧迫されたりすることが原因かもしれないからです。

体のゆがみは、長い年月をかけて徐々に形成されていく場合もあれば、過度のデスクワークなど数ヵ月で引き起こされる場合もあります。いずれにしても、ゆがみはクセや日々の習慣によって生じることがほとんどです。
近年、ゆがみの要因としてもっとも多いのがスマートフォンやパソコンの使用です。人間の頭の重さは体重の約10%といわれ、その重い頭を下に向けたまま長時間、操作することで首の骨がまっすぐになってしまいます。現在、このストレートネックになる人が急増しているのです。ストレートネックになると首の後の筋肉が硬くなり、首を後ろにそらすことが困難になります。また、背中が首の負担を補おうとするため猫背につながりやすくなるのです。パソコンを使うときも同様です。頭部を前に突き出し、肩が内側に入った「巻き肩」の姿勢で長時間座りっぱなし、という人も多いでしょう。これでは首や肩のこり、腰痛になっても仕方ありません。
さらに、スマートフォンやパソコンから照射される明かりは脳に緊張をもたらします。脳の緊張は筋肉にもつながり、より体に痛みが出やすくなるといわれているのです。

人間が静止しているときの基本姿勢は立つ、座る、寝るの3つですが、これらの姿勢の乱れが続くと、おのずとゆがみを招きます。たとえば立っているとき、いつも同じ側の足に重心をかけたり、正しい姿勢だと思って腰を反らせていたりしませんか。反対に、意識しないでいると自然に猫背になっている、という人も少なくないはずです。こうした誤った立ち方は、おもに背骨のゆがみに影響をおよぼします。よく電車のなかでドア付近に寄りかかりながらスマートフォンを見ている人がいますが、これはゆがみを招くよくない姿勢の代表例です。
座っているときは同じ姿勢が長時間、続く傾向にあります。そのため、立っているときよりも座っているときのほうが歪みが生じやすいといえます。いすに座っているとき、足を組んだり、前や後ろで足を交差させたり、浅く座って背もたれに寄りかかったりすると、骨盤や足のゆがみにつながります。ほおづえをつくことも背骨をゆがませます。
家のなかでは床に座ることも多いでしょうが、ゆがみに直結する座り方が多いので注意が必要です。たとえば、両足を横に流すおねえさん座りは上品に見えますが、背骨や骨盤が傾いています。一方の足を立て、一方の足を横に倒す立てひざも、骨盤のゆがみを招きます。あひる座りやあぐらは骨盤が広がりやすくなり、股関節も曲がってO脚やX脚、ガニ股などの原因になります。
ソファに座るときも、長時間、背骨を曲げたりそらしたり、腰をねじったり、あぐらをかいたりしないようにしましょう。座るときは、クッションなどを背中に当てると、きちんと骨盤が立つようになります。

テレビや雑誌など、ものを見るときの姿勢はどうでしょうか。ご飯を食べるとき、体をねじってテレビを見ていませんか。また、床に寝転がって肩ひじをついたり、寝そべってテレビや雑誌を見ることがあれば、上半身を起こして、正面から見るようにしましょう。
人生の3分の1を占める睡眠も重要です。体に合っていない枕や寝具で寝ていると、首や背中、腰が痛くなったり、睡眠不足になって疲労を招いたりします。ソファで寝るのは、体が休まらないだけでなく、体のゆがみを助長させてしまうため厳禁です。人にもよりますが、畳に敷布団を敷いたくらいの硬さが体にとってはちょうどよいといわれています。
些細なことでも、長時間、同じ姿勢を続けていると骨格や筋肉のバランスはくずれていきます。ゆがみを見つけ、さらにゆがまないようにするためにも、一度、日常生活を振り返ってみましょう。

『ゆがんだ「背骨」の整え方』 PART 1 より 栗原隆:著 日本文芸社:刊

姿勢とゆがみは、いわば「ニワトリと卵」の関係。

間違った姿勢を続けると、骨格がゆがみます。
ゆがみが、ますます姿勢を悪くします。

この悪循環を断ち切ることが、こりや痛みなどの体の不調から脱っするためのポイントだということです。

実践! 一日5分の「ハイハイ体操」

ハイハイ体操は、四つんばいになって円を描きながら進むだけのエクササイズで、特別な道具を使ったり、トレーナーをつけたりしなくても、自分自身の力だけで筋肉の緊張をときほぐし、筋力を高めそしてゆがみを正すことができます。

ハイハイ体操の具体的な手順は、以下のとおりです。

 Step 1
準備

ハイハイ体操を行う場所は、畳の上でもじゅうたんの上でもかまいません。硬い床の場合は手やひざを痛めてしまうことも考えられるため、ヨガマットやクッションマットを敷きましょう。
広さは、畳の場合は2枚分、床の場合はヨガマット3枚分、できるだけ2メートル×2メートルを確保してください。どうしてもスペースがとれない場合は、まっすぐ進むだけでも効果はあります。
服装は、動きやすいものであれば何でも大丈夫です。避けたいのは、袖口が開いて手首にまとわりつくような長袖や、ひざの動きを妨げる長さのハーフパンツなどです。上手にハイハイできないだけでなく、転倒にもつながるので注意してください。また、ひざにサポーターをつけていると、途中でずれてきてしまうことがあるので、はずしましょう。

Step 2
回る方向をチェック

ハイハイ体操は、自分の体のゆがみと反対方向に円を描きながら回るのが最大の特徴です。では、なぜ円を描くことでゆがみが改善されるのでしょうか。
ハイハイをすると全身の筋肉が動きますが、カーブをする時に背骨を中心に首、腕、足、と体全体が大きくねじれるような形になります。このねじれが、ゆがみを元に戻そうと働くのです。

PART 1の60〜63ページでも見たように、ゆがみにはいくつかのタイプがあります(下の図5を参照)。ハイハイ体操を行うときには、おもに左、右、複合型の3つのタイプをチェックします。
もっともかんたんに自分でチェックでき、ゆがみの方向がわかりやすいのが「骨盤の高さ」を見るというものです。目を閉じて鏡の前に立ち、腰骨に人差し指を当ててから目を開けて左右の高さのちがいを見ます。私たちは、鏡を見るときに無意識によい姿勢をとろうとするので、いったん目を閉じてからチェックするのが普段の姿勢を知るコツです。
次に「肩の高さ」を見てみましょう。同じように鏡の前に立ち、左右どちらの側の肩が下がっているかをチェックします。
いすに座って上半身をねじるのも、わかりやすい方法です。ねじりやすい側とそうでない側があるはずです。83〜85ページに代表的なチェック方法を紹介していますので、ゆがんでいる側を確認しておきましょう(下の図6を参照)。

たとえば骨盤の左側が上がっている人は、右側が内側になるように右に回ります。反対に右側が上がっている人は、左側を内側にして左に回ります。
どちらの側にゆがんでいるのか判断がつきにくい、あるいは肩と骨盤が両方とも左側が上がっているなど、複合型の人は左右どちらも回るようにしましょう。実際にハイハイをしてみて、回りづらい方向があれば、その方向に重点的に回ってもよいでしょう。自分でゆがみをチェックしにくいときは、ほかの人に見てもらうようにします。

また、ゆがみのチェックハイハイ体操をはじめて行うときだけでなく、ある程度、違和感なく回れるようになった時点でもするとするとよいでしょう。左右差がなくなったらStep 4に進むタイミングです。
改善の経過を確認するためにも、ゆがみをチェックするごとに写真を撮っておくのもよいでしょう。

Step 3
実践!

準備は整いましたか? それではいよいよ基本編を始めましょう。詳しくは、90〜93ページを参照してください(下の図7、図8を参照)。

まず、四つんばいの基本姿勢をとります。ひざ立ちの状態から勢いよく畳や床に手をつくと、思わぬけがにつながることがあるので静かにつけるようにしましょう。手をつく位置は肩からまっすぐ下ろしたところ、幅は肩幅より少し広くします。指を少々開き気味にすると、ハイハイしやすくなります。
両ひざも肩幅より少し広く開き、まっすぐ正面を向くようにします。内側を向かないように注意しましょう。
もっとも気をつけたいのが背中です。下がりすぎず、上がりすぎず、自然なカーブを保ちます。おなかが下がって背中がへこんだり、反対に背中が突っ張ったりするとハイハイがしにくく、よけいな筋肉を使って疲れやすくなります。何よりも、ゆがんだまま体操を行うことになり、ゆがみが改善されません。
首と頭の向きも大切です。頭を上げ、視線は前方斜め45度に落とします。1メートル先を見るイメージです。上を向きすぎたり、真下を向いて両手の間を見たりしないように気をつけましょう。

基本姿勢ができたら、その姿勢を保ちながら実際にハイハイをしてみましょう。
手と足が上手に運べていますか。もしも手首に違和感があったら、手をグーに握ってみてください。進みやすくなるはずです。
ハイハイのスピードは、ゆっくりが理想です。なぜなら、ゆっくり進むほうがストレッチがきくからです。姿勢やテンポに気をつけながら進んだら、体操スペース内の四隅でカーブを描きましょう。このときのポイントは、背骨から大きく曲がること。手だけを使って回らず、体全体で回るようなイメージでカーブしましょう。慣れてきたら、外側の腕の肩甲骨を大きく開いてから内側に巻き込むようにしてカーブします。できるだけ腕を伸ばして、外側の手を内側の手の前に出すようにするとよいでしょう。肩甲骨の筋肉がよく伸びて気持ちよさを感じるはずです。
ハイハイ体操のポイントは、筋肉が伸びているのを感じながら大きくゆっくり行うこと、と覚えておきましょう。

このようにして5分ほど回ります。難しい場合は、10周を目安に回ってみてください。
終了するときはいきなり立ち上がらず、一度ひざをついて、少し休んでから立ち上がるようにします。急に立ち上がると立ちくらみを起こす場合があります。とくにハイハイをしているときは、くれぐれも頭が下がらないように気をつけてください。

赤ちゃんが日常的に行っているハイハイですが、思った以上の運動量があり、終わったあとには心地よい疲労感が残るでしょう。体操を行っている最中でも、疲れたら無理して続ける必要はありません。自分の体と相談しながら進めるようにしょう。

もしひざや肩などに痛みが生じたときは、体操の方法が誤っている可能性があります。もう一度、基本姿勢から動き方まで、鏡を見たり、動画に撮ったりするなどしてすべての動作をしっかり確認しましょう。静止しているときはできていても、動いているうちに姿勢が崩れてくることは、よくあります。誤ったクセがつかないように、一つひとつの動作をていねいに行いましょう。

また、ハイハイ体操をしているからといって、生活習慣がそのままでは、いくら体操を行ってもゆがみは改善しません。ふだんから、スマートフォンやパソコンの操作をすると、立っているときや座っているときの姿勢には注意するようにしてください。

『ゆがんだ「背骨」の整え方』 PART 2 より 栗原隆:著 日本文芸社:刊

図5 さまざまなゆがみのタイプ① ゆがんだ 背骨 の整え方 PART1
図5 さまざまなゆがみのタイプ② ゆがんだ 背骨 の整え方 PART1

図5.さまざまなゆがみのタイプ
(『ゆがんだ「背骨」の整え方』PART1 より抜粋)

図6 ゆがみのセルフチェック① ゆがんだ 背骨 の整え方 PART2
図6 ゆがみのセルフチェック② ゆがんだ 背骨 の整え方 PART2
図6 ゆがみのセルフチェック③ ゆがんだ 背骨 の整え方 PART2

図6.ゆがみのセルフチェック
(『ゆがんだ「背骨」の整え方』PART2) より抜粋)

図7 ハイハイ体操の姿勢① ゆがんだ 背骨 の整え方 PART2
図7 ハイハイ体操の姿勢① ゆがんだ 背骨 の整え方 PART2

図7.ハイハイ体操の姿勢
(『ゆがんだ「背骨」の整え方』PART2 より抜粋)

図8 基本の回り方 ゆがんだ 背骨 の整え方 PART2

図8.基本の回り方
(『ゆがんだ「背骨」の整え方』PART2 より抜粋)

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栗原さんは、ハイハイ体操は、たんに体のゆがみを改善するだけでなく、姿勢がよくなることで、心にも働きかける可能性があるとおっしゃっています。

心と体は、私たちが想像している以上に、密接に結びついています。
体がゆがみは心のゆがみにつながり、体のストレスは心のストレスの現れでもあります。

心のゆがみ同様、体のゆがみは、なかなか自覚できないもの。
それを簡単に教えてくれ、しかも簡単に改善してくれるのが、「ハイハイ体操」です。

ぜひ、皆さんも、その驚くべき効果を試してみてください。

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