【書評】『快眠したければ「首」を緩めなさい』(小林弘幸)

LINEで送る
Pocket

 お薦めの本の紹介です。
 小林弘幸先生の『快眠したければ「首」を緩めなさい』です。

 小林弘幸(こばやし・ひろゆき)先生は、日本体育協会公認のスポーツドクターです。
 自律神経研究の第一人者で、数多くのトップアスリートやアーティストを指導されています。

「眠れない」の原因は、首の凝りにあった!


 今の世の中、不眠に悩まされる人はとても多いですね。
 実は、そのような人はほぼ100%、首の後ろがガチガチに凝り固まっているのだそうです。
 小林先生は、首の凝りこそが、不眠の最大の原因だと指摘します。

 首は、脳と体をつなぐ橋、私たちの体の中でもっとも重要なコネクターのひとつ。
 起きている間、約4〜6kgの重さのある頭を支えている一方、血流や神経などを通じて、脳と体のスムーズな連携を保っています。

 首の凝りによる血行不良は、どの部位の凝りよりも脳と体の血行不良への影響は大きくなります。
 したがって、不眠を解消し、心身に蓄積された慢性的な疲労感を取り除くには、首の凝りをほぐすことが最も重要となります。

 本書は、「首を緩める」ことで睡眠の質を高めるための方法について、具体的にわかりやすく解説した一冊です。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

スポンサーリンク           

「パソコン・携帯」の長時間使用が、首をこわばらせる


 小林先生は、現代人の首が凝りやすい最大の原因のひとつとして、「姿勢の悪さ」を挙げています。

 まず、「姿勢の悪さ」についていえば、これはまさに現代病といえます。
 首は体の中でも細い場所であるにもかかわらず、起きている間はつねに体重の約1割、まさにボウリングの球ほども重さのある頭を支えているため、頭の位置が脊柱(せきちゅう)の真上から少しズレるだけでも筋肉が緊張してしまいます。
 とはいえ、適度な緩みのある正常な首の状態では、頸椎(けいつい)は30~40度カーブ(=生理的前弯(ぜんわん))していて、それがバネのような役割を果たし、日々の行動の中でたとえ多少の頭の位置のズレがあっても、その負荷を上手く吸収し、首の筋肉のこわばりを防いでくれているのです。
 けれども、現代社会においては、その本来の首のカーブさえ失ってしまうほど首がガチガチに硬く凝ってしまっている人が、急増しています。
 それがいわゆる「ストレートネック」という症状です。
 本来であれば、30~40度カーブしている正常な頸椎のカーブがなくなり、首がほぼ一直線に硬くこわばってしまったために、頭の重みの負荷が一気に首に集中し、結果、自律神経を乱し慢性的な疲労感や不眠を招いてしまうのです。
 そして、そんなストレートネックの症状を引き起こすいちばんの原因は、やはり「姿勢の悪さ」なのです。
 とくにパソコンや携帯電話などを長時間、猫背で、あるいはうつむいた姿勢で作業すると、それによって頭の位置はつねに脊柱から前にズレた状態となり、首の筋肉がガチガチにこわばり、問題のストレートネックが引き起こされてしまう。そして、首の血行は悪くなり、副交感神経が乱れ、気がつけば慢性疲労感、不眠などの状態に陥ってしまうというわけなのです。
 さらに、パソコンや携帯などの長時間の使用は、それだけでも首まわりの筋肉を疲労させることも分かっています。
 その原因のひとつが、パソコン・スマートフォン(スマホ)などのブルーライトです。ブルーライトは、波長の短い光で、紫外線に近く、強いエネルギーを持っています。このブルーライトが目を強く刺激し、副交感神経の働きを下げ、交感神経の働きを上げてしまいます。ですからパソコンやスマホを長時間使用すると自律神経が乱れて、とくに自律神経のバランスに大きな影響を受ける首の血行も悪くなり、結果、首が硬くなってしまうのです。
 また、パソコンなどの長時間使用によっての指先、手の疲労も無視できない問題です。
 それはなぜかといえば、パソコンで指先を使うと、重い物を持ちつづけるときと同様に手首から先の筋肉=前腕屈筋群(ぜんわんくっきんぐん)が酷使されます。すると、それをフォローするために、肩の三角筋や大円筋にも疲労が拡大してしまいます。ですから、重い物を持つという肉体労働だけではなく、デスクワークにおけるパソコンの長時間使用、あるいは携帯、スマホの頻繁な使用による交感神経のアップ、さらには指先、腕の活動疲労が私たちの首、肩をガチガチに硬くしてしまうというわけなのです。

『快眠したければ「首」を緩めなさい』 第1章 より 小林弘幸:著 小学館:刊

 一日中、机に座ってパソコンとにらめっこし、家でも携帯をずっと見ている。
 そんな現代人にありがちな生活が、最も首に負担をかけているということですね。

 パソコンのモニターや携帯を見る位置をできるだけ高くする。
 パソコンでの作業は、1時間に一回、必ず休憩をとる。

 首の負担を少しでも軽くするために、できる限りのことはしたいですね。

不眠改善の鍵となる「迷走神経」


 首を緩めれば、副交感神経の働きが上がり、全身の疲労感がとれ、不眠の症状も改善できます。
 小林先生は、そのメカニズムについて、以下のように解説しています。

 なぜ、首を緩めると副交感神経の働きが上がり、不眠改善につながるのか?
 その理由は、首にある太い血管と迷走神経にあります。
 迷走神経は、大部分が副交感神経の繊維でできていて脳から腸にまで届いている唯一の神経で、すべての内臓機能を左右する重要な役割を担っています。
 首の筋肉が凝り、血流が悪くなると、迷走神経の働きが下がり、副交感神経の働きもダウンします。
 すると、内臓機能を正常にコントロールすることができなくなり、胃腸の働きをはじめすべての内臓機能の働きもダウンします。それで体調不良になり、心身ともに慢性的な疲労感が蓄積されてしまう──。これがすなわち、首の凝り=慢性的な疲労感、および不眠のメカニズムです。
 また、(下図★2を参照)のイラストを見ても分かるように、首のつけ根には「星状神経節」という交感神経が集まる場所もあります。
 首のつけ根が硬くなり、血流が悪くなると、交感神経の働きが乱れ自律神経はますます乱れてしまう──。
 ですから、いかに首の凝りをほぐし、血流を良くするかということが副交感神経のみならず、私たちの内臓器官および心身のパフォーマンスのレベルを高め、不眠を改善する鍵だといえるわけです。

 『快眠したければ「首」を緩めなさい』 第1章 より 小林弘幸:著 小学館:刊

迷走神経と星状神経節 ★1 第1章
★2.迷走神経と星状神経節(『快眠したければ「首」を緩めなさい』 第1章 より抜粋)


 夜、リラックスして質のよい睡眠をとるためには、副交感神経を働かせる必要がありますが、首の凝りは、迷走神経を圧迫することで、その働きを弱めてしまいます。
 首を緩めて、首の血流をよくすることが、いかに大切かがよくわかりますね。

「首を温める」と、脳がすっきりし、睡眠効果が上がる


 小林先生は、首を緩めるための最も大切な方法として挙げているのが、「首を温めること」です。

 首には、太い血管が通っています。
 そのため、温めると全身の血液が温まり、血流がよくなり、凝りが改善されます。

 また、首には体温を感知するセンサーがあります。
 熱が伝播すると、脳の「視索前野(しさくぜんや)」という部分で体温をコントロールするスイッチが入り、血管が拡張されて副交感神経の働きも活発化します。

 ちなみに、首を温める際、とくに温めてほしいポイントは、首の後ろ、頭とのつけ根=頸椎の1番から頸椎2番の部分と首と鎖骨の境い目の部分です。
 (中略)頸椎1番から頸椎2番の部分にはデスクワークなどでいちばん問題となる眼精疲労をとり、首を緩めるためのツボが集中しています。
 また、首と鎖骨の境目の部分には、第1章(上図★2を参照)のイラストでも解説したとおり、星状神経節(せいじょうしんけいせつ)という交感神経が集中しているところがあります。この星状神経節を温め血行を良くすると、交感神経の働きが鎮められ、副交感神経が優位になり、さらに効果的に首の凝りや疲れを軽減することができます。
 しかも、首を温めることで反応する脳の「視索前野」には、睡眠をコントロールする場所もあるため、首を温めるだけでも快眠をいざなってくれる効果があるのです。
 また、夜寝る前だけでなく、日中でも首を温めることによってのメリットこそあれ、デメリットは何もありません。
 たとえば、長時間のデスクワークで眼精疲労がたまってしまったときなども、とくに首の後ろ、首と頭のつけ根をホットタオルなどで温めて血行を良くしてあげると、目の疲れがすーっと楽になり、頭まですっきりクリアになります。美容院などの洗髪の際、ホットタオルを首に当ててもらうと「あー、気持ちいいな」といっぺんにリフレッシュした気分になるのも、そのいちばんの理由は首を温めたことにより、副交感神経の働きが上がり、脳の血流まで良くなったからなのです。

『快眠したければ「首」を緩めなさい』 第2章 より 小林弘幸:著 小学館:刊

 凝りは、筋肉がこわばって血液の流れが滞ることから起こります。
 それを解消するためには、「温めること」が最も効果的だということ。

 冬場はもちろん、夏場でも、冷房が効き過ぎて、首元が冷えることは多いです。
 首元を冷やさない対策は、どんな時でも油断せず、万全を期したいですね。

タオルで「ストレートネック」「腰痛」を改善する方法


 私たちの体は、首の骨(=頚椎)、背骨(=脊椎)、足の膝裏が、それぞれゆるやかなS字カーブを描き、それらがスプリングの効いたバネのようになって、頭の重みを効果的に分散しています。
 首や肩の凝りを改善するためには、この「3つのアーチ」をしっかりつくり、正しい姿勢に戻すことかとても重要です。

 小林先生は、「3つのアーチ」を取り戻すために、以下のような方法を紹介しています。

次は、タオルを使った「3つのアーチ」を作る方法です。
 これもやり方は非常に簡単です。
 (下図★14を参照)のイラストのように、首の下①、骨盤の上②、つまり、本来であれば正しいカーブがあるべきところに、それぞれフェイスタオル、バスタオルを丸めたものを敷き、仰向けになって15~20分間。その姿勢がつらくなければ、そのまま眠ってしまってもOKです。
 そして、これを寝る前に毎日つづけるだけで「ストレートネック」や背骨の歪みが見違えるほど改善され、首から上半身の筋肉が緩み、不眠はもちろん、腰痛なども軽減されてきます。
 第1章でも述べましたが、ストレートネックや背骨の歪みは、首の凝りにつながり、自律神経の乱れの大きな要因のひとつとなっています。それを姿勢によってだけ正そうとしても、なかなか難しいというのが現実です。
 ですから、タオルのソフトな刺激によって、物理的にカーブを作ってあげる。それを「癖」にすることが非常に重要なのです。また、膝がつらいときは、膝の下に小さめのタオルで同じようにしてアーチを作るとさらに骨のズレを正してくれます。

 『快眠したければ「首」を緩めなさい』 第2章 より 小林弘幸:著 小学館:刊

これで首と仙骨の凝りがほぐれる ★14 第2章
 ★14.迷走神経と星状神経節(『快眠したければ「首」を緩めなさい』 第1章 より抜粋)


 凝りの改善は、正しい姿勢から。
 タオル1枚で、誰でも簡単にできる「3つのアーチ」をつくる方法。
 ぜひ、毎日の習慣にしたいですね。

スポンサーリンク           

☆    ★    ☆    ★    ☆    ★    ☆

 ビジネスにおいても、流通の経路で、他の部分よりも狭まっている部分を「ネック」と呼びます。

 ネックは、流通の要である一方、最も流れが悪くなる部分。
 ネックの流れをできるだけスムーズにすることが、渋滞解消の一番のポイントになります。

 人の体でも、同じことがいえます。
 ネック(=首)の血流をよくすることは、全身の血流をよくして渋滞(=凝り)をなくすこと。

 私たちの体の要衝(ようしょう)である「首」。
 そのケアを怠らず、健康的な生活を送りたいですね。


にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ(←気に入ってもらえたら、左のボタンを押して頂けると嬉しいです)

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 15

フォローする

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA