【書評】『未来の働き方を考えよう』(ちきりん)

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 お薦めの本の紹介です。
 ちきりんさんの『未来の働き方を考えよう 人生は二回、生きられる』です。

 ちきりんさん(@InsideCHIKIRIN)は、関西出身の「おちゃらけ社会派」のブロガーです。
 ブログ「Chikirinの日記」は、月間100万回以上のページビューを超える人気です。
 2010年に証券会社を退職後、“楽しいことだけをして暮らす”人生を実践されています。

「次の十年間」で働き方が大きく変わる!


 近頃、年金支給開始年齢の引き上げと、それに伴う雇用延長(定年延長)が話題です。
 定年延長は、先進国共通の動きです。

 インターネットの普及や経済のグローバル化も本格化した今。
「いつまで、どのように働くか」が、国籍や年齢にかかわらず、大きな関心事です。

 ちきりんさんは、「次の10年間で、私たちの働き方は大きく変わる」と強調します。
 その変化は、20代の人も40代の人も、そして今はまだ小さな子どもたちも避けては通れない本質的な変化となるはずと指摘します。

 変化が激しく先の読めない時代。
 だからこそ、不安な未来をワクワクできる未来に変えるために、今自分たちが何ができるのか。
 それを考えることが、とても大切です。

 本書は、社会の変化を見据え、働き方が今後どう変わり、どう対応すべきかをまとめた一冊です。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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70歳まで働くということ


 ちきりんさんは、いずれ迎えるであろう「70歳定年制」が、「自分は本当にそんな年齢まで働きたいのか?」という問いを、多くの日本人に突きつけるはずだと指摘します。

 今の日本人の働き方は、55歳が定年であった高度成長期から大きく変わっていません。せいぜい土曜日が休みになった程度で、今でも有給休暇を100%取得できない人、相変わらず長い残業が日常化している人も少なくありません。
 だからこそ多くの人が、「引退後は夫婦でゆっくり趣味や旅行を楽しもう」と、第二の人生に期待してきたのです。別の言葉で言えば「ゆっくり休むのは定年後にどうぞ。定年前は有給休暇も取らず、残業も厭(いと)わないでね」というのが、今までの日本の労働習慣でした。
 けれどもしも70歳まで働くことになっても、私たちは同じ働き方を受け入れられるでしょうか? 70歳で定年退職した後に夫婦でゆっくりと海外旅行を楽しむなんて、本当に現実的なのでしょうか?
 厚生労働省の資料やこれからの高齢化の推定値を見ると、現在20代以下の方にとって、「70歳定年」の世界は、ほぼ確定した未来に思えます。もう一度、考えてみてください。年金の支給開始年齢が70歳まで延長された時、あなたは本当にその年齢まで、今の職場で今の仕事を続けていたいと思いますか?

 『未来の働き方を考えよう』 第一章 より ちきりん:著 文藝春秋:刊

 日本人の平均寿命は、男性で79.44歳、女性で85.90歳(2011年度の厚労省の資料より)です。
 引退後の人生は、男性で平均で10年弱、女性でも16年弱しか残らないことになります。

 定年後の「第二の人生」に希望を託して、すべてを会社に捧げて働く。

 このような状況で、そういう選択をすべきなのでしょうか。
 一人ひとりが真剣に考えなければならない大事な問題ですね。

惜しげもなく大企業を辞める若者


 2009年のリーマン・ショック以降、新卒学生の就職状況は厳しいまま。
 しかし、せっかく入った企業を自ら辞めてしまう若者の割合は、相変わらず高水準です。

 社員1000人以上の大企業の限ってみても、会社を3年以内に辞めてしまう若者の比率は20.5%の高水準を維持しています(2012年度 厚労省の資料より)。

 ちきりんさんは、若者の離職率が高止まりする理由について、「大企業で働くことの合理的な理由が毀損(きそん)してきたから」と述べています。

 大きな理由のひとつが、「彼らが今の大企業にいる40代、50代の人たちに、失望し始めている」ことです。

 もちろん今でも3年目くらいまでは、自分が余りに何もできないので、上司や先輩から学べることはたくさんあります。
 しかしその後は、「それってどうなの?」という点があれこれと目に付き始めます。ネットで調べればすぐにわかることを知らず、新入社員より英語が不得意な部長や課長。不可解なほど意思決定が遅く、中身より形式や権威を重視するなど、意味不明な慣行がまかり通る組織。時代が変わっているのに、枠にはまった考え方しかできず、何でも否定から入る癖がついてしまっている40〜50代も少なくありません。市場の成長が終わってしまった分野では、既得権益を守ることが仕事になっている部門も多く、若者が尊敬できる志さえ感じることができません。
 急速に進んだIT化やグローバリゼーションの進行が、大組織にいる“若くない人たち”を一気に時代遅れにしてしまい、若い世代から見ると、「なにこの人?」みたいな中高年社員が激増しているのです。
 こんな環境では「これは自分の送りたい人生とは違う・・・・」と考える若者が増えるのは当然だし、「上にこんな人がいっぱいいる会社の将来ってどうなの?」と、不安にもなるでしょう。そんなところで、社内でしか通用しないと思える仕事を、「石の上にも3年は我慢して続けろ」と言われたら、将来が心配になるのも当然です。

 『未来の働き方を考えよう』 第三章 より ちきりん:著 文藝春秋:刊

 新卒として採用される20代の若者たち。
 彼らは、物心ついたときから、パソコンや携帯電話などのIT機器に触れて育った世代。
 いわゆる、「デジタルネイティブ世代」です。

 パソコンも満足に使えない上司は、彼らから見ると、“未知の生物”かもしれませんね。

 とはいっても、明日は我が身。
 後輩から「なにこの人?」と言われないよう、自己研鑚を怠らないようにしたいものです。

職業人生は「2回選ぶもの」と考える


 年金支給開始年齢が引き上げられ、これまでより長い期間働かなければならなくなりました。
 これからを生きる若い人たちは、どのような人生設計をすべきなのでしょうか。

 ちきりんさんは、最初から「職業人生は2回ある」という発想することを提案しています。
 具体的には、働く期間を20代から40代後半までの前期職業人生と、40代後半以降の後期職業人生に分ける方法です。

 この、「一生の間に、2パターンの職業人生をおくる」という考え方は、寿命が延びる中で正解の見えない時代を生きる人にとって、様々なメリットがある、とてもいい案だと私は考えています。

 職業選びにかかわらず、入試だってゲームだって何かへの挑戦だって、一発勝負では無用に緊張しますよね。勝手もよくわからないし、自分がどれくらいそれを巧くやれるのかも、よくわかりません。失敗した時のリスクも大きすぎて、どうしても安全な道を選びたくなります。
 でも、チャンスは2回ある、1回失敗しても、もう1回やってみられる、もしくは、最初にいろいろ試して、2度目はそこからの学びを生かしてよりよい選択をすればいいと考えれば、一発勝負とは異なる感覚で働き方を選べます。
 今でも、結果的にふたつの職業を体験する人はたくさんいます。でも、ここで勧めているのはそうではなく、一生の間にふたつの異なる職業人生を選べるのだという意識を、最初からもつという方法です。そうなれば、働くスタイルや職業の選び方が今までとは大きく異なってくるはずなのです。

 『未来の働き方を考えよう』 第四章 より ちきりん:著 文藝春秋:刊

 若いうちから、自分の適性ややりたいことをしっかり把握する。
 それはなかなか困難なことです。

 ただ、最初から「40代で違う職業を選ぶ」と決めている。
 それなら、最初の職業選択を、心理的にかなり冒険できますね。

「老後」という言葉がなくなりつつある今日。
 若いうちから自分の生涯設計を考えることは、今まで以上に重要です。

死ぬまでにお金に困らない人=寿命の短い人


 急激に働く環境の変化に対応して、40代からオリジナル人生に移行する。
 そのためには、これまでの常識に縛られない発想の転換が必要です。
「お金」に関することもその一つです。

 ちきりんさんは、働き方を変えるためには、まず十分な資産を貯めなければならない、という発想自体、間違っていると指摘します。

 60歳で死ぬ人と100歳で死ぬ人の人生の長さは、40年も違います。
 1ヶ月に20万円の生活費が必要な場合、この40年間の生活費だけでも1億円近い差が生まれるわけです。

 つまり、老後の資産をどれくらい所有しているかよりも、どれくらい長生きするかに左右される部分が大きいです。

 結局のところ、自分のお金で死ぬまで(経済的に)困らない人というのは、少々年収が高いとか、ちゃんと貯金をしていたとか、家のローンが終わっていたなどという人ではなく、寿命の短い人なのです。

 若い人の中には、「年金は若者にとって損な制度だからなくしてしまえ」と言う人がいますが、私はいつも「それってどうなの?」と思います。長生きする人は、自分のお金だけで一生食べていくなんて、まず無理です。
 老後の備えに関しては、少々貯金があろうとなかろうと「早く死ねばお金が余るし、長生きしたら足りなくなる」のであり、すべての人に、「思いがけず長生きしたら最後は年金、そして生活保護」という割り切りが必要なのです。
 だから、「十分な(=死ぬまで食べていける)お金が貯まるまでは働こう」と考えるのではなく、「元気な限りそこそこ稼げる態勢を、一定年齢(40代)をめどに考えよう」と考えるほうがよほど現実的であり、それが40代で働き方を再設計するという考え方なのです。

  『未来の働き方を考えよう』 第五章 より  ちきりん:著  文藝春秋:刊

 年金は、あくまでも「長生きした時の保険」として考えた方がいい、ということですね。
 支給年齢が引き上げられたとしても、年金制度は維持することに意味はありそうです。

 目指すは、「生涯現役」です。
 年金をあてにはできません。
 もらえたときは、“長生きしたご褒美”としてありがたく頂きたいですね。

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 ちきりんさんは、変化を恐れて過去にしがみつくのではなく、変化を前向きに受け止め、新しい時代の可能性を楽しもうとする姿勢が、時代の変わり目には重要だとおっしゃっています。

 10年後、20年後、世界がどう変わっているか、誰も知ることはできません。
 だからこそ、いろいろな可能性を楽しむことができるということです。

 1回きりの人生です。
 変化を楽しみ、自分自身の可能性を楽しみながら、将来の働き方を考えていきたいですね。


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