【書評】『自律神経を変える「たった1ミリ」の極意』(小林弘幸)

LINEで送る
Pocket

 お薦めの本の紹介です。
 小林弘幸先生の『自律神経を変える「たった1ミリ」の極意』です。

 小林弘幸(こばやし・ひろゆき)先生は、日本体育協会公認のスポーツドクターです。
 自律神経研究の第一人者として有名で、ベストパフォーマンスを出すために重要なことを医学的に研究・分析し、数多くのトップアスリートやアーティストを指導されています。

「たった1ミリ」が人生を変える


 小林先生は、これまでさまざまな分野における「超一流」といわれる人たちと出会ってきました。
 彼らの行動、言葉、心の持ち方など、その生き方にはいくつもの共通点があることに気づきます。

 超一流の人も、生まれたときから大天才だったわけではありません。
 その多くは、あるとき、超一流となるための「極意」に気づき、日々、こつこつとそのことに意識を向けつづけた結果、自らの心と体のなかから超一流の能力を引き出すことに成功したとのこと。

 白い紙の左端に、「小さなピリオド=黒丸」を描き、そこからまっすぐ水平に線を引きます。
 それが超一流でない人の心と体の状態です。

 次に、黒丸から1ミリ=1度でも上に角度をつけて直線を引きます。
 これが「超一流の人」の心と体の状態です。

 その線は最初に引いた水平線より上へ伸びていきます。
 そして、長く引けば引くほど、最初に引いた線との距離=高さはどんどん広がっていきます。

 小林先生は、この「最初のたった1ミリの上下の差こそが、超一流の人とそうでない人の違いとなる」と強調しています。

 本書は、超一流の人に共通する“人生のパフォーマンスを高める極意”を解説した一冊です。
 本書で取り上げられている方法はどれも簡単でシンプルなことばかりです。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

スポンサーリンク           

徒党を組まない


 小林先生は、「超一流の人は孤独を恐れない」と述べています。

 超一流の人は、ムダに徒党を組むことはありません。
 愚痴(ぐち)を言い合ったり、おべっかを使い合うような関係の人からは距離を置きます。

 逆に、相手がどんな立場の人であろうと、一緒にいて自分が向上するための人、話していて元気が出てくるような人との付き合いは、律儀(りちぎ)なほど大事にします。

 つまり、超一流の人は、慣れ合いの付き合いをしないのです。
 徒党を組んだり、慣れ合いの付き合いをしたくなるというのは、ひとことでいえば、自分に力がなくて、誰かの力を借りたいと思っているからです。
 けれども、そんなとき、いくら徒党を組んでがんばっても、残念ながら、自分の力を伸ばすことはできません。よくいわれる傷のなめ合いで、ストレスによって乱れた自律神経がますます乱れる不毛な時間がいたずらに過ぎていくばかり。そして、それは自分だけでなく、相手のためにも、何の利益にもならないのです。
 ですから、超一流の人は、一見、クールなほどに、そういう付き合いを遠ざけます。そして、その時間を、自分の心と体を磨くために使います。すると、悪い自律神経は悪い自律神経を呼び、いい自律神経はいい自律神経を呼ぶ―――という法則通り、その人の周りには自然にいい自律神経の人だけが集まるようになるのです。
 また、さらに申し上げると、自律神経のバランスを乱す最たるもののひとつが、ジェラシーや怒り、あるいは妬みやそねみの感情です。このことは、私の実験でも数値としてはっきり計測されています。人が、嫉妬の炎に燃えているとき、怒りや愚痴など、ネガティブな言葉を吐いているとき、その人の自律神経は一気に乱れ、血管は収縮し、血液はどんどん、どろどろの状態になっていきます。すると、内臓の機能は低下し、ホルモンのバランスも崩れ、肌や髪も瑞々しさをどんどん失っていく。つまり、嫉妬やネガティブな感情に満ちた付き合いは、その人の健康だけでなく、外見の美しさもどんどん醜く衰えさせてしまうのです。
 つまりは、自分の身を守るためのはずの慣れ合いの付き合いが、じつは、自分の身を想像以上に滅ぼしていた―――。私もこの驚くべき結果を見て、ますます慣れ合いの付き合いはやめようと意識するようになりました。
 ですから、もしもあなたがいま、自分の力が足りなくてどうにかしたいと思っておられるとしたら、自分の周りに同じような人を求めて徒党を組むためにがんばるのではなく、自分の心と体を健やかに磨くために意識を向けることをおすすめしたいです。

 『自律神経を変える「たった1ミリ」の極意』 5 徒党を組まない より 小林弘幸:著 ポプラ社:刊

「類は友を呼ぶ」ですね。

 イライラしている人の周りにはイライラしている人が集まります。
 また、嫉妬深い人の周りには嫉妬深い人が集まります。

 いい人間関係を築きたいのなら、自分自身の心と体を健やかに磨くこと。
 その第一歩が、孤独を恐れない勇気を持つことです

「師」を見出す習慣


 超一流の人は、人生のあらゆる場面で、その折々に「師」を見出します。
 相手の年齢や性別、肩書などは、まったく頓着(とんちゃく)しません。

 実際に出会った人でも、歴史上の人物でもいいので、自分にとっての超一流の人に出会ったら、一日に一回でもその人をわくわく意識することが超一流になるための極意です。

 なぜなら、「胸がわくわくするほど憧れる」という意識も、あなたの自律神経を整え、心と体を柔軟にし、前へ進む原動力になってくれるからです。
 たとえば、超一流のスボーツ選手に話を聞くと、ほとんどの人が、子供の頃から自分にとって憧れのヒーローを持っています。そして、そのヒーローに憧れ力を、前へ進む原動力としてきた結果、厳しい練習に耐え、研鑽を重ねて、超一流へと成長したのです。
 また、素直に誰かに憧れられる。あるいは、いろいろな人のよさを謙虚に師として見倣(なら)える―――。そういう人は、人一倍、人生のチャンスを呼び寄せます。
 ここに、肉体においても頭脳においても、同じような素質、能力を持っている人が、ふたりいるとします。
 ひとりは、謙虚にいろいろな人のよいところを倣える人。
 ひとりは、自分がいちばんだと、人を下に見る人。
 そして、どちらがより人生のチャンスを呼び寄せるかといえば、やはり、前者です。なぜなら、いろいろな人のよいところを謙虚に見倣える人は、おのずと、いろいろなよい人が寄ってきて、助けて、引き上げてくれるからです。
 自分に自信を持つことは、もちろん大事です。それも超一流の条件だと思います。けれども、もっと大事なのは、いかにいろいろな人のなかに師を見出だせるかどうか―――。これまで出会ったさまざまにすぐれた師=人たちを自分の宝として、折に触れその人たちに倣うことを、私も意識するようにしています。

 『自律神経を変える「たった1ミリ」の極意』 21 師を見出す習慣 より 小林弘幸:著 ポプラ社:刊

 人は、いくつになっても学んで成長することができます。

 周囲の人の良いところは素直に認め、見倣う姿勢は持ち続けたいですね。

忍耐は好きなことのためにする


 超一流の人は、嫌なことに対して忍耐をせず、忍耐を100%自分の好きなことのみに使います。

 嫌なことに対しての忍耐は、結局は、人にも自分にも何もいいことをもたらさないことを、彼らはクリアに分かっているからです。

 超一流の人の「忍耐」は好きなことだけで構成されていますから、そのなかにネガティブなものは、一切ありません。だから、彼らは愚痴や不平不満を言わなくてもすむし、心と体の能力も100%以上、どんどん発揮できるのです。
 一方、そうでない人の「忍耐」は大半が嫌なことで構成されていますから、ついつい愚痴や不平不満が出てしまいます。その結果、自律神経はますます乱れ、心と体の能力もどんどん低下してしまうのです。
 そのことがはっきり分かる好例が、2012年のプロ野球にもありました。北海道日本ハムファイターズの中田翔選手がプロ5年目にしてやっとその才能を開花できたのは、彼の忍耐の中身が変わったからです。ドラフト会議では「高校ビッグ3」のひとりといわれ、その長距離打者としての才能を期待されたものの、入団して4年目までの中田選手は、ちょっと打てなければレギュラーから落とされる、つまり、相手チームではなくベンチと戦わされていたようです。けれども2012年、監督となった栗山英樹さんから「どんなに不調でもレギュラーの四番で使いつづける」と言われ、ベンチと戦う必要がなくなった。もちろん、四番バッターの重責は大変なものがあったでしょうが、そこに耐える忍耐は、まさに好きなこと=打つことのみに変わった。だから彼は開花できたのだと、私は思うのです。もちろん、中田翔選手の開花には、これまでの彼や指導者たちの努力、栗山監督の慧眼(けいがん)、さらには彼の資質もあります。けれども、それを見ていて、「やっぱり人が伸びるためには好きなことのための忍耐がいちばんなのだ」と、私は改めて痛感したのでした。
 ですから、あなたがもし嫌なことばかりで「忍耐」をされて、心や体を不調にされておられるなら、ここでもう一度、「忍耐」の意味を書き換えていただきたいと思うのです。嫌なことで忍耐するのは、間違いの忍耐。好きなことをするための忍耐が本当の意味での忍耐です。そして、それを意識することが、あなたの心と体の能力を100%以上引き出すための、極意の1ミリなのです。

 『自律神経を変える「たった1ミリ」の極意』 30 忍耐は好きなことのためにする より 小林弘幸:著 ポプラ社:刊

 嫌いなことをするために忍耐するのは、それだけ精神に負担をかけます。

 忍耐、つまり意志の力は「消耗品」です。
 使ったら使っただけ、磨り減っていきます。

「好きなことのみをするための忍耐が本当の意味での忍耐」

 つねに意識したいですね。

すぐに変えられる「五つの行ない」


 超一流になるための極意は、まずは外側=目に見えるものから変えることです。

 超一流の人が持っている「自分を変える意識」は、以下の5つです。

  1. 食事
  2. 話し方
  3. 姿勢
  4. 仕草
  5. 立ち居振る舞い

 本当に、たったこれだけです。けれども、この五つをすべて超一流に変える意識を持つことさえできれば、その人はもうすでに超一流になる世界へ着々と歩み出している―――。それは本当に、間違いのないことなのです。
 性格は、一朝一夕では変えられません。
 体力も、一朝一夕では強くなりません。
 弱いメンタルを強くすることも、一足飛びになかなか難しい。
 さらに仕事や環境も、一気に超一流へと飛躍するなどということは、よほどの幸運に恵まれない限り、やはりなかなか叶えられないと思います。
 たとえば、超一流の人になるためにも、もっと体力をつけたいと願っている人がいるとします。けれどもその人に、「じゃあ、明日からスポーツジムに通って毎日1キロ泳いでください」「明日から毎朝5キロ走ってください」と言ったとしても、それができる人はほとんどいないと思うのです。ですから、私は、そういう誰もが出来得ない方法は、本書では、一切、申し上げたくないのです。
 けれども、「食事」「話し方」「姿勢」「仕草」「立ち居振る舞い」、この五つなら、どんな人でも、ちょっと意識するだけで、いまからすぐにでも変えられるはずです。だからこそ私は、まずはこの五つを変える意識を持つことを、ぜひおすすめしたいのです。
 武術の世界でもスポーツの世界でも、上達するためには、「まずは超一流の人の真似から入れ」といわれたりします。あるいは、芸事などの世界においては、「形から入って魂を入れる」という言葉もあります。そして、それはまさに、真理をついた言葉だと、私は思うのです。なぜなら、先程からも申し上げている通り、自分の心と体を超一流のほうへ変えるためには、超一流の真似=形から入るのが、もっとも簡単で、しかもいちばんその効果が高いからです。食事、話し方、姿勢、仕草、立ち居振る舞い。この五つを、最初は超一流の人のものの真似でもいいから日々、こつこつと意識して変えていくと、だんだん外側だけでなく、心も体も超一流になっていく―――。まさにそれこそが、「形から入って魂を入れる」ということなのです。

 『自律神経を変える「たった1ミリ」の極意』 36 すぐに変えられる5つの行ない より 小林弘幸:著 ポプラ社:刊

 内面(メンタルの状態)は、必ず外面に表れます。
 超一流の人は、どんなときでも穏やかで冷静さを保つことができる人です。

 上に挙げている5つを変えようと意識するだけで、心の状態も落ち着いて整います。

 習うより慣れろ。
 実行あるのみですね。

スポンサーリンク           

☆    ★    ☆    ★    ☆    ★    ☆

 どんなに高い山でも、登り切るためには、一歩一歩、歩みを重ねるしか道はありません。
 超一流といわれる人たちは、その“一歩一歩”を着実に登り続けた人たちです。
 一歩一歩は小さくても、積み重なると、大きな差となって表れます。

「ローマは一日にしてならず」

 できることから、ゆっくりと着実に。
 誰でもできる「たった1ミリの習慣」、続けていきたいですね。


にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 15

フォローする

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA