本一冊丸かじり! おいしい書評ブログ

本を読むことは、心と体に栄養を与えること。読むと元気が出る、そして役に立つ、ビタミンたっぷりの“おいしい”本をご紹介していきます。

【書評】『10秒胸椎のばし』(酒井慎太郎)

お薦めの本の紹介です。
酒井慎太郎さんの『肩こり・首痛完全解消! 10秒胸椎のばし』です。

酒井慎太郎(さかい・しんたろう)さんは、柔道整復師です。整形外科や腰痛専門病院、プロサッカーチームの臨床スタッフとしての経験を生かし、「関節包内矯正」を中心に、難治の腰痛、首痛、ひざ痛の治療を手がけられています。

肩こり・首こりの原因は「胸椎」にあった!

ひどい肩こりや首こり、首痛などに悩まされている。
そんなトラブルを抱える人は、ほぼ100%、背中の上のほうがこり固まっているのだそうです。

酒井さんは、背中上部がガチガチにこり固まってしまう理由は、『胸椎(きょうつい)』の動きが悪いからだと指摘します。

 背中の上のほう、左右の肩甲骨のまん中は、上から下へと胸椎が走っています。わたしたちの背骨は、7個の頚椎(けいつい)、12個の胸椎、5個の腰椎と仙骨、尾骨で成り立っているのですが、そのうちの胸椎の動きに問題があるのです。
おそらく、「胸椎の動きに問題がある」なんて言われても、全然ピンと来ないという方がほとんどではないかと思います。
それも仕方ありません。これまでの健康医学では、胸椎に対してまったくと言っていいほどスポットライトが当てられてきませんでした。
みなさんご存知のように、頚椎の不調は首痛や肩こりにつながり、腰椎の不調は腰痛へとつながります。このため、頚椎と腰椎に関しては以前から注目度が高かったのですが、これらの人気者に比べて胸椎はまったく見向きもされませんでした。きっと、大多数の人は、胸椎のことを“首と腰をつないでいる背骨の一部”くらいにしか思ってこなかったのではないでしょうか。
しかし、これが大きな盲点、じつは、胸椎こそがわたしたちの健康のカギを握る存在だったのです。
胸椎のしなやかさが失われると、それによる不調が頚椎や腰椎にも伝わっていきます。そしてそれが、肩こり、首痛、腰痛などのトラブルを引き起こす原因になるのです。ですから、もとを辿(たど)れば、胸椎の不調が首・肩・腰のトラブルを引き起こしていると言ってもいいでしょう。
とりわけ、胸椎の動きの悪さは、首・肩をはじめ、上半身の健康コンディションに対して決定的な影響をもたらします。
ですから、背中上方の胸椎付近がガチガチにこり固まっていれば、首や肩のトラブルと縁が切れなくなってしまうのも当たり前。首・背中などの上半身の関節の健康を保つには、胸椎や胸椎付近の筋肉をしなやかに保っておくことこそが重要だったのです。

『10秒胸椎のばし』 はじめに より 酒井慎太郎:著 KADOKAWA:刊

本書は、“胸椎を整えることで関節トラブルを治していくコツをわかりやすくまとめた一冊です。
その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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「ストレートネック」が胸椎の動きを低下させる

胸椎の動きを低下させる原因の一つが「ストレートネック」です。
ストレートネックとは、頚椎のカーブが失われてまっすぐになってしまっているせいで、頭が前斜め上方へ突き出ている状態のことです。

図1 頭が30度前に傾くと 首への負荷は3倍に 10秒胸椎のばし Part1

図1.頭が30度前に傾くと、首への負荷は3倍に
(『10秒胸椎のばし』 Part1 より抜粋)

 人間の頭は、体重の10%程度の重さがあるとされています。
体重60kgの人であれば約6kg。2lのペットボトル3本分ですから、かなりズッシリとした重量であることがお分かりでしょう。球体で言えば、ボウリングの球がだいたい6kgくらいです。そこで、ボウリングの球のように重い頭を支えている背骨の様子を想像してみてください。首や肩がいかに重いものを支えているか、なんとなく分かる気がしませんか。
ただし、頭が前に出ると、6kgどころでは済まなくなります。頭が30度前方向に傾くと、下へ落ちようとする重力負荷が加わって、なんとその3倍の荷重負担がかかるとされているのです。
6kgの3倍は18kg。それだけの重量がかかると思うと、それこそ、たわんだ背骨が途中からボキッと折れてしまわないか、心配になってしまいますよね。さらに、頭が前へ60度傾くと、背骨に4.5倍の27kgの重みがかかるとされています。27kgは小学3年生男児の平均体重。これは、首から子どもをぶら下げているような状態です。つまり、普段から頭を前に出していると、それくらい大きなプレッシャーが頚椎や胸椎にかかることになるのです(上の図1を参照)。
もっとも、頭がちゃんと背骨の上にまっすぐ載ってさえいれば、そうそう問題は起こらないはずなのです。
本来、わたしたち人間の体は、重い頭を無理なく支えられるように、非常によくできた構造の“柱”を備えています。その柱こそが『背骨』です。
先ほども触れたように、背骨は7個の頚椎、12個の胸椎、5個の腰椎と仙骨、尾骨で構成されています。この柱の構造でとりわけ重要なのは、背骨全体がゆるやかなS字カーブを描いている点です。
S字状にカーブしているのは、頭や状態などの荷重負担を分散させるため。すなわち、頭が背骨という柱の上にまっすぐ載っていれば、このS字カーブの機能が働いて重みをうまく逃してくれるようにできているのです。
ちなみに、東京スカイツリーや法隆寺の五重塔などの直立構造物では、地震などに遭っても倒壊することのないように、荷重を分散させる心柱が導入されていることが知られています。人間の背骨のS字カーブにも、これと同様の免震機能が搭載されているわけです。
ところが、頭が前に出てしまうと、このS字カーブの荷重分散機能がほとんど働かなくなり、頭の重みがまともに頚椎や胸椎にのしかかってきてしまうのです。
すると、どうなるか。頚椎は本来前方向にゆるやかにカーブしているものですが、頭の重みに引っ張られるうちにカーブが失われ、ストレートネックが進んでしまいます。さらに頚椎のストレートネック化が進むと、だんだん頭の重みを胸椎で支えざるを得なくなり、これにより胸椎も後ろ方向へ湾曲(わんきょく)するようになって、ねこ背が進んでいってしまうのです。
30度前傾させただけでボウリングの球の3倍の荷重がかかるのです。そんな重量を背骨で吊り下げていれば、頭はよりいっそう前へ傾いて、背中はよりいっそう後ろへ湾曲し丸まって、どんどん姿勢が崩れていってしまうでしょう。このように、頭が前に出てS字カーブが機能しなくなると、うまく荷重バランスをとれなくなり、背骨という柱が柱としての機能を果たさなくなっていってしまうのです。
そして、こうした姿勢の崩れとともに、胸椎の機能もじわじわと落ちていくことになってしまうわけですね。

『10秒胸椎のばし』 Part1 より 酒井慎太郎:著 KADOKAWA:刊

図2 背骨の構造と いい姿勢 悪い姿勢 10秒胸椎のばし Part1

図2.背骨の構造と「いい姿勢」「悪い姿勢」
(『10秒胸椎のばし』 Part1 より抜粋)

背骨は、S字状に湾曲しているからこそ、重い頭を支えることができるのですね。

携帯電話の普及などの影響で、下を向き、首を前に出す姿勢が多くなりがちです。
気をつけたいですね。

胸椎は背骨という柱に“しなやかさ”をもたらしている

背骨は、1本の硬い棒ではなく、骨たちが連なりあいながらしなやかに動くしくみになっています。

酒井さんは、胸椎のいちばん重要な役割は、この“しなやかさ”や“柔軟性”をもたらしている点だと述べています。

図3 胸椎の構造と特徴 10秒胸椎のばし Part2

図3.胸椎の構造と特徴
(『10秒胸椎のばし』 Part2 より抜粋)

 胸椎の椎骨は、腰椎の椎骨と比べるとよく動きます。背骨の椎骨からはそれぞれ『棘突起(きょくとっき)』「横突起(おうとっき)』と呼ばれる骨が出ているのですが、腰椎の棘突起や横突起は後ろへ大きく突き出ているため、これらの骨がストッパーとなってあまり動かない構造になっています。これに比べ、胸椎の棘突起・横突起は小さく寝ているような構造になっていて、そのため前後左右によく動くのです。
とくに胸椎の椎骨が優れているのは“回旋性”です。Part1の最初に『腕回しチェックテスト』を行ないましたが、状態を後ろへ回す柔軟性は、胸椎の椎骨ひとつひとつがしなやかに回旋しているからできること。体をひねって後ろへ振り向くとき、わたしたちは腰を回しているように思いがちですが、じつは腰椎よりも胸椎をメインに回旋させているのです。
そして、この左右の回旋性をはじめとした胸椎の動きのよさが、背骨全体にしなやかさをもたらし、背骨の動き、体の動きをよくすることへとつながっているというわけです。
私は、上半身の体の動きは、胸椎の動きによって支えられていると言っても過言ではないと思っています。すなわち、胸椎がちゃんと可動域をキープして動いているかどうかで、日々の体の動きのスムーズさが決まってくるのです。

また、胸椎の動きは、背骨の荷重分散システムをきちんと稼働させるうえでも、たいへん重要な役割を担っています。
それというのも、左右への回旋をはじめ、胸椎が微妙に動くことによって荷重負担を分散させているのです。たとえば歩いているときに、バランスを崩してちょっとよろけたとしましょう。そんなとき、わたしたちは無意識に体をひねったりくねらせたりして防御動作をとりますが、そうやって体をひねった際に12個の胸椎が連なるように回旋して、上体からかかる重みを逃しているのです。
言わば、回旋の動きをすることによって、背骨にかかる荷重プレッシャーを軽減させているわけですね。つまり、ことあるごとに胸椎が微妙に動いて荷重負担を分散させているから、わたしたちは非常に重い頭を載せながらも、いろいろな行動をとることができるのです。
それに、このように胸椎の上下左右にわずかな可動域があると、たとえ急に大きな力がかかっても、頚椎や腰椎へのダメージが少なくて済むのです。すなわち、大きな負荷がかかったときに胸椎の動きがクッションのように働いて、その力を吸収してくれることになる。そして、こうした『胸椎のクッション機能』がちゃんと働いていれば、頚椎や腰椎を痛めるリスクも少なくなり、首痛や腰痛にならずに済むわけです。
もっと言えば、私は、胸椎のダメージ吸収作用は、頚椎や腰椎だけでなく、骨盤、ひざ、足首などの全身のすべての関節に影響をもたらしていると考えています。『胸椎のクッション機能』がしっかり働いていれば、全身の各関節にかかる負担は確実に減ります。ですから、体の各関節はより長持ちすることになるでしょうし、不意に衝撃を受けたような場合もダメージが吸収され、体を痛めたりケガをしたりすることが少なくなるでしょう。
このような点で、“胸椎にしなやかな可動域があること”は、わたしたちの体を守ることにもつながっているのです。

『10秒胸椎のばし』 Part2 より 酒井慎太郎:著 KADOKAWA:刊

胸椎は、重い頭を支え、クッションの役割を果たしている重要な器官なのですね。
胸椎をいかに柔軟でしなやかな状態に保つことができるか。
いつまでも若々しく健康的な生活をするための秘訣といえますね。

「タオル胸椎のばし」で、胸椎の回旋する力・反らす力をアップ!

凝り固まった胸椎をしなやかな状態に戻すには、日々の「胸椎のばし」を習慣にする必要があります。
酒井さんは、そのためのエクササイズのひとつとして「タオル胸椎のばし」を紹介しています。

 胸椎が固まっている人は、上体を回旋させたり、反らしたりする力が落ちています。『タオル胸椎のばし』は、胸椎の可動域を広げてこうした力を回復させていくメニュー。
まず、背中後方で斜めにタオルを持ち、上げた手の側へ上体を力強くグイッと回旋させます。できるだけ上体をひねった位置で10秒キープ。また、背中後方で水平にタオルを構えた場合も、両腕を力強く上げ、10秒キープ。これらを行なうことで効率よく胸椎の可動域を広げることができるのです。

『10秒胸椎のばし』 Part3 より 酒井慎太郎:著 KADOKAWA:刊

図4−1 タオル胸椎のばし① 10秒胸椎のばし Part3

図4−2 タオル胸椎のばし② 10秒胸椎のばし Part3

図4.タオル胸椎のばし
(『10秒胸椎のばし』 Part3 より抜粋)

酒井さんは、関節に与える刺激としては10秒でも十分むしろ大切なのは、その10秒の刺激を日々の習慣として与え続けていくことだと述べています。

あごを引いて、重心を後ろにかけながら歩く

酒井さんは、胸椎をはじめ、背骨を健康にキープするには“よく歩くこと”が欠かせないと指摘します。
その理由は、歩いていると、足を踏み出すたびに背骨がしなり、胸椎などの椎間関節が小刻みに動かされるからです。

 もっとも、どんな歩き方でもいいわけではありません。前かがみやねこ背の姿勢で歩いていたら、荷重バランスが悪くなって、かえって腰やひざなどの関節を痛めてしまう場合もあります。
ですから、「正しい歩き方の基本」を身につけることは非常に大切。私は“5つのポイント”を意識しながら、正しい姿勢で歩く習慣をつけることをおすすめしています。そのポイントとは、「①あごをしっかり引く」「②両肩を引いて腕をよく振る」「③腰を反らす」「④蹴り出すときに、ひざをまっすぐのばす」「⑤7割方の体重を体の後ろ側にかけるつもりで歩く」の5点です。
いくつか補足しておくと、通勤や買い物ついでに歩くときに腕を大きく振りながら歩くのは少し気恥ずかしい部分もあるので、②の「腕振り」はそのときどきのシチュエーションに合わせて適宜行なうようにすればOKです。
それと大切なのは、⑤の「7割方の体重を体の後ろ側にかけて歩く」です。後ろ重心で歩くと、背骨に体の重みがしっかり載って、各関節がスムーズに動くようになります。“7割”というとだいぶ上体が反ることになりますが、意識していないとつい体を前傾させて歩いてしまうことが多いので、「これ以上後ろに重心をかけたら倒れちゃうよ」というくらいに“後ろ”を意識して歩いてみてください。
とにかく、これら5つのポイントを守っていれば、頭からかかとまでの荷重バランスが整い、背骨をしっかり機能させたかたちで歩くことができるようになります。そうやって背骨という“柱”を正しく使って歩いていれば、首、肩、腰、ひざの関節も痛むことなくスムーズに回り続けていくものなのです。ぜひ、正しく歩く習慣を身につけて、いつまでも末永く関節を回し続けていくようにしましょう。

アフリカの農村では、女性たちが重い水瓶などを頭の上に載せて運んでいる光景がよく見られます。じつは、あれは正しい姿勢で歩いているからこそ可能なこと。頭からかかとまでの重心ラインを後ろ寄りに保ち、そのラインをキープしたまま足を運んでいるから、重い荷物を頭上に載せて歩けるわけです。
つまり、頭に物を載せて歩くことは、正しい歩行姿勢を身につけるためのトレーニングになるのです。では、さっそく本を頭の上に載せて歩いてみましょう。載せる本は、ハンディタイプの辞書など、ソフトで厚みのあるものを選んでください。そして、あごを引き、胸を張って背すじをのばし、7割方の体重を後ろにかけるようなつもりで一歩一歩ゆっくり歩を進めるのです。本を落としたりふらついたりせず、まっすぐスムーズに歩けるようになるまで練習してみてください。きっと、完全にマスターできた頃には「正しい歩き方」が身についていますよ。

『10秒胸椎のばし』 Part4 より 酒井慎太郎:著 KADOKAWA:刊

図5 正しい歩き方の 5つのポイント 10秒胸椎のばし Part4

図5.正しい歩き方の“5つのポイント”
(『10秒胸椎のばし』 Part4 より抜粋)

「歩く」ことは、誰もが毎日する動作です。
正しい歩き方を身につけて、胸椎にやさしい生活を心がけたいですね。

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 酒井さんは、胸椎は人体のまん中にある“体の芯”だとおっしゃっています。

私たちの体を支えている脊椎。
その中でも、頚椎と腰椎に挟まれた胸椎は、見えないし触りにくいということもあり、存在感が薄いです。
しかし、胸椎の果たす役割は、頚椎や腰椎にも劣らず重要だということです。
まさに、“縁の下の力持ち”といえる存在ですね。

胸椎を柔らかくしなやかに保つことは、腰痛や肩こり・首こりを予防し、よい姿勢をキープすることにつながります。
それだけでなく、自律神経の圧迫からくる精神的な不調の予防や改善にも効果があります。

1回10秒から効果があり、いいことずくめの「胸椎のばし」。
皆さんもぜひ、すきま時間のお供にマスターしてみてはいかがでしょうか。

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