【書評】『心を鍛える』(堀江貴文、藤田晋)

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お薦めの本の紹介です。
堀江貴文さんと藤田晋さんの『心を鍛える』です。

心を鍛える


堀江貴文(ほりえ・たかふみ)さんは、実業家です。
「ライブドア」の元代表取締役で、ロケットエンジンの開発やスマホアプリのプロデュースのほか、予防医療普及協会理事など幅広い分野でご活躍帳です。

藤田晋(ふじた・すすむ)さんは、実業家です。
「サイバーエージェント」を1998年に創業、代表取締役社長を務められ、アメブロやABEMA TVなど革新的なビジネスを数々手がけられてきました。

「ハートの強さ」は、意識次第で伸ばすことができる!

藤田さんは、自他ともに認める「メンタルが強い人」です。
ただ、子どもの頃からそうであったのではなく、いろいろな経験を通じて身につけていったものです。

藤田さんは、「ハートの強さ」は、努力や意識の持ち方次第で、後天的にどんどん伸ばしていくことができるはずだと述べています。

 私は1998年にサイバーエージェントを設立し、2000年に最年少上場社長(当時)として東証マザーズに上場(2014年に東証一部上場)。
「アメーバブログ」「ABEMA」(旧AbemaTV)など、インターネット業界に軸足を置き、多様な新しいサービスを世に送り出してきました。
もちろん、その20年余りは順風満帆だったわけではありません。ネットバブルの崩壊や株価の暴落、事業の大転換など、さまざまな浮き沈みを経験。そのたびに幾多の決断を迫られてきました。
とはいえ、私がなんとかここまでやってこられたのは「才能に恵まれていたから」でも「生まれつき頭が良かったから」でもありません。心を強く持って、周囲の意見に流されすぎず、「正しい」と自分が信じた道を突き進み、良い判断を積み重ねてきたからでしょう。
つまり、「強いハートの賜物」であったと思います。

また、それらは「華やかさ」「勢い」などの言葉とは無縁の、「地味」で「愚直」な仕事の結果にすぎません。私の好きな麻雀にたとえると、「耐えている時間がほとんどだった」と形容できるでしょう。
そんな私の「頑張りすぎない経営術・仕事術」には、参考にしていただける部分もあるかと思い、この企画のオファーに応えさせていただくことにしました。

また、「私1人の事例に限らず、よりコントラストを強めた形でメッセージをお伝えできれば」と同年代の“盟友”にも登場を願い、交互にお話をさせていただくことにしました。
愛称“ホリエモン”こと、実業家の堀江貴文さんです。
国民的な知名度を誇る堀江さんについての説明は、もう不要でしょう。
私は1973年生まれ、彼は72年生まれ。1学年先輩の堀江さんと私は、実は20代からの古い仲なのです。

堀江さんとのつきあいは、1998年までさかのぼります。
サイバーエージェントを立ち上げ、わずか半年後の私は、初のメディア事業と呼べる「サイバークリック」を企画しました。そして、当時オン・ザ・エッヂという会社の社長だった彼に「クリック保証型広告」のシステム制作を依頼しました。
当時の堀江さんは、天才的なプログラマーで、業界では“レジェンド”的な存在でした。そのため、1週間足らずという厳しすぎる納期にも関わらず、素晴らしいシステムを開発してくれました。
その後、堀江さんと意気投合したこともあり、単なるシステム受発注の関係ではなく、共同事業として「サイバークリック」を運営していくことにしました。
サイバーエージェントとオン・ザ・エッヂの共同事業は、お互いの足りないところをうまく補い合いながら、うまくいったのです。
その後、メルマガ配信システム「クリックインカム」(後に「メルマ!」)を立ち上げるなど、私は堀江さんと二人三脚で事業を拡大していきます。

自分で言うのは口はばったいのですが・・・・・。
私が営業担当、堀江さんが技術担当、という最高のコンビネーションだったと思います。あまりに昔の話になってしまうので、当時の私たちの間柄を知ってくださっている方は、なかなか貴重な存在です(笑)。
そのころに私たちコンビが手掛けた共同事業は、数多くあります。
「ネット証券会社をやろう」というアイデアもありましたし、スペインに支社を一緒に設立したりもしました。
そして、私たちが最初に世に送り出した「サイバークリック」によって、サイバーエージェントは上場企業への道を歩むことになります。

そんな仲だった私たちも、お互いに会社の上場を果たした後は、それぞれが自社で技術部門、営業部門を抱えるようになり、提携関係はだんだんと弱まっていきました。
でも“最高のパートナー&ライバル”として、堀江さんのことが心のどこかに常にあったことは確かです。

その後の堀江さんの活躍は、皆さんもご存じの通りです。
Eコマースをメインとした事業に参画し、業績を上げ、さまざまな会社を設立して子会社化。さらに「株式会社オン・ザ・エッヂ」を「株式会社ライブドア」に進化させ、プロ野球新球団の設立に名乗りを上げるなど、社会的な知名度をぐんぐん急上昇させていきます。
“業界の風雲児”的な堀江さんに対して、私は一時期、嫉妬のような感情を抱いていたこともあります。そんな本音も、この本では少しずつお話させてください。

私が特に堀江さんを尊敬しているのは、「世の中に叩かれること(マイナスの意味で捉えられること)」を“コスト”や“ダメージ”として捉えていない点です。
たとえば2004年、近鉄とオリックスの球団合併騒動のとき。堀江さん率いるライブドアが、いち早く球団買収に名乗りを上げた際のこと。
「手を挙げるだけなら、タダでしょう?」と、私に明かしてくれたことかあります。

「こんな言動をしたら、世の中からどう思われるだろうか」
「前例のないことをしたら、エラい人たちから顰蹙(ひんしゅく)を買うのではないか」

そんな忖度とは無縁の堀江さんの“鋼メンタル”には学びたい点が多々あります。
もちろん堀江さんとて、完全無欠のヒーローというわけでは、決してありません。
一時期、六本木ヒルズの同じマンションに住み、大変な時期にはご飯を差し入れしたこともあるほど親しい私が言うのですから、間違いありません。

「1学年差の“ほぼ同世代”」「地方出身」「父親は堅実な勤め人」、そして「起業家」といった共通項を持ちながら、興味のベクトルは微妙に異なる。
「動と静」「熱狂と冷静」とも称される、正反対の性質を持つ凸凹コンビ。
こんな私たち2人のコントラストも楽しみにしながら、読んでいただければ幸いです。

『心を鍛える』  はじめに より 藤田晋・堀江貴文:著 KADOKAWA:刊

「ハートの強さ」とは、自分の感情をコントロールできること、変化に対する耐性、動じないこと、ブレないこと、ストレスに対する強さなどです。

本書は、これからの時代により大切になる「ハートの強さ」をどうすれば身につけられるのか、二人の体験談を交えながらわかりやすくまとめた一冊です。
その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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「ヒッチハイク」で心の殻を破る

大学時代の二人の「ハートの強さ」を培ったもの。
堀江さんの場合、それは「ヒッチハイク」でした。

「浪人時代からヒッチハイクでの貧乏旅行にハマってさ」。そんな友人・中谷君の誘いがきっかけで、大学1〜2年の僕は、北海道以外の都府県すべてを彼と回った。
高速道路のサービスエリアやパーキングエリアで、休憩中のドライバーに片っ端から声をかけた。とはいえ1台目から乗せてもらえることは稀だ。
断られたらショックを受けるし、めげそうにもなる。でも10台に1台くらいの確率で乗せてもらえる。どんなときでも30台に声をかければ確実だ。初めて声をかけた時の緊張感、承諾してもらえたときの達成感は、今でも記憶している。

些細なことに思われるかもしれないが、こんな小さな成功体験を積み重ねることで、相手が見ず知らずの人だろうと、堂々と声をかけたり、目を見て話したりできるようになった。そして、生粋の男子校上がりの大学生にありがちな「女性アレルギー」も、少しずつだが克服できるようになっていった。
意外に思われるかもしれないが、僕はヒッチハイクを通じて、自分の殻を破れるようになったのだ。
自分の殻を破りたいとき、言い換えると「誰とでも自信を持って接したい」とき、何もせずにダラダラと過ごしていても現実は変わらない。でも、どんなに小さなことでもいいから、人にもまれる経験を積めば、自分を変えていくことだってできる。

つまり、生まれつき口八丁手八丁で、社交的で、営業や交渉に長けている人なんていないと思ったほうがいい。優秀な営業マンやタフなネゴシエーター(交渉人)に見える人ほど、過去に人にもまれる経験を積み重ねているはずだ。
もちろん、「心を強くしたかったら、今すぐヒッチハイクをしろ」なんて短絡的なことを言うつもりはない。ただ、なんらかの小さな成功体験を積み上げていくことはマストだと思う。

『心を鍛える』 第1章 より 藤田晋・堀江貴文:著 KADOKAWA:刊

今の堀江さんからは、想像できないですね。

苦手なことでも、失敗を恐れずにチャレンジしてみること。
小さな成功体験の積み重ねだけが、何ものにも動じない自信を生み出します。

「麻雀」から学んだ哲学とは?

一方、藤田さんの心を鍛えたのは「麻雀」でした。

 第1章の終わりに、私が麻雀から学んだ哲学をお伝えしたいと思います。
というのも、私が18歳、つまり大学1年生のとき、「稀代の勝負師」と称される桜井章一会長が設立した麻雀の競技団体(道場)である「雀鬼会」に約1年もの間、通っていたからです。
最初の動機は「もっと強くなりたい」というものでしたが、ほどなくして私は桜井会長の人間的な魅力に大きな感銘を受けるようになります。
ですから、「麻雀のルールすら知らない」という方にもわかりやすく、桜井会長の麻雀哲学についてお話します。桜井会長の麻雀哲学は深淵で、実はビジネス哲学、ひいては人間哲学でもあるのです。
そもそも「雀鬼会」の狙いは、「若者の人間力を鍛える」というものでした。「心を強くする」という本書のテーマと見事にリンクしています。
桜井会長から学んだ教えの中で、特に私の心に響いたのは「洗面器から最初に顔を上げた奴が負ける」という言葉です。
水を張った洗面器に顔を突っ込んていると、誰もが息をできず、苦しくなります。
でも顔を上げたら、負けが確定してしまう。「そんなときに最も必要なのは、忍耐力なのだ」と桜井会長はよく話してくれたものです。
私は年齢を重ね、その言葉の意味がよくわかるようになりました。
仕事というレースで脱落していく人を順番に挙げると、確かに、①忍耐力のない人、②目標設定の低い人、③固定観念が強くて変化できない人、になると思います。
無論、心を強くするためにも、忍耐力は必須の能力でしょう。

麻雀をやっていて、気分が一番ラクなのは、点数をたくさん持っている状態です。
そして、ほかの人と競り合っていると苦しいため、「早く一人勝ちの状態になりたい!」と無理をして、アガろうとしてしまいがちです。
つまり、本当の勝負のときではないにもかかわらず、無理をするから自滅を招いてしまうのです。
また、1人で大負けしていると、「なんとか挽回しなければならない」と気負って、やはり無理をし、自滅してしまいがち。麻雀というのは「チャンスが来るまで待つ」という忍耐力を競うゲームでもあるのです。
それは実社会でも同じこと。最後に生き残るのは、やはり忍耐力がある人です。

麻雀というゲームには、不条理な要素が満ちています(自分は何も悪いことをしていなくても、ツモられまくって点棒を失ったり、何度も連続でリーチ負けしたり、早いテンパイで多面待ちなのにアガれなかったり・・・・・)。
ですから、理不尽な形ではからずも劣勢に追い込まれてしまったとき、そこで「開き直る」のは禁物です。「開き直る」というと聞こえはいいのですが、実際は「早くラクになりたい」という欲望に負けてしまっているだけなのです。

また、麻雀の途中でキレることも当然、良くありません(無謀な勝負に行く人と、怖くなって極端に「降り」を選択する人、両方のタイプがいます)。
キレるというのは、我を失うことと同じです。我を失った人は、相手から見れば格好の餌食。
結局、キレたらそこでゲームオーバー。敗北してしまうのです。
また、これとて仕事においても同じこと。上司や取引先、先輩、同僚に、思わずキレそうになったことなんて誰にでもあることでしょう。
でも、最後に微笑むのは、いつも忍耐強く、我慢強く、ゲームを投げ出さなかった人だけ。つまり、心を強くして耐えることが大事なのです。

桜井会長はさらに、「言い訳をするな」とも教えてくれました。
当時の私は、遊びたい盛りの18歳。道場にお金を払って「遊び」に来たつもりなのに、そんなことを言われたため、理不尽な気がして正直なところ、“不服”でした。
この教えは、その後の私を何度も助けてくれました。
「何が起きても自分のせい」というマインドを桜井会長に叩き込まれたおかげで、経営者としても、1人のビジネスパーソンとしても、信用されやすくなったからです。
ビジネスの世界では麻雀と同じように、誰もが“確率”と“偶然”に左右されます。
ですから言い訳をしようと思えば、そのフレーズはいくらでも出てきます。
「景気が悪いから、うまくいかなかった」
「良いスタッフがいないから、プロジェクトが失敗した」
「ライバル企業のおかげで、価格を下げざるを得なくなった」・・・・・。
しかし、「言い訳のオンパレード」のような人と一緒に働きたいと周囲は思うでしょうか。もしくは、そうした会社に投資をしたいと思うでしょうか?

厳しく聞こえるかもしれませんが、言い訳のセリフが口をついて出る時点で、ビジネスパーソンとしての姿勢がなっていないと私は思います。
震災が起きようが、金融危機が起きようが、「何が起きても自分のせい」という心構えさえあれば、あらゆる事態を想定して準備できるはず。そして、何が起きたとしても、粘り強く対応できることでしょう。
そんな張り詰めたような緊張感を持って初めて、自分の仕事をまっとうできるのではないでしょうか。

麻雀にしても同じことです。ゲーム中に不平や不満、言い訳などを口にし出したら、誰でもキリがないことでしょう(「今回は配牌が悪かったから」「追っかけリーチにつかまされたから」など)。
また、すぐに言い訳をする人が、心の準備がじゅうぶんに整っている人に勝てるわけがありません。それは、穴だらけのバケツで水を汲み続けているようなものです。
さまざまな結果がついてこないのはもちろん、周囲の誰をも幸せにしないでしょう。

・・・・・いけませんね。麻雀のことになると、つい熱く語ってしまいます(笑)。
「忍耐力を養うこと」そして「言い訳をしないこと」。桜井会長の素晴らしい2つの教えを、あなたにもシェアさせてください。
泥臭く粘れるのは、若さの特権でもあります。
この2つの教えが、心の強化に役立つのは間違いありません。

『心を鍛える』 第1章 より 藤田晋・堀江貴文:著 KADOKAWA:刊

「忍耐力」が一番大事。
言い訳をしないこと。

当たり前のことかもしれませんが、麻雀と同じく“確率と偶然”が支配するビジネスの世界で成功し、活躍を続ける藤田さんが言うと説得力がありますね。

「皮膚感覚」を何もよりも重視する

堀江さんは、いわゆる「ライブドア事件」で逮捕され、2年半の刑務所生活を送りましたが、その経験から得た教訓は「皮膚感覚」を大切にすることでした。

 まずお話したいのは、人の感情の「面倒くささ」についてである。
そもそもライブドア事件の発端は、「側近」と思い込んでいた部下が、検察へ密告したことだった。後から聞こえてきたことだが、僕が飯に誘わなくなったことが理由らしい。その真偽はわからないし、確かめる気力もない。
しかし、「部下に対して、もっと情をかけて接していたら、ライブドア事件なんて騒ぎは起こらなかったのではないか」という気はする。
そういった感情のケア、つまり気遣いにかけては、藤田さんは天才的だ。生来の性格の良さだろう。周囲への気遣いがナチュラルにできてしまうのだと思う。
他の企業でも、人徳を集めていたり、「人たらし」と称されたりする経営者を見かけることがある。部下の相談に乗ったり、士気を高めるためにイベントを開いたり、社内制度を充実させたり・・・・・。
そういう態度や施策が人の心をつかむというのは、当然わかる。でも僕には、それができない。というか、そっちの方向にまったく興味が持てない。性分だから仕方がないだろう。どこまでいっても、僕は会社の人間とコミュニケーションを楽しむことの意味が理解でいないのだ。
たとえば、部下が悩みを抱えていると知ったとき、「一緒に飲みに行って相談に乗る」というような方法が、低レベルの話に思えてならないのだ(そこは、世間が僕に抱いているドライなイメージそのまんまと思ってもらっていい)。
もちろん、それが一般社会では奨励される経営者の姿だと頭ではわかっている。

つまり、人の「感情」とは非常に面倒くさいものなのだ。
僕自身は「好きな仕事にのめり込めればハッピー」という性質なので、従業員のケアやフォローなどに回ることが苦痛で仕方がない。「みんなも純粋に仕事を楽しんでくれればいいのに、なぜそうならないのか?」と不思議にすら思ってしまう。
そんな人間は、人を雇ったりせず、一匹狼で頑張るのが正解なのかもしれない。

面倒なのは「部下の感情」だけじゃない。「世間一般の感情」についても、面倒くさいという思いしかない。
ライブドア事件の直後。「村上ファンドの村上世彰さんみたいに、世間にきちんと詫びを入れていたら、あなたも同情を集めて許してもらえたんじゃないか」とよく言われた。確かに、その通りかもしれない。
村上さんは、ニッポン放送株についてインサイダー取引をしていたということで逮捕された。控訴審で、村上さんは3年の執行猶予つきの判決だった。一方、僕は懲役2年6ヶ月の実行判決。この差は、僕は反省の態度を見せなかったからと思えてならない。無論、量刑が恣意的なものであっていいはずがないのだが・・・・・。

ある人からは、こうも指摘された。
「世間に対して詫びる必要はまったくないけれど、多くの人に誤解されている“ホリエモンのイメージ”に、お詫びしなさい」と。
何だか複雑でよくわからない構図だけど、それが正しい方法だったのかもしれない。つまり「演じなさい」ということだ。
僕がおとなしく謝れば、世間の「感情」をなだめることもできたのだろう。
しかし、そんなパフォーマンスをするなんて、絶対に願い下げだ。
「悪いことをしていないのに頭を下げること」は皮膚感覚的に耐えられない。村上さんはそこを演じられる“大人”だが、僕にはそれができなかった。
僕にだって守りたいものはある。
一度自分に嘘をついたら、一生自分に嘘をつき続けなければいけなくなる。どんどん自分が自分ではなくなっていくだろう。
そんな生き方はごめんだ。

あのとき頭を下げなかった僕は、自分が築いてきた会社も、地位や名声も、そして夢さえも失った。でも、まったく後悔していない。
もし、あそこで僕が“大人”になり、世間に謝っていたら、その後悔は一生ついて回っただろう。

ここで、”大人”について定義をしておこう。
僕はこれまで何度となく「大人になれよ」と言われてきた。彼らが言う“大人”とは、「周りの空気を読み、自分の意見を抑え、その状況を無理やり納得するために、自ら進んで思考停止のプロセスに入っていける人」を指す。
そんな“大人”たちが、僕にまで「大人になれよ」と同調圧力をかけてくる。それは「大人になれ。後で便宜をはかってやるから」と交換条件を出されているのと等しい。相手から「イヤ」という感覚を奪っていこうとする。それは、とても危険な“洗脳”だろう。

皮膚感覚でイヤなものは、どう思われようと断固として断るべきだ。
なぜなら、皮膚感覚でイヤなことを受け入れた後の後悔は、決して拭えないからだ。

これが僕の主張。藤田さんは、こんな僕のことを「青い」と笑うかもしれない。
さて、あなたはどう思うか?

『心を鍛える』 第3章 より 藤田晋・堀江貴文:著 KADOKAWA:刊

堀江さんに限らず、誰にでも「それだけは絶対にイヤ!」ということはあるでしょう。
そこで自分を偽って、周りに迎合していては、心はいつまでも強くなりません。

どんな犠牲を払っても、「皮膚感覚」に反することはしない。
そんな覚悟が、人生に一本の芯を通します。

大切なのは「直感」と「熱狂」

一方、藤田さんが、大事にしているのは「直感」「熱狂」です。

30代後半に、藤田さんが常に抱いていたのは、「アメーバブログは、絶対にいけるはずだ」という直感でした。

 2007年8月に掲げた「8ヶ月で月間30億ページビューを達成する」という目標を、私たちは2008年1月に達成します(目標を2ヶ月も前倒しできたのです)。そして、2009年には月間100億ページビューを達成します。
弊社の“お荷物”だったメディア事業部が、会社の稼ぎ頭となったのです。

振り返れば、よく批判されました。なんでも「海外でもブログが儲かったという事例はない」と言うのです。
もっともらしく聞こえる意見ですが、私は実体験としてブログの面白さを認識していたので、その可能性に賭けました。
たとえば、ブログにコメントを残してくれたAさんという人がいたとき、すぐにAさんのブログをのぞけるだけではありません。そこからさらに、AさんがすすめるBさん、Cさん・・・・・、未知の人たちの面白いブログにワープまでできるのです。
つまりブログを中心として、ネット上を楽しく回遊できるというわけです。手前味噌で恐縮ですが、こんなに面白い世界はなかなかないでしょう。
もし私が、他の人の言うことを聞いていたら、ブログ事業から手を引いていたはずです。でも、私がアメーバ事業から撤退せず、なんとか成功できたのは、直感を大事にしたからでしょう。
理屈や論理で成功するのは、ある程度のところまでが限界です。大ホームランを打つには、心を強く保ち続けることが大事な気がします。
では、どのようにブログが伸びていったのか。少しお話させてください。

最初のきっかけは、芸能ブログでした。
インターネットのメディアは本来、技術力を高めてページビューを伸ばすのが王道です。でも、技術力の体制づくりには時間がかかりそうでした。そのため、芸能ブロクを強化したのです。
私は先頭に立ち、芸能プロダクションとの関係づくりに尽力しました。芸能人のブログが当たると、そのサービスが成長するのは業界の常識でした。だから私はプロダクションの方と会食をするなど、交流に力を注ぎました。

もちろん、誤解を招くこともありました。
たとえば「多額の謝礼や原稿料を支払っているから芸能人か集まるし、その支払いがアメーバの赤字を大きくしているのだ」という誤解です。これらはまったく見当違いの指摘です。
多数の芸能人ブログが開設された理由は、「悪質なコメントには監視体制を敷いてチェックして削除する」というサービスをつけたからです。悪質な書き込みをする人のパワーはすさまじいため、止むを得ません。
誹謗中傷された芸能人は、ブログをやめるどころか、精神的に追い込まれてしまいます。芸能人とて人間なのです。
こんな対策を立て、各方面から協力をいただいたおかげで、一流の人たちがアメブロに集まってくれました。

思い返せば、芸能人ブログを始める際も、事業部内に反対意見はありました。しかし、私は“熱狂”していました。
苦しいときは、メディア企業の大先輩である幻冬舎の見城徹社長の言葉を、よく思い出していたものです。
「すべての創造はたった1人の『熱狂』から始まる」
実際、見城社長には何度救われたかわかりません。今でも感謝しています。

『心を鍛える』 第3章 より 藤田晋・堀江貴文:著 KADOKAWA:刊

これまで誰もやっていないことを成し遂げる。
それには、周囲の雑音に惑わされずに、それに没頭できる、ある種の「熱狂」が必要です。

その熱狂を作り出す“種火”が「直感」です。
自分の中から湧き上がってきたものだからこそ、何があっても信じることができるのでしょう。

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堀江さんは、心を強くしたければ、人の輪を広げておくことだとおっしゃっています。
その理由は、人が心を強くできるのは「誰かのため」という利他的な目的があるときだからです。

自分の信念、価値観を前面に押し出すと、周囲から批判されることが多いです。
ただ、逆に、それに惹き寄せられて近寄ってくる人が必ずいるというのも事実です。

これからは「個性の時代」だと言われています。

自分らしさを貫きながらも、自分なりのコミュニティを作って居場所を作ることができるか。
それが人生の充実度に直結します。

堀江さんにしても、藤田さんにしても、そんな理想の生き方を体現者といえます。

次は、私たちの番です。
お二人から「心の強さ」を学んで、誰でもない自分だけの人生を歩んでいきたいですね。

心を鍛える

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